No.712098 九番目の熾天使・外伝 ~改~竜神丸さん 2014-08-29 20:08:37 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1788 閲覧ユーザー数:819 |
「「「シャァァァァァァァァッ!!」」」
宰我忍が変身した戦士―――仮面ライダージョーカーに、複数のサメインベスが荒々しい咆哮を上げながら一斉に突っ込んで行く。それに対し、ジョーカーは余裕そうにサメインベス逹を迎え撃つ。
「さぁ、かかって来なさい」
「シャアッ!!」
「遅い!!」
「グゥ!?」
襲って来るサメインベスの攻撃をジョーカーは軽々といなし、サメインベスの腕を掴んでから背負い投げで床に叩きつける。床に倒れたサメインベスを思いきり踏みつけてから二体目のサメインベスを蹴りつける事で三体目のサメインベスにぶつけて薙ぎ倒す。そんなジョーカーの奮闘を、ダークカブトは少し離れた位置で眺めていた。
「ジョーカーか。何でロストドライバーにガイアメモリを持ってんのかは重要じゃないな……お~い、そこのジョーカーさんよぉ!」
「はい?(む、何故この場にダークカブトが…?)」
ダークカブトは向かって来るサメインベスをゼクトクナイガンで斬りつけながら、サメインベスにチョークスリーパーを決めているジョーカーに声をかける。
「アンタが何者なのかは敢えて聞かん。この状況からとっとと抜け出す為に、ここは一つ共闘しちゃくれないかねぇ?」
「共闘ですか? ま、それは別に構いませんよ…と!」
「そうかい、そりゃ助かる! 俺の仲間がこの船にもまだいるからよ、そいつ等にもひとまず協力してやってくれ!」
「分かりました! えっと…ダークさん!」
「ダ、ダークさん? …まぁ良いけどさ。取り敢えず、ちょっくら伏せときなよっと!」
≪Cast Off≫
「え…うわっと!?」
一体のサメインベスを斬り倒すと同時に、ダークカブトはダークカブトゼクターのゼクターホーンを倒しキャストオフを発動。ジョーカーが慌てて伏せると同時に弾け飛んだ装甲が数体のサメインベスを爆破し、ダークカブトはライダーフォームとなる。
「ちょっと、危ないじゃないですか!!」
「良いだろ別に、直撃はしてねぇんだからよ!!」
ジョーカーとダークカブトは言い合いながらも、向かって来るサメインベスを次々と撃破していく。しかしそんな中…
「グルルルルル…グゥ?」
一体のサメインベスの動きが止まる。サメインベスが見ている方向には、壁にほんの僅かに生えている植物から成っている果実があった。
「グゥゥゥゥゥゥゥゥ…ガゥッ!!」
サメインベスは壁に生えている植物まで移動し、成っている果実をいくつか捥ぎ取り食べ始めた。そのサメインベスの行動に、近くで戦っていたダークカブトが気付く。
「!? マズい!!」
「グッ!? ガ、ァ、グゥゥゥゥゥゥ…ギャォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!」
ダークカブトが止めに入ろうとするも、もう遅い。果実を食したサメインベスは全身が発光しながら変異を遂げていき、巨大なサメインベス強化体へと進化してしまった。
「な、巨大化した…!?」
「ギャオンッ!!」
ジョーカーが驚く中、完全に人型から鮫の形態へと変わったサメインベス強化体は、アンジェラ号の壁を突き破って海中へと飛び出して行く。
「くそ、厄介な……ユイ!!」
『了解、こっちからも見えてる』
ダークカブトが通信を入れると同時に、港町で待機していたユイも行動を開始。サメインベス強化体がアンジェラ号から海へ飛び出していく姿を見ていたユイはドレイクグリップを取り出し、それに釣られる形でドレイクゼクターが飛んで来る。
「変身」
≪HENSHIN≫
ドレイクグリップとドレイクゼクターが合体し、ユイは仮面ライダードレイク・マスクドフォームに変身。そのまま海中へと飛び込んで行く。それをアンジェラ号に空けられた穴から視認したダークカブトは、再びサメインベスの群れの退治に専念する。
「どうするんです? さっきの進化した怪物は」
「問題ないさ、俺の仲間が向かったからな。それよりまずはコイツ等の始末だ!!」
「はいはい、分かりましたよ!!」
≪メタル!≫
ジョーカーはロストドライバーからジョーカーメモリを抜き取り、代わりに『M』と描かれたメモリをロストドライバーに装填する。
「全てを、捻り潰す…!!」
≪メタル!≫
ロストドライバーを展開する事で仮面ライダージョーカーはボディの色が黒から銀色に変化し、仮面ライダーメタルへと変化。メタルは背中に装備されている棍棒“メタルシャフト”を手に取り両手で構える。
(!? メタルもあるのか、という事はトリガーも…)
ジョーカーがメタルに変化した事にダークカブトは興味を示しつつ、ゼクトクナイガンをアックスモードからガンモードに切り替え、サメインベスを次々と撃ち砕いていく。
「ギャォォォォォォォォォンッ!!!」
「…うるさい」
海中では、泳ぎ回っていたサメインベス強化体がアンジェラ号目掛けて突撃しようとしていた。ドレイクはそれを防ごうとサメインベス強化体の前に飛び出し、ドレイクゼクターの銃口から弾丸を何度も発射する。
「ギャオンッ!!」
「く…!!」
しかし、それだけでは倒れない。サメインベス強化体は一気にドレイクの目前まで迫り、ドレイクは身を屈めてサメインベス強化体の体当たりを回避、同時にサメインベス強化体の腹部をドレイクゼクターのゼクターウイングで斬りつける。
「やっぱり頑丈…!!」
「ギャオォォォォォォォォンッ!!」
「? 何を…ッ!?」
サメインベス強化体は突如泳ぐのをやめて、その場で回転し始めた。ドレイクはサメインベス強化体の行動に疑問を抱くが、その疑問もすぐに解決する。
「ッ……渦巻き…!!」
サメインベスの回転により、海中に巨大な渦巻きが発生し出したのだ。それにより、停泊していたアンジェラ号も渦巻きへと引き寄せられそうになる。
「させない……キャストオフ」
≪CAST OFF≫
ドレイクはドレイクゼクターのヒッチスロットルを引き、纏っていた装甲を弾き飛ばしライダーフォームにチェンジ。サメインベス強化体が渦巻きの勢いを強めていく中、ドレイクは敢えて自分から渦巻きの中へと飲み込まれていく。
「グガァァァァァァァァァァァァッ!!!」
「うぉっと!? ちぃ、無駄にタフな野郎だな…!!」
一方、船内の機関室ではプロトディケイドと龍星、そして龍刃がインベスの集団と対峙していた。その中でプロトディケイドはヒグマインベスの力任せに繰り出すパワー攻撃に苦戦しつつも、対処法をどうにか探ろうとしていた。
「okakaさ…うわ、くっ!?」
プロトディケイドの加勢に入ろうとした龍星を、インベスの群れが妨害。その所為でプロトディケイドの下まで移動出来ない。
「くそ、邪魔です!!」
「「「グルゥッ!?」」」
龍星はその場で回転し、二本の双星刃でインベス逹を纏めて一閃。インベス逹が転倒したのを見て、龍星はインベス逹がいる直線上に立ってから戦極ドライバーのカッティングブレードに手をかける。
≪スターフルーツスカッシュ!≫
「消えろぉっ!!」
「「「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」」」
龍星が振るう双星刃から星型の巨大な斬撃が飛ばされ、インベス逹を纏めて切断し爆破させる。今度こそ龍星はプロトディケイドの加勢に入ろうとするが…
「グルァッ!!」
「な…ぐぁあっ!?」
クラックから緑色の体色を持ったビャッコインベスが飛び出し、右手の鋭い爪で龍星を斬りつけた。斬りつけられた龍星はその場に倒れ、そこにビャッコインベスが爪を振り下ろす。
「くそ、またインベスが…!!」
「グルァァァァァァ…!!」
ビャッコインベスの爪を双星刃が受け止めるも、ビャッコインベスに乗っかられた所為で龍星は倒れた状態から上手く立ち上がれない。アーマードライダーに変身している影響からか、普段使っている魔法は何故か制限されて使用出来ない。まさに万事休すだ。
(くそ、せめて他にも手数を増やせれば…!!)
その時…
「!? グルォォォォォッ!?」
マスカットフルーツの身のような形状をしたエネルギー弾が、ビャッコインベスを吹き飛ばした。
「全く、それぐらいで苦戦するとは情けないですねぇ」
「竜神丸さん…」
「今ここで戦極ドライバーが破壊されると、せっかくの戦闘データが台無しになります。これでさっさと切り抜けて下さい」
窮地を救ったのは龍刃だった。彼は呆れているかのような仕種をしてから一つのロックシードを取り出し、龍星に投げ渡す。
「おとと……これは、ホオズキ?」
≪ロック・オフ≫
渡されたのは『No.22』と描かれたホオズキ状のロックシードだった。龍星は首を傾げつつもビャッコインベスの攻撃を回避し、戦極ドライバーに装填されているスターフルーツロックシードを取り外してからホオズキロックシードを開錠する。
≪ホオズキ!≫
「まぁとにかく、やるしかありませんよね…っと!!」
≪ロック・オン!≫
ホオズキロックシードが装填されると共に龍星が纏っていたスターフルーツアームズが消滅し、彼の頭上にはホオズキアームズが出現。龍星は素早くカッティングブレードを倒す。
≪ソイヤッ!≫
≪ホオズキアームズ!
音声と共にホオズキアームズが龍星の頭に被さり、鎧に変形。先程のスターフルーツアームズとは違う姿に変化し、龍星の右手には長槍“
「槍ですか……よし、これなら!!」
「グルァッ!!」
「ちょ、うわぁ!!」
「!? グルァァァァァァァァァァァァァッ!?」
龍星は飛びかかって来たビャッコインベスに驚き、思わず手に持っていた鬼灯廻槍を突きつける。するとその一突きだけで、ビャッコインベスが壁際まで吹き飛ばされてしまった。
「このアームズ、凄いパワーだ……よし、これなら!!」
想像以上のパワーに驚く龍星だったが、同時にこのホオズキアームズなら相手をパワーで圧倒出来るだろうと確信し、鬼灯廻槍を両手で構えてから再びビャッコインベスと対峙する。
「全く……さて、私はロックシードの回収を再開しましょっかねぇ」
アーマードライダーの能力を引き出す為には、更に多くのロックシードが必要になる。そう判断した龍刃はインベス逹との戦闘を龍星とプロトディケイドに任せ、自分は再びクラックを通じて森の中へと戻って行くのだった。
「グルァァァァァァァァァァァッ!!」
「スピードで駄目なら、純粋にパワーで挑むしかないな…!!」
≪カメンライド・アギト!≫
一方で、プロトディケイドはライドブッカーから一枚のカードを引き抜き、プロトディケイドライバーに装填。仮面ライダーアギト・グランドフォームに変身する。
「更に…!!」
PDアギトはオルタリングの右側のスイッチを押し、炎の力を司るフレイムフォームへと変化。オルタリングの中央部からフレイムセイバーを取り出す。
「グルアァッ!!」
「ちっ…うぉらっ!!」
「グルゥ!?」
ヒグマインベスの振るった爪をフレイムセイバーの刃が受け止める。PDアギトはそこからフレイムセイバーを横に一閃してヒグマインベスの爪を強引に叩き割り、ヒグマインベスを斬りつけて吹っ飛ばす。
「さて……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」
フレイムセイバーの鍔の角が展開し、PDアギトは居合いの構えに入る。爪を割られた挙句派手に吹っ飛ばされたヒグマインベスは先程以上に更に怒り狂い、PDアギトに向かって駆け出して行き―――
「―――はぁっ!!!」
PDアギトのフレイムセイバーが、ヒグマインベスの巨体を両断した。真っ二つにされたヒグマインベスは断末魔を上げる事すら無いまま、爆発して消滅した。
「どりゃあっ!!」
「グガァァァァァァァァァァッ!?」
龍星の振るった鬼灯廻槍が、ビャッコインベスを大きく薙ぎ払う。ビャッコインベスが地面を転がり、龍星は再びカッティングブレードを倒す。
≪ホオズキオーレ!≫
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……せいはぁっ!!!」
「ガゥ、グギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!?」
エネルギーの込められた鬼灯廻槍が投擲されてビャッコインベスの腹部に突き刺さり、鬼灯廻槍の槍頭がホオズキの萼のように展開され、そこから発射された光線がビャッコインベスの身体を塵も残さぬ形で消し飛ばすのだった。
「こっちもケリをつけようか…」
≪1 2 3≫
ダークカブトゼクターのスイッチを押し、ゼクターホーンがマスクドフォーム時の状態に戻される。
「ライダーキック!!」
≪RIDER KICK≫
そして再びゼクターホーンが展開され、ダークカブトはその場から大きく跳躍。宙に飛んだ状態からエネルギーの溜められた右足を前へと突き出し、サメインベス逹を粉砕する。
「なら、こちらも…!!」
≪メタル・マキシマムドライブ!≫
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…ライダーブランディング!!!」
それを見たメタルもロストドライバーからメタルメモリを引き抜き、メタルシャフトに装填。エネルギーの充填されたメタルシャフトを振るい、サメインベス逹を擦れ違い様に次々と爆破していく。
「ギャォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!」
「! 来た…!」
海中での戦いにも、決着がつこうとしていた。サメインベス強化体が発生させた渦巻きに飲み込まれたドレイクは少しずつ渦巻きに飲まれたまま回転し続けていき、そしてサメインベス強化体を直接狙える渦巻きの中心へと到達。ドレイクはこれが狙いだった。
「ライダーシューティング」
≪RIDER SHOOTING≫
再びドレイクゼクターのヒッチスロットルが引かれ、ドレイクゼクターの銃口にエネルギーが集まってエネルギー弾を生成し始める。狙いは、サメインベス強化体の開いている口の中。
「砕けろ」
そして引き鉄が引かれ、ライダーシューティングが発動。発射されたエネルギー弾は渦巻きの中心を一直線に突き抜けていき、狙い通りサメインベス強化体が開いている口の中へと突っ込み、サメインベス強化体の身体が大爆発を引き起こした。
「…兄さん、終わった」
『あぁ、ご苦労さん』
渦巻きも収まり、ドレイクはそのまま海上へと上がっていくのだった。
「おし、ちゃっちゃと植物を焼却してくれ」
「「「「「はっ!!」」」」」
「それからユイ、後でプリンでも焼いてやるよ」
「ん……先に、風呂入ってるね」
その後、事態はあっという間に解決へと導かれた。アンジェラ号の船内に繁殖していた植物は瞬く間にゼクトルーパー逹によって焼却され、その数分後にクラックも完全に閉じた。しかしインベスが大量発生した挙句サメインベス強化体によって船の壁に穴も空けられてしまった以上、当然アンジェラ号は出航を中止させられる羽目になってしまうのだった。
「いやはや、君のおかげで助かったよ忍君! 本当にありがとう!」
「いえ、当然の責務を果たしたまでの事です」
「忍さん、本当にありがとう…!」
この時、忍はレイラに正面から抱きつかれながらも内心では全く違う事を考えていた。
(一緒に戦った奴、どっかで聞いた事があるような気もするが……まぁ良いや。機会があればまた会う日が来るだろうし、今は最後まで護衛任務の依頼をこなすとするか)
そんな忍を、okakaはまた離れた位置からバットショットを通じて監視する。
「さぁて、まだまだ監視は続けさせて貰うぜ? 宰我忍さんよ」
その後も、しばらくの間はokakaによる宰我忍の監視及び調査が続けられた。そして、彼の調査を開始してから六日ほど経過し…
「いい加減、コソコソしてないで出てきたらどうです?」
「…ま、やっぱ気付かれるよなぁ」
とある国。滝や湖が存在している谷にて、遂にokakaと忍は対面していた。
「何処かで聞いた事がある声ですね。確か、海鳴市で会った…」
「あぁ。あの時のプロトディケイドが俺だよ」
バレた以上は隠しても無意味だと悟り、okakaはプロトディケイドライバーを見せつけながら自ら正体を明かしてみせる。
「ここ数日、私の監視をしていたようですが……何が目的で?」
「いや何、お前さんの素性について調査するよう指令を下されてな。最初は陰からお前さんを調査しようと思っていたんだが……予想通り、お前さんにはバレちまったってだけの話だ」
「おやま、そうですか。それで? 許可なく勝手に私の素性を調べようとは……覚悟は出来てんだろうなぁクソ野郎が…!!」
≪ドライバー・オン≫
「…その口調、本当に安定しないなお前さん」
遂に荒々しい本性を露わにした忍がクリムゾンドライバーを腹部に出現させ、okakaは溜め息をつきながらもプロトディケイドライバーを腹部に装着する。
「こっちは別に、お前さんと戦うつもりは無かったんだが…」
「知った事か……もう分かってるよなぁ? 俺とお前で、今から何をするべきか」
「…やれやれ、仕方ない」
「はん、そう来なくっちゃなぁ!!」
≪シャバドゥビタッチヘンシーン!≫
okakaはドライバーを開いてからプロトディケイドのカードを手に取り、忍は左手中指にクリムゾンリングを嵌めてからクリムゾンドライバーのハンドオーサーを起動させる。
そして…
「「変身!!」」
≪カメンライド・ディケイド!≫
≪チェンジ・ナウ!≫
okakaはプロトディケイドに、忍は魔法陣を通じてクリムゾンへと変身した。
「さぁ、血祭りのショータイムだぁ!!」
≪コネクト・ナウ≫
「おいおい、怖過ぎるなその祭り」
クリムゾンは魔法陣から取り出したクリムゾンガンから、プロトディケイド目掛けて銃弾を放つ。プロトディケイドは素早く身を屈めて銃弾を回避し、ライドブッカーから一枚のカードを取り出す。
「お前さんの能力は分かっている。そういう訳で悪いが、俺も手加減をするつもりは無い」
「御託は良い、さっさと戦えやぁ!!!」
クリムゾンガンをソードモードに切り替え、クリムゾンはプロトディケイドに向かって跳躍する。プロトディケイドは取り出したカードを素早くプロトディケイドライバーに装填する。
≪カメンライド…≫
「変身!!」
≪ブラック・アールエックス!≫
「!? 何…!!」
プロトディケイドの全身が光に包まれ、クリムゾンは思わず両腕で自身の仮面を覆う。そして光が収まってから、両腕を下ろしたクリムゾンが視線を向けた先には…
「俺は太陽の子…」
黒いボディ、そして赤い目が特徴の戦士―――仮面ライダーBlack RXがポーズを取っていた。
「仮面ライダーBlack…RX!!」
PDRXはキレのあるポーズを取り、クリムゾンと正面から対峙する。
「はん、いちいち決めポーズなんか取ってんじゃねぇよ!!」
PDRXにも怯む事なくクリムゾンは突撃し、そのクリムゾンガンの刃を突き立てようとした瞬間…
「!? な、何だと…!?」
クリムゾンガンの刃が、PDRXを貫く事は無かった。
刃先が命中しようとした瞬間にPDRXの身体がゲル状に変化し、攻撃が空振りに終わったからだ。想定外の事態にクリムゾンが驚く中、ゲル状化したPDRXは別の姿へと変化する。
「俺は怒りの王子…バイオ、ライダー!!」
PDRXもといPDバイオライダーはポーズを取ってから、再びクリムゾンと対峙する。
「ちっ、避けてんじゃねぇよ!!」
クリムゾンがクリムゾンガンを再びガンモードに切り替えてから弾丸を放つが、放たれた弾丸は全てPDバイオライダーの身体をすり抜けていき、PDバイオライダーは怯む事すら無いままクリムゾンへと接近していく。
「くそ、何でだ!! 何でだよオイ!!」
「残念だが、それじゃ俺は倒せない」
「だったらコイツはどうだよ!!」
≪ヒート・ナウ≫
ハンドオーサーにヒートリングを翳し、クリムゾンはクリムゾンガンから強力な熱の籠ったエネルギー弾を発射、PDバイオライダーに命中すると共に爆発を起こす。
「はぁ、はぁ、やったか…!?」
しかし爆発の煙が晴れていき、クリムゾンは驚愕する。
「おいおい、マジかよ…!!」
「俺は悲しみの王子……ロボライダーッ!!」
PDバイオライダーは更に姿を変え、ロボットのような姿の形態―――ロボライダーへと変化していた。
「どんだけ変わりゃ気が済むんだよテメェは!!」
クリムゾンは連続でエネルギー弾を発射し、PDロボライダーに命中させて爆発させる。しかし…
「ッ……何でだよ……何でなんだよぉ!?」
爆風の中から出て来たPDロボライダーは、傷一つ付いてはいなかった。爆発による炎がPDロボライダーの強固なボディに吸収され、彼のエネルギーへと還元されていく。
「悪いな、炎は俺のエネルギーだ」
「くそ…くそったれがぁ!!」
クリムゾンはクリムゾンガンをソードモードに切り替え、PDロボライダーに斬りかかる。しかしその程度の攻撃でPDロボライダーに傷など付けられる筈も無く、逆にクリムゾンガンの刃を片手で掴まれる。
「どうした? 焦ってばかりじゃ何も出来んぞ?」
「うるせぇ、うるせぇ!!」
≪サンダー・ナウ≫
クリムゾンはクリムゾンガンを手離し、素早く離れてからPDロボライダー目掛けて電撃を放つ。しかし…
「とぅっ!!」
「な…!?」
「RX…キィック!!」
「ごはぁあっ!?」
PDロボライダーは一瞬でPDバイオライダーとなってゲル状化し、電撃を回避。ゲル状のままクリムゾンの目の前まで移動した瞬間にPDRXへと戻り、彼に強力なドロップキックを炸裂させて吹っ飛ばす。
「が、げほ、ごほ…!!」
「まだ終わらないぜ…!!」
倒れたクリムゾンに対し、PDRXは遂に“切り札”を召喚する。
「リボルケインッ!!」
PDRXは左手をベルトのサンライザーの前に持っていくと、そこから赤いダイナモの備わったグリップが形成され、引き抜くと同時にレーザーブレードのような形状をした光の棒―――リボルケインが形成される。
「トァッ!!」
「ッ…くそがぁ!!」
PDRXは大きく駆け出して跳躍し、クリムゾン目掛けてそのリボルケインを突き立てる。リボルケインを見たクリムゾンは直感で「ヤバい」と認識したのか、血液状のエネルギーを利用して自身の目の前にブラッディージェネラルを召喚したその瞬間…
-ドシュウッ!!-
リボルケインが、ブラッディージェネラルの腹部を貫いた。PDRXはそのままリボルケインをどんどんブラッディージェネラルの腹部に押し込んでいき、ブラッディージェネラルの貫かれている背中からは火花が勢い良く飛び散る。そして…
「…フッ!!」
PDRXはリボルケインを引き抜くと同時に跳ねて振り返り、大きく『R』を書くようにリボルケインを振り回しつつ両腕を『X』のようにクロスさせ、最後に左手をベルトに、リボルケインを右側に構えてポーズを決めてみせた。そしてPDRXの背後で火花を散らし続けているブラッディージェネラルが地面に倒れ、とてつもない大爆発を引き起こした。
「…回避するだけの知恵はあるみたいだな」
「はぁ、はぁ、はぁ…!!」
PDRXが振り返った先には、膝を突いたまま腹部を押さえているクリムゾンの姿があった。押さえている腹部からは少しだが煙が出ている。
「は、はは……何なんだよ、その馬鹿みたいにヤベぇ力はよぉ…!!」
実はリボルケインがブラッディージェネラルを貫く際、リボルケインの先端がクリムゾンの腹部をほんの僅かに掠っていた。しかし掠る程度であって直撃した訳ではない為、ブラッディージェネラルと自身の腹部を犠牲に難を逃れたのである。
「どうする? まだ戦るか?」
「くそ、余裕ぶりやがって…!!」
PDRXがリボルケインを構えたまま立っている中、クリムゾンは腹部を押さえながらクリムゾンガンを拾い上げて構え直す。二人が再び対峙しようとしたその時…
「双方、そこまでだ」
「「!!」」
ある人物の声が、二人の戦いに終止符を打った。
「な、団長…!?」
「ご苦労だったな、okaka。変身を解除したまえ」
現れた人物―――クライシスは崖の上から二人の間へと降り立つ。クライシスの指示により、プロトディケイドは変身を解除してokakaの姿に戻る。
「さて……宰我忍、と言ったかな? 君もだ、変身を解きたまえ」
クライシスはクリムゾンの方にも声をかけるが……肝心のクリムゾンは、クライシスを見たまま全身が震えていた。
「な、何だよ……何だよお前…!! 一体何なんだよお前!!」
クリムゾンは全身が震えながらも、構えを解こうとしなかった。okakaと戦っていた時とは違い、その乱暴な口調も恐怖心に支配されていた。
「私が何者か、それも今から説明しよう。だから……“変身を解きたまえ”」
「!? あ、が…ぁ…!!」
構えていたクリムゾンガンが両手から落ち、クリムゾンは変身を解除する。その仮面の下から出て来た忍の表情は、明らかにクライシスを恐れている表情だった。
「そう恐れる必要は無い。私は別に、君を排除しに来た訳ではないのだから」
「じ、じゃあ、何だってんだよ…!!」
「何、至って単純な理由だ」
「君をOTAKU旅団へ勧誘しに来たのだよ、宰我忍」
そして、翌日…
「今日は全員に、新たなメンバーを紹介しておこうと思う」
クライシスの招集により、旅団に属するナンバーズメンバー逹が会議の間に集まっていた。そして、新たに加入した人物が一同の前に姿を現す。
「初めまして」
「宰我忍、改めOTAKU旅団No.21……黒鉄刃と申します」
「へぇ、新しいメンバーか」
「あらあら、なかなかイケてる顔じゃない」
「ま、よろしく頼むぜ。新入り」
「あれ? 今の声、何処かで聞いたような…」
(なるほど、彼が鮮血の魔法使いですか。利用しがいがありそうですね…)
「…やれやれ」
ロキや朱音、miriは興味深そうに呟き、ディアーリーズは聞いた事のある声に首を傾げ、竜神丸は小さく笑みを浮かべ、okakaは小さく溜め息をついたりと、一同はそれぞれ違う反応を見せる。
「これからよろしくお願いします。ナンバーズの皆さん」
宰我忍―――改め
一方、地球の海鳴市では…
「はぁ……やっと海鳴市に帰れたと思ったら、また酷い惨状ですわね…」
リムジンから降りた一人の女性が、今現在の海鳴市を高台から双眼鏡で眺めていた。
「アン娘さんは元気にしているでしょうか……こうなれば、直接会って確かめるしかありませんわ。あぁ待っていて下さいアン娘さん、今私がそちらに行きますわ。フフフフフフフフ…♪」
愛しの人物の事を思いながら、女性は楽しそうに微笑み続けるのだった。
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