No.703317

がちゆり~あかり誕生日SS 2014~

初音軍さん

誕生日用に昨日書いたばかりのお話。
ちなつの心の動きが徐々に…いやいきなり方向転換しましたが
ちょっとばかり王道過ぎるかもしれないです。
何十番煎じくらいなんでしょうね?
もしそれでもよかったら見てってくださいし(>ω<)

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2014-07-24 10:49:15 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:738   閲覧ユーザー数:733

がちゆり~あかり誕生日SS 2014~

 

 茹だるような夏の暑さに目を覚まし、起き上がってからカレンダーを見た。

そう、今日はあかりの誕生日なんだけれど。

 今年のはいつもとちょっと違う一日になりそう。

思い出すだけで顔から火が出てしまいそうだった。

 

『結衣先輩のこと諦めちゃったの』

『な、なんでそんな・・・』

 

『私ね、あかりちゃんのことが好きみたい・・・』

 

 昨日、いつものように結衣ちゃんのことでの相談や練習の話になるのかと

思ったらいきなり告白されちゃったから予想外のことすぎてあかりの頭の中はそれはもう

真っ白になっていた。

 

 だけどその中でどこかホッとしていた部分がどこかにあったのかもしれない。

結衣ちゃんの隣にいて幸せそうにしているちなつちゃんの姿を見てどこか

もやもやしていた所があったから。

 

『け、決してふられたからあかりちゃんに変えたわけじゃないんだからね!』

『やっぱりそういうことだったんだね…』

 

 後で言われた本音らしい言葉にあかりは肩をガクッと落とした。

嫌ではないけれど素直に喜べるわけもなかった。

 

『ご、ごめんね、あかりちゃん!』

「もう、ちなつちゃんったら!』

 

『でもよかった~』

『何が?』

 

『明日、あかりちゃんの誕生日じゃない。過ぎなくてよかった…。

あかりちゃん、明日私が忘れられないような一日を過ごさせてあげる』

『わ、わぁ。なんだろうなぁ…』

 

 あかりはそうしてその場を誤魔化したけど、それからずっとこの時間になるまで

ドキドキがずっと続いていた。暑さのせいもあるけれど、その出来事もあったからか

眠りが浅く感じていた。

 

「ふぁぁ…。ちなつちゃんいつ来るのかな…。それとも本当に来るのかどうかさえ」

 

 自分で話の流れを切って置きながらあかりはちなつちゃんに対する心配をしていた。

本当に今日来るのだろうか、とか。結衣ちゃんに振られたこと、とか。

 

 こんなことならちゃんと向き合ってしっかり話し合うべきだったと今更ながらに

後悔していた。

 

「あかりー、ごはんよ~」

 

 お姉ちゃんに呼ばれて初めて時間がとても過ぎていることに気づいた。

今まで呼ばれるまで何か考えてることなんてあまりなかったのに。

 

 結局ちなつちゃんに振り回されていくんだなって思うと嫌なことより

思わずくすっと笑ってしまう自分に気づいた。

 

 そうか、ちなつちゃんといるのは他のみんなといるのとはちょっと違う感覚なのかも

しれなかった。この気持ちを理解して自分の中に溶け込むのに時間がかかるかもしれない

けれど。

 

 朝ごはんの後に私は来るかどうかわからないちなつちゃんを待つのに

この前新しく買った服を着て待っていた。

 

 携帯電話で連絡を取ればいいではないかと思うけれど、昨日の今日で

確認するにはけっこうな勇気が必要なのだ。少なくともあかりにとっては。

 

 ぶるぶる!

 

「ふぁ!?」

 

 握っていたのにも関わらず、着信して携帯が震えた途端びっくりして

正座を崩して空いた片手を床につけて体勢を何とか保たせた。

 

「あ、ちなつちゃんからだ」

 

 中を見ていると、メールが入っていてそれをすぐさま開いて中身を確認した。

もうすぐあかりちゃんの家に着くっていうのを見たらあかりはホッとした気持ちで

満たされていた。

 

「よかった…」

 

 携帯を胸に当てて笑みを浮かべていた。これからどうなるのかわからなくて

胸がドキドキと鳴っていた。

 

『忘れられないような一日にしてあげる』

 

「ちなつちゃん…」

 

 あかりは熱っぽい眼差しをもう一度さっき来たメールに向けて

ちなつちゃんが来るのを待った。

 

 

「おはよー、あかりちゃん」

「ちなつちゃん…」

 

 朝起きてからこの時間までそれなりに時が経っていて、既に10時を回っていた。

ちなつちゃんはあかりの家を訪ねてきたときはいつも通りの表情であかりの前にいた。

 

 まるで昨日のことが何もなかったかのような様子に少しあかりの中で不安が残った。

お部屋にちなつちゃんを案内してジュースを取りに行こうと立ち上がると

あかりとほぼ同じようなタイミングで立ち上がったちなつちゃんがあかりの肩を掴んで

壁に押し付けていた。

 

 勢いの割にびっくりするほど痛くない…それどころか優しくしていてあかりは

ちなつちゃんの顔を見つめると、さっきとは随分と違って顔を赤くしていた。

 

「私、あかりちゃんとどうなりたいか…わかる?」

「…」

 

 あかりはまだ色々知ってることが足りなくて、多分ちなつちゃんの求めることと

合っているかどうかはわからない。だけど、今のあかりもちなつちゃんと同じような

顔をしていると思っているから、そっと目を閉じて待っていた。

 

 ちゅっ

 

 柔らかで暖かいぷにっとした感触が優しく触れる。

ちなつちゃんの吐息の熱があかりの体を熱くしていく。

あかりはちなつちゃんと今キスをしていた。

 

 恥ずかしくて目を瞑ってはいたが感触が他の可能性が全く感じられなかった。

ちなつちゃんの匂いが優しくあかりを包み込む感覚がとても暖かくてとろけてしまいそう。

 

「あかりちゃん…」

「んふぅ…!」

 

 ちゅっ、ちゅぱ…。くちゅ…ちゅぅ…。

 

 わずかに口から漏れていく音がいやらしくてあかりの中で何かが

こみ上げてくるようなのを感じていた。

 

 これまでにないくらい強い気持ちがちなつちゃんに向けていた。

愛おしい…。

 

 みんな大好きだけれど、それとは違った感情が溢れるようになって

たまらなくなってキスをしてくるちなつちゃんに応えてあかりも慣れないなりに

がんばってちなつちゃんに応えようとした。

 

 そして。

 

 ガチンッ

 

「いひゃい!」

 

 勢い良すぎてお互いの歯がぶつかって思わず離れて口元を手で押さえた。

特にどうともなっていなかったけれど、あまりに初々しく感じた二人は

お互いに見つめた後、笑い合ったのだ。

 

「あはは、あかりちゃん積極的すぎ」

「うー、ごめん。ちなつちゃんにも気持ちよくなってもらいたくて…」

 

「あ…」

「うん…」

 

 やや目線を合わせるのが照れくさくて少し俯くようにして、でも少しだけ

視界に入れて話した。これからのこと、二人がどうありたいかってことを。

 

「改めてさ、あかりちゃんさえ良かったら…その…付き合ってくれない?」

「うん、いいよ」

 

「随分あっさりね~。付き合うって買い物に付き合うとかそういうのじゃないからね」

「うん。知ってる。恋人でしょ…?」

 

 口にするだけでドキドキがまた止まらなくなってしまいそう。

今までに機会がなかったその言葉を、今あかりは自らの口で紡ぎ出していた。

 

「ほ、本当に?」

「もちろん。あ、でもあかりも知らないこと沢山あるから何でも全部できるとは

思えないけど、それでもちなつちゃんと一緒に傍にずっと居たいし」

 

 あかりの言葉を全部聞く前にちなつちゃんはあかりに飛びつくように抱きついてきた。

 

「嬉しい!」

 

 これまで結衣ちゃんにしか向けられなかったような感情があかりはしっかりと

受けられた気がした。

 

 

 しばらくして、二人してぼーっとした時間を過ごした。

あまりに夢心地で夢か現かわからずにいたからだ。

だけどその沈黙の空気をちなつちゃんから壊してくれる。

 

 

「本当に本当だよね。これ、夢じゃないよね?」

「本当だよ。あかりだって信じられないんだから。これで練習とかまた言われたら」

 

「言うわけないよ!もう私の相手はあかりちゃんだって決めてるんだから!」

「ちなつちゃん…」

 

「今まで練習とかいって。今思うとあかりちゃんも辛かったのかなって…」

「うん、ちょっと…ね。でも、あかりはちなつちゃんが幸せだったらそれでいいって

思ってたから。でもね、ちなつちゃんが私に今言ってくれたことでもっと幸せな

気持ちになれたよ」

 

「あかりちゃんって本当に天使みたいだよね」

「へ!?」

 

「でもその天使の大事な部分はこれから私のモノにもなるのよね」

 

 再び傍に寄って体を密着させる二人。

あかりのドキドキは再び強くなってちなつちゃんの存在を強く感じていた。

前よりも彼女の匂いを敏感に感じ取れるようになっていた。

 

 気持ちが興奮するような状態になっても、その中で安らげるような

そんな不思議な気持ち。愛おしいと心から思える香りを包み込んでいた。

それはちなつちゃんも同じようなことを私に告げてもう一度、ゆっくりと

深く愛するようにあかりたちはキスをした。

 

 

 どれくらいしたか覚えてられないくらい長く愛した二人はお姉ちゃんが帰ってきた頃に

離れてちなつちゃんは家に帰っていった。だけど、普通の友達でいたのはそれが最後で。

 

 次の日からは…。

 

「おっ、おはよう、あかり。ちなつちゃーん」

 

「あ、京子ちゃんおはよう」

「おはようございます、京子先輩」

 

「おぉっ、二人で恋人繋ぎを! いいなぁ、ちなつちゃんと繋げて羨ましい」

 

 あかりとちなつちゃんの間にある握り合う手を見て心底羨ましそうに見ていたのを

猫の首をつまむような形で結衣ちゃんが引っ張りあげた。

 

「こら、二人の邪魔をしたら悪いだろ!」

「ちぇ~っ」

 

「ふふっ」

「ちなつちゃん?」

 

 微笑ましい光景を見せる結衣ちゃんたちを見て笑うちなつちゃんを見てあかりは

思わず聞いていた。

 

「私が結衣先輩にちゃんと告白はしてなかったんだけどね」

「そうだったの?」

 

 前に進む結衣ちゃんたちに聞こえないように二人で話し込むあかりたち。

 

「あれを見たら誰だって諦めるわよね」

「確かに」

 

 親友を超えたような距離感が確かに見えていた。

それはあかりがちなつちゃんとこういう関係になって近く接しているから

見える感覚なのかもしれなかった。

 

 そうか、結衣ちゃんと京子ちゃんが。

 

「だから色々怖かった気持ちもあったけれど、あかりちゃんと同じ気持ちでいられた

ことにとても感謝しているんだ」

「ちなつちゃん…」

 

「あかりちゃん、改めてこれからよろしくね」

「うん!」

 

 手から伝わるぬくもりがお互いに安心感を与える。

言葉でもし伝わらなかったら気持ちで伝えよう。それくらいの気持ちであかりは

ちなつちゃんに向き合うつもりだった。

 

 不安だったら隠さず伝えよう、そしてそうなったら大丈夫なほうが支えあおう。

大丈夫、あかりたちなら大丈夫。そんな気持ちを胸に今日から新しい生活が始まる。

 

 甘くて幸せな日々がこれから始まるんだ。

 


 
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