No.695584

リリカルHS 48話

桐生キラさん

こんにちは!
今回はエリオ君と過ごすお話です

2014-06-21 17:40:28 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:1706   閲覧ユーザー数:1554

 

 

 

 

 

ピンポーンピンポーン

 

 

9月某日。今日の俺は朝からそわそわしていた。

なんたって、やっとあの子と遊べるんだからな!

 

インターホンが鳴り、俺は扉を開ける。そこには金髪の女性と赤毛の少年がいた

 

士希「いらっしゃい、エリオ君」

 

エリオ「こんにちは、士希さん!」

 

そう、今日はそんな、エリオ君との一日がメインのお話です

 

 

 

 

 

フェイト「それじゃあ士希、エリオをお願いね」

 

士希「おう。そっちも仕事頑張れよ」

 

フェイトは手を振り、そして帰って行った。残されたのは…

 

エリオ「うわぁ、とても広い部屋ですね」

 

エリオ君はうちの中を見て回っている。レーゲンもそれに付き添う形で一緒に動いていた

 

レーゲン「(しきさん、クローゼットの中の武器は片付けましたっけ?)」

 

突然レーゲンから念話が飛んでくる。ふふ、俺がそんなミスするわけないだろ?

 

士希「(抜かりはない。ちゃんと鍵かけてあるぜ)」

 

流石にあれは子どもには見せられないよな

 

エリオ「へー!士希さんって凄い人なんですね!」

 

士希「ん?そうか?」

 

エリオ「だって、こんなに凄い部屋に住んでて、難しい本とかもいっぱいあって、

それにフェイトさんも士希さんは凄く強いんだよって言ってました」

 

おーおー、評価が高ぇなぁ

 

士希「まぁ、こんなものは俺にとっては些細なものなんだ。本命はこっち」

 

俺は事前に用意しておいたケーキを披露する。オーソドックスなショートケーキだが、

なかなかの自信作だ

 

エリオ「わぁ、ケーキだ!」

 

お、反応は上々。ケーキが嫌いな子どもはいないってね

 

レーゲン「しきさん、これ作るのに超早起きしてましたよね」

 

士希「てか、今日が楽しみ過ぎてあまり眠れなかった」

 

12時に寝て、2時に起きて、4時からケーキ作って、現在は9時過ぎだ

 

エリオ「え?これ手作りなんですか?」

 

士希「おう!エリオ君の為に作った士希さん特製ショートケーキだ」

 

普段は素材に拘らない俺が、高級な物を中心に作り上げた至高の一品です

 

エリオ「士希さんのスペックって高いんですね!」

 

士希「はっはっは!そんなに褒められても、今日の夕食がどんどん豪華になるだけだぞ!」

 

ヤベェ、寝不足もあって今最高にハイな気分だ

 

士希「さぁ、エリオ君もレーゲンも食べてくれ!」

 

レーゲン「今日のしきさん機嫌いいなー」

 

二人はケーキを食べ始め、俺はジュースを用意してあげた。

エリオ君もレーゲンも目を輝かせて食べている

 

エリオ「おいしい!凄くおいしいです!」

 

レーゲン「そろそろ僕、舌が肥えてきそうな気がします」

 

二人の食べる勢いは止まらない。

こうやって美味しそうに食ってくれると、料理人やってきてよかったって思うな

 

 

 

 

 

エリオ「へー、士希さんって料理人なんですね」

 

俺たちはお茶を楽しみながらトークに花を咲かせていた

 

士希「あぁ。実家が定食屋やってて、その影響で俺も料理人の道を歩いてるよ」

 

レーゲン「将来はお店を立ち上げる予定です!」

 

エリオ「凄いなぁ。お店ができたら、僕絶対行きます!」

 

士希「なら絶対立ち上げないとな!」

 

俺の将来のお客様確保だな

 

士希「エリオ君は将来の目標や夢はあるのかな?」

 

エリオ「士希さんのような男になることです!」

 

俺な飲みかけたお茶をこぼしそうになる。ちょっと予想外の答えが返ってきた

 

士希「えーっと、なんで俺なのかな?

俺なんかより、フェイトとかの方が尊敬できるんじゃないか?」

 

エリオ「確かにフェイトさんも尊敬していますが、理想の男となると断然士希さんです!

カッコイイし、優しいし、それに強いと聞きました!僕の目標です!」

 

うわぁ、顔がニヤけてしまう…

 

レーゲン「しきさん、既にニヤけてます」

 

レーゲンの注意にハッとなる。この子は天然のタラシになりそうな気がする

 

士希「あー、はは、ありがとうね。なら俺も、もっとしっかりしないとな」

 

エリオ「あはは!僕も士希さんみたいに強くなって、フェイトさんみたいに管理局で活躍したいです!」

 

管理局か。確か今、咲希が世話しているティアナちゃんも管理局入りの為に訓練校に行ったんだったな

 

士希「エリオ君は将来管理局に?」

 

エリオ「はい!この前も訓練校を見学に行きました!」

 

こんな小さい子が?そういえば、はやて達も9歳頃に魔導師として活躍していたと言っていたが

 

士希「えっと、エリオ君は何歳だっけ?」

 

エリオ「今年で7歳です!」

 

若い、若過ぎる

 

士希「管理局というのは、そんな若い子達がいる組織なのか?」

 

少し不安になってきた

 

エリオ「そうですね、能力があれば割と若いうちから働いていると聞きます」

 

その考え方自体は、俺も賛同したいところだが、流石に若過ぎないか?

 

士希「それ、フェイトはなんて言ってた?」

 

エリオ「あまりいい顔はされませんでしたね。危ないからって」

 

だろうな。俺もフェイトの立場なら、反対していたかもしれない。

だが、エリオ君の瞳には覚悟がある。何かを成し遂げたいと、護りたいという目だ

 

エリオ「やっぱり、士希さんも反対しますか?」

 

エリオ君は不安な顔で尋ねて来た

 

士希「もし、俺がここで反対したら、エリオ君はどうする?」

 

エリオ「え?えっと、それでも押し切ります!

僕は僕を拾ってくれたフェイトさんを護りたいし、

僕のような子が増えないように努力したい!

いくら士希さんでも、これだけは譲れません!」

 

あぁ、知ってるぜ。そういう目だったもんな。もしここで折れるようなら説教だったが…

 

士希「はは、いいんじゃないか?エリオ君の好きなようにするといい。

ただ、君は若いから、俺もフェイトも心配なんだよ。管理局は危ない仕事も多いからな」

 

エリオ「それも覚悟のうちです」

 

俺はエリオ君を見て思う。俺とエリオ君は似ている。

覚悟があって、護りたいものがあって。それ故に俺は…

 

士希「なら、エリオ君には俺が稽古をつけてあげよう。

魔法はからっきしだが、武術は得意だぞ」

 

エリオ「え!いいんですか!?」

 

すげぇ食いつかれた

 

士希「あぁ。君の信念を貫けるように」

 

そして君が生き残れるように

 

エリオ「ありがとうございます!

実は今日、士希さんに強くしてくれってお願いするつもりでいたんです!」

 

士希「はは、ならちょうどよかったな!」

 

これからする事が決まったな

 

 

 

 

俺とレーゲンとエリオ君は海鳴市内にある高丘にやってきた。

ここは見晴らしがいい割には人が少ない。訓練するにはうってつけの場所だ

 

士希「これから俺が教えるのは、体術を中心とした近接戦闘だ。

教える前に一つだけ約束して欲しい事がある」

 

エリオ・レーゲン「はい!」

 

レーゲンもエリオ君もいい返事だ。てか、なんでレーゲンも一緒に稽古を受けている

 

士希「東の技は超実戦的で、ものによっては素手で人を殺せるものまで存在する」

 

エリオ「人を…」

 

エリオ君は少し動揺し、不安になっている。当然だろう。7歳の子が殺人術を教わるのだから

 

士希「だが、東の技は人を護る力だ。殺す為じゃない。

だから、これから教える事を間違った道で使用する事はあってはならい。

私利私欲で行使する事は許されない。悪行に及んだものは俺が粛清する。

君達二人は、これらの事が守れるか?」

 

俺は多少脅しのような事も言ってみるが…

 

エリオ・レーゲン「はい!」

 

まぁ、この二人なら大丈夫だろう。彼らの信念はねじ曲がる事はないだろう

 

士希「さて、訓練の基本は基礎体力作りがほとんどになる。そしてこれだ」

 

そう言って俺は拳に氣を纏わせる

 

エリオ「魔法…とはまた違いますね」

 

レーゲン「あれは氣ですね。確か生命力の様なものって言ってましたが…」

 

士希「まぁ、細かく言えば少し足りないな。氣は己の生命力含め、樹木や大地、

大気にも溢れる様々なエネルギーを収束、視覚化したものと思えばいい」

 

エリオ「な、なんだか凄いですね」

 

エリオ君はよくわかっていない様な表情をしている。まぁ、氣の概念を理解するのは難しいわな

 

士希「まぁな。理解する必要はない。感じる事が大切だから。

そういう意味でも、こういう自然の多い場所でやる方が効率いいんだ」

 

エリオ「理解するのではなく、感じる…」

 

士希「あぁ。氣を扱うということは、自然を感じるということ。そして…」

 

俺は溜めた小さな氣の塊を、エリオ君とレーゲンに向けて構える

 

士希「実際に氣を受ける事だ。すこーし痛いが、受ける覚悟はあるか?」

 

エリオ君もレーゲンも少し戸惑うも、覚悟を決めた様で身構えている

 

士希「ふふ、愚問だったかな?じゃあ行くぜ!しっかり手ぇ抜いてやるよ!」

 

これが東流の氣の体得方法。超スパルタである

 

 

 

 

時刻はお昼前。エリオ君もレーゲンもボロボロだが…

 

エリオ「んー!あ!できました!」

 

レーゲン「ぼ、僕もー!」

 

一応このスパルタ方、素質があれば数時間で氣に触れることができる。

もちろん、今までの氣弾を耐えることが条件になるが。

だが、あくまで触れるだけだ。使用できるようになるには、まだまだ訓練が必要になる

 

士希「二人とも凄いぞ!だが、これでスタートラインに立っただけだ。満足しちゃいけない」

 

エリオ・レーゲン「はい!」

 

士希「氣を扱う上で重要なのは体力と集中力。

それらの向上の為のトレーニング方を後日作成して渡すよ」

 

エリオ・レーゲン「はい!」

 

二人とも根性あるな。若いからかな?

 

士希「さて、二人ともお腹すいただろ。お昼にしようか」

 

エリオ「はい!もうペコペコです!」

 

レーゲン「同じく!なんだかがっつり行きたいところです」

 

ふむ、がっつりか。ならどこかに食べに行くか

 

士希「なにかリクエストはあるか?」

 

エリオ「あ!なら僕、ラーメンというものを食べてみたいです!」

 

士希「ラーメン?」

 

エリオ「はい!なんでも、地球ではメジャーな食べ物と聞いたので」

 

あー、そういえば、ミッドチルダでは地球の食べ物がブームになりつつあるとか言っていたな

 

レーゲン「ラーメンなら、あそこに行きませんか?この前行った大盛りが売りの…」

 

士希「あそこか。しかしエリオ君が食べきれるかどうか…」

 

エリオ「大丈夫です!出されたものは全て食べます!」

 

ほー、ならちょっと行ってみるか

 

 

 

 

士希「いや、これは予想外だ。まさかエリオ君がここまでとは…」

 

レーゲン「うっぷ…もうむり…」

 

エリオ「ラーメン美味しいですね!!」

 

目の前には、麺やら野菜やら肉やらが山盛りに積まれた丼ぶり。

レーゲンの丼ぶりが全然減ってなくて、俺の丼ぶりがやっと半分なくなったところ、

そしてエリオ君が…

 

エリオ「あの、おかわりしても…」

 

まだ食べるの!?

 

士希「あ、あぁ。気にしなくていいから、どんどん頼んで構わないからね。

強くなるには、いっぱい食べて、いっぱい動くことだからね」

 

エリオ「はい!ありがとうございます!

では、この『デカ盛りスタミナ神殺しラーメン』をもう一杯お願いします!」

 

ラーメン屋の大将もかなりびっくりしていた。いったいこの小さい体のどこに入るんだろう

 

士希「うん、確信した。エリオ君は強くなるよ」

 

エリオ「え?なんですか士希さん?」

 

士希「いや、なんでもないよ」

 

俺はエリオ君の健啖振りを見て、俺の世界にいた健啖家を思い出していた。

恋姉さんも鈴々さんも季衣さんもめちゃくちゃ食べてたからなぁ

 

レーゲン「あの、しきさん、これ残しちゃ…」

 

士希「東家家訓第4条、出されたご飯は残してはならない」

 

お食事処としては当然の心がけだ

 

 

 

 

エリオ「あの、レーゲンさん大丈夫なんですか?」

 

レーゲン「や、やばい…横に、横にさしてください…」

 

家についた途端、レーゲンは満腹の腹を上にしてソファに寝ころんだ。

いや、あれだけの量、よく頑張ったよな

 

士希「さて、レーゲンがダウンしてる間、なにしようか」

 

エリオ「あ、ちょっと聞きたかったんですけど、士希さんってフェイトさんの事、

どう思っていますか?」

 

ん?なにやら面白い質問がきたな

 

士希「フェイトの事?女性陣の中ではかなり仲の良い方だな。

同じ子ども好きってこともあって、結構その方面で話す事が多いし。

まぁだからって、特別何かあったわけじゃないけどな」

 

まぁ、その話ってのも、主にエリオ君や、最近保護したっていうキャロちゃん関係の話ばかりだしな

 

エリオ「あ、いえ、フェイトさん、今まではずっと女の人の話、

それもなのはさん関係の話ばかりだったんですが、士希さんと友達になってからは、

士希さんのお話もするようになったので、もしかしたらと思って」

 

士希「あはは。もしかして、俺が君からフェイトの事を盗っちゃったみたいで、

寂しい思いをさせちゃったかな?」

 

それはないと思うんだけどなぁ

 

エリオ「いえいえ!まさかとんでもない!むしろ逆ですよ!

士希さんには感謝していて、あのフェイトさんが、男性に興味を持ってくれたのかなって」

 

あー…もしかして…

 

士希「やっぱり、保護者がレズってのは、微妙な気分なのかい?」

 

俺がそう聞くと、エリオ君は小さく頷いた。

フェイトさーん、見てますかー?エリオ君に心配されてますよー

 

エリオ「あの、人の恋愛に口を出すのは、間違ってるとは思うんですが、それでも、

流石に同性愛はどうかなと思って…」

 

7歳の子が抱える悩みじゃないな

 

士希「まぁ確かに、普通じゃないよな。俺も初めて見たときは、微妙な気分だったし。

それでもさ、あいつらはあいつらなりに愛し合ってるし、通じ合ってると思うんだ。

エリオ君もわかってる通り、恋愛は当人の自由なんだから、放っておくしかないんだ」

 

エリオ「そう…ですか…」

 

士希「それに、俺も彼女持ちだから、エリオ君の期待には応えてあげられないんだ」

 

エリオ「え!?恋人がいたんですか!?」

 

士希「そんな驚くことなの?」

 

俺ってそんなに女っ気なさそうなのかな?

 

 

 

 

夕方ごろ。エリオ君とレーゲンがゲームに熱中している間、俺は夕食を作っていた。

今日の夕飯はステーキとオニオンスープ、サラダに特製バターパン。洋風にしてみました

 

 

ピンポーンピンポーン

 

 

ある程度の仕込みが済むころ、家のインターホンが鳴った。

レーゲンはエリオ君とゲームに集中しているし、俺が出るか

 

玄関に向かい、扉を開ける。

そこには長身のすらっとした、それでいて出るとこは出てる金髪美少女がいた

 

フェイト「こんにちは、士希。今日は一日ありがとうね」

 

士希「おう。お前もお疲れさん。もうすぐ夕飯できるんだが、お前も食ってくか?」

 

フェイト「え?いいの?」

 

士希「あぁ、そのほうが、エリオ君も喜ぶだろ?」

 

フェイト「わかった。じゃあ、お願いしてもいいかな?」

 

俺は頷き、フェイトを家に入れた。フェイトが家に来たのは、あの幽霊騒動以来だな

 

エリオ「あ!フェイトさん!お仕事お疲れ様です!」

 

フェイト「ありがとう、エリオ。今日は楽しかったかな?」

 

エリオ「はい!士希さん、すっごく優しくしてくれて、とても楽しかったです!」

 

フェイト「そっか。士希、本当にありがとうね」

 

士希「気にすんな。俺も楽しかったからさ。ほら、ちょうどいいし、飯にしようぜ。

レーゲン、手伝ってくれ」

 

レーゲン「了解です!あ、お二人は座って待っててください!」

 

フェイト「え?それは流石に…」

 

士希「今日はゲストなんだから、大人しくしてな」

 

俺とレーゲンは食事の用意を進め、エリオ君とフェイトはその間楽しそうに話していた

 

エリオ「うわぁ、いい匂い!」

 

フェイト「ほんとだ。今度士希に料理教えてほしいなぁ」

 

士希「はは、機会があればな。よし、なら食べようか」

 

俺はエリオ君の隣に座り、レーゲンが俺の対面、エリオ君の対面にフェイトが座った

 

レーゲン「では、いただきます!」

 

『いただきます!』

 

みんなが手を合わせ、食べ始めた。てか、エリオ君すげーな。

昼あんだけ食ってたのに、まだ食べれるんだ

 

エリオ「美味しい!とっても柔らかいです!」

 

フェイト「このオニオンスープも美味しい。なんだかホットするなぁ」

 

士希「気に入ってもらえたようで何よりだ」

 

時折会話をしつつ、俺たちは夕食をしていった。

二人が満足そうに食べている姿に、俺も充足感を感じていた

 

エリオ「んー…やっぱり僕、フェイトさんと士希さんはお似合いだと思うんです!」

 

士希・フェイト「え!?」

 

エリオ君の発言に、俺もフェイトも動揺してしまう。エリオ君は一体何を…

 

フェイト「いや、あの、士希は良い人だと思うけど、私も士希も、お互い恋人いるし…」

 

士希「そ、そうだぞエリオ君。フェイトは良い人だけど、俺が好きなのは…」

 

はやてだけだ

 

レーゲン・フェイト「ッ!?」

 

エリオ「二人は凄く仲良しですし、僕も保護者の一人が士希さんなら嬉しいです!

二人が恋人になってくれたら、なによりとっても健全です!」

 

俺とフェイトが?ちょっと想像できないなぁ。

って、あれ?俺の対面に居たレーゲンはどこへ?

フェイトもどうしてそんなに汗をかいて…

 

とんとん

 

ふと、誰かに肩をたたかれる。俺は気になり振り向くと、そこには…

 

士希「………」

 

はやて「やぁ士希。えらい楽しそうやなぁ」

 

なのは「はぁい、士希君。ずいぶん楽しそうに、私のフェイトちゃんと話してるね」

 

二人の魔道士が、すっごい怖い笑顔で俺の背後に立っていた。

その笑顔に、俺は何とも言えない恐怖を感じた

 

士希「よ、よぉ二人とも。どうしたどうした、そんな物騒な杖構えちゃって」

 

とりあえずそのシュベルトクロイツとレイジングハートさんを下げてほしいなぁ

 

はやて「士希、私なぁ、案外独占欲強いみたいなんさ。

たとえそれがフェイトちゃんでも、ちょっと許せへんなぁ」

 

士希「いや待てはやて!俺は別に浮気してたわけじゃ!」

 

なのは「なんだか、いい雰囲気だったみたいに見えたけど?

エリオにもお似合いだなんて言われてさ」

 

フェイト「ちょ、ちょっと待ってなのは!私はなのは一筋だよ?」

 

士希「俺もだ!俺は一人しか愛せない!はやて一筋だから!」

 

頼む!信じてくれ!

 

はやて「うん。わかっとるよ士希。せやけどな、お仕置きは必要やと思うんさ」

 

なのは「うん。ちょっと、痛い目見ようか」

 

あ、この展開俺知ってる!確かあの夏の時と同じ展開だ!

あの時もフェイト関連で俺は…

 

士希「いいかいエリオ君!俺はそこにいる八神はやて一筋で、フェイトはなのは一筋だ!

だからエリオ君の期待には答えてあげることができない。そしてエリオ君!

もし君の要求をのんだとしたら、これから起こる悲惨な現実が待ってると思え!

よく見ておくんだ!」

 

俺は二人を振り切り、外に飛び出した。そして飛び出した瞬間、白と桜色の光が俺を包んだ

 

フェイト「……ごめんね、エリオ。私、ああはなりたくないんだ」

 

エリオ「……あの、もういいません」

 

 

 

 

フェイト「それじゃあ士希、今日はありがとうね」

 

エリオ「士希さん!今日はありがとうございました!それと、ごめんなさい…」

 

士希「いや、いいさ。また何かあったら家においで。歓迎するよ」

 

はやてさんとなのはさんの魔砲を受け、回復する頃、エリオ君が帰る時間がやって来た。

最後らへん、はやてやなのはもエリオ君と一緒に遊んでいたらしい。

エリオ君、怖かっただろうなぁ

 

なのは「今度は私も遊びに行くよ!」

 

はやて「あ、そん時は私も呼んでな!」

 

エリオ「は、はい!もちろんです!」

 

いったい、エリオ君はどんな目にあったのかな。若干うつろな目をしている

 

フェイト「それじゃ、行こうかなのは、エリオ」

 

なのは「うん!じゃあまたね、はやてちゃん、士希君!」

 

エリオ「お邪魔しました!」

 

三人は何事もなかったかのように帰っていった。残されたのは、俺とはやてだけ

 

士希「え、えっと、れ、レーゲンどこ行ったのかなぁ」

 

はやて「あぁ、レーゲンなら今私の家におるらしいで」

 

あいつ…やっぱり逃げてやがったか

 

士希「その、まだ怒ってる?」

 

俺は恐る恐る聞いてみた。はやてはジト目で俺を見て、やがてため息をつき、微笑んだ

 

はやて「怒ってへんよ。てか、あれエリオが勝手に言ってたことやろ?

やから、そんなに気にしてへんで」

 

士希「じゃあなんで俺撃たれたの!?」

 

はやて「いやほら、今後浮気したらこうなるでなっていう警告射撃的な?」

 

士希「絶対しねぇ…絶対できねぇ…」

 

はやての魔力光がトラウマになりかけたからな…

 

はやて「あは!まぁでも、ごめんな士希。私もいきなり撃ってしまって」

 

はやては少しションボリしてた。罪悪感はあるらしい

 

士希「いや、俺のせいだからさ。逆の立場なら俺も怒ってたさ。だから気にすんな」

 

はやて「うん。ありがと士希………なぁ士希、今日このまま泊まってっても…」

 

俺は心臓が高鳴るのを感じる。はやてが、泊まっていく!?

 

士希「い、いいのか?」

 

俺は若干食い気味で言ってしまった。はやては顔を真っ赤にして、小さく頷い…

 

シグナム「いいわけあるか!?」

 

シグナムが家の玄関をぶっ飛ばしてやって来た。手にはレヴァンティンを持っている

 

なに?俺って簡単には幸せになれない呪いでもかけられてんの?

 

俺はレヴァンティンの一撃をもろに受け、薄れゆく意識の中、そんな事を思ってしまった

 

 

 


 
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