No.690693

九番目の熾天使・外伝 運命の獅子

第十四話 まほら武道会―本選直前

2014-05-31 22:38:22 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2233   閲覧ユーザー数:2105

獅子と麻帆良武道会―本選直前

 

「ウル君、もう行くよー?」

「あ、ちょ、ちょっと待ってください!」

 

麻帆良武道会本選当日の早朝、オカルト研究部メンバーと麻帆良高校1-Aのメンバーはエヴァンジェリンのログハウスから出発していた

目指す場所は本選会場の龍宮神社である

ウルは本選に出場するために装備を整え、服を着替えていた

 

「それにしても、和美さんから渡されたこの服。…どう見ても…」

 

ウルは和美から『ウル君は武道会でこれ着て出場してね~』と渡された衣装を見やる

渡されたときは紙袋に入っていたため普通に受け取ってしまったが、別荘の中の私室で中身を見たときに唖然とした

なぜなら、内容物は猫耳に猫の尻尾のアクセサリーに、メイド服だったのだから

 

「…うん、普通に修行着で出場しよう」

 

と、朝倉からの好意(?)をスルーしてウルは藍色のチャイナ服に袖を通し、その上に黒いマントを羽織る

 

「…よし、大丈夫」

 

一通り鏡で身だしなみを確認し、おかしい所は無いと安堵する

 

「ほう、中々に様になってるじゃないか」

「…またですか、師匠(マスター)。勝手に入らないでくださいって言ってるじゃないですか」

「ここは私の家だ。家主がいつ、どこの部屋に入ろうと問題はあるまい」

 

いつの間にかウルの背後にあるベッドにはエヴァンジェリンが腰掛けていた

脚を組んで、その奥にある布が丸見えである。羞恥心は無いのだろうか?

 

「で、マスター。何か用ですか?用も無しに入ってきたりはしませんからね、貴方は」

「…全く、物分りの良すぎる弟子は扱いにくいな。受け取れ」

 

ぽい、と放られた何かをウルはパシッと受け取る

手を開いて見てみると、それは血のように赤い宝石がいくつも埋め込まれた銀の指輪だった

 

「魔法発動体があるのと無いのとでは魔法の強さが段違いになるからな。師匠からのプレゼントだ」

「ありがとうございます、マスター」

 

ウルは早速受け取った指輪を指に嵌める

…左手の薬指に

 

「…お前、わざとやってないか?」

「なんのことですか?」

「いや、良い。ただ指輪は右手に付けろ、心臓に悪いわアホめ」

 

訝しげな目でエヴァンジェリンを見ながら、ウルは右手の人差し指に指輪を嵌める

 

「じゃ、行きましょうマスター」

「そうだな、わが弟子達の晴れ舞台だ。見てやらねばな」

 

二人は揃って、ログハウスを出て行った

 

 

 

 

 

オカ研+1-A一行が龍宮神社に到着すると、その入り口にはでかでかとトーナメント表が張り出されていた

 

一回戦

 

第一試合―村上小太郎VS中村達也

 

第二試合―神楽坂アスナVSネギ・スプリングフィールド

 

第三試合―佐倉愛衣VS山下慶一

 

第四試合―桜咲刹那VS豪徳寺薫

 

第五試合―ウルティムス・F・L・マクダウェルVSイシュト・カリン・オーテ

 

第六試合―高音・D・グッドマンVS青山月詠

 

第七試合―龍宮真名VS高畑・T・タカミチ

 

第八試合―古菲VS長瀬楓

 

トーナメント表では上から順に第四試合までが表の左側、第五試合から第八試合までが表の右側だ

つまりネギとウルが戦うためには、それぞれが決勝戦まで勝ち抜かなければならない、ということになる

 

「決勝まで行かなければ、ネギさんと戦えない…面白いじゃないですか」

 

ウルはトーナメント表に目を通した直後、犬歯を剥き出しに獰猛な笑みを浮かべる

 

「必ず決勝戦まで行って、ネギさんに勝ってやりますよ」

「お、良い気迫アルネウル!でも私達も負けるつもりは毛頭無いアルよ!」

「くーちゃんの言うとおりよ!ネギ!あたしもあんたに負けるつもりはまったく、これっぽっちも!無いからね!」

 

古菲とアスナのバカレンジャー二人組みがやる気を燃やす

アスナなど、ネギを指差して名指しで宣戦布告をするくらいだ

 

「ええ、勿論僕も手加減するつもりは無いですよ。魔法の秘匿に抵触しない範囲で、ですけどね」

「ふっふっふ、去年はクウネルのおっちゃんに負けてもうたがなぁ、今回は違うで!ネギ、首洗って待っとけや!」

 

ネギと小太郎も闘志を燃やす

特に小太郎は、昨年のまほら武道会でアルビレオにこっぴどくやられてしまった所為かやる気が有り余っているようだ

 

「ハイハーイ皆サーン。ヤル気があるのは良い事デスが、サッサと控え室に行かないと失格になってしまいマースよー」

 

パンパン、と手を叩きながらアンジェが先生らしく選手組を煽る

煽られた選手組は、慌てて選手控え室へと駆け込んでいく

ウルも続こうとしたが、誰かが腕を掴んでそれを妨げる

慌てて後ろを振り向いて、誰が自分の腕を掴んだのかを確認するウル

可能性は低いが、去年の体育祭のときのように刺客という可能性も有ったのだ

だが、ウルの危惧に反して腕を掴んだのは―

 

「―アンジェ先生?」

「нет、今はプライベートですので、先生はつけなくても良いデース」

 

そう、刺客という予想から反してウルの腕を掴んだのはアンジェだった

 

「…アンジェさん、僕ももう行かなくては失格になってしまいかねないんですが」

「それでも、これだけは言っておかナイト、危ないと思いマシタ」

 

いっつも惚けた顔をして何を考えているのか分からないアンジェが珍しく険しい、真面目な顔をウルに近づける

お互いの息遣いが聞こえてきそうな距離で、彼女は言葉を発した

 

 

 

 

 

 

「―青山月詠、彼女は狂気に魅入られてしまっていマース。彼女には充分注意してくだサーイ」

 

 

 

 

 

 

 

「っ、アンジェさん貴女は…何者ですか?」

 

一般人だと思っていたアンジェからの言葉、それにウルは警戒心を強める

 

「ただの先生デスよー?…駒王学園の、ネ。さ、そろそろホントニ行かないと危ないデスヨー?」

「っ、後で話を聞かせてもらいますからね!」

 

ウルはマントを翻しながら選手控え室に駆け込んでいく

 

「行ったネ…。じゃ、私も行かないとネー♪」

 

アンジェはそれを確認した後、鼻歌を歌いながらその場から姿を消すのだった

 

さぁて、アンジェは何者なんでしょうね?あと短くてすいませんorz(←土下座のつもり)


 
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