No.680570

がちゆり-船見結衣誕生日SS-2014

初音軍さん

誕生日用SSです。京子とイチャイチャするような、
直球で普通な感じですが
少しでも楽しんでもらえたらいいかな。結衣誕生日おめでとう。

2014-04-22 00:16:46 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:822   閲覧ユーザー数:820

がちゆりー結衣誕生日SS 2014ー

 

「じゃあね、結衣ちゃ~ん」

「先輩~。名残惜しいです・・・」

 

 私の誕生日パーティーに参加していた二人はパーティーが終わると

時計を見るとじきに暗くなっていく時間帯だったから二人を帰すことに。

言葉通り本当に名残惜しそうに出ていくちなつちゃんにはちょっと可哀想に

思えたけど、連絡と準備をしっかりしてないと。そこはきっちりしたかった。

 

 今度またお泊りに誘おうかなと思った背後から京子が飛びついてくる。

二人と比べて私の知らないところできっちり準備をしていた京子は

きぐるみパジャマまで持参しているのだから。なんというか・・・。

 

「ひっつくな」

「なんだよ、いいじゃないか~。私と結衣の仲だろ~」

 

「どんなだよ…」

「恋人」

 

「う、うん…まぁ…」

 

 否定できない。ここ最近の私たちの付き合い方は親友のそれを超えてしまったから。

 

「重いからどけよ」

「えー」

 

 重みで膝をつくが背中から伝わる温もりや匂い。安心感が勝るが気持ちとは別の

言葉がつい出てしまう。でもまぁ、実際重いから。

 

「ちぇっ」

 

 京子は拗ねるような態度で離れた後、既にパジャマを装着したままリビングへと

向かっていく。あくまで拗ねる素振りをしているだけなのは見ていてわかる。

 

 本当に怒ってる時はまた違う雰囲気が出てくるから。そんな姿に私は京子には見えない

位置から微笑んでいた。胸の内がくすぐられるような、そんな気持ち。

 

 

 あかり達が帰ってからしばらく二人でごろごろしているとかなり時間が経過している

ことに気づいて、京子の好きなウインナー入りカレーやサラダなどを用意して食べ始めた。

 美味しそうに食べる京子を見ていると作りがいがあって嬉しくなる。

 

「ほら京子口元」

「ん?」

 

 ?マークを浮かべるような表情できょとんと私を見る京子の口元についているカレーを

指で拭って自分の口へ運んだ。

 

「あはは、ごめんごめん」

「そんなに慌てないでゆっくり食べなよ。いっぱいあるんだから」

 

「はいはーい」

「返事は一回」

 

 そんなくだらないやりとりが特別な何かに感じられるから不思議だ。

やってること自体は変わらないのに気持ち一つで見える風景がガラリと変わる。

実体験するとこれほど愛おしい時間は他にはない。

 

 好きな人と楽しく過ごすという時間…か。

 

「どうした、結衣?」

「いや。なんでも」

 

 食事を済ませてテレビを二人で見ている。笑いながら視線をテレビに向けている

京子はやや不意打ちのように私に聞こえるか聞こえないか微妙な声で呟いた。

 

「結衣、誕生日おめでとう」

「え?」

 

「なんでもない~」

 

 私に後頭部を見せながら頭の位置がテーブルに近づけて両腕の中に入るように

姿勢を変えた。それが照れ隠しだと思えてたまらなかった。

 

 不意打ちのその言葉は卑怯なほど愛おしい気持ちが大きくなっていく。

少し悶々としたままの気持ちで寝る時間を迎えた。

 

 最初は二つの布団を引いて別々に寝ていたが、京子の方から私の布団に

忍び寄ってきて耳元で囁いてくる。

 

「起きてる?」

「うん…」

 

 今日はやたらデレてくるな、と思っていた。

嬉しいけれど京子のことだから何かあるのかとも考えてしまう。

私のその考えはある程度的を射ていたようで、私の背中に張り付いて

抱きつく京子は嬉しそうな声で聞いてきた。

 

「今日はどうだった?」

「どう、とは?」

 

「結衣ってしたいことがあっても口に出さないじゃん。

だから私がずっと誘っていたんだけどね…二人になってから」

「知ってたよ」

 

「え?」

「だから…知ってたよ」

 

 京子の声に私は振り返って我慢していて辛かったのを表情に出して

京子に見せた。顔が火照って汗ばんで目が潤んで。

 多分お互いそんな感じだったに違いない。

 

 カーテンの間から漏れる月明かりが私達を照らす。

うるうるとした京子の瞳を見ていると胸が揺さぶられるようにドキドキする。

切なそうな顔を見ているとたまらなくなって私は求めているように見える

京子の唇に吸い込まれるようにキスをした。

 

 誰もいない夜中の部屋は音が響くようだ。

キスのする音や自分の心臓の音だけが聞こえてたまらない。

たまらず、この気持ちが収まるまで京子とキスを続けた。

京子は嫌がる様子はなく私に身を任せてくれる。

 

 チュッ…チュッ…。

 

 クチュッ…。

 

「ん…」

 

 合間合間に漏れる声がいやらしい。

いやらしいけれど、ドキドキする気持ちが収まらなくて苦しいくらいだけど。

その苦しささえも愛おしくて嬉しいのだ。

涙が出そうになるくらい…。

 

「結衣、涙でくしゃくしゃだよ」

「お前こそ」

 

 途中、満足して口を離してお互いの顔を確認すると切なそうに笑みを浮かべる

京子が私に言ってくるのを同じだと返した。自分じゃどういう顔をしているかわからない。

だけど互いの言葉でどういう風になってるか教えてくれている。

 

 一人でいるときとは違う甘い一時。

もう一人には戻れない。

京子を自分の傍に寄せてから、一線を越えてから。

私は彼女に依存していた。

 

 良い意味でも悪い意味でも、どちらでもいい。

この大好きでたまらない京子とずっと一緒にいたい。

愛しくて手放す気になどなれはしない。

 

 私達は手を握りながら目を瞑って存在を確認する。

相手の匂いにクラクラしながら未来を想像して楽しむことをしながら、

ずっと一緒にいよう、守っていこうって。

 

 多分京子も同じ気持ちを抱いたまま私達は眠りに就いた。

また次の日から学校でいつも通りの毎日だけど、こうやって恋人の時間もとって。

恋を…愛を…ゆっくり育んでいきたい。そう、強く想った。

 


 
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