No.680084

九番目の熾天使・外伝 運命の獅子

第十話 獅子と麻帆良祭・一日目-1

2014-04-19 23:53:19 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2638   閲覧ユーザー数:2357

第十話 獅子と麻帆良祭

 

「おー!これが麻帆良かー!はじめて来たけど賑やかなところだなー」

「いや響さん、今は学園祭だからです。普段はここまでじゃありません。騒がしいことに変わりないですけど」

「凄いわね…。仮装してる人たちがほとんどよ」

「私たちもしてみますか?」

「良いわね。郷に入っては郷に従えというし。ウルに響!貸衣装屋に行くわよ!」

「おー♪」

「はーい」

「私はここで待ってマース」

 

ウルたちオカルト研究同好会の五名(引率のアンジェ含む)は、ここ麻帆良学園都市で行われる学園祭『麻帆良祭』に来ていた

リアスと朱乃の二人が世界樹を見てみたいと言い出したため、ウルが麻帆良祭につれて来たのである

 

「じゃーん!ウル、どうだ?自分似合ってるか?」

「ええ、とっても可愛いと思いますよ。ゴシックを選ぶのは予想外でしたけど」

 

響が借りた衣装は吸血鬼やコウモリをモチーフとした衣装

赤と黒のゴシックワンピースに白いブラウスを合わせているためドレスにも見える

また蜘蛛の巣の柄のタイツと胸元にあるコウモリ風のブローチもアクセントになっている

 

「うーん、でも自分こういう女の子っぽい服苦手だぞー…。動きにくいし!」

「たまにはおしゃれするのも良いんじゃないですか?響さん可愛いんですし」

「なっはっは、お世辞は良いさー」

「いえいえ本当に可愛いですよ?身長が」

「喧嘩売ってるなら買うぞ?」

 

響の背後にゴールド・エクスペリエンスが姿を現す

すでに両拳を構え、ラッシュする気満々だ

 

「はいはい、二人とも喧嘩しないの。さてウル、私たちはどうかしら?」

「ちょっと恥ずかしいですけどね」

 

リアスは小悪魔風の衣装だ

ノースリーブの黒いセーラー服に赤いネクタイ、黒いミニスカートを履いている

頭には角のような黒い髪留め、背中には黒く小さい翼がついている

また黒いタイツにガーターベルトをしているようだ

 

朱乃は響と同じく吸血鬼をモチーフにした衣装

しかし響のものとは違い大人っぽいものだ

黒いドレスに白い毛皮がついた黒い長手袋

頭には翼を模した髪留めを付けている

 

「二人とも綺麗ですよ。とても大人っぽいです」

「ふふ、当然よ」

「ありがとうございます、ウル君」

「先生も衣装借りればよかったのにー」

「私は引率としてきてますカラー」

「じゃあ、挨拶に行きましょうか。えーっと…確か高等部の1-Aですね」

「ええ、じゃあ会いに行きましょうか。魔法世界の英雄さんたちに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元3-Aのメンバーがほぼそのまま進学したため、麻帆良高校1-Aのメンバーは全員元3-Aで固められている

これは魔法関係者を集めてしまえば護衛もやりやすくなるという学園長の考えによるものだ

当然1-Aの担任はフェイト・アーウェルンクス、副担任はネギ・スプリングフィールドとタカミチ・T・高畑である

 

「いらっしゃいませー!ようこそ!1-Aコスプレ喫茶『アルビオーニス』へ!…って、ウル君じゃん!」

「お久しぶりです。朝倉さん」

 

1-Aの出し物であるコスプレ喫茶でウルたち四人を出迎えたのは和美であった

スタンダードなメイド服を着用している

 

「いやーホントに久しぶり!つっても二ヶ月ぶりくらいかー。お?そちらの四人娘はどちらさん?」

「あ、そうですね。えっと、今僕の通ってる駒王学園のオカルト研究部(仮)のメンバーです」

「初めまして、オカルト研究部の部長のリアス・グレモリーと言います」

「私は副部長の姫島朱乃、と申します」

「自分は上原響!中学二年生さ!」

「私はオカルト研究部の顧問をしてマス、アンジェリーカ・イリィニチナ・スミルノワ、デス。アンジェでいいデスヨー」

「お、挨拶ありがとね。あたしは朝倉和美。ま、名前でも苗字でも好きなほうを呼んでよ。じゃあそろそろ席に案内しちゃうね」

 

和美に案内されて席に座る四人

女子三人はメニュー表を凝視している

アンジェは頼むものを決めているようで、眠たげな目をこすっている

ウルはすでにコーヒーを頼むようだ

 

「お水持ってきましたー!…あれウル君じゃーん!おっひさー!」

「裕奈さんお久しぶりです、その衣装似合ってますよ」

「あはは、千雨ちゃんプロデュースだからねー」

 

祐奈が着ているのも和美と同じメイド服

しかし和美とは違い、猫耳と猫の尻尾がついている

どうやら衣装を用意したのはネットアイドル『ちう』として活動している長谷川千雨のようだ

 

「それにしても大盛況ですね。コスプレ喫茶」

「そりゃーね。衣装は本物をいいんちょが持ってきたし、うちのクラス綺麗どころいっぱいいるから。でもさばき切れないんだよねー。五月ちゃんやくーふぇは超包子のほうに行っちゃってるし、部活の出し物があるのもいっぱいだからさ。…そうだ(キュピーン)」

 

突然裕奈の目が妖しげに光り、いまだメニュー表と睨めっこをしていたリアス、朱乃、響を品定めする

 

「よっし合格!そこの三人、ウル君の知り合いだよね。今ちょっと人手が足りないのよ。手伝ってくれないかな?」

「あら?私たち?」

「面白そうね、やりましょうよリアス」

「何か分かんないけど面白そうだぞ!」

 

どうやら三人は乗り気らしい

 

「フーム、三人がやるというのナラ、私もやってみたいデース。良いデスかユーナサン?」

「もちですよ!と・な・る・と~?」

 

裕奈の視線がウルを捕らえる

その目は怪しげな光を湛えている

 

「ウル君も手伝ってもらおうかー!」

「あ、やっぱりですか分かってましたよええ」

 

半ば諦めた表情をしながらウルは裕奈に引きずられて更衣室に入れられる

更衣室は個室になっていてさまざまなコスプレ衣装が並んでいる

 

「えーっと…え、何で翔太郎(仮面ライダーW)のハットとか映司(オーズ)のパンツとか弦太朗(フォーゼ)の制服とか…いや気になるけど。これ用意したの本当に千雨さん…?」

 

ちなみにここにある男性用の衣装を用意したのはライダーにはまったフェイトと小太郎である(余談)

フェイトの好きなライダーはライダーマンやG3だとか(超余談)

 

「えー…どうしよう…。あ、執事服がある。一番まともだしこれにしよう」

 

ウルは目に留まった、一番まともそうな執事服を選んだ

スタンダードな燕尾服だ

ご丁寧に白手袋に懐中時計まで用意されている

 

「さ、そろそろ手伝わないと」

 

ウルは執事服をきちんと着用し、フロアに出る

客は突然現れた小さい執事に目を奪われている

 

「お帰りなさいませ、お嬢様方。お席にご案内させていただきます」

「あ、はい…あれ、ウルさんじゃありませんか?」

「おや、これは高音お嬢様に愛衣お嬢様。お久しぶりです」

「お久しぶりですね。ではウルさん、ご案内していただけますか?」

「畏まりました。お嬢様」

 

ウルは高音と愛衣の二人を席に案内し、それぞれの椅子を引いて座らせる

 

「ではお嬢様方。ご注文はございますか?」

「その口調はもう良いですよ。充分楽しみました」

「いえいえ、僕はあくまで、執事ですから」

「役柄になりきってますね、ウルさん…」

「成りきっているのなら言い方を変えましょう。主として命じます、普通に話しなさい」

「畏まりました、お嬢様。…じゃ、何かご注文は?」

「あ、戻りました」

「ではケーキセットを二つ、お願いしますね」

「畏まりましたー」

 

で、ウルはケーキセット(ショートケーキとチョコレートケーキに紅茶)を二つ持って席に戻ってくる

 

「はい、あーん、です」

「あの…これは何なんですかウルさん?」

 

ウルは一口大にきったショートケーキを高音の口に運ぶ

高音は困惑しているようだ

 

「え?嫌でしたか?」

「いえ、嫌というわけではありませんが、その…」

 

高音は顔を赤くしてしどろもどろだ

 

「じゃあ良いですよね。はい、あーん♪」

「…」

「あーん♪」

「あ、あーん…」

 

笑顔でケーキを差し出してくるウルに高音も折れたのか、顔を真っ赤にしながら口をあける

そしてパクッとケーキを頬張った

 

「どうです?おいしいですか?」

「え、ええとってもおいしいですよ(あ、味なんて分かりませんよ…)」

「よかった!じゃあ、次行きますね!」

「え、あ、いやもう」

「はい、あーん♪」

 

高音が拒否しようとしたときには、すでにウルは眩しい笑顔で次のケーキを差し出していた

 

 

 

 

それがケーキを二つ食べきるまで続けられた

 

「えーっと…愛衣さんもやりますか?」

「い、いえ!わ、私は大丈夫です!自分で食べますから!」

「そうですか?」

 

愛衣は自分のケーキをぱくぱくと食べ進める

 

「はあ、はあ…」

「…大丈夫ですか?」

「だ、誰のせいだと…ふう、落ち着きました」

 

顔を真っ赤にしていた高音が息を整える

 

「そういえばウルさん、貴方は格闘大会に出るんですか?」

「え、今年もあるんですか?まほら武道会」

「ええ、どうやらまた何者かが複数の大会を統合したようです」

「そうですか…うん、僕も出場しますよ。ウルティマホラでは古さんに負けちゃいましたし、リベンジマッチです」

「そういうと思いました。私もエントリーしているので、当たったら負けませんよ?」

「ウルティマホラで負けた事を忘れてるんですか?」

「「ふふふふふふふ…!」」

 

二人が目から火花を散らして睨み合う

 

「お、ウル殿、まほら武道会にえんとりいするでござるか?」

「あ、楓さん。そのつもりですけど…楓さんは?」

「うむ。出るつもりでござる。ウル殿には負け越してるでござるからなぁ~」

「あはは、何言ってるんですか。楓さんいっつも手加減してくれてるじゃないですか」

「(それでも九割五分は出してるんでござるがなぁ…)何にせよ、そろそろ武道会の予選が始まる時刻でござる。開始直前まで参加者受付はしてるはず、早く行くでござるよ」

「もうそんな時間ですか?じゃあ行きましょう。リアスさーん!朱乃さーん!響さーん!アンジェ先生(せんせーい)!」

 

ウルは部活のメンバーを大声で呼ぶ

集まったメンバーに格闘大会に出場したい旨を伝えると快い返事が返された

 

「良いんじゃないかしら?ウルの実力を見れるかもしれないし、ね」

「折角出るんでしたら、優勝してもらいたいですわね」

「男なら優勝だぞ!ウル!」

「格闘大会デスカー。面白そうデスし、私たちも見に行きまショウ」

 

そうしてオカ研五人組と楓、高音と愛衣の八人は一路龍宮神社へと向かうのであった

 

さて、次回はまほら武道会の予選ですかねー


 
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