No.663143

がちゆりバレンタイン2014

初音軍さん

さくひまです。付き合ってる前提なのでツン度が異様に低いです。キスもあるのでそれら含めてOKな方はどうぞなのですヾ(๑╹◡╹)ノ 向日葵の話しかた難しい

2014-02-14 13:45:08 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:749   閲覧ユーザー数:747

がちゆり-バレンタイン2014-ひまさく-

 

 

 女の子同士だろうと、この時期のイベントの話題は事欠かない。

バレンタインデー。好きな人に告白したり、付き合ってる人は愛を確かめたり。

それは私たちの方も当てはまるわけで。

 

「何を作ろうかしら…」

 

 チョコチップ入りのクッキーなんてよく作ってるし、ケーキとかだと色々な意味で

重い気がする。やはり無難にチョコシフォンやムースかしら。

 

 そんな風に考えていると玄関先からインターホンの音が鳴り響く。

その後、遠慮なく開かれる音がして、どたばたと台所の方に顔を出しに来た。

こんな訪ね方するのは一人しかいないから振り返らずとも誰だか容易に想像できる。

 

「私が行くまで待つこともできないのかしら?」

「うるさいなー。私と向日葵の仲だから別にいいじゃん!」

 

「親しき仲にも礼儀ありっていいましてね…」

「甘い匂いしてる!何か作ってるの?」

 

 櫻子がきょろきょろ辺りを見回すが、あるのは溶かしてる途中のチョコと

お徳用の袋に入ったチョコの塊があるだけだった。

 

 その袋から一欠けら取って口に頬張ると、再び私の顔を見ながら同じことを聞く。

 

「そのつもりですけど、何を作ろうか模索しているところでしたの」

「ふーん」

 

 興味なさそうに頬張っていたものが無くなると、もう一つ口にしてから私に

近づいてくる。

 

「あまり食べ過ぎないようにね」

「向日葵」

 

「何よ…」

 

 ちゅっ…

 

「ん…!?」

「ほら、あんま動くな」

 

「だって、いきなりすぎて…んっ…」

「んぁっ…」

 

 ちゅっ…くちゅ…。

 

 櫻子の舌が私の口の中に入ってくる。硬いものも入り混じっているのはチョコだろうか。

徐々に溶けて甘さとチョコの香りが鼻でも感じられる。

 

 お互いの頬に両手を当てながら必死に相手を求めるようにキスを続けると

私の頭がぽ~っとしてくる。

 

 櫻子の絶妙な舌使いにチョコと同じようにとろけてしまいそうだわ…。

最初は櫻子の方がすぐに力入りすぎてぎこちなくなったり、腰が抜けたりと

頼りげなかったのに最近は私が受け側なっている気がして少し悔しい。

 

 負けずに櫻子の感じやすい部分を攻めて気持ちよくすることにボーっとしながら

考えていた。他にも言うべきことがあるだろうに、この時の私はそのことで頭が

いっぱいだったから。

 

 少しの間そうしていると、チョコもすっかり溶けてしまい二人の唾液とやらしい音

だけが私たちを包み込んでいた。すっかり頭の中は考えられない状態になって

まるで痺れてるような感覚に襲われていた。

 

 櫻子の方も最初は余裕ぶっていた表情から、とろけたような表情で赤く染まっている

のが可愛くてたまらなかった。

 

 ちゅ…くちゅ…。ん…はぁっ…。う…ふぅ…。

 

 

 どれくらい経ったかわからなく、私と櫻子はどちらともなく言うわけではなく

ほぼ同時にそっと口を離すと、分泌された唾液がツゥッと糸状になって私と櫻子の

唇から伝い、橋のように繋がった。

 

 

「まったく、櫻子ったらいきなり何をするんですの」

「向日葵だってノリノリだったじゃんか」

 

「そ、そんなこと…」

「ということで、私からのチョコは今のでっていうことで」

 

「は?」

 

 私の空耳かと一瞬疑って櫻子に聞きなおしても同じ言葉が返ってきた。

 

「だって私も浮かばなかったんだもん、どうせ作っても失敗しちゃうし」

「だったら失敗しないもの作ればいいんじゃ…」

 

「無理!」

 

 憎たらしいくらい可愛らしい笑顔でそう返してくる櫻子。

それだったら私だって同じ条件なんだから同じことが言えると櫻子に訴える。

 

「だったら私も作らなくていいんですのね」

「それはダメ」

 

「どうしてよ…」

「だって向日葵のお菓子食べたいもん。どこのお菓子よりも美味しいし」

 

「うっ…」

 

 そんなこと言われると、作らないわけにはいかないじゃない。

なんか納得いかないままの気持ちでいると櫻子が笑いながらこんなことを言う。

 

「あはは、向日葵顔真っ赤になってんの」

「う、煩いですわね! もうこうなったら櫻子も私の手伝いをなさい」

 

「えぇぇ、めんどくさい~」

「ここに来たのが運の尽きですわ」

 

 くすぐるような仕草を手でしながら櫻子に迫っていく私に櫻子は音を上げた。

何ができるかわからないくらいまで手伝いをしてもらって、その後は私が一人で

作るという感じにしてみた。やっぱり私一人だけだと不公平だから。

 

 それに好きな人と作るお菓子は特別美味しく感じるものでしょう?

そんな風に自身に言いながら楽しい時間を過ごした。

 

 

「うん、美味しい!」

 

 櫻子は私の作ったものを頬張りながら幸せそうに言った。

結局私が作ったのはトリュフチョコで、普段作らないから失敗するかもしれないと

思ったけど、無事できてよかった。

 

 私も一つ頂くと、口の中でほろりと溶けてチョコの香りとほどよい甘さが

口の中で広がる。味は少し違うけど、何だかさっきしていたキスのことを頭の中で

過ぎり顔が熱くなってしまう。

 

「上出来ですわね」

「私が手伝ったんだから当然だな」

 

「あんまり役には立ってないけどね」

「んだと~!」

 

 櫻子の言葉を軽く受け流しながらキスのことを浮かばせながら幸せの時間を過ごす。

食べ終わって満足したのか櫻子が帰ると言い出して玄関まで送りにいくと

不意打ちにキスをされてしまった。

 

 それは軽くも濃厚に感じたけれど、チョコを食べた名残があるのかもしれない。

 

「じゃあ、またな」

 

 キスをし終わるとニカッと気持ちの良い笑顔を浮かべて櫻子は走って帰っていった。

本当にやりたいことを本能的にしたら満足するようなそんな子なんだから…。

 

 思えばこの場合はバレンタインの後は二人でまたホワイトデーをしなければ

ならないのかしら?そんな言葉を自身に問いかけると、当たり前のように

ふと頭の中に浮かんだ。

 

 その時はまた櫻子と一緒に作ればいいだけですわね。

 

 何か他とは違う光景だけれど、何も一緒であればいいという問題でもない。

お互いに愛を確認して幸せであればそれで良いと私は思っていた。

 

 ケンカをしてもキスをしていても、いつも貴女のことを想っているから。

完成したチョコを食べていた私の部屋に戻ると、最後の一個だけ残っていて

私はそれを摘み上げると櫻子のことを想いながらチョコにキスをして口の中に

放り入れた。

 

「美味しい」

 

 今日の恋は甘い甘い、チョコの味だった。

 

お終い


 
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