No.660049

つよきす 〜面倒くさがり屋のゴン〜

GO♪サマさん

つよきすのSSって少なくね?って事で書きました。

2014-02-02 23:27:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2376   閲覧ユーザー数:2296

 

結局風紀委員 鉄ちゃんに捕縛され、校門の前で説教を受ける4人。

ゴンは大人しく警告に従ったため遅刻届けを出すだけで済みそうだ。

カニっちも大人しくしているといいんだけど………

 

「…このボクにこんな事をして…

ボクの恐ろしさをじっくりと教えてやる!!」

 

…あっムリっぽい。

 

「おいおい…カニの奴

今やられたばっかりだってのに臨戦態勢に入ってるぜ?」

 

復活したスバルがレオを解放しつつ今の状況を見ていた

…フカヒレ? さぁ?

 

「やい!! そこの風紀委員!!

このボクにこんな事をしてタダで済むと思うなよ!!」

 

「…なにを言っているんだ?」

 

鉄ちゃんがため息をついた。

 

「どう考えてもお前らが悪い。

だいたい、こちらはちゃんと警告をしたぞ?

その証拠に1人はちゃんと警告に従って止まっているだろう?」

 

まさしく正論。

鉄ちゃんがこっちを見ながらカニに注意する。

…もう行っていいかな〜。 ちゃんと警告に従ったし〜。

遅刻届出すだけだし……

 

「おい!! カニやめとけって!!」

 

フカヒレがカニに制止を求める。

だがカニは鉄ちゃんの目を見ながら近づいて行く。

 

「だからって、これだけやられてて黙ってられないね。

このカリはキッチリ返させてもらかんねっ!!

…倍返しだかんねっ!!」

 

鉄ちゃんもカニの目を見る。

 

「その気骨だけは認めてやろう。

……だがお前にはもう一度体に分からせてやる必要がありそうだ。」

 

鉄ちゃんもカニに近づく。

 

「…こう見えて体育会系だからな。」

 

緊迫した空気の中……先に動いたのは……カニだ!!

 

「上等だああぁぁ!! こんダボがあぁぁぁあああっ!!

くらえ!! 今必殺のオオォォォ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャアアアァァァァァァアアアッ!!」

 

鉄ちゃん→カニに関節技を掛ける。

カニ→カケラレタ。

 

「あちゃー、一行もなくやられたか。」

 

「必殺技はどうした? 必殺技は?」

 

「うるせーーーーーーーーーーッ!!」

 

今の戦いを見守ったレオとスバル。

助ける気は無いらしい。

 

「……どうだ? 反省したか?」

 

「…バ、バーーカ…ダレが…」

 

メキメキメキメキ…

 

「!!」

 

さらに力を込める鉄ちゃん。

 

「そら、謝れば解放してやるぞ?」

 

ボロボロボロ………

 

カニの目から涙が零れる。

 

「おい、泣いているぞ。

ムリすんなよ。」

 

「な、泣いてない!! 泣いてないもんね!!」

 

「…困ったな。 流石にこれ以上は骨が折れる。」

 

鉄ちゃんがカニを解放した。

 

「…へ、へん…その程度かよ…大したこと…ないじゃん…」

 

「…いや、意地張りすぎだ。」

 

「あったり前だろっ!! ボクは意地だけは貫き通すんだっ!!」

 

泣きながら、なかなか男前な事を言うカニ

その言葉を聞いた鉄ちゃんの目が優しくなった。

 

「うん、ソレは立派だ。

本当に立派な事なんだぞ?

だからそれを間違った方向に使っているのが惜しい。」

 

カニはどこか居たたまれなくなったようだ。

 

「…うぅ〜

うっさい!! ボクに説教すんなよっ!!

ボクは説教されるのが大っキライなんだっ!!

なんだが負けた気がするからなっ!!」

 

「こいつ…まだやるか」

 

レオは頭を抱えた。

 

「…にしても本当にいい根性をしているな。 気に入った。」

 

涙目から回復したカニが速攻でケンカを売っていた。

 

「覚えてやがれ!人通りの少ない所で足音が一つ余計に聞こえたらそれがボクだからな!」

 

「それどんなオヤシロさま?」

 

フカヒレの突っ込みもむなしく全力で昇降口に走るカニの背中に弾けた。

どうやら説教も終わったようだ。

その後にこんなやり取りをしていた。

 

「姫、生徒会長がそれでは困る!」

 

「乙女先輩!?マズっ、こんなところで網張ってるなんて!」

 

「だからやめようって言ったのにぃ……」

 

「姫、話を聞いているか!?」

 

「ちょっとエリー」

 

「わかった今回は私の負け降参そこで遅刻届もらってくる」

 

「やけに早口なのが気になるが……それでいい。

佐藤も姫を教育してくれ。

…さて待たせて済まないな。 君は…」

 

鉄ちゃんはゴンが居たところを見るとそこには誰もいなかった。

 

「っ⁉︎どこに行ったんだ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、昼休み。

 

復讐心に燃えるカニがフカヒレを引き込んでお礼参りへ旅立とうとしていた。

口からは卑怯上等の悪役で何が悪いな台詞がひっきりなしに吐き出され、さりげなくカニによってトラウマをえぐられたフカヒレは女という存在自体への憎しみと募らせていた。

 

「女の子は男に尽くすべし!これは古来からの鉄則である!!」

 

「ま、相手は風紀委員長なんだ。妙なことにはならないと思うぜ?」

 

「でもスバルあの二人見ろよ……なんかこう、不安になってこないか?」

 

「…どうでもいい。」

 

どことなく楽観してるスバルに対して際限なく盛り上がる馬鹿どもを示してやる。

朝の迫力にはフカヒレが何人いても太刀打ちできないのはわかりきったことなのだが、それでもなお際限なく上がっていく二人のボルテージがどうしようもない結末を予感させる。

 

「勘違いしている女には教育してやる!」

 

「おー燃えてきた燃えてきた。流石女を憎んでることだけはあるね」

 

「……たぶん大丈夫だろ?」

 

おい、目をそらすなスバル。

 

「せめて?は外してくれ」

 

 

「や、やめときなよカニっち〜。」

 

よっぴーが現れた。

 

「おう、よっぴーじゃね〜か。」

 

「どういうことよっぴー?」

 

「よっぴー言わないでよう…」

 

スバルとカニによっぴー呼ばれるよっぴー。

 

「…あのねカニっち、鉄先輩ってすごく強いんだよ?

鉄先輩は拳法部の主将ですごく厳しくらしくて、全国大会でも優勝しているほどの腕前らしいって…」

 

それを聞いたレオとスバルはズーーーンと空気が重くなったのを感じた。

 

「おいおい、そりゃあシャレになんねぇぞ。」

 

「やめとけってカニ。

また返り討ちだぜ?」

 

だがカニはやる気満々だ。

 

「あははははは!!

そんなのボクの頭脳プレーでひとひねりだよ!!

よっしゃー行くぜ!! あの威張り散らした女がボクに泣いて許しを請うところを想像するだけでテンションあがってくるね!!

じゃ グットルック!!」

 

Good Luck

 

× グットルック

⚪︎ グットラック

 

「(無理だな。)」

「(ムリだ。)」

「(無理っぽいな。)」

 

「…頑張れ〜。」

 

そんな保護者二人の心配をよそに、佐藤さんから復讐相手の詳細を聞き出した二人は意気揚々と教室を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜5分後〜

 

「乙女さんって…いい人だね…」

 

「「「いったい何があった⁉︎」」」

 

鉄ちゃんに会ってきたカニは、出発の時の殺伐した空気はなくなんか笑顔で帰ってきた。

 

「(…あ〜、確か鉄ちゃんに容姿褒められて今までの事をチャラにしたんだったけな〜…まぁ僕には関係ないからいいか。)」

 

「あっ、そ〜だ。

乙女さんがさ〜、レオに話したいことがあるから放課後に来るって言ってたよ」

 

「げっ…なんか嫌な予感するな…」

 

「ま、どうせ説教だろうけど。

逃げてもいいけどボクは一応伝えたからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後。

れおとスバルとフカヒレの3人は、カニのバイト先であるカレー専門店『オアシス』で晩飯という事になった。だが珍しいことに……

 

「いらっしゃいませーっ……って、何だフカヒレ達か」

 

「…お腹すいた。」

 

「…ってゴンも来たのかっ⁉︎」

 

「やっぱり珍しいよな〜。

今日ゴンからここに行くって言い出したんだぜ?」

 

「全くだぜ。

いつも誘っても毎回断っていたゴンが急に来たがるなんて…何かあったのか?」

 

フカヒレとスバルがモノ珍しそうにゴンを見る。

レオも声には出さないが信じられないものを見ているようだ。

カニに至っては…

 

「イテテテテ………痛いってことは夢じゃないっ⁉︎」

 

自分のホッペをつねっていた。

 

「…ようやく物語が始まったから」

 

「物語?」

 

レオが首を傾げる。

 

「僕は主人公じゃないけど、これからの出来事を近くで見たいから来ただけ。」

 

「これからって…何が起こるんだ?」

 

スバルも話の内容がよく分かってないみたいだ。

 

「いろいろ…ひとつ言えるのは…」

 

ゴンはレオをジッと見る。

 

「? なんだよ?」

 

「レオの生活は明日から激変する。

レオがその気になれば鉄ちゃん、カニっち、姫っち、よっぴー、なごみん、すなおっち、いのりちゃん、トンファー、マナ、セレブの誰かと恋人になれる。…僕は今日から始まった物語を間近で見たいだけ。」

 

ゴンはレオの目を見ながらそう続けた。

 

「…ってちょっと待てゴン。

いきなりなんの話か分からないし、俺に恋人が出来るかどうかは置いといて……今言った名前の中に言いたことない名前があったんだけど?」

 

「これから会う人だから問題ない。」

 

「いやそれ「ちょっと待ったゴンッ!!」」

 

カニが叫んだ。

 

「どーしてボクがレオなんかとカップルにならなきゃいけねーんだっ!!」

 

「選択肢の一つ。

大丈夫、バカップルになって2人の子供授かるから

…あれ? 3人だっけ?」

 

「そんな事はどーでもいいんだよっ!!

ボクはレオの彼女なんかにならないからねっ!!」

 

「そうなるかは…これからの行動次第。

期待しているよ、レオっち。」

 

そう言うとゴンは空いている席に座った。

微妙な空気の中、レオたちもゴンの所に座る。

 

「ご注文はお決まりですか?

『可愛いウェイトレスの気まぐれオススメコース』なんていかがでしょうか? てかゴンはそれ以外注文受け付けねーからなッ!!」

 

微妙にカニは不機嫌だ。

 

「そのコースは福神漬け大盛りとか来るからイヤだね。

ビーフカレー甘口」

 

「チキンカレー辛口、ライス大盛り」

 

「ポークカレー辛口、ルー多めで」

 

「…僕はそれでいい。」

 

「ノリの悪い……日本人はこれだから、ちょっとはインド人のテンチョーを見習えってんだ」

 

「HAHAHA」

 

落書きみたいな顔をしたターバン男(店長)がカレー作りながら笑う。

 

「店長の名前はアレックスって言うんだ」

 

絶対インド人じゃない。

 

「いらっしゃいませーっ……ゲゲッ!」

 

来客を知らせる鐘に素早く反応したカニが、突然硬直した。

 

「……」

 

シャギーのかかった長い黒髪、鋭い切れ長の瞳に背丈は170センチを超えているだろう。

細身のジーンズに赤いスカジャンという格好は、活動的というより攻撃的に映るが、それを差し引いてもかなりの美人だ。

 

「おっ、美人!」

 

 それも顔にうるさいフカヒレが認めるほどの美人だ。

 

「やっぱり今日来た。…なごみん」

 

ゴンはそう呟いたが誰もゴンの言葉を聞いていなかった。

 

「て、テンチョー!辛口キングだ!」

 

「OH!落ち着きマショウ、カニさーん、まずはオーダー、デース」

 

騒ぎ出す厨房。

 

「……ご注文は?」

 

「超辛スペシャルカレー、チャレンジ」

 

なごみんはクールに答えた。

 

「超辛スペシャルカレー入りましたー!」

 

「超辛スペシャル……おお、完食すればタダ、何度でもチャレンジ可能ってコレか」

 

「以前俺、あれにチャレンジして一口でダウンしたんだけど……変な汗出たよ」

 

超辛スペシャルカレー。

一般人なら一口で炎上、三口で発狂、そこから先は地獄で、次の日もトイレで地獄。

 

「シィイイィット! おそらくまた食べられてしまいマース。ここは白旗あげまショウ!」

 

「くっ……それしかねーのか……。だから何度でもチャレンジ可能は無限コンボ喰らうからやめようって言ったのに」

 

厨房は早くも諦めモード

 

(ニヤリ)

 

「(へぇ〜、実際見るとあんな風に笑うんだ。)」

 

「笑いやがったなあのアマぁ!ちょっと胸がデカそうだからっていい気になりやがって!構わないやテンチョー、完食されたらボクの給料から差っ引いていいから、勝負を受けよう!」

 

さすがカニ、勝算が無くても諦めない蛮勇の持ち主だ。

 

「そこまで言い切るならいいデスけどー。すでに一回完食されてるのに勝算とかソウイウノあるんデスかー?」

 

「なぁに、香辛料を限界まで入れれば大丈夫、火ぃ吹くから」

 

「ソレ、普通に致死量デスよー」

 

「構わないっしょ、別に」

 

鬼だ、カニの皮被った鬼がココに居るよ……

 

「味を落とさずに、コレ以上辛くするの大変なんデスけどねー、わかりましター」

 

店長も乗り気だ。 

 

「ってわけで、超辛カレーお待たせしましたー」

 

王の卓に置かれたのは、赤味の強いカレー……………ブクブクと気泡が上がって…最早カレーじゃない。

 

「いただきます」

 

一切の動揺も無く、なごみんは超辛カレーを食べ始めた。

 

(もぐもぐ)

 

一口、二口……ぜ、全然ダメージを受けてない…………。

 

「やっぱりおいしい」

 

そしてこの台詞である。

 

「おいおい、平然と食ってるぞ、何者だありゃあ」

 

「味覚、絶対ぶっ壊れてるぞ…………」

 

レオもスバルもあいた口が塞がらなかった。

 

「よっしゃ、今こそ俺がやりたかったことを実行してやる。おい、バカ面してるウェイトレス!」

 

フカヒレがカニを呼ぶ。

 

「んだよ、ダメ人間」

 

「…お隣にコークスクリュードライバーを…」

 

「決めろってか?」

 

ゴンのボケに突っ込むスバル。

 

「ちげーよゴン!!

…あの美人に、セイロンティーを」

 

「その出来の悪い脳みそでも、『あちらのお客様からです』って言うのだけは忘れるなよ!」

 

「いいよ、セイロンティーね」

 

ニヤリと笑ってカニが準備に取り掛かる。

 

「サービスのホット・セイロンティーですぅ!!

ちなみに、あちらの眼鏡をかけたお客様からです」

 

「ばっ……辛いもん食ってんだから普通アイスだろ、なんで湯気出てんだよ」

 

「ン……グツグツしてていい、カレーに良く合う」

 

カニの期待は大いに裏切られ、なごみんは悠々とセイロンティーを飲み干す。

 

「そんな馬鹿な……。喉を火傷させて殺すつもりで熱したのに」

 

「おいしかった。全部食べたから無料ね」

 

「ウアァゥ……その通りデース。ありがとうございましターっ!」

 

「セイロンティーごちそうさま」

 

帰り際にそう言った。ただしぶっきらぼうにだが。

 

「あっ、いえいえどういたしまして………

………へへへ、あのコと会話しちゃったよ」

 

「くぅっ……負けた……、完食された……」

 

結局、カニはバイト代から超辛カレーの代金を差っ引かれたのであった。

 

 

「…………」モグモグ

 

「「「「ってゴンも超辛カレー食べてるっ!!」」」」 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択