No.658150 九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~竜神丸さん 2014-01-27 20:00:54 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1495 閲覧ユーザー数:770 |
何故、支配人がイエヤス率いるコーカサス軍の下にいるのか?
それは、時間を遡っていくと分かる事だろう…
「キシャシャシャシャシャシャシャ!!」
「おい待てクジラ野郎!! 逃げんじゃねぇコラァッ!!!」
空間の裂け目を飛び込んで以降、ホエール・ドーパントを追い続けていた支配人。狭間の空間内部にて追いかけっこが続くが、なかなか追いつけないでいる。
「くそ……変身!!」
≪Henshin≫
「ギシャアッ!?」
ブレスレットにザビーゼクターが取り付き、支配人はジャンプすると同時にザビー・マスクドフォームに変身。走り続けているホエール・ドーパントの背中に強烈なパンチを炸裂させる。
「あんなアホでも旅団の一員なんだ、とっとと吐き出して貰お―――」
「ギシャシャシャッ!!」
「ゴブフゥッ!?」
ホエール・ドーパントの口から放った水流が、台詞を言いかけたザビーの顔面に命中。ザビーが怯んだ隙にホエール・ドーパントは素早く逃走してしまう。
「ゲホ、ゲホ……あ、ちょ!? 待てって言ってんだろうがぁっ!!」
ホエール・ドーパントが別の空間の裂け目へと飛び込み、ザビーも同じように飛び込んでいく。
しかし飛び込んだ後、ザビーは飛び込んだ事を後悔する事になる。
「クジラ野郎!! 今度こそ捕まえさせ―――」
ホエール・ドーパントとザビーが飛び込んだ先、そこには…
「ん?」
広くて青い、壮大な海のすぐ真上だったのだから。
「…へ?」
「ギシャッ!」
ホエール・ドーパントがそのまま普通に海へ飛び込んで行ったのに対し、ザビーはこの瞬間に思考が固まったが故に冷静な判断が出来ず…
「…のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!??」
断末魔を上げながら、ただ海に落下する事しか出来なかった。
それから数分後…
「よっこいしょっと!」
海上、とあるボート。帽子を被った男性―――イエヤスは、手に持った網を海に向かって放っていた。所有しているバケツの中には釣り上げたと思われる魚が数匹ほど突っ込まれている。
「あ~あ、どうするべきかなぁ……このまま騎神ディバイドに好き勝手させるなんてかなり癪だが、騎神コーカサスは既に倒された後。もはや打つ手なしってところかねぇ」
イエヤスが溜め息をついたその時だ。
「…ん? お、かかったか!」
海に放った網に、獲物がかかったらしい。イエヤスは素早く網を引き上げていく。
「む、こいつは大物だな? 上等、意地でも引き上げてやる…!!」
イエヤスは網をどんどん引っ張り上げていき……かかった獲物を見て、目を丸くさせる。
「…何だこりゃ?」
「ブフゥ……た、助かった…」
網には、ザビー・ライダーフォームが思いっきりかかっていたのだから。
そして、イエヤスの城までほぼ強制的に連行された訳である。
(あぁ……マスクドフォームのまま飛び込んだのは失敗だったぜ…)
「皆、もう安心だ。これからはコイツが騎神コーカサスの代わりに戦ってくれる、騎神ザビーだ!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉ…!!」」」」」
「いやだから、俺は断るって言ってんだろうがよ!?」
何故かイエヤスの家臣達からも拍手で歓迎され、支配人は即却下する。命を助けて貰ったとはいえ、それとこれとは話が別。わざわざ天下取りを手伝う理由は無いのだ。
「おいおい、人がせっかく助けたってのに何だその返事は? そこは一つ、助けて貰った礼として手伝ってくれても良いんじゃねぇの?」
「いや確かにそうだけども、俺には他に目的が…」
「よぉし!! 新たな騎神を手に入れた記念に、乾杯すんぞぉっ!!」
「「「「「ははぁーっ!!」」」」」
「いや聞けよ人の話!?」
支配人の意見などそっちのけでイエヤス達は乾杯の準備までし始め、支配人は思わず頭を抱える。
(あぁもう、何でこうなっちまったんだか…)
残念ながら、そんな支配人の愚痴を聞いてくれる者はこの場にはいなかった。
一方。東の領地に存在する、とある城…
「ヒサヒデ様!! ヒサヒデ様ぁっ!!」
「えぇい、やかましい!! 何だね、こんな時に!!」
庭園にて盆栽の手入れをしていた、坊主頭に布を巻いた武将―――松永ヒサヒデ。そんな彼の下に、一人の家来と思われる兵士が駆け付けて来た。
「西の領地にて相対したグレイブ軍とポセイドン軍の内、騎神ポセイドンが騎神ディバイドによって討ち取られた模様!!」
「何、騎神ポセイドンが討ち取られたと!? 騎神ディバイドめ、我々の獲物を勝手に横取りしてくれおって…!!」
「その騎神ディバイドなのですが!! 今朝方、城門前にてこんな矢文が…!!」
「何!? 見せてみろ!!」
兵士から渡された矢文を開き、書かれている文章を読み取る。
「『本日、騎神ソーサラーを討ち取るべく参上致す 騎神ディバイド』…おのれ、今度は我々ソーサラー軍を狙って来たか……騎神ソーサラー!!」
「お呼びですかな?」
ヒサヒデの前に大型の魔法陣が出現し、そこから黒いマントを靡かせた金色の魔法使い“仮面ライダーソーサラー”が姿を現した。ここでは彼は騎神ソーサラーとして、ソーサラー軍の守護者として存在しているのである。
「いずれ騎神ディバイドが、ここまで攻めて来るだろう!! 至急、戦の準備だ!!」
「ははぁ、承知しましたヒサヒデ殿」
「ヒ、ヒサヒデ様ぁっ!!」
騎神ソーサラーがヒサヒデにお辞儀をしたその時、別の兵士が慌てた様子で駆け付けて来た。
「何だ!! 今度はどうした!!」
「て、敵襲です!! ディバイド軍が攻めて来ました!!」
「「「!?」」」
襲撃は、早過ぎるタイミングでやって来た。
「き、騎神ディバイドだぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「討ち取れぇっ!! 絶対に城まで踏み込ませるなぁっ!!!」
城門前にて、ソーサラー軍の兵士達が一斉に武器を構えていた。その前方には…
「ほほう……これまた随分と、警備が厳重な事で」
「キシャシャシャシャシャシャシャッ!!」
「「「「「グルァァァァァァァァァァァァッ!!」」」」」
『キュォォォォォォォォォォンッ!!』
上空からは、ククルカンの背中に乗って姿を現した騎神ディバイドとホエール・ドーパント。そして地上からは複数のファントム達が雄叫びを上げながら城まで侵攻しようとしていた。
「おのれ、こんなに早く攻めて来るとは…!!」
城門前に駆け付けたヒサヒデは、兵士達に指令を下す。
「全軍迎え撃てぇっ!! 騎神ディバイドの首を、何としてでも討ち取るのだぁっ!!!」
「「「「「ハッ!!!」」」」」
≪≪≪≪≪ドライバー・オン≫≫≫≫≫
兵士達は腹部にドライバーを出現させ、それぞれが左手に指輪をはめる。
「「「「「変身ッ!!」」」」」
≪≪≪≪≪チェンジ・ナウ!≫≫≫≫≫
指輪がドライバーに翳され、兵士達は雑兵型の魔法使い“仮面ライダーメイジ”へと姿を変えた。
「行けぇっ!!!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」
ヒサヒデの号令により、メイジ達は一斉にファントム達に向かって駆け出し、一部のメイジは槍状の魔法ホウキ“ライドスクレイパー”に乗り空中を飛ぶ。
「やれやれ、元気な人間達だねぇ……お前達、相手をしてやれ」
「キシャシャアッ!!」
「「「「「グルァァァァァァァァァァッ!!!」」」」」
『キュオォォォォォォォォンッ!!』
ククルカンの背中から飛び降りたホエール・ドーパントを筆頭に、ファントム達も一斉にメイジ達と正面からぶつかり合う。ククルカンは空中を飛び交い、ライドスクレイパーに乗っているメイジ達に向かって火炎弾を放ち始める。
「これは、私も向かった方がよろしいですね?」
「構わん!! 行け、騎神ソーサラー!!」
「畏まりました、では…!!」
≪コネクト・ナウ≫
騎神ソーサラーは出現させた魔法陣から、柄の長い大斧“ディースハルバード”を取り出しファントム達に向かって突撃する。
「「「グルァッ!!」」」
「無駄な事です…ハァッ!!」
「グガァッ!?」
「ギシャアッ!?」
「ガルッ!?」
向かって来たグール達をディースハルバードで次々と薙ぎ倒して行き、飛び掛かって来たケットシーは右足で振り向き様に蹴り飛ばし、近くにいたワータイガーはディースハルバードの柄を突き立てる事で大きく吹っ飛ばす。
≪リフレクト・ナウ≫
「グギャアッ!?」
「不意打ちなど無意味…!!」
≪チェイン・ナウ≫
「「「ギギギッ!?」」」
背後から襲って来たリザードマンの攻撃には巨大魔法陣を張る事で弾き返し、更にグール達には頑丈な鎖を巻き付ける事で動けなくしてしまう。
「纏めて消えて貰いましょうか…!!」
≪エクスプロージョン・ナウ≫
「「「「「グギャァァァァァァァァァァァァッ!!?」」」」」
騎神ソーサラーの発動した爆発魔法により、その場にいたファントムの大半が撃破され爆散。ファントム達を一斉に仕留めた騎神ソーサラーは一息ついてから……殺気を感じ取れた真後ろに向かって素早く振り返る。
「ッ…騎神ディバイド!!」
「なかなかやってくれるじゃないか、騎神ソーサラー君?」
騎神ディバイドの振り下ろしたライドブッカーを、騎神ソーサラーはディースハルバードで防御。互いの得物を押し合う状態になる。
「貴様……我々騎神を討ち取って、何をしでかすつもりか…!!」
「私が一体何をしようとも、それを君が知る必要は無いだろう? 何故なら……君はここで、この私が倒すのだからなぁっ!!!」
「戯言を!!!」
≪イエス! ライトニング・エクステンド!≫
「!? むぉう…!!」
騎神ソーサラーが翳す掌から強力な電撃が放たれ、騎神ディバイドは素早く後退してから一枚のカードをライドブッカーから取り出す。
「なかなか強力だね……ならば、これで行かせて貰うとしよう」
『アタックライド・クリアーベント!』
「!? 何…!?」
カードがドライバーに装填され、その直後に騎神ディバイドはその姿を消してしまった。
「ふっふっふ、こちらだよ…!!」
「!? そこか…ぐわっ!?」
「残念、私はこっちだよ?」
「おのれ……ぬぐぅっ!?」
姿を消した騎神ディバイドによって、一方的に攻撃される騎神ソーサラー。この圧倒的に不利な状況をどうにか打開すべく、騎神ソーサラーは再びドライバーに指輪を翳す。
≪ヒート・ナウ≫
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「何……ぐぉっ!?」
騎神ソーサラーは身体中から熱を発し、透明化していた騎神ディバイドを強引に攻撃。騎神ディバイドは地面を転がり、カードの効果が切れて再び姿を現す。
「!! そこか!!」
≪チェイン・ナウ≫
「むぅっ!?」
居場所が特定した事で、騎神ソーサラーは再び厳重な鎖を出現させ騎神ディバイドを拘束する。
「ククククク…!! なるほど、意外にやるじゃないか」
「騎神ディバイド……貴様だけは、今この場で討ち取ってくれる!!」
拘束されてもなお余裕の笑い声を上げる騎神ディバイドに、騎神ソーサラーはディースハルバードを振り下ろそうとしたその時…
「その戦い、俺も混ぜろぉっ!!!」
思わぬ乱入者が、この戦場に姿を現した。
≪SWORD VENT≫
「な…ぐわぁっ!?」
「! ほう…」
突如、真横から飛び掛かって来た王蛇のベノサーベルにより、騎神ソーサラーが吹っ飛ばされた。その隙に騎神ディバイドは自らを拘束していた鎖を引き千切り、メイジを攻撃していたホエール・ドーパントに首を振って合図を出す。
「ぬぅ……貴様、何者だ!!」
「何者だって良いだろう……とにかく俺と戦えよなぁっ!!」
「な、く…!?」
王蛇は乱暴にベノサーベルを振るい、騎神ソーサラーに容赦の無い猛攻を浴びせ始める。騎神ソーサラーも必死に防御するが、王蛇の乱暴過ぎる攻撃で少しずつ押されていく。
「この…!!」
≪デュープ・ナウ≫
指輪を翳し、騎神ソーサラーは二人に増える事で反撃に出ようとする。
しかし…
「ふん、それがどうした…?」
王蛇を相手に、それは無意味だった。
≪ADVENT≫
≪ADVENT≫
『シャァァァァァァァァァッ!!』
『グォォォォォォォッ!!』
「「な…ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」
王蛇はすかさずコブラ型の契約モンスター“ベノスネーカー”と、サイ型の契約モンスター“メタルゲラス”を召喚。二人いる騎神ソーサラーの内、片方はベノスネーカーの尻尾で弾き飛ばされ、もう片方はメタルゲラスの強烈な突進を受けて吹っ飛ばされる。
「「がは、ぁ…!!」」
騎神ソーサラーは一人に戻ってしまうも、ディースハルバードを手に取り何とか立ち上がる。
「消えろ…!!」
≪STRIKE VENT≫
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「くっ……ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
王蛇はメタルゲラスの頭部を模した武器“メタルホーン”を召喚し、それを右手に装備。騎神ソーサラーに向かって飛び掛かり、思い切り突き立てる事で吹っ飛ばした。
「ぐふ……む、無念…」
地面を転がった騎神ソーサラーは仰向けに倒れたまま、とうとう力尽きて動かなくなってしまった。そこへ騎神ディバイドとホエール・ドーパントが歩み寄る。
「ここまで都合良くいくとは嬉しい限りだ、協力を感謝するぞ? 異世界の騎神よ」
「あん?」
「キシャシャシャ……ボェェェェェェェェェェルッ!!」
ホエール・ドーパントは口をガパッと開き、倒れている騎神ソーサラーを粒子状にして体内へと吸収してしまった。
「ば、馬鹿な……騎神ソーサラーまで……ごふぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「「「ヒサヒデ様ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」
『シャア?』
騎神ソーサラーが倒された事で落胆するヒサヒデだったが、直後にベノスネーカーが無意識に振った尻尾に薙ぎ払われ城の庭園まで吹っ飛んでしまった。兵士達が吹っ飛んだヒサヒデを追っていき、ベノスネーカーはそんな彼等に首を傾げる。
「何だ、okakaが変身するのと似た野郎だな……お前も俺を楽しませろよ!!」
「おっと危ない…!」
王蛇の振るったメタルホーンをひらりと回避し、騎神ディバイドとホエール・ドーパントはククルカンの背中に飛び乗る。
「生憎だが、今は相手をしている暇は無いのでね。機会があれば、また会うとしようじゃないか」
「あ? おい、待て!! 逃げんじゃねぇっ!!!」
王蛇が怒鳴り散らすも、ククルカンは騎神ディバイドとホエール・ドーパントを乗せたまま遥か遠くへと飛び去って行ってしまった。
「どいつもこいつも、俺をイラつかせてくれやがる…!!」
王蛇はメタルホーンを投げ捨て、近くに倒れていたメイジの背中を踏みつける。
「ッ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
王蛇はメイジの背中を踏みつけたまま空を見上げ、野獣の如き咆哮を上げるのだった。
一方、ユキムラ城では…
「あ、美味しいじゃない…!!」
「確かに、こりゃ絶品ものだぜムシャムシャムシャムシャ!!」
「おいこらハルト、食いながら喋んじゃねぇっての」
「へぇ、なかなか美味しいじゃないですか」
ロキ達はユキムラの部屋にて、朝食を頂いているところだった。現在彼等が食べているのは主に和食系が多く、かなり豪華な食事となっている。グルメであるデルタも、これには驚きの表情を見せる。
「ははは。皆の口に合うようで良かった。朝早くから作った甲斐があったよ」
「しかし、本当に驚きましたよ。まさかユキムラさんがこんなに料理上手だったなんて」
「僕もたまには料理しないと、腕が鈍ってしまうからね。だけど僕が作ると、城にいる使用人達が何故か物凄く落ち込むんだ。何でだろうね?」
(へし折ってやがる……料理の腕前を見せ付けて、使用人達の心をへし折ってやがる…!!)
(しかも無自覚でそう言ってるっぽいから、余計に性質が悪いなこの人…!!)
不思議そうに首を傾げるユキムラに、ロキとokakaはヒソヒソと話し合う。
その時…
「ユ、ユキムラ様!!」
一人の家臣が、慌てた様子で部屋に入って来た。
「こらこら。まだ食事の最中だぞ」
「は、失礼しました!! 実は先程、リュウガ軍のシンゲン殿から密書が届きまして…!!」
「!? シンゲン殿からだと!?」
「「「「「「…!?」」」」」」
騒動とは、いつも突然やって来るものである。
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第7話