No.656259

がちゆり~綾乃v京子~綾乃誕生日SS

初音軍さん

綾乃の誕生日ということで、昨日まで知らずにいて慌てて今日仕上げたものですwちょっとでも楽しんでもらえれば幸い。綾乃誕生日おめでとー!お幸せに(*´ڡ`●)

2014-01-20 17:00:05 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:801   閲覧ユーザー数:801

がちゆり~綾v京~

 

「よぉ、綾乃~」

 

 付き合い始めてから歳納京子は生徒会室によく顔を出すようになった。

しかも言葉を隠すことなく、堂々と私に会いたかったからとか言うから

そのたびに赤面してしまって嬉しいけれど少しだけ困ってしまう。

 

「あぁ、きょうあや最高や~」

 

 ブシュゥゥ~

 

 それに千歳もそのたびに鼻から鮮血を噴出してしまい、仕事も滞るのも

困る要因の一つではあった。

 

「何の用よ、歳納京子」

「そんな態度つれないな~」

 

 そんなこと言いながらにやつきながら私の隣の席に座って顔を近づけるのと

同時に再び鼻血の噴水があがる。千歳がいつか貧血で倒れてしまわないか心配だった。

 

「で、ほんとに何の用?」

「今日綾乃のとこに泊まらせてくれないかな」

 

「唐突になによ」

「今日綾乃の誕生日だろ? 祝いたいし、好きな子の誕生日だったらその日くらいは

ずっといたいだろ」

 

「も、もう…。さらっとそんなこといって…。最近けっこうな頻度で泊まりに

来てるじゃない…」

「それもそうだな」

 

「ま、まぁ…貴女がそんなに来たいなら別に良いけど…」

「おう、ありがとう。綾乃は優しくて大好きだよ」

 

「も、もう!話が終わったなら早く部室に戻りなさい!」

「え~、もう?」

 

「それに早く行ってくれないと千歳が倒れちゃうから」

 

 本人に聞こえないように最後の言葉は歳納京子の耳元でささやくと血まみれの

千歳を見て頷いて立ち上がった。

 

「じゃあ、また後でな」

「ええ…」

 

ガラガラ…。ピシャン

 

 歳納京子が出て行くのを見送ってから再び生徒会の仕事に戻る。

が、その前に。

 

「千歳、しっかりしなさい。もうこんなに血の池作っちゃって…」

「えへへ、今とっても幸せな気分やで~」

 

「そのまま寝ないでよ、目覚まさなくなると嫌だから」

 

 私と千歳から少し離れた所で古谷さんは一筋の汗を伝わせて。

 

「慣れって怖いですわね…」

 

 と、呟いていた。

 

 

「おーい、遊びにきたぞー」

「はいはい、いらっしゃい」

 

 約束していた時間より少し遅れて家を訪ねてきた歳納京子は笑顔で中へと

入ってくる。そのまま私はお部屋へと案内をした後に、お菓子やジュースもしくは

紅茶を用意してお部屋へと戻る。

 

 最近あったことの話を楽しく喋っている途中で歳納京子は忘れていたのか

何かを思い出したような素振りを見せてから綺麗に包まれていた袋を渡された。

 

「これは?」

「誕生日プレゼント。開けて開けて~」

 

「普通こういう時は私が開けていいかって聞くところじゃないの?」

「それもそうだった」

 

「もう、歳納京子ったら…」

 

 とかいいながら、笑っている歳納京子の姿を見ていると私もつられて笑ってしまう。

彼女が笑うと不思議と周りの空気も爽やかになるような、自然と笑顔になれるような

感じになる。

 

「中身は…あら…リボン?」

「私とおそろいのやつだよ」

 

「歳納京子と!?」

「うん」

 

「私には似合わないわよ…」

「そんなことないよ。それに綾乃と一緒だったらより嬉しいしね」

 

「…///」

 

 驚いて言葉が返せないくらい、嬉しい言葉をかけてきてくれる。

私も嬉しいってそれくらい言えないのかといつも苛まれるのである。

 

 

 時計を見るとそろそろ夕食の準備に取り掛かっても良い時間になっていた。

私は歳納京子に告げて部屋を出ようとすると歳納京子に腕を掴まれて

振り返ると。

 

「私にも作らせろ」

 

 親指を立てて舌をぺろっと出し、テヘペロって感じの表情を作って

自信を覗かせていた。その申し出には私も快く受け入れて台所まで案内をした。

 

「さーてやるぞー!」

 

 台所に立って気合を入れて袖を捲くってから包丁を持って構えるが、少し様子を

見ていると軽くプルプルしているように見えた私はつい彼女の声をかけてしまう。

 

「歳納京子…?」

 

 普段何でもそつなくこなす彼女が料理の最中に強張る姿が可愛く見えて、

私は彼女の背後から包丁を持って震える彼女の手に自分の手を添えた。

 

「綾乃?」

「い、一緒にやればできないことなんてないわよ」

 

 一緒に作ろうって一言だけでいいのに、私はちょっと捻くれたような

言い回しで歳納京子に囁くと、さっきまで曇っていた顔が花が咲いたように

きらきらと輝いているように見えた。

 

 両親は歳納京子が来る前に私に気を遣って外出して今は私と歳納京子の二人しかいない。

二人でキッチンで料理を作った後、テーブルに向かい合って食卓に作ったものを並べる。

 内容は簡単に野菜と肉を炒めたものや、魚の煮物。菜っ葉類のお吸い物と

ホウレンソウのお浸し。ごはんと箸を用意していただきますと言ってから

箸をつける。

 

 給食や家族と食べるのとは違って不思議な感じ。

もし一緒に暮らすことになったらこんな風に食事ができるのだろうか。

そう考えるだけで胸が苦しくなりそう。

 

 ふと気づくと歳納京子の方もいつもよりそわそわしているように見える。

お互いの手が触れてから気持ちが揺らいでいるのかもしれなかった。

 

 ドキドキして仕方ない。意識をし始めるとさっきまで軽快だった口も

すっかり重く閉じてしまう。そんな中で少し赤らめながら歳納京子が

笑いながら言う。

 

「やっぱり自分たちで作ったのは美味いな」

「そ、そうね・・・」

 

 そんな必死に作った笑顔がたまらなくて、キュンキュンするのが止まらないんだけど。

たまらず私はそんな歳納京子の手を取って顔を近づけた。

 

「ねぇ、歳納京子…」

「な、なに…?」

 

「その…しない?」

「うん…いいよ…」

 

 甘い雰囲気に包まれて私は歳納京子の背中と腰に手を回して顔を近づけた。

 

「ん…んぅ…」

 

 どっちの息遣いかわからないくらい私たちは交じり合っていた。

食べたものの味がして本当にキスをしているのを感じることができる。

 

 慣れないから少し息苦しくなると、一度口を離して少ししてから

またキスをする。

 

 とろけるような時間が過ぎていく。

そんな夢心地な魔法が解けたのは玄関から聞こえた鍵が開けられる音。

私がビクッとなると、私ほどじゃないにしろ歳納京子も驚いた後

食事の後片付けをしながら何もなかった振りをしていた。

 

 まだ両親には友達としか紹介していなかったから、こんなとこ見られたら

驚くだろうし、こういうことはちゃんとした場所でするべきなんだろうけど。

 

「はぁ~、スリルたまんなかった~」

 

 隣で小声で言う歳納京子を見て人の気も知らないでって、少し頬を膨らませると

愛おしそうな目で私を見つめてくるから、すぐにムッとした気持ちもどこかへ

飛んでいってしまう。

 

「ほんと…なんで歳納京子のこと好きになったんだろ…」

「え、なになに~? 何て言ったの、もう一回言って?」

 

「え、声に出てた!?」

「うん!」

 

「って聞こえてるんじゃないの~~~!」

「ねぇ、綾乃もう一回言って~」

 

「嫌に決まってるでしょ!」

「綾乃はほんと可愛いなぁ~」

 

「も~~~、歳納京子ったら!」

 

 洗い物が終わった後、歳納京子は両親に挨拶を済ませてから私の部屋へと

移動する。

 色々お喋りしたりゲームしたりしながら時間をかけてそろそろ寝る時間になると

私は寝る準備をする。ベッドと布団と寝る場所を分けてはいたが、電気を消して

寝ようかと思っていた頃に先に布団に潜っていた歳納京子がもぞもぞと

私のベッドの中へと入ってきた。

 

「綾乃、起きてる?」

「今ので起きちゃったわよ…」

 

 嘘、本当は寝てはいなかったけれど。歳納京子の思うがままに動くのは嫌だったから

ささやかな抵抗をしていた。背を向けていた私は歳納京子と目を合わせるように

振り返る。

 

「近いね…」

「そうね…」

 

 お互いの息遣いや心臓の音が聞こえそうなほどの距離でもうすぐで密着してしまいそう。

こんなに意識してしまってはもう眠れなさそう…。

 

「今日はありがとうな」

「何よ、急に…」

 

「泊めてくれたりとか、料理とかまぁ色々」

「そんなのいつものことじゃない…。最近に関してだけど」

 

「あはは、そうだね~。とにかくだ」

「え?」

 

「私は綾乃と一緒にいれば何でもできる気がするんだ」

「そ、そんなこと言っても何も出ないわよ…!」

 

「…」

「…」

 

 その内伝える言葉が尽きてきて、手を繋いで互いのおでこをくっつけて目を瞑った。

傍に歳納京子の存在を感じられて心地よい。最初は緊張しかなくて辛かったことも

あったけど、少しずつ言いたいことを言い合える存在になれて。

 

 今の私はとても幸せだと心底想っていた。

 

翌日…。

 

「あれ、綾乃ちゃん。そのリボン」

「あ、これは…」

 

「歳納さんからもらったやつやな!素敵やん!」

「ちょっと、そんなことで鼻血吹かないでよ!」

 

「あ、ごめんなぁ…。汚れてまうよな」

「そういうことでもないんだけど…」

 

 もらったプレゼントを歳納京子に教えてもらったようにつけて学校へ行くと

注目され、生徒会室に行っても色々言われて大変だった。

大変だったけど…嫌な気はしない。それどころかニヤけて仕方なかったくらいだ。

 

 からかわれるのはあまり好きではないけれど、好きな人が絡むと違う。

まるで世界が変わったようで、私の目の前にあるものがキラキラに輝いているようだった。

 

 私はこれからも歳納京子と手をとって一緒に歩いていきたい

そう思っていた。

 


 
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