私達が振り向いた先には愛おしい男の姿が見えた………

間違いなくそれは北郷一刀……

『天の御遣い』の

北郷一刀だった！

終節　〜聖なる御遣い・北郷一刀〜

……………ここから一刀視点……………

華琳「一刀！」

蓮華「一刀!!」

華琳や蓮華が俺の元まで駆けつけて来た

冥琳「大丈夫なのか!?」

一刀「あぁ、大丈夫だよ……冥琳

痛みも重みも感じないよ、于吉のお陰でね」

于吉「遅くなってしまい申し訳ありません

ですが、完全な戦闘態勢に仕上げましたのでご心配なく」

雪蓮「危なかったわよ………もう少し遅れてたら…………」

于吉「面目ないです…………」

于吉は苦笑いをしながら謝っていた

華琳「……まぁ、間に合ったからよしとしましょう」

左慈「だけどよ………北郷」

一刀「ん？何？左慈………」

左慈「お前……本当に戦えるのか？

戦って勝てる見込みがあるのか？」

一刀「勝てる見込みか………」

俺は顎に手を付け考えた

正直あるわけではないが、ないわけではない

だけど…………

俺は少し間を開けて

一刀「まぁ、何とかするよ」

と、やんわり言った

だけどこの『やんわり』がまずかった

左慈「やんわりって………おい、北郷

お前が勝たなかったらこの大陸、ここにいる仲間、俺達管理者の命が消えるんだぞ!?

お前が負けた瞬間、俺達の人生が終わるんだぞ!?分かってんのか!?」

左慈を怒らせてしまった

挙句の果てに左慈は俺に向かって叫んできた

一刀「分かっているさ………勿論全力を尽くすよ………」

左慈「全力を尽くす尽くさないはいいんだよ………

だけどな………負けたら全てが終わり、俺達の頑張り全てが水の泡となるんだ………これだけは忘れんなよ!!」

左慈は俺の目を見てそう叫んだ

左慈の目には強い炎が宿っていた

一刀「………あぁ……分かったよ、左慈………………」

左慈「…………ほら！」

一刀「？？」

左慈はぶっきらぼうに右手を前に出した

左慈「っ!!これは別に仕方なくなんだからな！本当は俺はお前にこんな事は死んでもしたくないんだよ！」

一刀「左慈……………あぁ！」

俺は左慈の右手を掴み握手をした

左慈「…………………」

一刀「ありがとう………左慈」

左慈「……………絶対負けんなよ、北郷」

一刀「…………あぁ」

俺は左慈の右手を離した

左慈「………ふん!!」

俺に背を向けてしまった

一刀「左慈？」

于吉「照れてるんですよ♪」

于吉は笑いながら話しかけてきた

左慈「んな訳あるか!!」

左慈は顔を赤くし、否定の言葉を叫んだ

貂蝉「んもう、素直じゃないわねん♪」

左慈「うるせぇ!!黙れ貂蝉!!」

またも叫ぶ左慈………っとそこへ卑弥呼が

卑弥呼「ふむ、ご主人様よ…………

先程左慈の言った通り負ければ終わりじゃ………情けない話じゃが、頼む……」

と言い頭を下げた

一刀「勿論だ！任せとけ!!」

華琳「頼んだわよ!!一刀!!」

蓮華「負けたら承知しないわよ!!」

一刀「おう!!」

俺は響窃の方を振り向き、響窃の元まで歩いて行った

一刀「待たせたな……響窃」

響窃「待ちくたびれたぞ………北郷」

一刀「さぁ………最終決戦といこうじゃねぇか!!」

響窃「…その前に………貴様にこの響窃の相手が務まるかどうか…………

試させてもらおうか！」

ｷﾞｭｫｫ！

…………何だ？構えたって事はなんか来ると思うけど……

華琳「っ!!あの構えは!?」

左慈「おいおい……マジかよ！」

于吉「もう一発『極死の砲撃』をするつもりのようですね………」

『極死の砲撃』？また危険な感じの技だな………

てか……死にこだわり過ぎだろ………響窃

響窃「これで終わるのならこの響窃を倒すことは出来ぬのだ………喰らえ！北郷!!」

ｺﾞｵｯｯ!!

響窃は『極死の砲撃』を放ってきた

……何か『極死の閃光』が太くなった………って感じだな

貂蝉「来たわよん!!」

左慈「北郷!!『天の御遣い』の意地を見せてみろよ!!」

一刀「そのつもりだ、よ!!」

ｺﾞｵｯｯ!!

俺は『龍走』を行い『極死の砲撃』に突っ込んで行った

焔耶「お館!?何をする気だ!?」

雛里「ご主人様!!無茶です!!」

一刀「大丈夫だよ!!」

ﾌｫﾝ!!

俺は思いっきり蹴りを放った

すると…………

ｽﾞﾊﾟﾝｯ!!

華琳「なっ!?」

響窃「むっ!?」

『極死の砲撃』は真っ二つに割れ、消滅した

桔梗「なんという事だ………」

于吉「どうやら上手くいったようですね

いやいや……良かった良かった」

風「？？于吉さん、何をしたのですか〜？」

于吉「実は回復だけなら恋さんの戦闘『だけ』で終わっていたんですよ」

稟「？？回復以外に何をなさったのですか？」

于吉「私達の今までの戦闘に関する『情報』や『経験』です」

華琳「『情報』や『経験』？」

于吉「はい、回復をする時に気を流すと同時にその二つ流し込んでいたのです

それにより一刀さんは格段に高い能力値を得ることができました」

一刀「いくぞ、響窃!!」

于吉「時間を掛けて全ての『情報』などを流し込んだので『極死の砲撃』などただの壁に過ぎません

そして、最早彼はただの『天の御遣い』などではありません……

彼はまさに………

『聖なる御遣い』・北郷一刀ですよ!!」

　　　第九章‘聖なる御遣い’

　　　　　　　　　　　……終……