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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第二十九回 拠点フェイズ:魏延①・城下案内という名のデート(前編)

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!または初めまして!

今回は焔耶の拠点フェイズです!本編で色々とフラグが建ってましたが果たして、、、!


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2013-12-08 00:01:16 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:6301   閲覧ユーザー数:5269

益州成都に天の御遣い・北郷一刀を君主に据えた新政権が誕生して間もない頃、

 

時節は未だ春真っ盛りであり、時折吹き抜ける微風が、成都中に咲き乱れる満開の桃の花の香りを振りまいていた。

 

そのような良い香りの充満する成都の城下町では、先日行われた新領主就任行事の興奮醒め止まない民衆が、

 

とりわけ奥様方が、新領主について井戸端会議を繰り広げていた。

 

 

 

奥様A「確かに若いしぃ、まあまあいい男だしぃ。でもそういう男に限ってぇ、性格が悪いものなのよぉ」

 

奥様B「仕事の方もちゃんとできるか心配よね。劉璋様ほどお若くはないとはいえ、大丈夫かしら?」

 

奥様C「でも、管路様の占いで出た、天の御遣い様なのでしょう?なら、そのような心配はいらないのではなくて?」

 

奥様A「そうなのよぉ!あの管路様の出した占いなんだからぁ、何の心配もいらないのよぉ!」

 

奥様B「それで、仕事の出来そっちのけで、顔がどうの、性格がどうのという話をしていたのね」

 

奥様C「ほら、噂をすれば、ご本人の登場ですわよ」

 

奥様A「あらぁ、やっぱりウチの旦那よりいい男ねぇ♪」

 

奥様B「何贅沢言っているの?法さんの旦那も相当いい男じゃない」

 

奥様A「孟ちゃんは分かってないわねぇ。だから顔が良くても性格―――」

 

奥様C「そのようなことより、あの隣にいらっしゃるの、魏延様ですわよね?」

 

奥様A「えぇ、子供たちが言っていた通りだわぁ。とてもお似合いじゃない♪」

 

奥様B「本人たちは城下案内って否定したらしいけど、誰が見ても逢引よねぇ?」

 

奥様C「ですが、噂によれば、御遣い様にはすでに何人もの妾がいらっしゃるらしいですのよ?」

 

奥様B「じゃあ、魏延様もその一人に加わったということ?」

 

奥様C「そうなりますわね。ですが、そうなりますと魏延様は新参者、圧倒的に不利ですわね」

 

奥様A「いいえ張ちゃん、まだ御遣い様に御子様がお生まれになっていないことからもぉ、まだまだ十分機会はあるはずよぉ♪」

 

 

 

噂とはどこの世界でも正しく広がらないものである。

 

 

 

 

 

 

【益州、成都城】

 

 

 

魏延「なぜワタシがお館の城下案内などしなければならないんだ!」

 

 

 

まだ日が昇って間もない時間、成都城の執政室中に魏延の叫びがこだました。

 

 

 

陳宮「なぜも何も、焔耶ぐらいしか城下を案内できる人間が残っていないです。皆街の復興やら何やらで忙しいのですぞ」

 

 

 

陳宮や法正ら主だった文官たちは、中枢制度の抜本的見直し及び今後の国政運営の仕方についての議論。

 

張遼や呂布らは、東州兵に傷つけられた街の復興。

 

厳顔や高順らは、領主交代に伴う周辺諸国との調整。

 

といった具合であり、主だった人物たちは皆各々の仕事に奔走しており、手を離せないという現状であった。

 

そのため、すでに執政室には呂布や張遼といった街の復興に当たっている者たちの姿は見えない。

 

 

 

魏延「なら、ワタシも復興を手伝わねばならないだろう!なぜお館のお守のような・・・!」

 

北郷「ははは・・・お守ね・・・」

 

 

 

執政室中央に坐している北郷は、元いた世界ならあり得ない時間帯にたたき起こされため、

 

未だ覚醒しきっていない頭で、自身に向けられた暴言をぼんやり聞きながら苦笑していた。

 

 

 

厳顔「四の五の言うでない!お主が街の復興など指揮すれば、余計に街が潰れてしまうだろう!」

 

魏延「き、桔梗様ぁ・・・」

 

 

 

そして、当然の如く厳顔の堅い拳骨が魏延の頭にとんだ。魏延は患部を両手で押さえながら情けない声を上げている。

 

 

 

法正「まあ、ものは考えようだぜ魏延。この機会に、主従の関係を深めるってのも悪くねぇ」

 

魏延「な―――ッ!?」

陳宮「何ですとッ!?」

高順「――――ッ!?」

 

 

 

趙韙の反乱時に受けた傷も、完治までは程遠いものの、もう通常の職務に当たっても問題ないと華佗に言われていた法正が、

 

何気なく発した言葉だったが、一気にこの場の空気が変わってしまった。

 

 

 

法正「・・・ん??俺何か変な事言ったか?」

 

 

 

法正は頭に?マークを浮かべている。どうやら、この辺の情事については、法正は鈍い所があるようであった。

 

 

 

厳顔「はっはっは。いや、よく言った法正。その通りだ、焔耶よ。これを機に、お館様との仲を深めるがよい。絆が深い方が、守り甲斐

 

があるというものだろう」

 

 

魏延「・・・わかりました」

 

 

 

厳顔の押しもあり、結局魏延は渋々ながら城下案内を了承したのであった。

 

 

 

陳宮「・・・では、宜しく頼みますぞ・・・」

 

 

 

高順や、頼んだ張本人である陳宮までもが、どこか心穏やかでない雰囲気を醸し出していたが、

 

法正同様、ある程度鈍さには定評のある北郷は、特に気に留めることなく、自身からも改めて魏延に城下案内を依頼した。

 

 

 

北郷「よろしく頼むよ、焔耶」

 

魏延「ふん、まったく、仕方のない奴だ」

 

 

 

 

 

 

【益州、成都、城下町・中央広場】

 

 

まず二人が最初に訪れたのは、城下中央にある大きな広場であった。

 

 

 

魏延「えー、コホン。ここは成都で一番広い場所だ。普段は子供たちの遊び場になっていることが多いが、たまに軍事演習をここで民衆

 

に公開して行うこともある」

 

 

 

少し緊張しているのか、魏延は若干カチコチになりながら説明を始めた。

 

確かに、魏延の言うとおり四人の子供たちが遊んでいた。

 

 

 

男の子1「あ!魏延の姉ちゃん!」

 

女の子1「新しい領主様も!」

 

 

 

すると、魏延と北郷に気づいた子供たちが次々に集まってきた。

 

 

 

女の子2「おに―――りょーしゅ様、この前は食べ物を食べさせてくれてありがとうございました♪」

 

 

 

北郷「ははは、別に呼び方なんて気にしないから、お兄ちゃんでもいいよ。うん、みんな元気そうで何よりだよ」

 

 

 

女の子が北郷の名前を、ややぎこちなく言い直したのを見て、北郷はそのように告げた。

 

どうやら、以前北郷らが助けた子供たちだったようであり、

 

この前まではまったく生気の感じられなかった子供たちが元気に走り回っている姿を見て、北郷もホッと胸をなでおろしていた。

 

 

 

男の子1「なあなあ魏延の姉ちゃん、一緒に遊ぼうぜ♪」

 

子供たち「遊ぼう遊ぼう!」

 

 

 

子供たちの魏延への接しぶりから、普段から遊んでもらっていることが窺えた。

 

 

 

魏延「ダメだ!今ワタシは仕事中だ!お前たちに構っている暇はない!」

 

 

 

しかし、当然北郷を案内しなければいけない魏延は、子供たちの誘いをバッサリと断った。

 

本来ならここで子供たちが諦めて話は終わりのはずなのだが、

 

 

 

男の子1「仕事って、御遣いの兄ちゃんと一緒に歩いているだけじゃん」

 

 

 

ここであっさりと引き下がらないのが子供というものである。

 

 

 

魏延「な―――ッ!?これは新たに領主となったお館に城下の案内をしているんだ!立派な仕事だ!」

 

男の子2「とか言って、本当は逢引目的だったりしてなー」

 

魏延「な――――――ッッ!!??」

 

 

 

魏延は思いがけないことを言われ、今度は何の反応もできなかった。

 

 

 

女の子2「ねぇコウくん、ヒョウくんの言った “あいびき” ってどういうこと?」

 

男の子1「スーは何も知らないんだな。この前厳顔様に聞いた話なんだけど、若い男と女が仲良くすることらしいぜ」

 

女の子1「バクちゃんも知ってる!一緒にご飯食べたり、手をつないだりするのよ!」

 

男の子2「最後には、ちゅっちゅしたりねんねしたりするらしいなー」

 

北郷「わーわー!君たちにはまだ早すぎます!!」

 

 

 

子供たちの会話が、どんどん危ない方向へとシフトしつつあったので、北郷が何とか止めに入った。

 

 

 

魏延「まったく、桔梗様は何を吹き込んでおられるのだ・・・」

 

 

 

結局、北郷は子供たちの将来を心配しつつも、今日は忙しいからまた今度と断りを入れたこともあり、

 

子供たちから怪しみの視線を存分に受けたが、最終的には子供たちもあきらめ、

 

二人は子供たちからひゅーひゅー言われながらその場を後にすることになった。

 

周囲の民衆の視線が痛々しいのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

【益州、成都、城下町・見張り櫓】

 

 

次に二人が訪れたのは、中央広場から少し歩いたところにある見張り櫓 ―正確には見張り櫓跡地― であった。

 

ここは趙韙軍の攻撃をもろに受けており、現在兵士たちが修繕を行っているところである。

 

 

 

魏延「これは成都を代表する建物の1つだ。まあ、見ての通り壊れてしまっているがな。ここはこの成都で一番の高台に位置するから、

 

見張り場としては絶好の位置なんだ」

 

 

 

すると、魏延は櫓の修繕を指揮している男に声をかけた。

 

 

 

魏延「張任、作業のはかどり具合はどうだ?」

 

張任「その声は、魏延殿ですかい?まあ、ぼちぼちですわな」

 

 

 

すると、張任と呼ばれた現場監督は、建設途中の櫓から飛び降りてきた。

 

立派な顎鬚に、スキンヘッドがまぶしい、一方その瞳は子犬のようにつぶらである、見た目四十代後半のナイスミドルである。

 

 

 

張任「おや?おやおやおや?これはこれは魏延殿、ようやくいい人が見つかったのですな?そうと言ってくれれば、祝いの品の一つでも

 

用意しやすのに」

 

 

 

張任は北郷のことを、目を細めながらジロジロとみると、魏延に向かってさわやかに微笑みながら見当違いなことを言いだした。

 

張任の様子を見るに、どうやらからかっているのではなく、素で言っているようである。

 

 

 

北郷「へ?」

 

 

魏延「だーかーらー!!いいかげん眼鏡を買え!!眼鏡を!!コイツはそんなんじゃない!!お館だぞ!!お前、お館が領主になる事を

 

引き受けた時に跪いて挨拶してただろう!!」

 

 

張任「魏延殿、お言葉ですが、眼鏡は良くないですわ。あのようなもの、弓の邪魔にしかなりやせん、そうですとも」

 

 

 

張任は神妙な面持ちでうなずきながら眼鏡を否定していた。

 

 

 

魏延「いや、だから弓を使うときだけ外せば―――というかそもそもお前―――」

 

 

 

しかし、魏延の言葉を無視し、被せるように張任は自己紹介を始めた。

 

 

 

張任「改めまして御遣い様(●●●●)。あっしは張任と申しやす。普段は厳顔様の副官としてコキ使われてやす。以後お見知りおきを」

 

北郷「・・・張任さんといえば、烈士二君に仕えず、ですよね・・・すいません、オレみたいな馬の骨が主君になっちゃって・・・」

 

魏延「??」

 

 

張任「・・・さすがは御遣い様、すべてお見通しってわけですかい。しかしご安心くだせぇ。あっしは劉焉様が築き上げた成都をお守り

 

するためにも、御遣い様のために、この弓の腕を存分に振るう所存でさ」

 

 

 

ここ成都では、伝統的に主君の呼称は「お館様」或いは「お館」で統一されている。

 

そういう意味で、張任が北郷のことを「御遣い様」と呼称したことには、

 

「二君(ここでは、劉焉一家以外の君主という意味か)に仕えず」といった意味合いが暗に示されていた。

 

そのことに魏延は気づかなかったが、北郷は三国志の知識もあり、気づいたのであった。

 

魏延はやや不思議そうな顔をしていたが、やがて気にせず話を続けた。

 

 

 

魏延「張任は弓の腕は確かなのだが、ド近眼でな。射程内の獲物は逃さないが、決まって狙った獲物じゃないという面倒くさい奴だ」

 

張任「いや~それほどでも」

 

 

 

張任は照れ臭そうに顎鬚をポリポリとかいていた。

 

つまり、さきほど魏延が言いかけていたことは、お前は弓を使うときこそ眼鏡が必要だろう、ということなのだろう。

 

なるほど、どこかネジが一本抜けている人なんだな、と北郷はなんとなく察していた。

 

 

 

魏延「褒めてない!」

 

 

 

結局、去り際に張任が、やはりお二人は仲が宜しいようだ、あっしもそろそろいい人を見つけないと、

 

などと兵士たちに言いまわっていたようだが、北郷は見なかったことにした。

 

そして、魏延が、法正を唆して絶対仕事の量を倍にしてやる、などとブツブツ呟いていたことも、北郷は聞かなかったことにした。

 

 

 

 

 

 

【益州、成都、城下町・食堂街】

 

 

その後も城下町の各所を巡っていた二人であったが、ちょうど昼食時となったことから、食堂街へと向かうことになった。

 

当然ながら、辺り一面食欲をそそる中華料理の香りで充満している。

 

 

 

魏延「成都では先々代劉焉様の代より、城下の活性化のために、城内に厨師を置いていない。だから皆この一帯で食事をしている」

 

 

 

ぐぅー

 

 

 

魏延の言葉に相槌を打ったのは、美味しそうな香りに対して、早く食わせろという抗議の声を上げた北郷の腹である。

 

 

 

北郷「ははは、さっそくお昼にしよう。焔耶、どこかお勧めの場所はない?」

 

魏延「まったく、仕方のないヤツだ。まぁ、そうだな。それなら、この店がワタシはおススメだな」

 

 

 

そう言って魏延が薦めたのは、食堂街と言う激戦区をいかにも生き抜いていますといった風の、年季の入ったたたずまいの店だった。

 

橙色ののれんには ”麻婆伯伯” と書かれている。

 

 

 

北郷「へぇ、まーぼー・・・麻婆専門店なの?」

 

魏延「まーぼーぱいぱい、だ。とにかく入れ。そうすればわかる」

 

 

 

そして、二人は店内へと入っていった。

 

店内は建物の外観からイメージしたよりも少し広いくらいであった。

 

お昼時ということもあり、それなりにお客さんが入っていた。

 

とりあえず、空いていたカウンター席の端に二人は腰かけた。

 

 

 

店主「へぃらっしゃいッ!おっ!魏延様、兵以外の御仁をお連れたぁ珍しい、もしかして彼かいッ!?」

 

 

 

二人に水とおしぼりを持ってきた、燃える中華料理人風の、身に着けた前掛けがはち切れんばかりのムキムキナイスガイな店主が、

 

魏延の顔を見るなり威勢の良い大きな声でそのようなことを言ってきた。

 

 

 

北郷「ははは・・・」

 

 

魏延「だから違ァうッ!!お・や・か・た・だッ!!お前お館の就任式の時、屋台を出していただろう!!まさかお館のことを知らない

 

などとは言わせないぞ!!」

 

 

 

魏延は本日三回目のお前御遣い(領主=主君)と付き合ってんの?的な発言を受けて憤慨した。

 

 

 

店主「はっはっは、冗談ってェもんよッ!あまりにお似合いだったもんでッ!」

 

魏延「な―――ッ!」

 

 

 

本日三度目の勘違いだったとはいえ、実際ストレートにお似合いと言われたのは、

 

麻婆伯伯店主が初めてであり、思わず面を食らってしまった魏延は赤面して絶句していた。

 

 

 

北郷「え、えーと、親父さん。ここのおススメって何ですか?」

 

 

 

何やら変な空気になりそうだったため、北郷は本来の目的である昼食にありつくべく、

 

バンダナ姿の良く似合うマッチョ店主におススメを尋ねた。

 

 

 

店主「へいッ!やっぱりウチでは、この麻婆ラーメンってェのが看板料理ってェもんよッ!」

 

 

 

店主は力強く、カウンターに座っていた他の客が食べていたラーメンを指さした。

 

二人が指差された方を見てみると、かなりビビッていたのか、不運な中年男性客がゲホゲホとむせていた。

 

 

 

北郷「じゃ、じゃあ、それでお願いします」

 

魏延「ワ、ワタシもそれでいい・・・」

 

 

 

合点でィ!と隆々とした胸板をドンと叩くと、すぐさま調理にかかった。

 

料理が出来上がるまでの間、北郷はボーっとメニューに書かれた数々の「麻婆○○」を不思議そうに眺めている一方、魏延は悩んでいた。

 

 

 

魏延(やはり、ワタシとお館が二人でいたら、そう見えてしまうのだろうか・・・いや、そ、そんなはずは―――ッ!だが、こう何度も

 

言われては・・・)

 

 

店主「へいお待ちッ!麻婆ラーメン二人前でさァ!」

 

 

 

魏延がそのようなことを考えている内に、店主がラーメンを作り終え、トンと二人の前に置いた。

 

注文してから出されるまでの時間が異常に早かった。

 

それが、この店が食堂街という激戦区を生き抜いてきた所以の一端なのかもしれない。

 

そして、北郷は待ってましたと箸を取り、いただきまーす!とラーメンを食べ始めた、

 

その刹那、北郷の目がカッと見開かれる。

 

 

 

北郷「むむむ!!??これは・・・!!ラーメンに麻婆あんかけがかかっているのかと思えば、そうじゃなくて、麻婆に麺を入れ込んで

 

いるのか!そして、この細麺にもかかわらず、こしのしっかりした麺が麻婆に絡み対いて、余すところなく麺を楽しめる!まさに逆転の

 

発想!そう、これは初めてつけ麺に出会った時の如き新鮮な感覚に似ている!さらに、この妥協を許さない本場仕込みの辛さが口内を!

 

食道を!胃を!攻撃的に刺激する!まさに四川料理!これが至高の味ってやつか!しかも、このシャキシャキした歯ごたえはまさか!」

 

 

店主「おッ!?御遣いの旦那、お目が高ェ!ウチでは変わり種ってェことでメンマを入れてんでィ!」

 

 

 

北郷のハイテンションなグルメ感想をスルーし、店主は自慢の品を看破されたことに喜んでいた。

 

 

 

北郷「そういえば、長沙で買った肉まんにもメンマが入ってたよな・・・流行ってるんですか?」

 

店主「へい、何でも、最近巷でメンマの伝道師とかってェのが―――」

 

 

 

などと北郷と店主の会話が盛り上がる間にも、魏延の思考は巡りに巡り、留まるところを知らない。

 

 

 

魏延(―――いや、しかしワタシとお館は主従の関係だし・・・いや、そもそもワタシはお館に対してそのような感情を抱いているわけ

 

では・・・)

 

 

北郷「―――なんだろ?」

 

 

 

そのように思考の深みにはまっている魏延に、突然北郷が話を振ってきた。焦った魏延はあたふたしながら次のように答えた。

 

 

 

魏延「も、もちろんそれなりに恩義などを感じてはいるが好きとかそういうのでは決してない!!」

 

北郷「・・・別に好きとかそういうことを聞いたわけじゃないんだけど・・・」

 

魏延「・・・へ?」

 

 

店主「おいらァそういうのも全然いける口だがね。性別なんざ問題じゃねェってェもんよッ!厳顔様も粋なお方でィ!きっと魏延様の

 

気持ちも受け止めてくれるってェもんよッ!」

 

 

魏延「―――ッ!?」

 

 

 

どうやら北郷は魏延に厳顔のことをどう思っているのか聞いたらしい。

 

しかし、北郷の意図した質問の答えになっていなかったにもかかわらず、会話が成立してしまう悲劇であった。

 

 

 

北郷「そういえば、焔耶全然箸が進んでいないじゃないか。お腹すいてないのか?」

 

魏延「な、何をバカなことを言っているんだ!腹は減っている!」

 

 

 

魏延は話題をそらそうと麺にがっつく。が、さすがに激辛の麺を一気にすすれば結果は見えていた。

 

 

 

魏延「―――――ッッッ!!??」

 

北郷「ちょ、おま、ばか!大丈夫か焔耶!?」

 

 

 

未知の辛味を一気に胃の中に流し込んだ魏延は、文字通り火を吹く勢いで声にならない叫びをあげた。

 

 

 

【第二十九回 拠点フェイズ:魏延①・城下案内という名のデート(前編) 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

第二十九回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

今回は一刀君と焔耶の城下案内午前の部でした。

 

とはいっても、中央広場や、見張り櫓跡といった史跡(一刀君的には)、そして城下各所(どこかは不明)を巡ったり、

 

一緒にご飯食べたりしてる時点でデートに相違ありません本当にありがとうございます。

 

 

そしてこのタイミングで登場のオリキャラ張任さん、残念ながらおっさんでした。

 

一応軽くご紹介をば、、、

 

 

 

●張任:チョウジン。立派な顎鬚にスキンヘッドが眩しく、一方子犬のようなつぶらな瞳がギャップな、四十代後半独身のナイスミドルなおっさん。桔梗さんの副官。どこか抜けている言動が多いが、本人はいたって大真面目。ド近眼だが、眼鏡の使用を頑なに断る。弓の名(迷)手で、狙った標的は確実に仕留めるが、ド近眼の為、仕留めた標的は高確率で求められている標的と違う残念な人。あと噂好き。

最初は劉焉さんに仕えていたため、「烈士は二君に仕えず」の言葉通り、劉焉さん一家に対する忠誠心は固く、元劉璋君配下の中では唯一、一刀君のことを「お館」と呼ばず、「御遣い様」と呼び、劉璋君帰還を信じている。(別に一刀君を恨んでいるわけではなく、むしろ成都を救ってくれて感謝している)

 

 

 

本当はまだまだ成都には名有りモブがいるのですが(つまり奥様方の旦那たち或いは子供たちの父親たち)

 

彼らがスポットを浴びる日は恐らくないかなぁ 笑

 

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

どうでもいいですが、奥様と子供たちの関係に気づいた方は相当な三国志通かもです、、、?

 

 


 
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