No.640923

高みを目指して 第19話 IS編

ユキアンさん

奇跡というのはまさにこの子の事だろう。
by零樹

2013-11-29 15:23:20 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2110   閲覧ユーザー数:1957

 

 

 

side 零樹

 

 

姉さん達と合流してからオレ達は様々な世界の魔法やアイテムを収集して行った。それでもまだ父さん達に出会う事も、その痕跡を見つける事も出来ずに焦りが見え始めていた。だが、誰も休もうと言えなかった。疲れ果てた身体と心を引きずりながら世界を渡り続けていた。このままでは潰れる、そう思い始めた頃にそれは起こった。

 

 

アリスが妊娠したのだ。それが分かった時点で一番近い、魔法などがなさそうな世界へとオレ達は降り立った。そこで偽の経歴や戸籍を獲得して適当な会社を作って暮らす事になった。さすがに赤子を放ってまで旅を続ければ父さん達に再会された時にどんな目に会わされるか分からなかったので姉さん達も一緒に旅を中断する事になった。姉さん達も休む必要があると感じていたのも理由の一つだろう。

鉄鋼関係の会社を作り、そこで普通の依頼を受ける傍ら、今までの旅で手に入れた鉱物などの研究を行い、平凡に暮らす事になった。

 

 

そして産まれて来た子供は奇跡の塊とも言える存在だった。産まれて来た男の子は人間だったのだ。吸血鬼の特徴も、龍と思われる何かの特徴も、莫大な魔力も、固有結界も持たない、普通の人間の子供だった。その事にオレ達は喜んだ。姉さん達やフェイトもだ。オレ達の旅に連れ回す事も無く、普通に暮らして、普通に死んでいけるこの子は、オレ達の希望でもあった。オレはこの子に始まりという意味を込めて、父さんから受け継いだ零(れい)と言う名を与えた。この子には裏の事を一切教えずに普通に暮らしてもらう事をオレ達は決めた。

 

 

それからは楽しくて幸せな日々を過ごした。フェイトやリーネ姉さんがおっかなびっくりな手つきで零に触ったり、抱いていた時に急に泣かれておろおろしていたりしていたのは微笑ましかった。どんどん大きくなっていく零に色々な物を見て触れて体感させる為に色々な事にも挑戦させたり、色々な所に旅にも行った。若干大人しい性格ではあったが幼稚園や小学校でも友達に囲まれて楽しそうに笑っていた。

 

 

そんな楽しい日々を送っていたある日、それは起こった。日本に向かって2000発以上のミサイルが発射されたのだ。幸いにも着弾予想地点は住んでいた場所とは離れていたので問題は無かったのだが、ただ事ではないという事でリーネ姉さんが千雨さんの形見のアーティファクトを使用して調べた所、とある人物がハッキングを行ったことが判明した。その人物は2000発以上のミサイルをただ一機で全て撃ち落とし、その後日本近海にいた全ての軍を壊滅させた兵器の開発者、篠ノ之束。

 

 

そいつが発表した兵器、ISは女性にしか扱えないという欠点を除けば世界最強の兵器であった。その事に世界は揺れ、女尊男卑が広まり、姉さん達の怒りに触れてしまった。

今の生活をオレ達は気に入っていた。特にリーネ姉さんが。零を一番可愛がっているのもリーネ姉さんだった。それが女尊男卑から来るいじめに零が巻き込まれ、相手の家を社会的に潰しただけでは怒りが収まらず、平穏を崩した篠ノ之束を絶望に突き落とす事をオレ達に宣言した。まあオレ達もやりすぎない程度なら構わないかと思い、リーネ姉さんに協力する事にした。あっ、ちなみにいじめの原因は零は直接関わっていない。馬鹿な親が子供に女尊男卑のことを歪曲して教え、友達を虐めていたのを零が庇っただけのことだ。そして多少の怪我をしたことにリーネ姉さんがマジギレしただけだ。

 

 

まず姉さんが始めたのはISの会社を作る事だった。相手の土俵に立って相手以上の技術を見せつけるためにだ。ISの操縦者は刹那姉さんが担当することになる。この時点でどんな物を作っても負ける事は無くなってしまった。正直言って生身で戦う方が強いから。だけど妥協はせずにオレとフェイトで高性能な機体を作り上げる。篠ノ之束が作ったISは刀一本で戦うISだったのでそれに合わせてこちらは刹那姉さんの戦闘法に合っている上に全力の姿に容姿が似ていない事も無いという事でラインバレルを製作した。一応ビームライフルも用意してあるが、基本は二本の太刀で戦う全身装甲の機体だ。ちゃんとカウンターナノマシンも用意してあるので全身を黒くしたりする事も出来るし、オーバーライドも可能だ。そしてISコアは搭載するだけで機器とは一切接続しない。国から支給されたISコアを解析した所、ISコア同士で情報の伝達を行う事が出来るらしく、姉さんが再び調べた所、上位存在である篠ノ之束の命令には逆らえないらしい。なのでISコアを置くスペースだけ作ってエネルギーは魔力と気を変換して使用出来る様にしてある。

 

 

リーネ姉さんの目論み通り、日本の国家代表を決める大会において刹那姉さんは破竹の勢いで決勝まで勝ち上がり、決勝の相手は篠ノ之束の親友である織斑千冬となった。結果は見るまでもなく刹那姉さんが圧勝した。織斑千冬も強かったし、暮桜の性能も高かった。だが所詮は人間の域。人外であり世界に囚われないオレ達に勝てる訳が無かった。篠ノ之束は必死にこちらのISコアに停止信号を送っていたようだが、どうする事も出来なかった。そしてあと一撃で勝負が決まる量までエネルギーを削り、地に這いつくばらせた状態で刹那姉さんはギブアップを宣言。

その後相手側の罵声の一切を無視してIS学園の教師になった。教師になる事は大会が始まる前から打診があり、刹那姉さんの夢であった教師になるという事を叶える為と、リーネ姉さんの策略の為もあり代表にならない為のギブアップ宣言だった。これによって織斑千冬がどれだけ頑張っても『偽りの女王』『勝ちを譲られたもの』という評価が絶えず付きまとい、再選の申し出を全て拒否した上にラインバレルは完全に解体し、ISコアも国に返還した事もあって評価が変わる事はなかった。ラインバレルのスペックも公表したことで篠ノ之束の暮桜を上回っていた事が判明し、篠ノ之という名の評価もある程度下がった。姉さんの会社は国からの要請で高性能な量産機を作りつつ、裏では趣味の物を開発するという具合であまり変わっていない。ちなみにシェアは7割を占める大企業なのだが、規模を全く大きくするつもりはないので最初期の社員しかいない。しかも全員がブラザーズとシスターズという身内だけの会社で株式会社でもないので利益は完全に独占するという意味が分からない会社だ。

 

 

 

そして大会から数ヶ月後、高速で接近する未確認の機体が探知結界に引っかかったので用意しておいたボン太君を身に纏い、撃退する。撃破しないのは後処理が面倒だからだ。それからもちょくちょくと性能が上がってやって来るので全て気づかれない様に撃退していった。都市伝説になってしまったのでおもしろがってぬいぐるみを作って駅前で露天を出して売ってみたら以外と人気が出たので特許をとってゆるキャラとして全国的に売り出した。これがまたバカ売れしてしまった。

 

 

 

月日が流れるのは早いもので来年には零は高校生になるのだが、最近避けられている。嫌がっていたりする訳では無いのだが、たまに距離を測りかねている。何か悩み事でもあるのだろうか?アリスとは問題無いようだ。そこで過去を振り返ってみると思い当たる事があった。派手に才能を見せつけすぎた。零は普通なんだ。色々と経験させたり、オレ達が指導したりするから平均よりは上だし、十分優秀と言える。だが、何千年と経験を積んで来たオレ達と比べる事が出来ない。その事で悩んでいるのだろう。アリスは最初から気付いていたのか専業主婦として生活していたから問題無かったのだろう。さすがのこれにはリーネ姉さんはへこんだ。一番零の事を思っていた姉さんの行いが逆に零を苦しめていた事に盛大にへこんだ。それでもへこんだ姿を見せると心配をかけてしまうからと零の前ではいつも通り振る舞っていた。

 

 

そして再び世界は揺れ動く。女性にしか扱えないはずのISを起動させた男が現れたのだ。織斑千冬の弟である織斑一夏、そしてオレの息子である天流零。

ああ、世界よ。そんなにもオレ達の事が嫌いなのか。良いだろう、ならば戦争だ。オレ達はあの子の為なら何だってやってやろう。例え世界の全てが敵になるのなら、全ての敵を屈服させてやろう。オレ達の希望であるあの子を、オレ達は支えきってみせよう。

 

 

side out

 

え〜、というわけで世代交代ですよ。

IS世界にチート共が参戦。

原作スタート時点からの変更点は以下の通りです。

 

・織斑千冬がそこまで評価されていない。

・織斑千冬がIS学園の教師として居ない。(というか兎と一緒に行方不明。生活費は振り込まれている模様)

・もしかしたらデュノア社が潰れている。(IS部門のみ?)

・裏でISに変わる物の量産中(今の所は初期のPT、詳細はヒーロー戦記を参照。良いアイディアがあればそちらに変更、もしくは並列で製作)

 

それから渡り人一家の詳細も

・例に漏れず男である零樹はISを起動させられない。

・フェイトも人形の所為かISを起動させられない。(シスターズ、ブラザーズも)

・ぶっちゃけるとISを装着しない方が強い。

・零には魔法関係を一切教えていないし、教えるつもりは無い。(状況や情勢によっては教えるかもしれない)

・ARIA編から300年程経過、少なくとも80以上の世界を渡っている。

 

位ですね。


 
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