No.631368

魔法戦記リリカルなのはmemories 最終章 新たなる聖王の歴史(メモリー) 本幕【終わり、そして始まりの日】 第百二十三話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2013-10-26 00:14:27 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1705   閲覧ユーザー数:1645

……思ったより話が長くなってしまったw

 

次回エピローグ入りたかったけど、終幕もう一話続きます……すみません。

 

まぁ、終幕のメインは今回の話と次回の話なんですけどね。

 

前半部分の内容は……多分大丈夫だと思います…… はい。

 

それではどうぞ!!

 半年後、ミッドチルダの復興がかなり進み、一部の地区では暮らせるようにまで戻すことができた。

 そんなある朝、ミッドチルダとはかなり離れた管理外世界の森の奥――その中にあったログハウスみたいな一軒家に、二人の女性が暮らしていた。

 

「はやてちゃん朝だよ~」

「ん~ もう朝なのか」

 

 高町なのはと八神はやては、あの後管理局に気付かれないように、誰もが気づかれないような管理外世界の森の中にある家で暮らすこととなった。

 はやてはベッドから起き上がろうとするが、すぐに自分の姿が裸であったことに気付く。どうして裸になっていたことは寝ぼけてすぐに思い出せなかったが、数秒してどうして裸だったのかという事に気づき、つい顔を真っ赤になって毛布で隠した。

 そんな様子を、寝間着にエプロンを着ていたなのはは含み笑いをしており、はやては慌てて下着と寝間着を着ている姿をさらに見ることとなり今度は声を押し殺せずに笑い出した。

 

「な、なんでそんなに笑うん!?」

「だ、だって、そんなに慌てるはやてちゃん、なんかかわいいんだもん」

「か、かわいいいうな!!」

 

 はやてが裸だったという事はなのはも知っており、というよりもなのはも起きるときは裸だった。

 というか、はやてが起きるときに裸だったという事は今日だけではないし、前にも何度かあったはず。それなのにもかかわらず、はやてが恥ずかしるところを見るのはなのはの楽しみの一つになっていた。

 

「それに、未だに恥ずかしがるはやてちゃんを見てると、なんだか楽しいんだもん」

「人で楽しむな!! というか、なのはちゃんは逆にどうしてあんなことをしておいて、恥ずかしくないと思えるんや!!」

「それを私に聞く? 人を何人も殺めた私にとって、恥ずかしいことももうどうでもよくなるよ」

 

 ダメだ、話にならない。そう思ったはやてはとにかく今は服を着ることを優先しようとして、からかわれないようにしようと考えた。

 正直はやては今のなのはは多少信じられない点があった。なのはが居なくなる前と今では性格が少し変わっていたからで、管理局という枷が外れて自由に気ままに生きているという感じに思えていた。それはそれでよいと思うけども、こうも何度も突っ込みをさせられる側としては逆に疲れるという事というほとだった。

 ちなみに、はやてが言ったあんなことについては……まぁお察しください。

 

「……それで、エプロン姿だという事は朝食ができたっていうことでええんかな?」

「そうだね。そのためにはやてちゃんを起こしたようなもんだし。それじゃあ、先に行って待ってるね」

 

 下着と寝間着を着終えたはやてはなのはの姿をみて朝食ができたから起こしてくれたのだろうと思った。

 とにかく、朝食ができているのならばさっさとリビングへと向かおう。そう思ったはやてはなのはがいるリビングへと向かっていった。

 リビングにつくと、なのはが作った朝食がすでに並べられており、なのははすでに自分がいつも座る椅子に座っていた。はやてもいつも座る椅子へと座って、はやてが座ったのを見てお互いに挨拶をしました。

 

『いただきます』

 

 互いに箸を持ち、二人はなのはが用意した朝食を食べ始めた。

 最初は何もしゃべらずに無言で食べていたが、一度箸を置いてなのはははやてに話しかけた。

 

「ねぇ、はやてちゃん一つ聞いていい?」

「……どうせまた、管理局に戻らないとかやないよな?」

「やっぱり、そう何度も聴いたら解っちゃうか」

 

 今までも何度か管理局に戻るかとなのはははやてに聞いたことがあるが、はやてはその質問をされる度に拒んだ。はやては自分が人を殺めてしまったことに受け入れられておらず、こんな自分が管理局に居てもいいのだろうと思っていたからだ。

 ミルティオル・ベスカを殺してからも、はやては幾度も悩まされていた。ミルティオルを殺してから数週間なんかはうなされることがよくあり、なのははその度に心配していた。先ほどはやてが裸になっていた理由も、なのはがはやての心配をして気を安らげさせるために始めたのがきっかけだったりする。

 

「何度も言っているけど、私は管理局に戻るつもりはない。フェイトちゃん達は心配してくれるけど、それが逆に辛くなるのは目に見えておるんや」

「けど、それを言ったら私なんて……」

「なのはちゃんは強いやんか…… 管理局の正体を知り、自ら人を殺める覚悟を決めておった。けど私は違うっ!! 怒りに任せて殺めたけど、そう簡単に割り決められない!! 戻ったら、戻っただけで辛くなるだけや……」

「…………」

 

 何も、なのは言い返せなかった。なのはとはやては違う――そんなことは誰だって分かっていることであり、はやての言葉に否定することが出来なかった。いや、なのはだからこそはやての言葉を否定することは絶対にすることができなかった。はやてを苦しませたのは、自分自身だったから――

 

「……ごめんなさい」

「なんで、なのはちゃんが謝る必要があるんや? これは、私の問題だというのに……」

「そりゃ、謝るよ。元を辿ればはやてちゃんを苦しめる様にさせた原因は、すべて私なのだから――」

 

 聖王教会で、なのはがはやてに会ってしまったのがすべての原因だったのかもしれない。このときのなのはは、はやてが知りたかったであろう闇の書について、もったいぶらせるような言い方をしてしまったのがすべてのきっかけだ。そして、その原因を作った現在のベスカ家の当主、ミルティオル・ベスカを殺されるように仕向けてしまい、それが今のはやての状態を作らせて様なもので、すべては自分がきっかけを作ってしまったのが原因だと、なのはは思っていた。

 その責任として、なのはははやてを支えようと思い、管理局へ復帰させるようにしようと思った。しかし、自分がそのようにした原因でもあったために、はやての反論にいつも言い返せなくなり、はやての事をなのは一人だけでは支えることができなかった。その度になのはははやての事で胸が締め付けられ、苦しめられるくらいだった。

 

「…………」

「…………」

 

 その後、二人はお互いに何もいう事はなかった。はやても、なのはが謝った理由について何も言わなかったのはその通りでもあったために、そこで否定してしまうのはできなかったのだ。

 無言のまま朝食を食べ、食べ終わった後はそれぞれ食器を流しに置いて、バラバラの行動をとることとなった。

 なのははとりあえず食器を洗うために流しへと向かい、食器を洗いながら反省をしていた。今回はいつもより重い空気になってしまったし、自分が謝ったことによって余計空気が重くなったことはすぐに分かった。

 なのはは食器を洗い終えた後、洋服に一度着替えてからはやてに一度外に出て空気を吸ってくると言って、外に出ることにした。そのときのはやてはただ頷くだけで、ベッドの上でうずくまるだけだった。

 

「……私には、できないのかな?」

 

 上を見上げ、木々の隙間からでる木漏れ日を見ながらも、なのはは家の壁にもたれ掛り、ため息を吐いた。

 自分でははやてをどうすることもできない。それがどうしてもなのはを苦しめることとなり、助けを求めるわけにもいかなかった。助けを求めるという事はここにフェイト達に連絡を取るということで、それこそはやてが望んでいないことだろうし、余計ややこしくなるのは分かっていた。

 こんなにも、自分が役立たずだと思ったことはなかった。親友の一人すら救うことができない――今まで管理局のためというために動いていたのにもかかわらず、たった一人を救うことができないという事が、今のなのはにとっては辛かった。

 正直言えば、なのははこの場で誰かに助けを求めたいところだった。しかしそれをすることができない。となれば、なのは一人ではやてを救わなければならない。しかしそれも、なのは一人だけでは力不足。ならば、誰かに助けを求めなければならない……まるで連続する負の連鎖だった。

 もう自分にははやてを救うことができないのではないか、そう思うことが最近多くなっていた。できることと言えば安らぎを与えることだけで、それ以上の事をなのはではすることができず、そのことが悔しかった。

 

「もう諦めたい――そう思う事だってある。けど、私にはゼーゲブレヒドの末裔としてやることがまだたくさんある」

 

 そう――なのははゼーゲブレヒドとしてやることがまだあった。しかし、はやてをここで見捨てるわけにはいかず、それすらもできないでいた。

 しかし、このまま同じことを何週間も、何ヶ月も続けるわけにはいかない。そうとなれば、なのは自ら動かなければならなかった。なのはやはやての心配をフェイトやアリシアなどはもちろんだが、ヴィータやシグナムなどの八神家はもっと心配しているだろう。みんなのためにもなのはは動くことを決意した。

 負の連鎖が続くのならば、どこかを切り捨てなければならない。今なのはに足りないものは自分一人では救うことはできないという事で、ならば助けて貰える人を呼んで来ればいいと思った。

 

「……はやてちゃんには悪いけど、これ以上――立ち止まっているわけにはいかないの」

 

 それからなのはは目の前に画面を表示させ、半年ぶりにフェイトへと連絡をするのだった。

 そして、フェイトが画面に表示されたのを見て、なのはが連絡してきたことにフェイトは驚いていたが、なのははフェイトに向けて話し始めた――

 

「フェイトちゃん、お久しぶり。悪いんだけど、今すぐある話を聞いてほしんだ――」


 
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