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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第二十一回 第二章:益州騒乱③・革命軍の戦闘準備

stsさん

どうもみなさん、お久しぶりです!または初めまして!

今回は革命軍の戦闘準備、一刀君の初陣はもうすぐそこまで迫っています、、、


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2013-09-18 00:00:06 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:6022   閲覧ユーザー数:5114

法正「お館、いくらなんでも天の御遣いなんて得体の知れねぇ人間に大将を任せて、しかも1万程度の兵士で漢中の内乱を治めよう

 

なんて無謀ですぜ。俺が見たところ、あの男はとても大将なんてタマじゃねぇですぜ」

 

 

 

劉璋軍の軍師らしからぬ不良軍師、法正(ホウセイ)は、魏延の代わりに劉璋の側に控えていた。

 

少し長めの金髪をオールバックで流し、眼頭から頬にかけて真一文字の傷跡がついており、

 

誰もが認める屈強の武将然とした雰囲気であるが、唯一軍師装束に身を包んでいることが、この男が軍師であることを証明していた。

 

 

 

劉璋「何を言うのじゃ孝直。御使いの力を試すのじゃからこれでよいのじゃ。上手くいけば、我が軍に強力な配下が加わるのじゃからの」

 

 

 

劉璋は相変わらず適当に侍女らと戯れながら、つまらなさそうに法正と会話している。

 

 

 

劉璋「それに、お主の目は節穴かの?奴は乱世を鎮める救世主なのじゃろ?じゃったら、一国の内乱程度、余裕で鎮められるじゃろ。

 

本当に評判通りの男なのならば、奴にそのまま成都の立て直しのために働いてもらえばよいのじゃしの」

 

 

 

成都を疲弊させた張本人の口から、成都を気にする言葉が出るとは。まさか知ってて好き放題してんじゃねぇだろうな、

 

などという考えが次々に浮かぶものの、何とか飲み込み、法正は考え直しを求めた。

 

 

 

法正「それにしても、せめてもっと十分に準備をしねぇと、下手すりゃウチらが全滅しちまうってこともありえますぜ。なんせ援軍を

 

求めてるのは、漢中領主・張魯(チョウロ)じゃなく、その暴政を止めようとしている革命軍。お館は漢中の張姉弟のことを舐めすぎですぜ」

 

 

劉璋「あのようなアホでチビの小娘に、デカいだけの木偶の坊、厳顔や文長らなら赤子の首をひねるよりも容易く抑えられるじゃろ。

 

そんなことより趙韙はまだ帰らぬのかの?お主の代わりにさっさと法を整備させたいのじゃが」

 

 

 

劉璋は法正の諫言を適当に受け流し、話題をそらせた。

 

結局、魏延の代わりに劉璋のお守、もとい側近は法正が任されていたため、法を整備するものがいなくなってしまっていたのだ。

 

 

 

法正「さぁ、まだ戻っちゃいねぇですぜ」

 

劉璋「まったく、相変わらず使えん奴よの」

 

 

 

劉璋は不満そうに愚痴るが、その声色は極めてどうでもよさそうである。

 

 

 

法正「お館、少し趙韙に対して厳しすぎじゃねぇですか?そんな扱いしてたら、いずれ愛想を尽かされちまいますぜ」

 

 

 

法正の讒言にも、劉璋は法正の方を見向きもせず、適当に侍女たちと戯れながら、無関心に答えた。

 

 

 

劉璋「ふむ、愛想を尽かしたいのならそうすればよいのじゃ。なにも我慢してまで妾の配下でいる必要はないのじゃからの。じゃが、

 

案外本当に謀反の準備でもしておるのかの?」

 

 

 

劉璋は退屈そうにそのようなことを言っては、侍女たちと笑い合っている。しかし、その笑いすらもつまらなそうな空笑い。

 

 

 

法正(お館、さすがにそりゃ笑えねぇぜ・・・)

 

 

 

 

 

 

【益州、漢中付近】

 

 

 

厳顔が整えられた兵士は約10000人であった。

 

5日間という短期間ということもあり、やや心許ない数ではあったが

 

(むしろ4、5日でよくこれだけ準備できたと厳顔や兵士たちを褒めるべき所である)、

 

たかだが一国の内乱を鎮めるのだからこれだけ集まれば十分だろうという、

 

劉璋の判断が決め手となり、予定よりも2日早めての出発となったのだった。

 

天の御遣い・北郷一刀を大将に据えた劉璋軍の主力は、厳顔、魏延、そこに客将の呂布、高順、張遼が加わった顔ぶれである。

 

そして軍師には、軍師の力も試したいという劉璋の要望から、呂布側からだせとのことで、陳宮がついていた。

 

今は漢中付近にいる依頼主の元へ向かっている最中である。

 

 

 

陳宮「ところで厳顔殿、依頼主とは誰なのですか?」

 

 

厳顔「五斗米道のものだそうだ。なにやら五斗米道のなかで別々の勢力ができており、その一方の指導者、張魯が現在漢中を治めている

 

ようなのだが、そいつが重い税を取り立てておるらしい。そこで、反対勢力、つまり革命軍が共に張魯らを抑えてほしいと願い出たのだ」

 

 

張遼「ごとべ・・・なんやそのけったいな集団は?」

 

 

 

張遼は頭に?を浮かべている。一方陳宮は、依頼主が五斗米道のものだと知り、やや顔をしかめた。

 

 

 

陳宮「五斗米道といえば、確か妙な鬼道を操り、人心を掌握するとかいう―――」

 

高順「そうは一概にも言えませんよ」

 

陳宮「どういうことですか?」

 

 

 

陳宮の質問に、北郷が答えた。

 

 

 

北郷「この前、ななが毒蛇にやられたのを直してくれた医者がいたっていう話をしただろ?その人が五斗米道(ゴッドヴェイドォォ)の人だったんだよ」

 

陳宮「なんですと!?」

 

 

 

北郷は正しい発音をしようと注意深く発音したが、特に誰もその違いに気づいていないようである。

 

 

 

高順「その方は五斗米道を大陸一の医術にして仁術、と評していました。事実、彼の医術の腕は本物でしたよ」

 

厳顔「つまり、五斗米道の中にも様々な勢力が混在している、ということで間違いなさそうだな」

 

魏延「桔梗さま、依頼してきたのは医者だったのですか?」

 

厳顔「いや、それは分からぬ。兵の話によると、男だという情報しかない。内容も書簡によるものだからな」

 

張遼「まあ、ぐちぐち考えてもしゃーない、会ってみんのが一番手っ取り早いやろ」

 

呂布「・・・早く行く」

 

 

 

結局、依頼主が誰なのかもはっきりわからないまま、厳顔らは依頼主と会う約束の場所を目指した。

 

その道中も、辺りには飢えに苦しんでいる人を幾度となく見かけていた。

 

 

 

北郷「・・・ここもなのか・・・」

 

魏延「クソッ、どこもお偉いさんのやりたい放題という訳か・・・!」

 

厳顔「・・・急ぐか」

 

 

 

そして、厳顔たちは無事漢中近郊にある、約束の場所、具体的には大きいとまでは言えないものの、

 

それなりの大きさをもった、少々古ぼけた建物へ到着した。

 

すると、そこには短髪の赤毛に凛々しい顔立ちの、一人の男が待っていた。

 

 

 

そう、北郷と高順にとって忘れようもない、高順の命の恩人。

 

 

 

北郷の世界でも名医として名高い、大陸一の医術にして仁術、五斗米道(ゴッドヴェイドォォ)の継承者。

 

 

 

華佗である。

 

 

 

 

 

華佗「すまない、救援に来てくれてありが―――北郷じゃないか!高順も!」

 

 

 

華佗は、相変わらず暑苦しいほどの大きく元気な声で礼を述べようとしたときに、

 

救援に駆けつけてくれた中に北郷と高順の姿を確認すると、ブンブンと大きく手を振ってきた。

 

 

 

北郷「華佗!」

高順「華佗様!」

 

 

 

北郷と高順も、華佗の姿を確認すると、同様に手を振り返した。

 

 

 

厳顔「知り合いか?」

 

北郷「今話していた五斗米道(ゴッドヴェイドォォ)の医者ですよ」

 

 

 

 

 

 

華佗「いや、まさか北郷が援軍に来てくれるなんてな!成都に向かっていたのは仕官するためだったんだな!」

 

北郷「まさかこんなに早くまた会えるなんて。でも今は再会を喜んでいる場合じゃないんだろ?詳しく話を聞かせてくれよ」

 

 

 

建物(華佗曰く、自身の診療所らしい)の中に入った厳顔、魏延と呂布一行は、華佗から詳しい話を聞いた。

 

その話を要点だけまとめると、今まで漢中は五斗米道の張魯が治めていたが、最近張魯が私欲のための政治をするようになり、

 

漢中王を自称し、特に税を重くし、民衆は飢えに苦しんでいるという。

 

そんな中立ち上がったのが、華佗率いる五斗米道(ゴッドヴェイドォォ)だそうな。

 

ただ、この革命を起こそうとしている五斗米道(ゴッドヴェイドォォ)は華佗一人しかいないらしく、他は華佗に呼応した漢中及び近隣の民衆の集まりらしい。

 

当然それでは張魯に太刀打ちできるはずもなく、結果、張魯の悪政を改めさせるには、

 

隣国の劉璋に頼るしかなかった、とのことであった。

 

 

 

厳顔「ふむ、つまり、実質こちらの戦力はわしら頼みというわけか」

 

華佗「すまん!俺は正直に伝えろと言っておいたんだが、情報伝達に齟齬があったみたいだな・・・」

 

 

 

華佗は素直に頭を下げて詫びた。

 

自身はちょうど治療中の患者を何人も抱えているという状況であったため、使者は華佗に呼応した民衆に頼んだとのことだが、

 

やはり不慣れなためか、情報が正しく伝わらなかったようである。

 

 

 

魏延「いかがいたしますか、桔梗様?」

 

 

 

通常ならこのような他国に全面的に負担を追わせる願いなど聞き入れるべくもないのだが、

 

華佗の潔い姿勢に、魏延は厳顔にどうしたものかと尋ねた。

 

 

 

厳顔「阿呆、焔耶よ。この軍の総大将は御使い殿だぞ?わしに聞くな」

 

魏延「・・・御使い、どうするんだ?」

 

 

 

厳顔は何も間違ったことは言ってないのだが、魏延はややムスッとして改めて北郷に問いかけた。

 

そして北郷の答えは、少しの間も置かず、すぐに返ってきた。

 

 

 

北郷「この街の状態を見て、見捨てられるわけないよ。それに、隣国でそんな悪政が繰り広げられていたら、良い関係も作れないしね」

 

華佗「じゃあ!?」

 

北郷「ああ、一緒に今の政治体制を改善させよう!」

 

 

 

これぞ総大将特権と言わんばかりに、自軍に圧倒的な負担がかかるにもかかわらず、北郷は協力することを即答で高らかに宣言した。

 

 

 

厳顔「ふむ、了解した」

 

魏延「ふん、甘い奴め」

 

陳宮「まあ、一刀殿なら当然の決断ですな」

 

張遼「よっしゃ、それでこそ一刀や!」

 

高順「さすがです」

 

呂布「・・・助ける」

 

 

 

各々が各々の感想を口々に発し、しかしやるからにはということで全員改めて気を引き締めて、具体的な作戦を練り始めた。

 

 

 

 

 

 

結局、華佗率いる革命軍に集まった兵力は500程度であった。

 

そのため、劉璋軍と合わせて計約10500で当たることになる。

 

華佗によると、張魯軍は20000ほどらしい。

 

そのため、数字だけ見れば、兵力では圧倒的に自軍が不利ではあるが、

 

張魯側の兵もまた、その約半数が戦いに不慣れな民兵らしく、実質戦い慣れした兵力を比べると五分五分といったところであった。

 

そのため、全員が民兵である革命軍は基本後詰として、戦い慣れした劉璋軍を中心に策が練られることになった。

 

軍議を仕切るのは陳宮である。

 

 

 

陳宮「これは華佗殿からお借りした漢中の地図です。見ての通り、漢中は周り一面険しい山に囲まれた地にあるです。ですから、張魯が

 

いるだろう漢中に入るには、どうしても通らなければならない関門があるです」

 

 

 

陳宮は机の上に地図を広げ、ある一部分に “陽平” と刻まれた黒い碁石を置いた。

 

 

 

厳顔「陽平関・・・か」

 

 

 

厳顔を始め、魏延や華佗の表情がやや曇った。

 

そんな様子を怪訝そうな顔をして、張遼は疑問を投げかけた。

 

 

 

張遼「なんや、そんなに堅い関所なんか?」

 

陳宮「陽平関といえば、虎牢関にも引け劣らない難攻不落の要衝。そう簡単にはいかないでしょうな」

 

北郷「それで、どうやって攻めるんだ?」

 

 

 

北郷の問いに、陳宮は一呼吸おいてから、何か思うところがあるのか、目を閉じ、十分に間を取ってから静かに言った。

 

 

 

陳宮「攻略の鍵は、やはり横合いの山道からの奇襲です」

 

 

 

そういうと、陳宮は碁石の両脇を指し示した。

 

 

 

高順「横合い・・・」

 

呂布「・・・」

 

張遼「やっぱそうなるんか」

 

 

 

かつて、呂布軍は、北郷と出会う前、董卓軍に所属していた頃、虎牢関で曹操軍に横合いの崖を強行突破されて、

 

城内への侵入をゆるし、主君の董卓や同僚の賈駆を討たれ、敗北したという苦い経験があった。

 

今回の作戦も、その時にやられた作戦に通じるところがある。

 

 

 

厳顔「ふむ、そうなると、山道からの奇襲に気づかせないよう、陽動役が中央で派手に暴れる必要がある、ということになるな」

 

魏延「ならば、その役はワタシがやろう」

 

 

陳宮「ですが、陽動役はかなりの危険を伴うです。そもそも、こちら側が不利とわかっているにもかかわらず、この戦いに参加すると

 

決めたのはねね達です。ですので、やはり危険な役はねね達がした方が・・・」

 

 

 

通常、軍師としては、自軍にとって不利な戦いには無暗に手を出さないのが上策である。

 

しかし、今回は北郷の判断で戦うことを決めてしまったため、

 

劉璋側から持ちかけられたこととはいえ、厳顔や魏延たちに危険な役を負わせるのは気が引けていた。

 

 

 

―――しかし・・・

 

 

 

魏延「陳宮、といったな。悪いが、それはいらぬ心配と言うものだ。この魏文長が力、見誤ってもらっては困る」

 

陳宮「しかし・・・」

 

厳顔「そういうことだ、軍師殿。陽動役はワシと焔耶が務めよう。派手に暴れることは得意だからな」

 

 

 

魏延と厳顔は、気遣いなど無用、と陳宮に遠慮なく自身たちへ陽動役を任せるよう伝えた。

 

 

 

陳宮「・・・わかったのです。では、陽動役は厳顔殿と魏延殿に任せるです。陣形は基本的に魚鱗の陣で持久戦に持ち込むのがよいかと

 

思いますが、適宜判断してくださいです。とにかく、できるだけ派手に暴れ、敵の目を引き付けてくださいです」

 

 

厳顔「了解した」

魏延「了解だ」

 

陳宮「敵の多くは民兵とはいえ、相手には地の利があるです。くれぐれも油断のないようにしてくださいです」

 

 

 

陳宮は少し考えていたが、厳顔と魏延の意志をくみ取り、二人を陽動役にすることに決めた。

 

陳宮は地図上の陽平関を示す黒の碁石の手前に、 “厳” “魏” と書かれた白い碁石を置いた。

 

 

 

陳宮「そして、山道には左翼を恋殿、右翼を霞にお願いするです。左右から挟み込み、一気に陽平関を落としてくださいです」

 

呂布「・・・(コクッ)」

張遼「了解や!」

 

 

 

そして、本命の奇襲部隊には、たとえ山道であっても、騎馬隊を率いて強引に素早く動けることが見込める、呂布と張遼に任せた。

 

陳宮は先ほどと同様に、“厳” “魏” と書かれた白い碁石の両脇に “呂” “張” と書かれた白い碁石を置いた。

 

 

 

陳宮「張魯軍が山道からの奇襲を警戒している可能性も考えられるです。くれぐれも気を付けてくださいです」

 

 

 

陳宮は最後に、華佗には後詰めとして本陣を固め、主に負傷兵の治療に当たるように指示し、

 

そして陳宮が一通り指示を終えたところで、まだ自身の名前が出てこない北郷は、どうすればいいのか陳宮に聞いてみた。

 

 

 

北郷「ところでねね、オレはどうしたらいいんだ?」

 

 

 

しかし、北郷が質問したその瞬間、この場の時が止まった。一同目を丸くして北郷の方を見ている。

 

 

 

北郷「あ、あっれぇ~、オレなんか変な事言った?」

 

 

 

北郷は皆から思わぬ視線を受け、全身に嫌な汗を感じ、ドギマギしつつどうしてこの場の時が止まってしまったのか理解できずにいた。

 

 

 

厳顔「お主は大将だろうが。当然、本陣でどっしり構えるに決まっておるだろう」

 

魏延「いったい何を考えているんだキサマは」

 

呂布「・・・一刀は大人しくしてて」

 

張遼「絶対飛び出しなや」

 

陳宮「一刀殿なら、戦闘中兵士が危ないとかで飛び出しかねないです。なな、一刀殿の見は――げふんげふん、護衛頼みましたです」

 

高順「了解しました」

 

 

 

各々が北郷に制止を呼びかけるが、特に呂布軍の北郷を見る目があからさまにあきれ返ってますと言わんばかりのジト目である。

 

下邳での曹操に対する行動や、陳宮を助けるために熊の前に立ちはだかったり、高順を助けるために崖から飛び降りたりと、

 

これまでの北郷の行動が、呂布軍に対して十二分に警戒心を抱かせる結果となってしまっていたのだ。

 

陳宮は “北” “陳” “高” “華” と書かれた白い碁石を陽平関から少し離れたところの正面に置いた。

 

 

 

北郷「ひっでぇ~!さすがのオレも命投げ打って味方兵の盾になんかならないよ!」

 

 

 

北郷の必死の弁明もむなしく、呂布軍から一斉にため息が漏れ出た。

 

 

 

 

 

 

軍議も終わり、呂布と張遼が、劉璋軍の兵士に動き方の確認をその場で済ませ、

 

(初めて会った兵士に対してそのような離れ業を短時間で済ませてしまう辺り、さすがというべきである)

 

いよいよ陽平関に向けて出陣する時がやって来た。

 

呂布達は、整然と隊列を組む兵士たちの前に立っている。

 

 

 

陳宮「では一刀殿、兵士たちに戦闘開始の檄を飛ばすです」

 

 

 

一介の高校生が、戦闘前の兵士に向かって檄を飛ばせ・・だと・・?

 

いったい何の罰ゲームだ!?頼むからドッキリであると言ってくれゴッド!!などと心の中で叫ぶが、

 

もうここまで来てしまえば逃げも隠れもできないことは言うまでもなかった。

 

 

 

北郷「でもオレ、まだ劉璋の配下にすらなっていないのに・・・うぅ、緊張するな・・・」

 

陳宮「シャキッとするです!一刀殿が総大将ですぞ!」

 

 

 

そのような情けない弱音を吐いている北郷に対して、陳宮は腰のあたりをバシッと叩いて喝を入れた。

 

ここでちんきゅーキックが出ないことが、これがドッキリでないことを北郷に思い知らせた。

 

北郷が改めて兵士たちを見回すと、誰もが自身に対して胡散臭そうな眼差しを向けている。

 

いくら成都でも天の御遣いの評判がいいとはいえ、外部から突然やって来た奴が、

 

いきなり自分たちの総大将だと言われたのだから、当然の反応である。

 

北郷はもう一度呂布たちを見回した。

 

彼女らは皆、自信を持て、という視線を送ってきた。

 

そこでようやく、北郷は一度目を閉じ、一度大きく深呼吸をして覚悟を決め、そうして再び目を開けると、

 

自身が出来得る最大限の威厳を含んだ口調で、目の前の兵士たちに向かって叫び始めた。

 

 

 

北郷「・・・みんな、今回客将の身分でありながら、総大将を任された北郷一刀だ!世間では天の御遣いなんて言われている!

 

この戦いは、成都近隣の漢中での悪政を正すための戦いだ!漢中領主・張魯は漢中王を名乗り、民から不当な重税を取り立てて、

 

民を苦しめている!それで、そんな苦しめられている人たちは、オレたち劉璋軍に助けを求めてきた!これを見逃すことはオレには

 

出来ない!!だけど、敵軍が守っているのは難攻不落の陽平関、簡単にはいかないかもしれない。けど、恐れることはない!!

 

我が軍には天の御遣いがついているぞ!!存分に力を発揮して、必ずこの戦いに勝ち、張魯を正し、漢中の民を苦しみから解放しよう!!

 

みんなオレに力を貸してくれ!!!」

 

 

劉璋軍「おおおぉぉぉぉぉーーーー!!!」

 

 

 

最初は胡散臭そうな顔をしていた兵士たちも、北郷の檄を聞いて次第に真剣な顔になり、

 

最後にはすさまじい鬨の声を上げるまでになっていた。

 

この場の全員が一つになった瞬間である。

 

 

 

呂布「・・・かっこいい」

 

陳宮「喋り方はあれですが、さすがは一刀殿ですな」

 

張遼「やるやんか一刀」

 

高順「立派です、一刀様」

 

厳顔「ほほう・・・」

 

魏延「ふん、まあよくやったほうだな」

 

 

 

呂布たちの仕官をかけた戦いが、漢中を救う戦いが、天の御遣い・北郷一刀の初めての戦いが、今、始まる。

 

 

 

【第二十一回 第二章:益州騒乱③・革命軍の戦闘準備 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第二十一回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

結局のところ、在野フェイズで華佗を登場させたのは、本章の話をよりスムーズに進めるためだったりします。

 

ちなみにオリキャラ・法正が男なのは非常に残念でした 笑

 

捨てキャラという訳ではないので、恋姫世界なら本来女性にすべきところなのですが

 

(劉璋は原作では確か男設定だったはず)、本作で男である理由は、今はノーコメントで 汗

 

 

それでは次回から戦闘です!できるだけスピード感持って書きたいものです。

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

張姉弟、、、久しぶりの女性オリキャラ、はたしてどんな娘になることやら 笑

 


 
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