No.616943

ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY4 デスゲーム初日

やぎすけさん

テストがあって遅れました。

2013-09-07 18:52:47 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1277   閲覧ユーザー数:1235

STORYⅣ デスゲーム初日

 

 

 

 

キリト視点

 

?「・リト・・きろ・・い・き・・・!」

 

誰かの声が聞こえてくる。

聞き慣れた声だが、何を言っているのかはわからない。

 

キリト〈何してるんだ?その前にここはどこだ?〉

 

それを意識すると、鼻に流れ込んでくる空気の匂いが鮮明になってくる。

これは土や草花、それに薄っすらとではあるが、鉄や煙の匂いも混じっている

 

?「キリト!」

 

キリト「っ・・・!?」

 

大声で名前を呼ばれて目を覚ました俺は、弾かれたように体を起こす。

周りを見渡してみると、そこは見たことのない場所だ。

辺り一面草原だが、土が剥き出している場所があったり、遠くの方には崖も見える。

一通り景色を見てから、俺は声の聞こえた方を見た。

するとそこには、―――両手剣とコートがないためやや違和感を覚えるが―――SAO時代からの相棒、デュオの姿があった。

相棒がいることで安心感を得た俺は、半ば反射的に問いかける。

 

キリト「ここは・・・?」

 

デュオ「ゲームの中だ」

 

そう答えると、デュオはウインドウを開いて続ける。

 

デュオ「どうやら、俺たちはまたVRワールドに閉じ込められたらしい」

 

キリト「っ!?・・・アスナたちは!?」

 

他のメンバーのことを思い出して訊いてみるが、デュオは瞼を閉じて首を横に振った。

 

デュオ「ここにはいなかった。おそらく別の場所に飛ばされたんだろう」

 

キリト「そうか・・・」

 

途端に今度は、アスナたちのことが心配になり、俺は視線を落とす。

不安になっている暇などないことも、自分の置かれた状況も頭ではわかっているが、もしものことが頭を過り、余計に不安になる。

 

キリト〈俺たちも大丈夫だったのだからきっと大丈夫だ〉

 

心の中で自分に言い聞かせるが、それでも不安を拭い切れない。

そんな心情を察してか、デュオが立ち上がった。

 

デュオ「心配なのはわかるが、今は他人(ひと)の心配してる場合じゃないぞ。取り敢えず動かないと」

 

キリト「・・・どうするんだ?」

 

デュオ「とにかく、街に向かおう。こんなフィールドじゃ、いつ襲われるかわからない」

 

俺たちはウィンドウを開いて、手持ちのアイテムとステータスを確認する。

ステータスにはHP300、FP200、SP5、とあるだけで、筋力値は愚か、レベルやスキルも無い。

所持アイテムは今着ている【コットンシャツ】と【布のズボン】、【レザーブーツ】そして武器の【ロングソード】だけ。

 

デュオ「武器を装備して出発するぞ」

 

キリト「OK」

 

俺たちはウインドウ画面を操作しロングソード―――デュオはツーハンドソード―――を装備。

それらを背中に吊るして歩き出した。

所々土が剥き出しになっている草原を、十数分さまよう。

すると、幸い近くに街があったらしく、モンスターにエンカウントする前に、石造りの街の城壁を発見した。

ぐるりと壁の周りを歩いて城門を見つけ、そこから中に入ると、すぐに道具屋を探し出して、必要なものを買い揃える。

回復用のポーションやマップ、食料を買い込む。

これで、1500ルートあった所持金が300ルートになってしまった。

所持金にあまり余裕がなくなってしまったため、俺たちは武器屋に寄りたくなるのを我慢して宿屋へ向かった。

12ルートと格安の宿屋を選び、2人で1部屋を借りる。

 

キリト「ふぅ・・・」

 

部屋に入ってすぐ、俺は近くにあった椅子に腰を落とす。

デュエル大会の時もそうだったが、この世界には疲れというものが存在するようだ。

従来のVRMMOにも空腹感や眠気などは存在したが、このゲームではその他に体の発汗作用や筋肉疲労による痛み、息切れなどまで、全て現実と同じように起きる。

そのため、疲労というものにあまり慣れていない俺は、ぐったりと椅子に沈み込む。

 

キリト「やっと休める」

 

デュオ「そんな長旅はしてないぞ」

 

キリト「そうだけど、でもいきなりデスゲームが始まったり、突然足場がなくなってフィールドに放り出されたりしたんだぜ?少しは疲れも出るだろ?」

 

ぶつくさ言いつつ、俺は顔だけでデュオを見る。

デュオは呆れ顔で頭を掻き、自分も椅子に座った。

次にウインドウ画面を開いて、剣とコートを解除する。

 

デュオ「取り敢えず、腹ごしらえしてから、これからのことを話し合おう」

 

そう言って投げてきたのは、先程買い込んでおいたホットドッグだった。

ここの宿屋は、アインクラッドの宿屋のように1階がレストランなどということはなく、食事は自分たちで用意しなければならないそうだ。

俺は飛んできたホットドッグを右手でキャッチし、同時に左手でウインドウを操作して剣とコートを解除する。

包み紙を取り外し、大口開けてそれにかぶりつく。

若干パサついたパンとジューシーなソーセージの味が口いっぱいに広がり、感覚を忘れていた胃に強力な空腹感を与える。

食欲を刺激された俺は、がつがつと残りを頬張り一気に食べ尽くす。

 

デュオ「相変わらずの食い意地だな。誰も取らないから落ち着いて食えよ・・・」

 

苦笑交じりのデュオは、自分の分を齧りながら、俺にワインボトルのような大瓶を差し出す。

 

キリト「ん・・・ん~・・・」

 

口を閉じたまま礼を言ってそれを受け取り、中身をあおる。

長い間渇き切っていた喉を、冷たく純度の高い水が潤す。

すると、空腹と水分を満たした体が、今度は睡魔を呼び寄せる

瓶を机に置き、そのまま椅子に座り込んでいると、すぐに安らぎの時間が訪れた。

デュオ視点

食事を済ませて水を飲んでいると、いつの間にかキリトの瞼が閉じ、深い眠りに落ちている。

 

デュオ〈まぁ、無理もないか。2回目とはいえ、いきなりデスゲームに巻き込まれて、気がついてからはずっと動きっぱなしだったからな〉

 

俺はキリトをベッドまで運んで掛け布団をかけた後、自分は机に戻りそこにマップを広げる。

見つめているマップは一面真っ黒く染まり、その中で俺たちのいる街の付近だけにポツンと、まるで点字のように小さい緑色が浮かんでいる。

 

デュオ〈おそらく現時点で行動したのは、この緑色の部分、黒い部分は行っていない場所だろう。だがそうなると、この世界の大きさはかなりのものになるな〉

 

俺はマップをタップして操作ウインドウを出し、マップを拡大して周りを見る。

 

デュオ〈俺たちのいる街がここだから・・・ん?なんだこの線・・・?〉

 

ふと、街の周りに妙なものを見つけた。

並行して並ぶ2本の線の間に、垂直な線が何本の書かれている。

それは、まるで・・・

 

デュオ〈線路・・・!?だとすると、これを辿っていけば・・・〉

 

マップを操作して、表示されている線を辿ると・・・

 

デュオ〈やっぱり、あった!〉

 

そこに表示されていたのは、station(ステーション)、つまり【駅】の文字である。

どうやらこの世界には転移結晶などがない代わりに、列車という移動手段が存在するらしい。

 

デュオ〈これについては、明日キリトと考えよう〉

 

俺はマップをストレージに戻し、キリトの眠るベッドの隣、部屋の奥側に配置されたもう1つのベッドに入ろうとして足を止めた。

その理由は、ある懸念があったからである。

 

デュオ〈この世界、アンチクリミナルコードは存在するのか?〉

 

気になった俺は、再びストレージを開いて剣を呼び出す。

鞘から剣を抜き、左手グローブを外して、指を刃に滑らせる。

 

デュオ「いっ・・・」

 

一瞬疾った鋭い痛みに、顔をしかめる。

見てみると、刃を当てていた指が切れ、つぅっと一筋の血が流れた。

 

デュオ〈やはりアンチクリミナルコードはないか〉

 

その確信を得た俺は、もう一度椅子に座り直し、そこでコートを装備し直す。

いつでも抜剣出来るように、ベルトから鞘を外して肩に掛けるように持つと、そのまま浅い眠りに落ちた。


 
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