No.610686

【モバマス長編】 アンタがプロデューサーなら、まあ悪くないかな 第1話

ryosukeさん

渋谷凛は、765プロダクションの新人アイドル。個性的過ぎるアイドル達と信頼を築き、仕事に自信とやりがいを感じ始めた凛であったが、新任のプロデューサーにいきなりユニット解消を決定される。

2013-08-20 21:20:28 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1694   閲覧ユーザー数:1662

 
 

第1話 アイドルの仕事も、まあ悪くないかな

 

 

 

 

 

 新米プロデューサーの歌田 調(ウタダ・ミツギ)は、事務所のデスクの上に広げた数名のアイドルのプロフィールを並べて、色々と考えながらそれらの並びを変えていった。

「お疲れ様です、プロデューサーさん」

「あ、お疲れ様です、小鳥さん」

 隣にある誰も使っていないデスクの上に、小鳥が熱いコーヒーが入った二つのマグカップを置く。マグカップの一つには黄色いヒヨコのイラストが描かれており、もう一つの方には音符のイラストが描かれている。

「ブラックで良かったんでしたっけ?」

「はい、ありがとうございます」

 そう言って歌田はマグカップに口をつけた。淹れたてのコーヒーはまだ熱く、喉が火傷しそうだったが、おかげで目が覚めた。深く薫るコーヒーとカフェインよりも、喉を焼くような温度が今は欲しかった。

「ふふ、どうです?」

「美味しいです。コーヒー淹れるの上手いんですね」

「ええ、ちょっとしたこだわりとコツがあって―――それと、そのマグカップ、見つけるの苦労したんですよ? ふふっ」

「マグカップ?」

 歌田はマグカップに描かれた音符のデザインを見た。

「ああ……俺の名字が『歌田』だからですか?」

「はい!」

 小鳥は少女のように屈託ない笑顔で言った。無邪気な表情に、歌田もつられて笑う。

「プロデューサーさん、あんまり根を詰めると、体に良くないですよ?」

「ええ、そうですが―――」

 歌田は、デスクの上に広げたアイドルのプロフィールが記載された書類に目を落とした。乱雑に置かれているようでも、数枚の書類は重ねてまとめられている。これは歌田の中で組まれたアイドルユニットの構成案に基づいている。

「小鳥さん、一つ聞いて良いですか?」

「一つで済みますか?」

「いや―――」

 歌田は苦笑して、

「でも、どうしても聞きたいことがあって」

 二人のアイドルのプロフィールを指さした。そこには、水木聖來と渋谷凛の顔写真がプリントされており、ダンス、ビジュアル、ボーカルのそれぞれの項目について、専属のトレーナーが評価した能力が数値化されて掲載されていた。

「この二人、どういう経緯で組んだんですか?」

「ええ……実は、児玉さんが……えと、前のプロデューサーさんが、凛ちゃんのダンステクニックを伸ばすのを目的に聖來さんと組ませたんですよ」

 児玉プロデューサーとは、歌田が来る前にプロダクションのプロデュース業務を担当していた前任のプロデューサーで、こだまコーポレーションの御曹司だ。現在はこだまコーポレーションの傘下にあるこだまプロという芸能事務所の社長兼プロデューサーをしているはずだ。

「でも、ダンスのレッスンならトレーナーがいるでしょう……」

「えと……その時、ちょうど児玉さんが立案した大型プロジェクトがあって……経費削減のために、先輩アイドルが後輩アイドルと組んで、スキルを伸ばそうっていう方針だったんです……」

「なるほど……」

 そうは言ったが、そのやり方を認めたわけではない。経緯は理解した、という意味だった。

 確かに、アイドル同士が互いに教え合って、能力を伸ばすやり方はある。かつて活躍した『モーニング娘。』にも、「教育係」という名目で、先輩が後輩に指導する慣習があったが、それは、ある程度、専門職のトレーナーから教育を受けた後で能力値を伸ばすのに役立つのであると歌田は思っている。

「―――で、そのプロジェクトとやらは?」

「ええ……結局、とん挫してしまって……」

「その後もなし崩し的にユニットを?」

「そうなんです……」

 小鳥は申し訳なさそうに言った。もちろん、小鳥が悪いわけではない。歌田は何だか小鳥を責めているような気分になってしまい、むしろ歌田の方が申し訳なくなる。

「あ、いや……教えて頂いてありがとうございます……。そういう経緯なら、このユニットは―――」

「解消ですか?」

「そうならざるを得ないでしょう」

 そう言って、その言い方が何だか成り行きに任せた、責任逃れのような表現になった気がして、歌田は言い直した。

「―――プロデューサーとして、今後、もっと良いユニットを提案します。このユニットは俺の判断で、解消します」

「そう、ですか……」

「………? 小鳥さん、このユニットに何か思い入れでも?」

「そういうわけじゃないんですが……聖來さんと凛ちゃん、仲が良いので……」

「そうだったんですか……でも、年齢が8つも離れてますよ?」

 確かに、聖來は23、凛は15だ。同じ年代とは言えない。

「そうなんですが……二人とも犬を飼っていて、ペットの話ですごく盛り上がっているときがあるんですよ。だから、ユニット解消になんてなったら、ちょっと寂しい思いをするのかなって……」

 もちろんアイドルの仕事には関係ないことですけど、と小鳥は付け足した。

「……まあ、解消と言っても、今後、二人で組む仕事が一切なくなるというわけでは無いですし。二人のことも考えたら、やっぱりアピールする方向性が離れているので……」

 聖來のダンススキルは、群を抜いている。トレーナーからも、かなり高い評価を受けており、トップレベルのアイドルなど比べものにならないくらいに優秀で、職業ダンサーとしても通用するレベルらしい。歌田はそれ程ダンスには詳しくないが、客観的に詳細なアイドルの能力を報告してくるトレーナー集団の評価なので、かなり信頼の高いものだと確信していた。

 ユニットは、それを構成するアイドルの調和が全てだ。一人のアイドルの技術不足が、ユニット全体のパフォーマンスを落とすこともあり得る。聖來が発揮できるダンススキルの上限を決めているのは凛であり―――また、凛のボーカルスキルの上限を決めているのは聖來なのだ。

「そうですね。二人の将来のためにも、ここはプロデューサーさんの言う通りに……あ、でも―――」

 小鳥は急に思い出したように言った。

「凛ちゃんと聖來さんが所属するのは『トリオユニット』ですよ? もう一人のメンバーはどうするんですか?」

「…………それ、なんですよねぇ……」

 歌田は頭を悩ませた。

 この残りの一人が、なぜ、聖來や凛と組んでいるのか、どう考えても理解できなかった。この意味不明のユニット構成を理解する必要はないし、ユニット解消はもう決定事項だ。問題は、どうしてアイドルとしてデビューしたのか理解できないこの少女を、これからどうプロデュースしていくかだ。トレーナーからの報告では、ダンスもボーカルも、決して高い数値ではない。むしろ、プロダクションの中でも劣等生の部類だ。

「―――小鳥さん、この娘は、どうプロデュースしていけばいいんですか……?」

 小鳥は苦笑しながら、どこか同情するように歌田を見た。

「さ、さあ……それを決めるのはプロデューサーさんですよ」

「ですよねぇ……」

 プロデューサー・歌田調は、その娘のプロフィールを困ったような表情で眺めた。

 

 残りのメンバーとは―――『星輝子』という少女であった。

 

 

 

 

 

 

 神奈川にあるテーマパークで、渋谷凛、水木聖來、星輝子の三人は、全国ネットのとあるテレビ番組の収録を行っていた。

 このテーマパークでは、幅広い品種の犬やそのミックスと触れ合える施設があり、目玉の一つとなっていた。今回はその施設の様子を取材する撮影であり、一言で言ってしまうとただ犬と戯れるだけの仕事だった。

 一通り収録が終わった後、撮影スタッフらはテーマパークの別の絵が欲しいということで、カメラを担いで別の場所に行っている。現在はアイドル三人で犬と戯れながらスタッフの撮影が終わるのを待っている。

「ねえ凛ちゃん」

 水木聖來は、チャウ・チャウの子供を抱えながら凛に尋ねた。チャウ・チャウといえば大型犬だが、まだ子供なので腕の中で簡単に抱けるサイズだ。モフモフとした毛の中に顎を埋めながら、聖來はうっとりとしている。

「はい?」

「今回のお仕事、新しいプロデューサーさんが取ってきてくれたんだってさ」

「へえ……。歌田さんでしたっけ」

「そう。凛ちゃん、もう会った?」

「いえ、まだ……」

「歌田さん、凄く良い人そうだったよ」

「そうですか……」

 聖來は大好きな種類の犬を抱けているので目を輝かせながら言ったが、前任のプロデューサーよりは随分マシな人材が来た―――という意味がこめられているのを、凛は気づいた。顔には出さないが、随分と前任の児玉プロデューサーに対するフラストレーションが溜まっているのが分かった。もっとも、不満が溜まっていたのは凛も同じだった。

「歌田さん、私たちが犬好きなの知ってて……?」

「うん」

 聖來は嬉しそうに答えた。

「私に今回の仕事内容を伝えてくれた時、犬好きでしょ、って言ってくれて」

「良い人みたいですね」

「そう、今回はきっと、うまくいくよ、私たち……」

「そうかも………………知れませんね」

 凛も少しだけはにかむ様に笑った。まだ見たこのないプロデューサーだが、少しだけ信頼できるかもしれないと思い始めた。歌の仕事をもらえるかどうかは分からないが、

「聖來さん」

「ん?」

「私、ホントは歌いたけど……こういう、私たちに向いている仕事をさせてくれるなら、アイドルの仕事も、まあ悪くないかなって……そう思うんです」

「うん―――私も!」

 聖來はチャウ・チャウを抱きしめながら言った。

「じゃあ、次はキノコの仕事だね!」

「え、キノコですか……」

「そう! ね、輝子ちゃん!」

「――――――」

 聖來は犬と戯れている輝子に話しかけたが、

「た……たすけ、て……」

 輝子は何匹もの犬に押し倒されて、ベロベロと顔を舐めらている。

「あの―――凛、たすけ……て……」

「………………」

 輝子は凛に助けを求めたが、凛は抱えていたチワワを、輝子の胸の上に置いた。

「う、うわぁあ……」

 チワワはしばらく輝子の顔をじっと見ていたが、すぐに他の犬同様に輝子を舐め始める。口元をベロベロと舐められ、輝子は真っ青な顔をさらに青くさせた。

「よかったじゃん、気に入られている証拠だよ」

「―――え……?」

「犬が信頼している証拠だよ、口元を舐められるのは……」

「いや……こんな獣に、信頼されても……」

「仲よくしてあげなよ。わんこ達は輝子のこと友達だと思ってるんだから」

「トモ……ダチ…………? フヒ、フヒヒ……」

 輝子は自分を舐めてくる犬たちの目を見た。何かしら感じるものがあったらしく、恐る恐るという感じで犬を撫で始めた。

「そうそう、そんな感じだよ」

「凄いね輝子ちゃん、わんこ達がこんなに気に入ってくれるなんて、何か輝子ちゃんがフェロモンでも出てるのかな」

「きのこの薫り……?」

「フヒ、フヒヒ……フヒヒヒヒ……!」

 犬たちを気に入った輝子は、今度は舐めて来る犬たちを逆に舐め始めた。

「しょ、輝子ちゃん……!?」

「うわぁ、なんかエロいね」

 輝子に舐められる犬は舌を引っ込めて死んだように動かなくなった。今度は逆に犬が怯えているようにも見える。

「フハハハハ! トモダチ! トモダチィイイイイ! トモダチなら舐めあうのも当然、だな……フヒヒヒヒッ!」

 

 

 

 

 

 

 結局、犬を舐める輝子の奇行を不振がった施設のスタッフが飛んできて、輝子達は犬と戯れるコーナーを丁寧に追い出された。聖來は別の撮影に向かったスタッフを探しに行っており、凛と輝子は、ロケバスが停車している駐車場に来ていた。

「ご、ごめん……」

「気にしないでよ、わんこ達は嬉しがってたよ……………………たぶん……」

 輝子はいつも持っているキノコの小さな鉢を抱えて呆然としていた。

「元気だしなよ、輝子。どのみち、もう撮影は終わって帰らなきゃいけないんだからさ」

「―――うん……」

 輝子は気のない返事をしたが、凛の方へ視線を向けてジッと見つめた。

「なに?」

「凛は……犬……飼ってる?」

「飼ってるよ。ヨーキーとミニチュアダックスのミックスで、ハナコって名前なんだ」

「飼うの……た、たいへん……?」

「大変だよ」

「そ、そう……」

「まあ、でも―――動物飼うってそういうことだよ。大切な友達なんだから、その分、大変なんだよ」

「―――そ、そっか……そうだな……」

「きのこの栽培だって、大変じゃないの?」

「―――! う、うん、大変。大切な友達だから……その分、大変だ……」

「でしょ」

 輝子は、ジッと凛の目を見ると、手に持っていた小さな鉢を凛に手渡す。

「…………な、なに?」

「犬とトモダチになりたい……でも、凛ともトモダチなりたい……。友情の証に、き、きのこ……」

「あ、ありがとう……」

 困惑しながらも凛は鉢を受け取った。

「―――っていうかさ」

「―――?」

「私たち、もう友達だし、仲間じゃん。同じユニットなんだから」

「………………!」

 輝子は大きく目を見開いた。そして、顔を赤くして、俯きながらいった。

「今度、犬の飼い方……色々、教えて……」

「うん、いいよ」

 凛は笑顔で答えた。

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様です、小鳥さん」

「お、お疲れ様、三人とも……」

「―――?」

 撮影も終わり、凛、聖來、輝子の三人は事務所に帰ってきた。小鳥は三人を出迎えるが、どこかぎこちない。

「どうしたんですか、小鳥さん?」

 聖來がテーマパークで買ってきたお土産を渡しながら聞いた。

「あの―――三人に、高木社長が話があるって……」

「社長が?」

「ええ……その、ユニットの今後について……」

「―――!?」

 その言葉に一番動揺したのは、輝子だった。輝子は急に走り出して、ノックもせずに社長室へ飛び込んだ。

「輝子ちゃん!」

「ちょっと―――輝子! 待ちなって!」

 急いで聖來と凛が輝子を追いかける。

 いきなり入ってきたのにも関わらず、高木社長は笑顔で三人を迎えた。

「おお、君たちか。どうだったかね、撮影は」

 輝子は口をパクパクと動かしながら社長の前に立ち尽くしていた。何から言っていいか分からない輝子の手を握りながら、ユニットのリーダーでもある聖來が聞いた。

「あの、高木社長……ユニットのことでお話があると……」

「ふむ……そのことかね」

 社長はわずかに顔をしかめて真面目な表情になった。

「実は……新任の歌田プロデューサーから、ユニット再編の提案が来ていてね……」

「―――!?」

「彼はまだ来てから日が経っていないから、決めかねているが…………私としては、彼のユニット構成案で行こうと思う」

「そんな、急に……!」

「悪いとは思っているよ。しかし―――新しい『まともな』ユニット構成案がある以上、一日でも早くその体制に移行したい。丁度、アイドルアルティメイトの本選も終了したことだし、三か月後に始まる予選に向けて、早くユニットの再編をしたいんだ。だから―――」

「ふざけないでよっ!」

 そう叫んだのは凛だった。

「なんで、そんな―――まだ会ったこともない人間に決められなきゃいけないの!?」

 普段から物静かな凛が叫んだことで、聖來と輝子、そして小鳥は一斉に委縮した。社長だけは真っ直ぐに凛の視線を受け止める。

「凛君、これは君たちにとってもプラスの決断だよ。……それに、まずはユニットの構成案に目を通してから―――」

「私たちのためだとしても、考えた本人から直接、聞かせてください!」

「それは―――できない」

「できない……!?」

 頭に血が上った凛は社長の机をバン!と叩いた。

 その音に驚き、輝子はビクンと肩を震わせたが、聖來は我に返って、社長に詰め寄ろうとする凛を羽交い絞めにする。

「そんなふざけたこと―――!」

「凛ちゃん、落ち着いて!」

「離してよ聖來さん!」

「聖來君、離してあげなさい」

「でも、社長……」

「いいんだ、私が悪いのだから」

 凛は少し落ち着いたようで、社長を睨み付けていた。

「凛君、すまないが……歌田君は今、忙しんだ」

「そうでしょうね」

 凛は吐き捨てるように言った。

「―――。君たちに言うことではないが、歌田君は、何というか……児玉君の尻拭いとも言える仕事で奔走している」

「あの男ッ……!」

 凛の瞳に、また別の怒りが灯った。前任のプロデューサーに色々と振り回された記憶が蘇る。

「それが終わらないと、君たちも満足に仕事ができない状況なのだ。だから―――今は彼の指示に従って欲しい……。彼も、君たちに直に会いたがっていたよ」

「知りませんよ、そんなこと。…………社長、前から言いたかったことがあります」

「何かな?」

「もう、私たちに無能なプロデューサーをつけるのはやめて下さい」

「…………」

 反論はしなかった。社長も児玉に期待したことはあるが、結局、無能だったのは確かだった。

「私は―――私たちは、今のユニットでやっていけます。だから、私たちのプロデュースを律子さんに!」

「律子君は、今、竜宮小町のプロデュースがあるし、担当アイドルも随分と抱えている。―――それに、律子君も、ユニット編成を以前から提案していた」

「そんな……」

「歌田君も優秀の人間だ。きっと君たちも彼の手腕に満足するだろう」

「ころころとユニットを変えるところは、あの男そっくりです……!」

「まあ待ちたまえ……彼はまだ来たばかりだろう。それに、これは児玉君が滅茶苦茶にしたユニットの再編の意味もある。いつかはやらなければならない事だった」

 社長は申し訳なさそうに言った。

「だから、凛君―――」

「他のユニットはともかく、私たちの状態は最高です。今日だって―――」

「君は明日からソロだ」

「―――なっ!?」

「存分に歌える。いや、歌ってくれたまえ」

「そんなこと……」

 歌える――その言葉に意志が揺らいだ。そして、意志が揺らいだ自分自身に絶望する。年齢は離れているが、ペットをきっかけに聖來と信頼を築けた。それに、ダンスに関しては、師匠ともいえる存在だなの。そして、今日、輝子とも親友になった。上手くやっていける―――そんな確信があったのに、ボーカル能力の限界まで歌えるなら、と思うと友情や信頼を『裏切って』まで一人でステージに立ちたくなる。

「聖來君もだ。本当は、君のダンス能力も我々は承知している。……そして、輝子君、君の個性も存分に引き出せる。そのためにはユニット解消しかない」

 聖來も輝子も何も言えなかった。

 社長は遠まわしに『三人ともそれぞれの個性や能力を潰し合っている』と言っているし、三人もそれに気づいている。気づいていても、それを乗り越えて信頼関係を築いたはずなのに……こうしてユニット解消の話を出されると、冷静に考えれば、それが魅力的な提案に思えてくる。

「君たちには残酷な提案かもしれないが―――」

 社長は、込み上げてくる罪悪感を押し殺して言った。

 

 

 

「ユニットは解消だ―――これは、社長決定でもある…………」

 

 

 

to be continued...

 

 
 

 
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