No.609887

真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」第二話


 お待たせしました!

 前回の続きで、ヒロイン達と一刀の出会い

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2013-08-18 07:46:04 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:9391   閲覧ユーザー数:6753

 

 俺は途方にくれていた。

 

「此処は何処だ…見た事も無い場所だし、携帯は繋がらない

 

 し…どうすりゃいいんだ?」

 

 とりあえずは昨日の行動を思い出す。

 

 学校から寮へ帰った後、部屋に来た及川と三〇無双をやっ

 

 て、終わったらすぐ風呂入って寝た…はず。

 

 それが何故、こんな見た事も無い野外にいるのだろうか?

 

 しかも制服を着ていて、じいちゃんに預けていたはずの刀

 

 が腰にささっている。最初は偽者かと思って抜いてみたが、

 

 どう見ても本物だ。

 

「一体どうなってるんだ?大体、服装や刀を用意するなら食

 

 い物の一つも置いておいてほしかった…ああ、腹減った」

 

 何度も言うが俺は途方にくれていた。このまま何時までも

 

 途方にくれていても仕方ないと思っていても途方にくれた

 

 ままであった。しかし…。

 

「うん?何か話し声が…誰か来るのか?」

 

 とりあえず声のする方へ顔を向けると、ひょっこりと顔を

 

 出したそれはそれは美少女と眼が合ったのであった。

 

「なんじゃ、起きてるではないか」

 

 彼女の第一声は結構間の抜けたそんな言葉であった。

 

 

 

「姉様、確認もせずに近付いてはいけません。もし本当に賊

 

 の一味だったらどうするおつもりだったのですか?」

 

「その時は皆斬り伏せるまでじゃ」

 

「はぁ…これだからもう」

 

 そこにもう一人、それはそれはそっくりな顔の美少女が現

 

 れて先に来た娘と話をし始めていた。

 

「お二人とも、待ってくだされ。そんな早足はじいには酷で

 

 ございます」

 

「何時も若い者には負けんとか言っておったではないか?」

 

 さらにまた今度はおじいさん…は少し失礼な位の男の人が

 

 現れる。しかし、じいねぇ…もしかしてこの娘達は何処か

 

 いい所の娘なのだろうか?

 

「ところでお主、何時までそうやって寝ておるつもりじゃ?」

 

 しばらく女の子と話していた男の人がようやく俺の方に顔

 

 を向け、話しかけてくる。

 

「そうですね、出来れば…何か食べる物を。丸一日何も口に

 

 してないもので」

 

 俺のその返答に三人とも眼を丸くしていた。

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 分けてもらった魚の干物を食べ終わり、俺は三人に深く頭

 

 を下げる。

 

「ならば改めて…お主は誰じゃ?」

 

 今度は最初に現れた方の女の子が話しかけてくる。

 

「あっ、そうでした。俺の名前は北郷一刀と申します」

 

「…?変わった名前じゃの。姓が『北』で名が『郷』で字が

 

 『一刀』か?」

 

「いえ、姓が『北郷』、名前が『一刀』です。字というのは

 

 ありません」

 

 俺がそう言うと三人は驚きの表情をしていた。しかし字っ

 

 て…確か昔の中国で使われていたって聞いた事はあるけど、

 

 ってまさか…。

 

「あ、あの…ちょっとお聞きしたいのですけど、此処は一体

 

 何処なんです?」

 

「此処は涼州と雍州の境の辺りです」

 

 俺の質問に二番目に現れた女の子が答える。

 

 りょうしゅう?ようしゅう?どう考えても九州って言って

 

 るようには聞こえないし…それじゃもしかして…。

 

「もしかして此処って漢王朝の領土とかですか?」

 

 

 

 俺のその質問に三人共眼を伏せる。その表情は何処かしか

 

 悔しげにも見えるが…俺、何か悪い事言ったのか?

 

「あ、あの…」

 

「…すまぬ、お主は何も知らんし悪くも無いから心配するな。

 

 確かに此処は漢の皇帝、劉宏様の治める地じゃ」

 

 はっと我に返った感じの男の人が俺の質問にようやく答え

 

 てくれた。

 

 マジですか…それじゃタイムスリップ?そんなの今時SF

 

 でもあまり見かけなくなったっていうのに、俺自身が体験

 

 するって…。

 

 そう思いながら頭を抱える俺を見て、最初に会った女の子

 

 が話しかけてくる。

 

「お主は何処か違う所から来たのか?此処が漢だと知って随

 

 分と困惑しているようじゃが」

 

「はぁ、俺の国はこの大陸より東にある島国なんです。でも

 

 今そこにいっても俺の国はありませんが」

 

 俺がそう答えると、三人の頭の上に「?」マークが浮かぶ。

 

「どういう事です?何やら話が見えませんが…」

 

 二番目に会った女の子は眉根を潜めたままそう話しかけて

 

 くる。

 

 

 

「ええっとですね、何と言えばいいのか…あっ、そういえば」

 

「何じゃ?」

 

「皆さんの名前聞いてなかったような…」

 

「そういえばそうじゃな。妾の名前は『李儒』じゃ」

 

「私は『李粛』と申します」

 

「儂の名前はおう…『王凌』だ」

 

 李儒…李粛…王凌…何か何処かで聞いた名前だな。やはり

 

 此処は三国志の時代なのか…あれ?確か李儒も李粛も男じ

 

 ゃなかったっけ?これはただのタイムスリップって事でも

 

 無いって事なのか?

 

「それで?お主の国が東に行っても無いとはどういう事なの

 

 じゃ?」

 

 俺が黙ったままなのに痺れをきらした李儒さんが話を切り

 

 出してくる。

 

「俺にも何がどうなっているのかまったく理解出来ていない

 

 のですが…多分、遠い未来から来たっぽいですね」

 

「「「来たっぽい?」」」

 

「そう考えるしか無いんじゃないかという話ですけどね」

 

 俺のその答えに三人とも首をかしげるばかりであった。

 

 

 

「俄かに信じ難い話ではありますが…」

 

「まあ、嘘つくならもっともっともらしい事を言うしの」

 

「ふむ…それについてはおいておくとして、とりあえず我々

 

 も何時までも此処でこうしてても仕方ないですな。まずは

 

 この者の処遇を考えなければなるまいかと」

 

 三人はそう言って頷くと、李儒さんが俺に向かって話しか

 

 けてくる。

 

「北郷、じゃったの?お主、行く所が無いのなら妾達と一緒

 

 に来ぬか?」

 

「えっ、いいのですか?自分で言うのも何ですが胡散臭いで

 

 すよね、俺」

 

「大丈夫じゃ、何故なら…」

 

「何故なら?」

 

「妾の女の勘がお主は大丈夫と言っておるからじゃ」

 

 李儒さんのその言葉に俺は正直開いた口が塞がらない。

 

「あの…李粛さん」

 

「あまり気にしないでください。姉は深く考えていないだけ

 

 ですが、勘が外れた事も無かったですから」

 

「へぇ…李儒さんがお姉さんだったのですね。李粛さんの方

 

 がしっかりしてるようだし、てっきり李粛さんの方がお姉

 

 さんだとばかり」

 

「何時もそう言われます。実際、双子なので私も姉もあまり

 

 姉とか妹とかは気にしてないですけどね」

 

 李粛さんはそう言って笑っていた。

 

 

 

「それで、どうします?姉がああ言ってますので、これから

 

 ずっと同行するかはともかく、街まで位なら一緒でも私も

 

 特に問題は無いですが」

 

 李儒さんだけでなく李粛さんもそう言ってくれてるのなら

 

 …どっちにしても此処にこうしていても何も進展しないの

 

 は確かだ。

 

「それではお言葉に甘えて…近くの街まででいいですから」

 

 こうして俺は李儒さん達と一緒に行く事となった。

 

 しかし…。

 

「目標発見…張譲様へ連絡」

 

 それを遠くから見ている者がいた事で、俺は否応無く彼女

 

 達の争乱に巻き込まれる事となったのであった。

 

 ・・・・・・・

 

 その頃。

 

「詠ちゃん、連絡はあった?」

 

「まだよ。もう近くまでは来ているはずだからすぐに恋達と

 

 合流出来次第に連絡は来るはずだけど」

 

「そう…」

 

「大丈夫よ、月。あの方達がそう簡単にやられるわけないで

 

 しょ?何せ、空様にあれだけ鍛えられてたんだし」

 

「うん…そうだね」

 

(命様、夢様、どうかご無事で…)

 

 月と呼ばれた少女はそう心の中で祈っていたのであった。

 

 

                                           続く。

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 とりあえず今回はヒロイン達と一刀の出会いを

 

 お送りしました。

 

 次回は月の所へ向かう一刀達に迫り来る影との

 

 暗闘等をお送りする予定です。果たして命達は

 

 無事に月の所まで辿りつけるのか?

 

 

 それでは次回、第三話にてお会いいたしましょう。

 

 

 

 

 追伸 次回は一刀もちょっとだけ活躍する予定…。

 

 

 

 

 

 

 


 
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