No.587504

ゼロの使い魔……にはならなかった 3

ネメシスさん

ゼロ魔、ネギまのクロス第3話です。
ただ修正して投稿するだけなのに、こんなに時間がかかったのは全てあのPSPのミュージックアクションゲームが面白かったのが悪い!
……千早さんの歌声マジ最高。

と、まぁ、そんなことは置いといて、今日中には最終話までUPできるかと。

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2013-06-15 15:31:57 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5297   閲覧ユーザー数:5174

 

 

 

ギーシュとの決闘騒ぎの夜、特に疲れもなかったためネギは学園側から借りていた教室でアスナ達の勉強をすることになった。

そして数時間後、勉強が終わりネギ達が自分達の部屋に戻るときのこと。

 

「昼間のネギが先生だって聞いたときのみんなの唖然とした顔、なかなかだったわよね」

 

「私達も、最初ネギ先生が来て先生だと聞いたときは同じ顔をしていたんでしょうね」

 

「そうやなぁ。結構驚いたもんなぁ」

 

「……あれって驚いてたんですか? むしろ僕のほうが皆さんの反応に驚いてたんですけど」

 

各々が出会いの時の思い出話に笑いあう。

それほど時が経っているわけではないというのに、過ごしてきた時間が濃密であったためかなり前のように感じられた。

 

「そうだ、木乃香さん、昼間はありがとうございました。庇ってくれて」

 

「そんなぁ、別にえぇよ。ウチはウチが思ったこと言っただけなんやし」

 

「……それでもです、ありがとうございました」

 

「もぅ、別にえぇって言うてるのに」

 

人にとってはしつこいとも、とられてしまうかもしれないほどに律儀な態度。

しかし、この臆面もなく正面から感謝の言葉を送ってくるネギだからこそ、自分を含めてたくさんの生徒や教師たちに好感をもたれているのだろうとも内心思う。

わざわざ頭を下げて感謝を述べてくる小さな英国紳士に「仕方ないなぁ」と思い苦笑して、頭を上げるように言おうとした。

……その時

 

『ズドォォン!!!』

 

「な、なに!?」

 

「わ、わかりません!」

 

「あっちからです!」

 

ネギは土煙が上がっている方を指し、駆け出した。

 

「ち、ちょっと待ちなさいよネギ!」

 

「ネギ先生! 一人では危険です!」

 

「ネギ君、待ってぇな!」

 

アスナ達も走り出したネギの後を追うため走り出した。

この世界の魔法使いの力量がどれほどのものかはわからないが、ネギならばそう簡単にはやられないだろうと信じるアスナ達だが、いくら強くても自分たちより小さな子供一人に全てを任せて部屋でゆっくりしていられるほど、彼女たちは呑気ではない。

ネギを追い走りつづけると校舎の裏についた。

そして、そこにいたのは校舎に拳をぶつけて穴をあけていた……巨大なゴーレムだった。

 

「で、でか!」

 

「こんな大きなゴーレムがなぜ!?」

 

ネギ達が驚いていると、少し離れたところから三人、ネギ達の方に走ってきた。

その中の一人には見覚えがあった。

 

「あんた達、こんなところで何やってんのよ!」

 

「ルイズさん! これはいったい!?」

 

「こっちか知りたいわよ!とにかくあんた達は邪魔だから下がってなさい!」

 

そう言いルイズはゴーレムに向き直って杖を構えた。

 

「そんな! 僕達も手伝います!」

 

「邪魔だって言ってんでしょ! だいたい、あんた達みたいな平民に何ができんのよ!」

 

「……この子どもはただの平民ではない」

 

ネギ達が言い合っていると、三人の中で一番小さいメガネをした女の子が割って入ってきた。

 

「はぁ!? どういう事よタバサ!」

 

「そういえばルイズ、あんた昼の決闘の時いなかったわね」

 

今度は一番長身の巨乳の女性が言ってきた。

 

「決闘!? どういう事なのキュルケ!」

 

「その子ね、昼間、ギーシュと決闘して勝っちゃったのよ」

 

「こいつがあのギーシュに!?」

 

ルイズは信じられないといった目でネギを見た。

 

「そう。おまけに魔法を使ってね」

 

「ま、魔法!? ち、ちょっと待ちなさいよ! だってこいつ……」

 

「あぁ、もう! 今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!? 速くあいつを何とかしないと!」

 

ただでさえゴーレムが校舎に向けて拳をぶつけて、穴を広げ続けているというのにそれをそっちのけでどうでもいいことを話し続けているのだ。

ついに痺れを切らしたアスナが大声を出した。

 

「あんた達が何もしないんなら私たちでやるから! ネギ、いくわよ!」

 

「はい!」

 

そう言いネギ達はゴーレムに向かっていった。

後ろでルイズが何か言っていたようだが後回しにする。

 

「「「アデアット!」」」

 

走りながら仮契約カードを取り出していたアスナは、“ハマノツルギ”(完全版)を出した。

刹那は持っていた刀を鞘から抜いて構え、ネギとアスナの先行を見ながら何かあっても対処ができるように若干距離を置いて止まり、“匕首・十六串呂”を展開する。

そして木乃香は“コチノヒオウギ”を持ち、刹那の近くで様子を見る。

 

「ネギ先生! ゴーレムの上に誰かがいます!」

 

ゴーレムの動きを観察していた刹那が人影を発見してネギに報告する。

見ると、確かにそこにはローブを着た誰かが乗っていた。

そのローブを付けた誰かも、接近中のネギ達に気付いたのか、ゴーレムを向き直らせて戦闘態勢を取らせる。

 

「私は『土塊』のフーケ。この学園の宝、破壊の杖は貰った!」

 

フーケと名乗った者はそう言い、持っていた木箱を掲げた。

 

「フーケ? 破壊の杖? よくわからないけど盗みは犯罪です! それは返してもらいますよ!」

 

「ふ、やれるものならやってみろ!」

 

その言葉にネギ達は動き出した。

 

「ラス・テル マ・スキル マギステル 光の精霊99柱 集い来たりて 敵を射て “魔法の射手 光の99矢”!」

 

ネギの手から放たれた光の矢がゴーレムを襲う。

しかしそれは、ガードしたゴーレムの腕を含めて体幹を少し破壊しただけにとどまり、全壊させるには至らない。

しかも、壊れた個所はすぐに再生して元の形に戻ってしまった。

 

「この程度の魔法じゃダメか!」

 

アスナと様子を見ていた刹那も続いて両足を切り落とすが、それもすぐに再生してしまった。

 

「ネギ先生! どうやら一気に破壊しなくてはすぐに再生してしまうようです。私とアスナさんで引きつけておきますので決めてください!」

 

「わかりました!」

 

ネギが応えて距離を置くのと入れ替わり、アスナ達はゴーレムの前に立ちはだかり牽制しだした。

 

「りゃぁぁ!」

 

「神鳴流剣術奥義 “斬岩剣”!」

 

アスナと刹那がともに刃繰り出しゴーレムを攻撃する。

しかし、やはり傷ついた所はそれほど時間もかからず再生して元通りに戻ってしまった。

こういう場合は術者をどうにかすれば済む話と刹那も時々フーケを狙おうとするも、見計らったかのように巨大な拳が迫り、さらにはフーケもただ見ているだけではなく土の槍のような魔法を牽制として放ってきてなかなか近づかせてくれない。

近づこうとすれば攻められ、攻めてもすぐに再生される。

刹那が大技を使えば問題なく倒せるだろうが、それにも少なからずタメがいる。

そのタメ時間をアスナが補わなければならないが、相手の戦い方がかなりうまく愚直なまでに切り込むようなアスナの戦い方では若干不安が残る。

完全魔法無効化能力(マジック・キャンセル)を持つアスナだが、物理的な効果のある土の槍の魔法攻撃は無効化できない。

その土の槍の魔法も、より強力な無効化能力を持つハマノツルギであれば無力化が可能だろうが、巨大な拳の攻撃と魔法の牽制という組み合わせをすべてハマノツルギだけでいなすのは今のアスナには少し難しいところだろう。

……まぁ、今は別にアスナと刹那の二人だけで戦わなくてはいけない状況でないため問題はないわけだが。

アスナと刹那がすることは、ただ時間を稼ぐこと。

 

「ラス・テル マ・スキル マギステル

来れ雷精 風の精 雷を纏いて 吹きすさべ 南洋の嵐!」

 

敵とのそれほど時間もかけていない短時間の攻防。

しかし、その短時間でもネギにとっては十分な時間だった。

すでに詠唱を終えたネギの周りには風が吹きすさび、雷が迸っている。

 

「二人とも! いきますよ!」

 

「ッ!?」

 

フーケはネギが何かしようとしていることに気づくとゴーレムに命じ逃げようとした。

……しかし

 

「逃がさないわよ! てりゃぁぁ!!!」

 

「ここは通しません! “斬岩剣”!」

 

逃げようと走り出したゴーレムの正面に回り込み二人の剣により足を破壊され動きを止められた。

 

「アスナさん!」

 

「ええ!」

 

二人は合図をするとバッとゴーレムから離れた。

 

「これで終わりです。 “雷の暴風”!」

 

ネギの声とともに、その名の通り雷を纏った破壊の暴風が放たれ、ゴーレムに直撃した。

直撃を受けたゴーレムは何の抵抗をすることもできずに頭部分を残して破壊され、土へと還って暴風にのまれて彼方へと吹き飛ばされた。

残された頭部分も、地に落ちると再生することなく土に還っていった。

 

「……うぅ、な、なんて威力よ。私のゴーレムが一撃で吹き飛ばされるなんて。でも、破壊の杖はいただいたんだからこれ以上長居する必要ないわ。

ボーヤ! 次に会ったときは覚悟しなさい! じゃあね!」

 

そう言いフーケは木箱を抱えて走り出した。

 

「ネギ!」

 

「わかってます! ラス・テル マ・スキル マギステル風の精霊11柱 縛鎖となりて 敵を捕まえろ

魔法の射手 “戒めの風矢”!」

 

するとネギから魔法の矢が放たれ、高速でフーケに向かった。

直撃するとそれはダメージを与えることなくフーケの体に絡みつき動きを封じた。

逃走中の捕縛により勢いを殺せず、そのまま倒れて地面を転がる。

 

「な!? ちょっと、何なのよこれ! こらボーヤ、これ解きなさい!」

 

フーケはどうにか振りほどこうともがくが、気や魔力によって身体能力を強化してもいない身体能力の抵抗程度では戒めの風をほどくことはできないようだ。

 

「さぁ、このあなたが盗んだものは返してもらいますよ」

 

己の師匠達のように、純粋な身体能力だけで戒めの風を破壊してしまいそうな者もいる可能性もあるため、油断せずに見ていたがどうやら自力で破壊は困難なようだ。

しかし、仮にも魔法使い。油断することなくフーケを警戒しながらそばに落ちていた木箱を持ち上げた。

 

「あと、何かするかもしれませんのでしばらく眠っていてもらいますね。

ラス・テル マ・スキル マギステル 大気よ 水よ 白霧となりこの者に一時の安息を」

 

「な! ちょっと! ……うぅ……」

 

ネギの魔法を受けるとフーケは寝てしまった。

どうやら、魔法抵抗力もほとんどなかったようだ。

人によっては魔法抵抗力が高く、一度ではかからない人もいるため数回かけることも考えていた。

 

「さぁ、この人を学院長に引き渡しにいきましょう」

 

「そうね」

 

「それでは行きましょうか」

 

「ネギ君、ご苦労様。怪我してへんか?」

 

ネギが振り向くとアスナ達が近づいてきてそれぞれが言葉をかけてきてくれた。

……まるっきり戦闘に参加しなかったルイズ達はというと、ネギ達のその様子を見たまましばらく固まって動かなかった。

 

 

 

 


 
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