No.583592

司馬日記 支援の六

くらげさん

本家様にパワーを贈るつもりがこっちがもらってます。
本末転倒とはこのこと。なっさけねぇ。

2013-06-04 22:20:03 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:15621   閲覧ユーザー数:9805

やっぱりマイナー萌えな私。今回は姜維ちゃんでガンバッタゾ

「お喋りしながらでも処理能力が下がらないのなら文句は言わないけど、そうでないなら解るわね?」

「頼んでいた書類は。 そうか、ではコレを本日中にだ。 今日中に出来る量ではない? 私はやれと言っている」

 

事務仕事をしている官史達が、挙って務めたがらない職場No.1に選ぶのが魏国の事務である。

直属の上司は自他共に認める変態で、その部下もまた中々に強烈な個性の持ち主。

しかもその二人の能力が三国合わせてもぶっちぎりの上位に入るのだから文句が言えない。

日々舞い込む有り得ない数の案件、捌いても捌いても終わらない書類。日々積み重なっていく問題の山。

 

「昼休憩? その前にやる事があるでしょ?一食抜いても死にゃしないわよ」

「腕を磨け。知識を蓄えろ。文句はそれから聞く」

 

二人とも基本的には良い人だ。荀攸は仕事が終われば良く飲みに誘ってくれるし、司馬懿だって付き合いが悪い訳ではない。

悩みだって相談出来るし、他人の眼には下らなく映る悩みでも親身になって考えてくれる。

この二人は、ただ一点を除けば非常に尊敬すべき上司達なのである。

 

とある下級管史が長時間の眼の酷使に耐え切れず、思わず書類から顔を上げて何の気無しに「お昼休みまだかなー」と荀攸を見た時である。

耳の良い幾人かは部屋の外を歩く音を聞いたのかも知れない。だがその程度だ。

足音だけでその人が誰かを判別出来るだなんて、そりゃあ夏侯惇や夏侯淵、若しくは親衛隊である許緒や典韋であるならば、主である曹孟徳の足音ぐらいは判別出来るのかもしれない。

だが、幾ら何でもそれは言い過ぎ、評価のしすぎという物だろう。そう思っていたのだ。

 

荀攸の耳がピクリと動き、司馬懿が物凄い勢いで首を180℃ぐるんと回して扉を見た。

 

「失礼しまーす………あー、まだ仕事中だったか」

「一刀様この様な所にお越し頂かなくとも、ご用事であれば呼びつけて下されば直ぐに駆けつけますのに!」

 

(ねぇ、今桐花様椅子に座ってなかった?)

(アタシはそれより机の上にあった山が消えてる事の方が不思議なんだけど)

 

「ちょっとお茶早く!あと椅子を!いえむしろ私に座って下さい一刀様!」

「桐花はちょっと落ち着こうね?」

「一刀様、何もありませんがどうぞ」

「ありがとね仲達さん。でもお茶はいいや」

 

(ねぇ、お湯ってもう残って無かったわよね?)

(司馬懿様に犬耳と尻尾が見えるんだけど、アタシもう限界かもしれない)

 

「あー仲達さんが悪いんじゃないの。だから涙目で凹むのやめて、ね? 桐花と仲達さん、もう御飯食べちゃったかな?」

「いえまだです、お昼に私を召し上がって下さいますか?」

「私もまだでございます」

「そっか、なら良かった。 お昼一緒にどうかなーって誘いに来たんだけど、もう予定入ってたりするかな?」

「「いえ全く」」

 

そりゃこの二人が一刀に誘われたら、入ってる予定を入れた人間諸共闇に葬り去ってもおかしくはないよね。

 

「丁度良い時間だし、お昼休みにするわ。ゆっくり休んで午後から頑張ってちょうだい」

「「「「えー………」」」」

「しかし一刀様、今日のご昼食は月様が御用意されているのでは」

「あー、恋がこっそり食べちゃってね。 朝は訓練だったから、お腹空いてて我慢出来なかったみたいで」

 

 

一方その頃、恋は月の前で俯いて正座させられていた。

別に月がしろと言った訳ではない。月はそんな子ではない。本当に。

ただ、ついつい美味しそうに湯気が出ているお食事を口の中で保護した所で「恋ちゃん?」と声を掛けられたのだ。

 

「恋ちゃん? ちょっと、こっちまできましょうか?」

「ご、ごめんなさい………」

「こっちまで、きましょうか?」

「………はい」

 

厨房を出た所で恋は自発的に正座したが、月はニコニコしたまま何も言わない。

音々音がそんな様子を見せつけられて黙っている筈がない。

「恋どのに何をしやがるのですかー!」と意気揚々といつも一刀にやる癖が出て月に文句を言って、ひ!と息を飲んで固まってしまう。

 

「ねねちゃん?」

「あ、あああああのその、ねねはですね、恋どのの軍師として」

「正座」

「………はい、なのです」

 

ただのつまみ食いなら、ちゃんとものっそ怒られてそれで終了だっただろう。

しかし、この状況になるぐらいならいっそ怒られた方がマシというものである。

月としては、本当に久しぶりに一刀へ昼食を作る事が出来たというのもある。

何せ日に日に寵姫が増えていく現状で、三国には各国の味自慢も揃っている。

最大のライバルである流琉を筆頭として、時折一刀が強請っているという祭、酒の摘みと称して差し入れてくる桔梗と紫苑。

新妻筆頭蓮華様に、三国一の料理人との呼び声高い華琳様。最近月のポジションを狙ってるんじゃないのかと噂される星。

上げれば本当にキリがないこの現状、たかが一回、されど一回なのである。

 

「恋ちゃん?」

「すいませんでした」

「ねねちゃん?」

「なにとぞ!なにとぞ!!」

 

ゴゴゴゴゴゴ。と背後に謎の擬音と、歯車をガシィン!!と合わせる音。そして金色の筋骨隆々とした謎の幽波紋。

 

「此処からは私の“時間”です」

 

恋逃げて!!朝日目指して駆け抜けて!!

 

 

「?」

「どうかなさいましたか一刀様?」

「いや、なんだろう……歴史が動いた気が」

「あ、あの、その……」

「お誘い頂きまして有難う御座います一刀様」

 

 

桐花と仲達さんを引き連れて、食堂じゃなんかご馳走した気にならんしなぁ。と一刀はお説教が待ち受ける未来を目指して外へ出た結果。

休みだったのだろう、服屋の前でマゴマゴしている姜維と鄧艾を見つけた一刀は『だーれだー?』と二人の背後から瞼を手で閉じてみた。

一刀は直ぐに気づいた鄧艾の慌てっぷりと、一瞬でオーバーヒート出来る凪の後継者候補、姜維のカチンコチンぶりに癒されていた。

なので桐花が唇を噛み締め過ぎて血を流していた事にも、仲達さんがめっちゃイラッとして八つ当たりを受ける士季ちゃんの命が風前の灯だという事には気が付いていない。

聞けばお昼はまだらしいので二人も連れて、最近一刀が開拓したご飯屋さんに四人を招待した。

 

「此処は俺も最近見つけたから、色々頼んで見ようと思うんだ」

 

と言う一刀の発言に仲達さんと鄧艾のぽんこつ師弟は素直に頷き、桐花は『そんなお店にご招待して頂けるなんて!!』と腰をもぞ付かせ、姜維は『どうせ隠し切れないだろうからバレたら開き直ろう』と微妙に前向きな事を考えていた。

 

「姜維とは喋るの久しぶりだね。 最近はどう?あんまり無茶言われてない?」

「勿体無いお言葉です。 お師匠様も雛里様もとても良くして下さっていますので」

「あーお師匠様で思い出した。 笑い話あるんだけど」

 

季衣と鈴々、そして目下奮闘中の恋に猪々子etcというフードファイター達のお陰で感覚が麻痺しているのか、一刀は「此処から此処まで」という注文をほぼ初見の店でやってのけた。

一刀至上主義のこの集団には突っ込み役がいないのでスルーされ、料理が運ばれてくるまでの時間に一刀さんが垂らし込みを始めた。

 

「わ、わら、笑い話ですか?」

「うん。 ほら、水鏡先生っているじゃない? 雛里達の塾の先生」

「はい」

「何処から聞きつけたのかは知らないんだけどさ、姜維が朱里の事『お師匠様』って呼んでいるって知ってさ。

『はわわちゃんが随分偉くなったもんだ』って朱里に言って、朱里が顔真っ赤にして『先生!!』って怒って政務ほっぽり出して部屋の中グルグル追いかけ回してさ。

最初はイイハナシダナーって俺らも見てたんだけど、朱里がすっころんで木簡ぶちまけて―――なんとそれが、朱里達が眼晦ましと一緒に仕込んでた八百一モノで」

「あははは!!あの臥竜が随分やらかしましたね!」

「お師匠様……」「う、うわぁ……」

 

生真面目な仲達さんは今の話の何処で笑えばいいのかがわからず、しかし笑い話だと一刀が言った以上笑わぬのは不敬であり―――と脂汗をダラダラ流しながら悩んでいた。

他人の不幸話で笑わない仲達さんは良いわんこ。

 

(そ、それがどう笑い話に……あ、愛想笑いで乗り切るべきか。いやしかし一刀様に虚偽を示すなど首を差し出しても猶許されぬ事であるし……)

(仲達、仲達!)

(は、はい!)

(アンタの脳みそで処理出来るぐらい簡単に説明すると、のーぱんだったのを一刀様に見られた時ぐらいの大失態って事)

「……孔明殿にお悔やみを申し上げる冪でしょうか」

「それをやると朱里が暗黒面に飲み込まれるからやめたげようね、仲達さん」

 

この平和な世界でリアル秋風五丈原とかやめてくだしあ。

 

「それで水鏡先生はどうなさったんですか、一刀様」

「すっごいマジな顔で『なんか……ごめん……』って。現場に居た雛里が水鏡塾の娘達にその時の水鏡さんの顔付き言っても最初は信じなかったらしいから、多分相当だったと思うよ」

「それで最近覇気がなかったんですね、お師匠様」

「姜維、アンタもう臥竜の直弟子やめてアタシか仲達の内弟子になりなさいよ」

「い、いえ。そんな大それた真似はとても」

「なんでよ? 仲達の弟子になれば鄧艾だっているわよ?アタシの内弟子なら一刀様とお目通りする機会も増えるし。ここらでおば様に水空けときたいのよ」

「桐花、無理じいしちゃだめだよ。 桐花かなり偉いさんなんだから」

「失礼しました。忘れてね、姜維」

 

一刀と会える機会が増える。という発言にかなりマジな顔で悩みだした姜維を牽制するように一刀が話を収める。

話を有耶無耶にされた姜維と、なぜかぽんこつ師弟もしょぼーんとしていたが、そこはフォローを忘れない一刀さんである。

 

「別に会いたくなったら会いに来てくれればいいからね。 一回怒られるぐらいで姜維のやる気が出るなら喜んで怒られるよ?」

「―――感謝いたします、一刀様」

 

男装がかなり似合うだけあって、綺麗、可愛いというよりは凛々しい出で立ちの姜維。

そんな彼女だが、堪え切れない喜びを顔全体に押し出して笑う姿は周囲の人をも引き付ける。

しかしそこは百戦錬磨の一刀さん、綺麗に笑顔のカウンターをきめ、寝酒のバーボンとばかりに手なんて握っちゃったりして。

 

「か、一刀様……お望みでしたら、その……///」

「お、来た来た。んじゃ食べよっか」

 

もう、初心な娘をジワリジワリと追い込んでいくなんて一刀様ったらいけない人!死ねばいいのに!

 

 

「軒並み美味しかったね」

「そうですね、これから贔屓にしたいと思います」

「美味しかったね、姜維」

「うん。流石一刀様だ」

「一刀様、食後のお茶を」

 

馬鹿みたいな量を(一刀と桐花以外の三人は)気合で食べまくり、お腹がかなり重たいので椅子に座ってのんびーり歓談。

まったりとした時間は一刀にとって中々貴重なのだ。この前も華琳が食後に裸エプロンでげふんげふん。

 

「あの、かず、一刀様」

「ん? どうしたの?」

「さし、差し支えなければ、他の子達にもこのお店、教えたいと思うのですが、いけませんでしょうか?」

「あぁ良いよ良いよ。 どんどん教えてじゃんじゃん交流深めて、仲の良い友達いっぱい作ってね」

 

ありがとうございます。と鄧艾は嬉しそうに笑い、それを聞いて姜維も口を開く。

 

「私も日頃お世話になっている諸先輩方を招待したいと思います、一刀様」

「アンタはホントに良い娘ねぇ……いつでも弟子にとるから、困った事があったら言ってきなさい?」

「ありがとうございます」

「仲達さんも、良ければ皆に教えてあげてね」

「はい、必ずや広めてみせます。 一刀様のお墨付きとあらば簡単に広まるでしょう」

「っと、二人はもう帰らないと不味いかな。鄧艾と姜維はどうする?」

「では、私達もそろそろ。 行こうか、鄧艾」

「う、うん。 それではしつ、失礼します」

 

颯爽と立ち上がる姜維と、慌てて追いかける鄧艾は見ていて微笑ましく、しかし姜維の男装を加味するとカップルに見えてしまう。

 

「姜維はホントにあの格好良く似合うなぁ。ちょっと羨ましいわ」

「諸葛亮の趣味が良い方向に転がった。という事ですね」

「趣味? 姜維は元々男で、本の呪いで女になったのでは?」

 

真顔でそういう仲達を、一刀と桐花は綺麗な笑顔で見て「「ソウダッタネー」」と返事をした。守りたい、その純粋さ。

まさか姜維が男装していた原因が朱里の八百一脳が原因だなど、ぴゅあなちゅーたつは思いもしないだろう。

 

「そろそろホントに帰ろうか。 遠出させて悪かったね二人とも」

「一刀様のお誘いであれば、昼夜を問わずお供いたします」

「今度は私がお誘い致しますね、一刀様。 良いお店を探しておきます。具体的には寝台も設置されているような所を」

 

途中で別れる事はせず、一刀は右腕を桐花に抱きつかれ、モジモジと羨ましそうに背中を見るだけの仲達に苦笑しながら左手を伸ばして城まで歩いて帰った。

なので、桐花と仲達の気力は全力全開で漲っていた。もっと言えば溢れ出していた。

こりゃいかん、自分も仲達もちょっと肩の力を抜かないと。と桐花が思い、仲達に声を掛けようと振り向くと、少し離れた所。具体的にはギリギリ両者の声が聞こえそうな所に朱里がいた。

桐花は一刀専用のドMなのは周知の事実なのだが、その他大勢に関してはいじめっ子なのだ。流石は桂花の血縁者。

ニヤッと笑うと、ちょっと追い込みに掛かった。

 

「ねぇ仲達」

「はい、なんでしょうか」

「もし、もしよ? 姜維が男装“させられていた”んだとしたらどうする?」

「……仰っている意味が分かりません」

「だからもしの話よ。 八百一って知ってる?」

「まぁ言葉の示す意味程度でしたら」

「一刀様、男性よね?」

「はい。 あの、それが?」

「だぁーかぁーらぁー」

 

桐花はニヤッと笑う。もう朱里は顔面蒼白だ。

 

「姜維が“男の娘”だったら、現実で八百一が見れるじゃない? そう考えて姜維に男装させて、一刀様の優しさに付け込んでご寵愛を賜れば……って考えた人物がいたら。どう思う」

 

やめて、それ以上いけない!

 

「死ねばいいと思います」「ヒィ」

「その心は?」

「……あり得ない前提ですが、もし万が一仮に姜維が最初から女性だったとして。男装させれば一刀様のご寵愛を賜る機会など……いえ、一刀様はお優しい方ですので、姜維ほどの美形が切に願えば愛されるかもしれませんが……

しかし、姜維の心中を慮るのであれば、己の欲の為に人の、一刀様の真心を利用する獣の如き姦計と私は断じます。

無論考慮すべきは姜維の意思であり、彼、いえこの場合彼女がその……同様の性癖を持っていた場合は別でしょうが。

それでも一刀様を利用しようとした。この一点のみで考えても十二分に最上級の罰を与える事は逃れられぬと存じます。

いえ、例え一刀様が不問にされたとしても、この司馬仲達が死を持って断罪します」「ハワワ……」

「アンタ相変わらず一刀様が絡むと鬼になるわね……」

 

ちらり。と桐花が朱里を見る。もう泣きそうだ。どっちも。

 

「あー……まぁ振った私が言うのもなんだけどさ。もうちょっと落ち着きなさいっての」

「では逆にお尋ねいたしますが。 悪意を持って一刀様を利用する人物を桐花様が発見された場合、どの様な処置をされるのです」

「はぁ? そんなの公にするわけないでしょ? 明るみに出たら法に照らして処分しなけりゃなんないのよ? そんな甘っちょろい罰でこのアタシが満足するわけないでしょ? 最低でも五体はバラバラにするわよ」

「安心しました」「アノ蒼空、極ハイズコデアロウノゥ……」

 

だめだこいつら、どうにも出来ない。

反省と言い訳。

 

姜維の考察はあくまでも私独自の解釈であり、間違っている可能性が高いです。

hujisai様間違ってましたらごめんなさい。

 

あと個人的な姜維の容姿はセイ○ー。

男装出来るんだからちっぱいだと思いきや意外に大きくて、お師匠様に言うべきかどうか悩んでるとかだとかわゆいのになぁ(チラッ

 

ところで司馬日記支援策なのにまともに仲達さんを出したのはこれが初めてなんですが、私は何処で道を間違えたのでしょうか。割と真剣に悩んでます。

お礼返信

 

 

zero様   仲達と鄧艾はこれで幸せなんじゃないのかと思います。割とマジで。

 

Alice.Magic様  おk、把握b

 

ちきゅさん様   モグー?モイジャウー?

 

hujisai御大   更に調子にのって今度は姜維タンをいじりました!

 

R田中一郎様   らめぇ!鬼が起きちゃうぅ!

 

前原 悠様    補給はまかせろーバリバリ

 

叡渡様     もうなりふり構ってられないと思います、まじめな話。

 

月光鳥~ティマイ~様  個人的に鄧艾ちゃんはI○の五反○蘭ちゃんみたいな感じ。なにそれ萌える。

 

悠なるかな様    司馬懿と鄧艾がタッグ組むとかそれ何て悪夢?ww

 

HIRO様    なんでや!二匹とも忠犬やろ!!ww

 

観珪様      そんなの俺もだよ!

 

shirou様    特大・大・中と美味しく頂きました。なんなのこの外道皇帝。


 
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