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SAO~黒戦After story~ EP10 妖精の世界へ・前編

本郷 刃さん

EP10になります。
今回と次回は刻と直葉のお話しになります。
ついに刻がALOへとダイブをしますよ。

どうぞ・・・。

2013-01-31 10:36:42 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:13124   閲覧ユーザー数:12153

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EP10 妖精の世界へ・前編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刻Side

 

『ソードアート・オンライン』から解放されて1ヶ月と2週間が経った。

ボク達『神霆流』は既に2週間前には退院しており、

今は社会復帰(?)の為の勉強やブランクを取り戻す為の修行と鍛練に励んでいるっす。

そんな中で、ボクは今日桐ヶ谷家に来ている。

スグに遊びに来ないかと誘われたので、お招きにあずかったということっす。

 

 

 

「『アルヴヘイム・オンライン』?」

 

「うん。通称ALOっていうんだけどね、一緒にやってみない?」

 

スグの部屋に招き入れられたボクは戸惑いながらも話をしているとそう提案された。

『アルヴヘイム・オンライン』、スグの話しではスキル制のプレイヤースキル重視、

PK推奨のVRMMOゲームということっす。

レベルが存在せず、各種スキルが反復使用で上昇し、育ってもHPは大して上がらないそうっす。

戦闘はプレイヤーの運動能力に依存して、魔法が主流となっており、精度はSAOにも並ぶものらしい。

しかも9つの妖精種族から1つを選び、翅による飛行が可能とのこと。

 

「も、もちろん嫌ならいいの!? あのゲームにいて、この前起きたばかりだから、思うところがあるかもしれないし…」

 

落ち込むようにそう言っていくスグ、話してから後悔したみたいっす。

別に気にしてはいないっすけど…。

 

「スグって、ゲームとかあまりやらなかったっすよね? どうしてまた…」

 

「……お兄ちゃんや刻君、みんなが見ている世界がどんなものか知りたくなったの…」

 

そうか、それでこのゲームを…。

スグの部屋の天井にはゲーム内での彼女の姿を捉えた写真が大きなポスターにして貼られている。

金髪碧眼の少女が写っていて、その表情はALOという世界を凄く楽しんでいるものっすね。

 

「これ、ハードは何を使えばいいんすか?」

 

「あ、これ『アミュスフィア』っていうの」

 

スグが取り出したのはナーヴギアのような頭部全体を覆うものじゃなくて、

リングのようになっていて目の辺りから被るものだった。

でも、ハードを買うにもお金が………ナーヴギア、か…。

 

「スグ、ネット借りるっすよ?」

 

「いいけど、何か調べるの?」

 

「ALOについてっすよ…」

 

インターネット検索でALOについて検索し、その項目を見つけると良く読んで確認した。

うん、これなら問題無いっすね。

 

「ALO、やるっすよ」

 

「ほ、本当に? ぁ…でも、ご両親が止めないかな?」

 

「大丈夫っす、スグと一緒にやりたいっすからね」

 

まぁ、そうは言ったもののうちの親はそこまで心配はしないと思う。

確かにSAOから解放された時は泣きながら飛び付かれたけれど、基本的にはボクのやりたいようにやらせてくれる。

というわけで大丈夫だろうと思うっす。

 

「種族はどうする? あたしはシルフなんだけど、どうかな?」

 

「そうっすね~……」

 

種族は火妖精族(サラマンダー)水妖精族(ウンディーネ)風妖精族(シルフ)土妖精族(ノーム)闇妖精族(インプ)

影妖精族(スプリガン)猫妖精族(ケットシー)工匠妖精族(レプラコーン)音楽妖精族(プーカ)の9つ。

ボクの眼についたのはSAOで鍛冶師だったこともあるので…。

 

「スグにはわるいっすけど、やっぱりレプラコーンっすね…」

 

「なにか思い入れでもあるの?」

 

「ボク、SAOでは鍛冶師だったっすからね」

 

ボクがレプラコーンを選んだ理由を聞くとスグは納得したように頷いたっす。

 

「それじゃあ、早速買いに行くっすか」

 

「うん」

 

ボクとスグは早速近場のゲームショップに出かけた。

丁度入荷したばかりだったので、貯金しておいたお金を使って即購入したっす。

その後、帰宅の途についていると…。

 

「刻君、キャラネームはSAOの時と同じにするの?」

 

「もちっす、名前は『ルナリオ』っすよ」

 

「レプラコーンでルナリオね、あたしはシルフで『リーファ』だから」

 

「了解っす」

 

お互いにゲーム内での名前を教えておいたっす。

あとは向こうでなんとか会えるといいんすけど、

スグ曰くレプラコーン領とシルフ領はかなり離れているらしいので大変とのこと。

まぁ、なんとかなるでしょ。ボクはスグを家まで送り届けると、自宅へと帰ったっす。

そして、その夜…。

 

 

 

「まさか、またこれを被ることになるとは思わなかったすよ…」

 

ボクはそう呟きながらナーヴギアを手にした。ALOはナーヴギアでもプレイすることが可能らしい。

アミュスフィアを購入するには、さすがに貯金でも足りなそうだったのでこちらを使用することにした、

もちろん両親には教えているっすよ。

 

「さて、それじゃあ始めるっすか…」

 

あの日と同じようにナーヴギアを被り、ベッドに横になる。スイッチを入れて瞳を閉じる。

 

「リンク、スタート!」

 

ボクはゲームへとダイブしたっす。

 

 

 

暗闇に包まれた空間にいる、けれどすぐに虹色の光が弾け、ロゴが現れてはOKの表示が成されていく。

ゲームを行うためのセットアップステージは次々と行われていく。

そして最後のOKが表示されると、再び暗闇に包まれた……今度はアカウント情報登録ステージっすね。

『Welcome to ALfheim Online!』と表示されて、

 

『『アルヴヘイム・オンライン』へようこそ。最初に新規IDとパスワードを入力し、

 次に性別とキャラクターの名前を入力してください』

 

女性の合成音声アナウンスが流れ、目の前にホロキーボードが出現したっす。

SAOと同じIDとパスワードを設定し、性別を男、キャラネームを『Lunario(ルナリオ)』と入力した。

すると今度は簡単なチュートリアルが流れたので、一応聞いておくことにした。

チュートリアルが終わり、次の段階へと進んだっす。

 

『それでは、種族を決めましょう。9つの種族から1つ、選択してください』

 

表示される9つの種族から、ボクは予め決めておいたレプラコーンを選択したっす。

 

『レプラコーン、ですね。キャラクターの容姿はランダムで生成されます。よろしいですか?』

 

容姿がランダムなのは仕方がない。決定のボタンを押して、そのまま進める。

 

『それでは、レプラコーン領のホームタウンに転送します。幸運を祈ります…』

 

その言葉を最後に、ボクの体は青白い光に包まれたっす。

 

刻Side Out

 

 

 

ルナリオSide

 

仮想世界での肉体が生成されたのに気付き、ボクは眼を開いたっす。そこは空中だった。

眼下には大きな建物が存在し、街を成している。

ここがアルヴヘイム……あの剣の世界とは違う世界に少し感動していると突然空間、いや、映像が停止した。

雷のようなノイズが奔り、オブジェクトの解像度が減少して、黒い亀裂が出来たっす。

 

「くっ!?」

 

そのままボクは、亀裂の間へと落ちてしまったっす。

 

 

 

長い落下の果てに暗闇の空間から出たと思ったら、地面が間近にあった。

咄嗟に両手を前に出すことで逆立ちの体勢で着地に成功し難を逃れることが出来たっす。

 

「な、なんだったんすか…いまの……?」

 

呆然としながら辺りを見回してみると、どうやら森の中にいるらしいっす。側には小川も流れている。

しかし、なんでまたこんなところに…。

ふと自分のこの世界での姿が気になり、小川で姿を確認してみることにした。

小川を覗き込んでみると、そこに写ったのは……。

 

「なっ!? ボク(・・・)の、姿…!?」

 

小川に写り込んだのは、紛れもなくリアル(・・・)でのボクだった。

ランダムで生成されているはずなのに…。

疑問を解消するために、チュートリアルで聞いたように左手でメニューを開いた。

一応ログアウトがあるのか、出来るのかを確認し、可能であることにホッとしたっす。

そのままメニューを操作してパラメーターを確認してみた……そこには…、

 

「なんすか、これ……」

 

再び呆然としたっす。パラメーターウインドウにはルナリオという名前、レプラコーンという種族名、

HP(ヒットポイント)にMP(マナポイント)があり、どちらも初期値と言っていい値だったっす。

けれどその下にあった習得スキル欄には、始めたばかりだというのに幾つものスキルが記されている。

《鉄槌》、《片手棍》、《両手棍》、《体術》、《武器防御》など他にもあり、

マスター表示が付いているものもあるっす。

同時に、これらがなんなのかに気が付いた。

つい1ヶ月と2週間前まで、自分が使用していたスキル…つまり、SAOと同じスキルだ。

《破壊震》や他にも見当たらないスキルがあることから、この世界では無いスキルなんだと思ったっす。

他にも何かないかとアイテム欄を覗いてみると、そこにはなんと!

 

「『ヴェンダイヤ』…、『ロードメテオ』……どうして…」

 

アイテム欄の中は漢字、数字、アルファベットが入り乱れた表示ばかりだったのだけど、

SAOにおいて以ての相棒であった2つの武器があったっす。

 

「ほんとうに、なんなんすかね…」

 

様々な現象を目の当たりにしたことで少し混乱してしまったっす。

地面に寝転がって、状況を整理しようとしたその時、

 

―――ドカァァァンッ!

 

近くで突然爆発音が鳴り響いた。これは、なんか面白そうっすね…。

 

「ちょっくら体でも動かして、スッキリするとしますっかね」

 

ボクは体を起こすと、爆発が起こった方向に向けて走り出したっす。

 

ルナリオSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

さて、刻がALOへとダイブしましたが・・・再び容姿は元の世界の姿に、武器はSAOのものが。

 

理由としましては続編の方で明かすことになっていますので、そちらでご確認を。

 

それではまた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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