No.526766

魔法少女と魔術使い

少年アルカナは死んだ。大切な少女を守り、約束を守り死んでいった。しかし気が付くと死んだ場所ではない全く違う場所にいた!しかも近くには死んだはずの恩人たちの姿が!どうやらここは似ているが全く違う世界らしい。そしてなんやかんやでホームステイした家では守りり抜いたはずの少女がいた!そんな平和な時間を過ごしていたが戦いの時は迫っていた!これはとある魔法(奴隷?)少女と魔術使いの少年の物語。アニメ化が近いということで思わず書いてしまった小説です。主人公は映画版Fate/stay nightから来ています。

2013-01-02 17:57:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4313   閲覧ユーザー数:4256

第二話

 

 

 

ああ、これは夢だな。

その光景を見た瞬間にアルはそう思った。

というより思いたかった。

 

「魔法少女プリズマイリヤ推参!!」

 

「さぁ行くのよ私の奴隷!私の為にために戦いなさい!」

 

『めちゃくちゃですね~』

 

以前見たはずかしい恰好をしたイリヤが何やら敵らしきものを魔力の塊と思われるものをぶっ放して攻撃していた。哀れな敵は逃げ惑うことしかできていなかった。

さらにそんなイリヤの後ろには悪魔のような恰好をした凛がイリヤに対して命令している。

それだけでもアルが怒るには十分なうえに奴隷呼ばわりしているのだから怒りが頂点を超えてしまっても仕方ないだろう。

その上マジカルルビーと呼ばれたくそウザったいバカステッキがまるで他人事のようにつぶやいているのだった。

 

そんな惨状にアルはキレ、持ちうるすべての力を持ってこいつらの暴走を止めようと考えた。

そうして一歩目を踏み出そうとしたとき、足場が崩れアルは真っ逆さまに落ちていった。

 

ドスン!

 

結果ベッドから落ちてあるは夢から覚めた。

 

「夢か…」

 

その事実にホッとするアルカナだった。

 

 

***

 

 

昨日の夜、凛さんを気絶させたしまったボクは落ち着いたイリヤと共に部屋に運んだ。

セラさんにばれないように苦労したが何とか成功し、風呂場での騒ぎを適当にでっち上げておいた。

そうして部屋に戻ったら気絶して居たはずの凛さんは起きていた・

 

「あ、起きました?」

 

「おかげさまで頭がとても痛いけど我慢することにするわ」

 

「そうしてくれると助かります。でも急にあんなことを言う凛さんにも問題はあると思いますよ」

 

「そこは反省してるわ」

 

思っていたよりは話が通じるようでよかった。

通じなかった場合は色々させてもらった上で蹴りだすところだったから。

え?色々って何かって?色々はいろいろさ。

 

「(ぶるっ)何か寒気がしたわね」

 

「そうですか?今夏だけど夜は経ますからね」

 

「そういった類じゃなかったけど……。まぁいいわ、それでご家族には説明してきたの」

 

「一応…アルに言われたとおり誰かがいたずらで石を投げ込んだってことにしておきました」

 

『いやー、ヒステリックなお母さんですね。まぁ心配性とも言えますが』

 

セラさんはお母さんじゃないぞ。

たまに勘違いする人もいるけど。

 

『犯人を捕まえてひき肉にしてグラム98円で出荷してやるとか言ってましたよ。恐ろしいことです』

 

「ああそう、出来ることなら今すぐ犯人を突き出してやりたいわ」

 

笑いながら言う凛さんの額には怒りマークがありかなり怒っている様子だった。

ボクはボクでこのバカステッキが用済みになった場合速やかに灰も残らないくらいに燃やし尽くしてこの世から消してやると誓っていた。

だがここは我慢。夜も遅いし早く話を進めよう。

 

「それよりも凛さん、なんであなたのような魔術師がここにいるんですか?見たところ優秀そうだから今頃は「時計台」にいるはずでしょう?」

 

「「時計台」じゃなくって「時計塔」よ。さっき魔術を使ってたから驚かないけどあなたそんなことまで知っているのね」

 

「一応魔術使いとして最低限のことは教えてもらっているので」

 

「あの……魔術師ってなんですか?それとアルは何でその人の名前を知ってるの?」

 

「さっきそこのバカステッキが名前を言ってたから知っているんだよ」

 

「自己紹介が遅れたわね。私は遠坂凛、魔術師よ。まぁ魔法使いとでも思ってくれればいいわ」

 

「凛さん…魔術師として魔法使いと魔術師を一緒にしちゃダメでしょ」

 

「こう行った方が話が早いでしょ」

 

「それはそうかもしれませんけど……」

 

それは一緒にしちゃダメだってボクでもわかるけど……。

そんなボクたちの会話を不思議に思ったのかイリヤが質問してきた。

 

「ねぇアル、魔法使いと魔術師って一緒じゃないの?」

 

「全然違うよ。魔術は過程はどうあれ結果的には現代の人間にできること。それに対して魔法はその結果をそれ以外の方法では出来ないことなんだ」

 

「???」

 

よくわかっていないらしい。

仕方ないもう少しちゃんと説明してあげよう。

 

「たとえばここで僕が魔術を使って火をだしたとしよう。これは魔術であって決して魔法じゃあない。なぜなら火をだすっていう「結果」はライターを使ってでも火打石を使ってでもできるから」

 

「…な、なるほど?」

 

よく分かってないようだが時間もないし説明を続けさせてもらおう。

 

「それに対し魔法っていうのはそれ以外の方法では絶対に成功しないものをさすんだ。そうだな…たとえば並行世界に行ったり時間を戻したりといった現在の人間には決してできないことを言うんだよ。分かった?」

 

「い、一応」

 

絶対に分かってない。

頭からプスプス言ってる煙がその証拠だ。

……頭から煙だしてる人初めて見た。

 

「貴方魔術の事なかなか分かってるじゃない」

 

「分かってるって言ってもそれくらいです。それより早く説明してください。もう眠いんです」

 

「…やっぱり子供ね」

 

やっぱりってなんだ、やっぱりって。ボクは小5なんだから子供なのは当たり前だろうに。

 

それから凛さんの説明会がはじまった。 

 

 

それによると

 

・危険なカードがこの冬木市に眠っている。

 

・そのカードを確保するためにこの町にやってくる。

 

・その為にバカステッキを借りてきた。

 

・ステッキが反逆

 

・イリヤがマスターに選ばれる。

 

・凛さんの代理としてイリヤが戦うことに

 

 

と大体こんな感じだった。

つまるところ

 

「このステッキを粉々してしまえばイリヤは戦わずに済むということか」

 

『いやいや!待ってください!そんなことしてしまったら魔術協会から怒られますよ!』

 

「怒られるのは凛さんであってボクじゃないから問題ない。それと遺言はそれでいいのか?」

 

『ちょっと待ちましょうよ!そもそもあなたの力で最高位の魔術礼装である私を壊せるんですか!』

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

『それ死亡フラグ―!!』

 

その後いろいろあったがイリヤと凛さんに説得される形でその場は収まった。

しかしいつか壊すとボクは心に誓った。

 

 

***

 

 

授業中、改めて考えていた。

考えていたことはもちろんイリヤの事だ。

 

あのステッキのせいで戦う事になってしまったがそれは果たしてよいのだろうかと。

結論、よくない。

だからと言ってイリヤの意思を曲げることは大変難しい。

それは前世でも今世でも変わっていないしこれからも変わることはないだろう。

 

まぁ仕方ない。

秘密でついて行ってピンチになったら助けるか。

自分の中で結論を出したため今度は違うことを考え出す。

 

 

あの凛さんっていう人どこかで見たことあると思ったら前世でアーチャーのマスターをやってた人だ。

というかカードの名前って全部聖杯戦争のクラス名じゃないか。

もしかしてイリヤが相手にするのも英霊なのかもしれないな。

これは気を引き締めないと大惨事になるかもしれない。

 

 

スパンッ

 

「たたかれた…」

 

人が大切なことを考えていたのにもかかわらず当の本人は居眠りして教科書で頭をたたかれていた。

……大丈夫かなぁ。

前世でも今世でも彼女に振り回されるのは変わらないようだ。

はぁ。

思わずため息をついてしまう。

 

「どうしたんだアル、お前がため息をつくなんて珍しいじゃないか」

 

そのため息を聞いていたのか隣の席の鈴木君が話しかけてきた。

 

「いや、何でもないよ鈴木君。ただこの後憂鬱なことがあるだけさ」

 

「そ、そうか。まぁ元気出せ、後で弁当のミートボールやるから」

 

「その気持ちだけでもありがたいよ……」

 

「いや構わないさ。困ってたら助けるのが親友の役目だからな」

 

「鈴木くん…」

 

彼は本当に素晴らしい人だ!

彼に心配かけないように気を付けなければ。

 

 

 

 

 

「リアルBL時空、しかも元気な男前美少年と儚げなイケメン系男子!こ、これは、むっふーーー!!」

 

「す、スズカ、鼻息が荒いぞ…」

 

 

ボクは何も聞いてない!

 

 

***

 

 

放課後、家に帰った後イリヤはすぐに出かけてしまったためにボクも急いで追いかける。

どうやら戦う練習をしているようだ。

まぁ持ち前の魔力が大量にあるからめったなことにはならないけど…。

そのめったな時が起こった時の為にアレも用意しておこう

 

 

その後イリヤは特訓を終えて凛さんとの待ち合わせ場所に向かった。

……ここボク達の学校だけどここで戦って大丈夫なのだろうか。

気配を消しながらイリヤ達に見つからないように近ずく。

 

ちなみになんで隠れているかというとイリヤの戦闘力がどれくらいなのかを見るためだ。

ボクも凛さんに来てくれると嬉しい風なことを言われても断ったのもそのためだ。

まぁボクが出ることなく終われば一番いいんだけど……ボクの予想通りだとしたらそんなことも言っていられない。

 

 

そうな風に考えをまとめている間にステッキが魔術を使い始めた。

どうやらカードはこの世界ではなく鏡面世界という所にあるらしい。

イリヤ達と離れていたのが仇となってボクは置いてかれてしまった。

問題ないけどね。

 

 

「問題はないけど、出来れば使いたくはなかったなぁ」

 

そう言いながらポケットから小さいナイフを取り出し、魔力を込める。

するとナイフが形を変えて片手でも持てるサイズの剣になる。

 

「|現実《リアル》……|切り取る剣《カット》!!」

 

それを大上段から振り下ろす。

 

「現実を切り取る剣」とはこっちの世界へ来てもなぜかあった宝具である。

さっき鏡面世界へ行く術式が認識した通りならこれで移動できるはず。

こっちとあっちの境界線を「切り取り」空間を歪める。

結果、思った通り空間に切れ目が出来て鏡面世界へ行く道が出来た。

 

 

 

鏡面世界に行くとどうやら相手と戦っている最中だった。

イリヤが魔力弾をばかすか撃っているのが見えるが問題はそこじゃない。

 

そう問題はボクの最悪な予想があたったことだ。

イリヤが戦っていたのは前世で経験した第五次聖杯戦争で見た英霊の一人だった。

 

確か……ライダーだっけ。

 

 

戦いが過ぎていくとどうやら相手が宝具を使おうとしているらしい。

それはまずい。

 

さすがに宝具を防ぐことは今のイリヤジャ無理そうだよな。

仕方ない、助けますか。

 

「「現実を切り取る剣」!」

 

まず相手との距離を「認識」して「切り取る」事で相手との距離を詰める。

 

「|騎英の《ベルレ》――…」

 

「悪いけど、宝具は使わせないよ!「現実を切り取る剣」!!」

 

宝具を発動させようと無防備になっているライダーの体を「認識」し、「現実を切り取る剣」によって「切り取る」防御不可能な攻撃を当てる。

ライダーはうめき声をあげながらも一撃でやられてカードへ変換される。

 

どうやらこいつら相手にも宝具は通用するらしい。

それが分かっただけでも収穫ありってことかな。

 

「あ、あなた、どうやってここに来たのよ!?」

 

「アルすごーい!今のどうやったの!」

 

凛さんはなぜここにボクがいるのかを聞き、イリヤは今の攻撃について聞いてくる。

そんなことをしている間にカードがなくなった影響か鏡面世界が崩れ始める。

 

「話するのもいいけど早くここから脱出するべきじゃない?もう崩れかけてるし」

 

「くっ!とにかく帰ったら話を聞かせてもらうわよ!」

 

「分かってんますよ」

 

そうしてルビーの術式によってもとの世界に移動する。

「現実を切り取る剣」は魔力の消費が激しい上に、一回認識したものを変えるとナイフに戻って再び件に帰るのに大量の魔力が必要なためこれは素直にありがたい。

 

こうしてこの世界に来てのボクの最初の戦いは終わった。

 

 

「貴方、わたくし達の出番をとらないでください!!」

 

「…出番を返してほしい」

 

 

……訂正、まだ終わっていなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっ!今日の料理当番ボクだった!!

 

 


 
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