No.526765

魔法少女と魔術使い

少年アルカナは死んだ。大切な少女を守り、約束を守り死んでいった。しかし気が付くと死んだ場所ではない全く違う場所にいた!しかも近くには死んだはずの恩人たちの姿が!どうやらここは似ているが全く違う世界らしい。そしてなんやかんやでホームステイした家では守りり抜いたはずの少女がいた!そんな平和な時間を過ごしていたが戦いの時は迫っていた!これはとある魔法(奴隷?)少女と魔術使いの少年の物語。アニメ化が近いということで思わず書いてしまった小説です。主人公は映画版Fate/stay nightから来ています。

2013-01-02 17:54:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1971   閲覧ユーザー数:1931

第一話

 

 

 

 

この世界にボクが来てから早くももう3年が過ぎた。

こちらでの生活では前世?では経験していないことばかりで大変楽しい。

まるでアインツベルン城で過ごした時のように。

 

この世界は本当に平和で魔術や戦闘技術が鈍らないように一人で特訓するために毎日早起きすることになっている。

まぁ前世でもイリヤを起こすために早起きはしてたんだけどね………(泣)。

 

この世界に来て初めて通った学校だったため最初は戸惑ったがこっちの世界のイリヤに助けられて今では友達も増えている。

 

勉強は順調だ。

というよりはっきり言ってボクの学力は小学生レベルではない。前世ではやることがない時には勉強をやっていたためこの国で言う高校生くらいの学力はあると思う。

 

運動は加減するのが難しい。

特に短距離走などの走る競技は本気を出すと小学生だとありえないレベルの結果を残してしまう為にいつも抑えている。

 

この世界のイリヤとはかなり良好な状態を続けている。

前世とは違いなにも重いものを背負っていないためか大変明るい(向こうも明るい)。

やはり同一人物ということからいろんな共通点がある。

猫が嫌いとか、ピーマンが食べられないとか。

そんなイリヤに勧められたアニメに見事はまってしまい、今日頼んだアニメが届くはずだ。

大変楽しみである。

 

他には……そうそう。

ボクの金運というものがものすごいということが分かった。

この間買った宝くじ(一等が百万円)で見事一等を当てた。

お金はもちろん貯金しておいた。

 

あとセラさんと士郎さんと家事を交代でやることになった。

折角身につけた料理の腕を錆びさせるのは嫌だし(前の世界のイリヤのわがままにより無理矢理身に着けさせられた)、何よりも料理は好きだから。

 

アイリさんは今頃どこで何をやっているのかはわからないが時々手紙が来るから大丈夫だと思う。

 

そんなこんなで楽しい毎日を過ごしている。

こんな毎日が続くといいなぁ。

 

 

 

 

 

 

この時のボクは知らなかった。

この世界にもきちんと“フラグ”というものが存在していることを

 

 

***

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

「やっと放課後かー」

 

ふぅ、今日も特に事件はなく終わったなぁ。

やっぱり平和が何より。

帰ったら来てるはずのアニメみよっと。

そんなこと考えながら変える準備を進めていると、

 

「アル―――――!早くしないと置いてくよ―――――――!!」

 

「さりながら言っていいセリフじゃないよね、先行っててよすぐに追いつくから」

 

「分かった―――――!!」

 

先に準備を終え急いで帰るイリヤが叫んだのでそれにしっかり返事を送る。

それを見ながらこの学校に来てから初めての友達になった鈴木大貴君が声をかけてきた。

 

「相変わらずアインツベルンは早いな。追いつけるのかアル?」

 

「大丈夫だよ鈴木君、ボクはイリヤよりも早いからね」

 

「そうだったな。じゃ、また明日な」

 

「うん、また明日」

 

鈴木君に別れを告げて先に走っていたイリヤを本気の半分くらいの速さで追いかけるボク。

この調子ならすぐに追いつけるかな。

 

 

 

「イリヤ――――!士郎さ―――ん!」

 

「お、アルか。速いな」

 

「当たり前さ、全校生徒の中で一番走るのが速いからね。イリヤにだって負けないさ」

 

「むう、次は負けないんだから!」

 

「次もボクが勝つよ」

 

「すぐに追い抜いてやるんだかあ!」

 

「おい、イリヤ!自転車の近くで暴れるな!」

 

「う、ご、ごめんなさい」

 

「やーい怒られてやんの」

 

「アルのせいでしょ!」

 

「自業自得さ」

 

そんな風に言い合いをしていると家が見えてきた。

ごく普通の二階建ての一軒家だ。

この家のイリヤの部屋んお隣にボクの部屋がある。

 

「「ただーいまー」」

 

「おかえりなさいイリヤさん、アル。シロウも一緒ですか」

 

「士郎さんとは途中であったんだよ」

 

家に入ると洗濯物を干していたセラさんがいた。

セラさんは前の世界にもいたメイドさんである。

こちらの世界でも同じく几帳面な性格をしている。

色々とメイドさんとして問題のあるリズさんとは対照的である。

しかし!ここはあえて言わせてもらおう!

 

「セラさん、今日の選択当番はボクだったのに仕事をとらないでよ!」

 

「いえ、これがメイドの本分ですから」

 

「もう一人の方を見てその言葉言える?」

 

「すみませんでした。しかし…」

 

「もういいよ、今日は。ただし明日セラさんが当番だった料理当番後退してもらうからね!」

 

「はい、わかりましたよ」

 

苦笑しながら言うセラさんにボクは笑いかける。

そして洗濯物を畳むのを手伝い始める。

 

「ア、ア、アル…なにやってるの……?」

 

「なにって…洗濯物を畳んでるんだけど」

 

「そうじゃなくて今、手に持ってるのって」

 

「ん、ああイリヤの下着だね。相変わらずアニメキャラのやつはいてるんだ」

 

「ううう、まじまじと見るなぁーーーーー!!」

 

「そげふっ!!」

 

「うわーーーん!!」

 

「う~ん、デリカシー無し少年暁に散る」

 

「リズ!そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!大丈夫ですかアル!」

 

「ううう」

 

なんでさ。

そう呟きながら気絶するボク。

前世のイリヤもこっちのイリヤもどっちも説明なしで殴るのは一緒だなぁ、と考えながら。

 

 

 

***

 

 

気絶から立ち直ったボクはなぜかセラさんにイリヤに謝ってこいと言われイリヤに謝り、仲直りをした。

その時に「このデリカシー無し男が」という意味不明なアフレコをリズさんがやってセラさんに怒られていた。ちなみにイリヤもうんうんとうなずいていた。

納得いかない。

 

そのあと途中からだったがイリヤが注文し、リズさんが受け取り、ボクがお金を出したアニメをみんなで見ていた。

そうそう僕が作ったケーキを試食してもらったりしたがなかなか好評だった。次からはもう少しお砂糖を減らそうと思った。

 

その後士郎さんが晩御飯を作ったというので上映会を一時中断してみんなで夕飯を食べた。

士郎さんの作ったご飯はとてもおいしく、セラさんが対抗心を燃やしていた。

そうして食べ終わった後はセラさんが作ったゼリーを食べながらまた三人で上映会をしていた。

アニメを観終わる頃には夜七時を超えていたためお風呂に入る順番をじゃんけんで決めた。

結果ボクはイリヤに負けてしまい二番目ということになった。

残念だったが仕方ない。

テレビ番組を見て待っていることにしよう。

 

 

そうして今まで通りの平和な時は終わった。

ボクは知らなかった。

いまボク達に迫っていることを。

 

 

***

 

 

イリヤがお風呂に入ってから十五分が過ぎた。

いつも通りならもう上がっているはずだ。

電気もついていないし誰も入っていないだろう。

 

そう判断したのが間違いだった。

 

確かに電気は消えていた。

ただしイリヤが中に入ったままだった。

 

「いっ…やああーーーーー」

 

前世から思っていたことだがもう少し彼女の発育は何とかならないものだろうか。

そんな的外れなことをイリヤの叫び声を聞きながら考えるボクだった。

 

そんなボクのところに普通の人では決して反応できないスピードで何かが突っ込んできた。

 

バシッ!

 

ボクは普通ではないのでそれを叩き落とした。

 

叩き落としたものをじっくり見るボクとイリヤ。

よく見るとそれはアニメの魔法少女が使いそうなステッキだった。

 

『いったいですね~、というよりこんな可愛らしいステッキを見て叩き落とすなんて何考えてるんですか。まぁいいです、それより自己紹介をしましょう。わたしは愛と正義のマジカルステッキ、ルビーちゃんでふぅ!』

 

「うるさい、喚くな」

 

『喚くってなんですか喚くって!こんなに可愛らしい声なのに!』

 

「もういいから早く要件を言ってよ。今夏だけど、このままだと風邪ひいちゃうじゃないか」

 

『くっ、まだまだ言い足りませんがいいでしょう。そこの銀髪の貴方は選ばれたのです!さぁわたしを手に取って力を合わせて一緒に悪と戦うのです!』

 

この時、ボクとイリヤの気持ちは完全に揃ったと言っていいだろう。

 

((こいつはうさんくさい!))

 

『貴方方、今胡散臭いと思いましたね!』

 

「えっ!?いやあの……うん」

 

「うさん臭くないところを探す方が大変だと思うよ」

 

『金髪の方さっきから辛辣な言葉ばかり。あなたはわたしに何か恨みがあるんですか!』

 

「いきなり現れて人の顔面に突撃を仕掛けてきた奴には恨み以外ないと思うけど」

 

『くっ!さらと正論を』

 

「あ…あの~」

 

『はっ、わたしとしたことが目の前の(使いやすそうな)美少女よりも(毒舌)美少年を優先してしまうとは!ちょっと気でも狂いましたかね』

 

こいつ、頭でもおかしいんじゃないのかな。

本気で心配になってきた。

これを作った魔術師は何を考えてこんな性格にしたのだろうか。

ボクは激しく疑問に思った。

 

『ふ~む(ここはこの少年が使えそうですね)えい♩』

 

「なっ!?」

 

このステッキはいきなりなんで人の腰に巻いてあるタオルをめくるんだ?

イリヤも鼻血出しちゃってるし。

 

『(採決…完了!!思った通りですね。ここはこのまま攻めさせてもらいましょう!)楽しいですよー魔法少女!飛んだり、ビームで敵を殲滅したり!恋の魔法でラブラブになったり!!』

 

「ピクッ…」

 

そんな会話をしている時ボクといえば

 

こいつは何のために来たんだ?

さっき魔法少女になりませんかって言ってたけど明らかに飛んだりしてるのは魔術だし。

もしかして今はやりの詐欺なのかもしれないなぁ

 

と全く二人の話に気付いてなかった。

 

『ははーんわかりましたよ。さては…あそこでブツブツ呟いてる金髪美少年くんですね!?』

 

「(かああああ)ち…違うって言ってるでしょこの……」

 

「あっ!イリヤ今触ったら多分…」

 

ボクの忠告も遅くイリヤはステッキに触ってしまった。

 

『ふっ、一瞬遅かったですね美少年くん。さぁ最後にあなたのお名前を教えてください!!』

 

「イ、イリヤ…イリヤスフィール・フォン・アインツベルン!」

 

『マスター登録完了!!このまま転身いっちゃいましょー!』

 

そのステッキの言葉と同時にイリヤの体が光に包まれる。

そうして出てきた姿は…

 

『新生カレイドルビー!プリズマイリヤ!!爆・誕ですよー』

 

一言で言って恥ずかしい恰好だった。

正直小5になってその恰好はないだろうと思う。

 

「うっわー、はずかしい恰好!」

 

『この姿を見て最初に言う言葉が「かわいらしい」「素晴らしい」とかではなくそれですか』

 

実際はずかしい恰好なのだから仕方ないと思う。

そんな冷めた目でずっと二人?(一人と一本)のやりとりを見ていたら急にイリヤが外に連れ出されてしまった。

急のことで思わず思考が追い付かなかったが外での物音を聞き我に返り急いで追いかける。

 

「……ッイリヤ!」

 

慌てて追いかけて窓から飛び出してみるとイリヤのこめかみに指を突き立て何かの魔術を発生さている女性がいた。

久しぶりに見た魔術に驚きながらも体は反応する。

 

「このッ……!」

「なっ!?」

 

まず全身に全力の三十パーセントほどの身体強化の魔術をかけ蹴りを繰り出す。だが急な攻撃に驚きながら相手は反応する。

 

しかし目的は果たした。

 

今の攻撃でイリヤを無事に確保し、同時に相手の実力を測ることが出来た。

この程度の相手なら五十パーセントの力をつかなくても勝てるだろう。

だが念には念を入れて、七十パーセントの力でやらせてもらおう。

 

そう思い身体強化をし相手に飛びかかろうとした瞬間に魔術による光で体を拘束される。

それを使っているのはさっきのバカステッキだった。

 

「お前ら、何者だ」

 

「あなたこそ何者よ…。その力明らかに魔術によるものじゃない」

 

「ボクはそこで気絶している少女の同居人の魔術使いだ。さぁ名乗ったぞ、次はお前らだ。何が目的だ、イリヤに何をするつもりだ」

 

もしこいつらがイリヤに危害を加える気なら、何が何でもこいつらをここで倒す。

 

『っ!?凛さん!早く誤解解いてください!拘束がちぎれそうです!」

 

「(ルビーの拘束魔術を魔術を使っているとはいえ力技で!?)分かったわ。説明するからそこの女の子を起こして。話はそれからよ」

 

「分かった。ただしお前たちが少しでも怪しいことをしたら、首を引きちぎる」

 

「(本気……よね、どうみても)了解したわ」

 

「いいだろう」

 

ボクのその答えを聞き、ようやく拘束を解くステッキ。

 

 

この時ある程度この後の展開を読めたボクだったが、拘束を解かれ一番初めに思ったことは殺気を出して威嚇した凛と呼ばれた女性への謝罪の気持ちでも、いきなり拘束してきたステッキへの怒りの気持ちでも無く。

 

ああ、フラグって本当にあるんだなぁ

 

という気持ちだった。

 

 

そんな感じで二度とフラグは立てないと誓っていたボクはまたもやイリヤと凛さんの話を聞いていなかった。

 

 

「貴方は私の奴隷≪サーヴァント≫になりなさい」

 

「おらぁっ!!」

 

 

その言葉の続きを言うことなく凛さんはボクの蹴りをくらい沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

……さてこの後どうするか。

 

何も考えていないボクだった。

 

 

 

 

 

 

 


 
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