境内前

 

あのあと芽衣も浴衣に着替え、シャルとラウラの待つ境内前にやって来た。

 

「ごめん、待った?」

「もう遅・・い?」

 

二人は思わず見惚れた。

赤を基調とした浴衣、ほんのりメイクを施し情熱的な女性をアピール。

今の芽衣はどこからどう見ても女性にしか見えない。

 

「・・兄さんなのか?」

「??そうだよ?どうしたの?」

 

芽衣は本気で惚けているがわかっていないようだ。

それはともかく境内を歩き始める。

 

昴は智花たちと歩き回っていた。

 

「すいません、お金を出して貰って・・。」

「いや、構わないよ。日頃練習頑張っているご褒美だと思ってくれたらいい。」

 

智花の髪と同じ色の浴衣を着た智花が昴に頭を下げる。

 

「真帆は楽しんでいるみたいだから来てよかったな。」

 

黄色と白の浴衣を着ている真帆は頭にお面をつけ、紫の浴衣を着ているコヨミと共に射的を楽しんでいた。

 

「やりぃ!」

「真帆ちゃん上手ね。」

 

青と白の浴衣を着ている紗季は買ったお好み焼きの味の評価を行っていた。

 

「なかなか美味しいわね。出店で出すに値する味だわ。」

 

オレンジの浴衣を着ている愛莉はピンクの浴衣を着ているひなたと共にたこ焼きを食べていた。

 

「おー、美味しい。」

「美味しいね、ひなちゃん。」

 

そんな彼女たちを見て昴は嬉しくなる。

 

「ほら、智花も何か買ってきな。」

「で、ではお言葉に甘えて・・。」

 

智花はリンゴ飴を購入。

昴もリンゴ飴の店の隣の唐揚げ屋で購入。

智花は真帆と一緒に型抜きを楽しんでいると昴の肩にガルーダが止まる。

 

「・・ファントムか?」

「ピィ(ブンブン)」

 

昴の問いに頭を振って答えるガルーダ。

 

「なら別の怪物?」

「ピィ(コクコク)」

 

次の答えにガルーダは頷いて答える。

 

「コヨミ、怪物が出た。智花たちを頼む。」

「わかったわ、気を付けてね。」

 

昴はコヨミを呼び出し、智花たちを任せ林の中に入り込む。

 

「長谷川・・さん?どうしたのかな?」

 

それを離れた場所にいた愛莉が見ていて後を追う。

一方愛莉が昴を追っていった事を知らず、智花たちを見ていたコヨミも足元のユニコーンを手に取る。

 

「何かあったの?」

「ヒヒーン!」

 

ユニコーンが差し出した紙を読む。

文字は何とか読めるが無理して書いたのがよくわかる。

 

「・・何ですって!?ガタックゼクターが盗まれた!?それに髪をポニーテールにした女子と紫の浴衣を着た女子が何かを話していた・・!?」

昴はガルーダに案内された場所に到着後、隠れて様子を見ていた。

 

「燃やしてやる・・!何もかも!」

 

女は改良型ゾディアーツスイッチを押し祭壇座のアルターに変化。

財団Xがラストワンスイッチを解析、量産したもので精神と肉体が分離することなくラストワンの力を発揮できる。

 

「あっはっは、力が湧いてくる!」

 

ズキュン!

 

どこからか放たれた弾丸がアルターにヒット。

 

「うわ!・・誰だ!?」

 

アルターの呼び掛けに答えるように林の中からウィザーソードガンを手に持ち、不敵に笑う昴が現れる。

 

「全く困ったものだな。祭りの時くらい大人しくしてもらいたい所だ。」

「何だお前は!?」

「俺か?俺は・・。」

 

昴はベルトにドライバーオンリングを翳す。

 

(ドライバーオン・プリーズ)

 

ベルトが変化、本来のウィザードライバーになる。

そしてシフトレバーを操作、左手の中指に赤の指輪を装着。

目に当たるカバーを下ろす。

 

(シャバドゥビタッチヘーンシーン♪シャバドゥビタッチヘーンシーン♪)

 

「おせっかいな魔法使いさ。」

「魔法使いだと!?笑わせるな!」

 

アルターは炎を昴に向けて放ち、昴のいたところが炎に包まれる。

 

「そんな・・!?・・あれ?」

 

愛莉は息を飲むが炎の中から何かが聞こえてきた。

 

(フレイム・プリーズ・ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!)

 

炎が左手に展開された魔方陣に吸い込まれ、炎が晴れた場所にいたのは黒の魔法衣に身を包んだ魔法使い・仮面ライダーウィザード。

赤を基調とした今の姿は炎や熱を操ることができ、パワーとスピードのバランスがとれた基本形態・フレイムスタイル。

 

「何だと・・!私の炎が吸い込まれた・・!?」

 

アルターはウィザードが自身の放った炎を吸収したことに驚く。

 

「長谷川さんの姿が変わった・・!?それにあの指輪・・智花ちゃんの物と形は違うけど似ている・・。もしかして長谷川さんが・・。」

 

愛莉はウィザードの指輪を見て昴が智花を救った魔法使いだと確信。

 

魔法の指輪・ウィザードリング。

現在(いま)を生きる魔法使いはその輝きを両手に宿し、絶望を希望に変える。

 

「さあ、ショータイムだ。」

 

BGM:Life is SHOWTIME

「ふん!まぐれはそう何度も続かない!」

「はぁぁ!」

 

アルターは杖で攻撃してくるがウィザードはそれを華麗に避け足技で応戦。

 

「長谷川さん、すごい。あんな華麗な動き見たことないよ・・。」

 

手で杖を受け止め、アルターの腹にキックを叩き込む。

 

「ぐぅ、なかなかやるじゃない。」

「それはどうも。」

 

ウィザードはレバーを操作、ハンドオーサーを右に切り換え、コネクトリングを翳す。

 

(コネクト・プリーズ)

 

魔方陣が現れ、右手を突っ込みウィザーソードガンを取り出す。

 

「ふっ!」

 

ガンモードを連続発射、それが全てヒット。

 

「次だ。」

「がぁ!」

 

ある程度撃った所でソードモードに切り換え連続切りを当てる。

 

「おぉぉ!」

 

激昂したアルターは炎弾を放つ。

 

「おっとと。」

 

ウィザードはそれを避けながら右手中指に別の指輪を填める。

 

「遠距離か。さっきの銃剣だけじゃなく、こういうのもある。」

 

レバーを連続操作してハンドオーサーを右にセット、指輪を翳す。

 

(ディフェンド・プリーズ)

 

右手を地面に翳すと魔方陣が現れ、中から炎の壁が出現。

炎の壁がアルターの炎弾を吸収、さらに激しく燃え盛る。

 

「そんな・・!?」

「ふふ、・・はぁ!」

 

ウィザードは炎の壁を後ろ回し蹴りで蹴り飛ばすと壁が砕け、大きさにバラツキのある炎弾が放たれる。

 

「うそ!?うわぁ!」

 

炎弾を受け、アルターは膝を着く。

 

「く、うう・・男のくせに・・!」

 

ウィザードはレバーを連続操作、ハンドオーサーを右にセット。

 

(ルパッチマジックタッチゴー♪ルパッチマジックタッチゴー♪)

 

「さて、智花たちをあまり待たせるのも悪いからそろそろフィナーレと行こうか。」

 

右手にキックストライクウィザードリングを装着、リングを翳す。

 

(チョーイイネ・キックストライク・サイコー♪)

 

「はぁぁ・・!」

 

クルッと回りながら魔法衣を翻したウィザードの足元に魔方陣が現れ、右足に炎が灯る。

 

「ふっ!」

 

ロンダートからジャンプ、体を捻ってキックを当てる必殺技・フレイムストライクウィザードを発動。

 

「・・たぁー!」

「そ、そんなー!」

 

アルターを撃破するとアルターの表皮を剥がされたスイッチャーは気絶、さらにウィザードの足元にスイッチが転がる。

 

「ゾディアーツは確かスイッチを切るんだったな。・・よっと。」

 

ウィザードはそれを押すとスイッチは消滅。

 

「ふぃ~・・。あとは警察に任せるか。」

 

戦いを終えたウィザードの体を魔方陣が通過すると変身を解ける。

ガサッ・・

 

「・・誰だ!?」

 

足音が聞こえ、ウィザーソードガンを足音の聞こえた方向に向ける。

 

「はわわ・・。」

「あ、愛莉!」

 

足音の主が愛莉とわかり昴はウィザーソードガンを納める。

 

「ご、ごめん!・・もしかして見ていたのか?」

「は、はい・・すいません。」

「・・そうか。」

 

昴は愛莉の肩を掴み真剣な目で愛莉を見る。

 

「愛莉、今見た事は智花たちに黙ってくれないか?」

「・・何でですか?長谷川さんが智花ちゃんを助けた魔法使いさんですよね?ならどうして・・?」

 

愛莉に自身が魔法使いでありウィザードであることを黙ってほしいと頼む。

昴の言うことが愛莉にはわからなかった。

友達であり、チームメイトでもある智花を助けた恩人であることを黙ってほしいと言うのだ。

 

「・・俺のこの力はIS委員会から見たら解析の対象に値するもの。もしこれが知られたら君たちのコーチングができなくなるし、たぶん会うことすら叶わなくなると思う・・。」

「あ・・。」

 

愛莉はIS委員会らが仮面ライダー等をよく思っていない事をマスコミを通じて言っていた事を思い出す。

昴の力がもしIS委員会関連に知られたら・・そう思うと愛莉は頷くしかない。

 

「・・わかりました。智花ちゃんたちには黙っておきます。」

「・・ごめんな。助かる。」

 

愛莉はでもと言葉を続け、昴の目を見る。

その目は普段から考えられない位に真剣なものだ。

 

「・・私たちが怪人から襲われたりしてピンチの時にはその力で助ける事を約束してください。」

「・・わかった、約束する。」

 

こうして現在(いま)を生きる魔法使いと背は高いが気が弱く、泣き虫な女の子は秘密を共有することになった。

 

「長谷川さんが魔法使いであることを知っているのは他にいますか?」

「コヨミや母さんは知っているな。あとは葵も知っている。葵に至ってはこのウィザードリングを製作している。」

「そうなんですか。」

 

葵は魔法石を加工してウィザードリングを製作して昴に渡している。

だが使ってみないと効果がわからないという欠点を抱えている。

 

「この前遅れただろ?・・このスリープで眠ってしまったんだ。・・相手を眠らせるではなくて自分を強制的に眠らせる効果だったんだ。」

「そうなんですか。魔法って便利だけじゃないんですね。」

 

二人は揃って智花たちの所へ戻る。

「すばるんにアイリーン遅い!」

「はは、ごめんな。」

 

帰りが遅かったことに真帆はお冠で昴と愛莉はアイコンタクトを交わす。

それを見たコヨミと智花は・・。

 

(・・見られたわね。)

(む~・・。愛莉と昴さん、何があったのかな?)

 

コヨミは愛莉に見られた事を悟り、智花は二人の様子に頬を膨らませる。

 

「キレイ・・。」

「みんな火に気を付けてね。」

 

祭りを楽しみ、最後は芽衣の家で花火を楽しんだ。

芽衣たちが花火を楽しんでいる少し前、エミリーと箒はウィザードとアルターの戦いがあった場所にやって来ていた。

ここでスイッチを使ったと報告を受け、成果を聞こうと考えていたが二人が見たのは気絶しているスイッチャーだった。

 

「・・倒したのは天海なのか、エミリー?」

「恐らくね、やられたわ。まさかここまで迅速に動けるなんて思わなかった。」

 

昴・・ウィザードを知らないエミリーと箒は同じ火属性の龍騎・・芽衣が倒したと思っている。

しかし倒したのはIS委員会も財団Xも知らない新しいライダー・・ウィザード。

 

「まあある程度テストできたからよしとしましょう。学園祭が楽しみね・・。」

「ああ、天海が誰を招待するか知らないがその時が奴らの最後。そして私は一夏の隣に立つことができる・・!」

 

そう言って二人は歪んだ笑いを浮かべる。

ウィザードデビュー!

 

あのキックを見てバーニングディバイドを連想した方も多いはず。

 

アギト+ギャレン+ファイズみたいだと思いました。

 

同じ頃芽衣たちは祭りを楽しんでいました。

 

一夏たちはたこ焼きを食べさせあいっこして周りが砂糖を吐いていました。

 

エミリーと箒。

 

箒はエミリーの手によって狂気に染まり、正常な思考力がほぼありません。

 

ガタックゼクターは盗まれ・・。

 

ウィザード参上!

 

ナレーションは平田広明さんで。

 

華麗な戦いかたで愛莉を魅了しました。

 

愛莉は昴が魔法使いでありウィザードであることを知りましたがマスコミで仮面ライダーがあまりいい印象を持たれていないことと昴のコーチングが受けられなくなり、会えなくなることは嫌だという思いで智花たちには話さないことを決めました。

 

智花は頬を膨らませて嫉妬。

 

学園祭に何が起こるのか?

 

感想待ってます!


 
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