No.479446

ViVidに転生した。うん、そのはず………。 その4

真尋さん

え、あれ、こんなタイミング?

2012-09-03 21:32:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4277   閲覧ユーザー数:4077

 兄貴が腹痛でぶっ倒れた。

 

 尋常じゃない苦しみ方だったらしく、食中毒の可能性もあるってんで救急で運ばれたそうだ。

 

 見舞いにいった方がいいよな………?

 

「私はそう思います」

 

 俺の不安を察しているのか、アインハルトは頷き、さっさと行くように促した。

 

「ごめんな、練習パーにしちゃって」

 

「家族の方の大事でしょう、仕方ありません。それよりも早く行ってあげた方がいいかと」

 

「すまん、今度必ず埋め合わせするから!」

 

 そう言って俺は学校を早退し、兄貴が運ばれた場所……聖王医療院へと向かった。

 

 

 

 

 

 ただの盲腸……虫垂炎だった。そこまでの大事ではないようだ。

 手術もすぐに行われるらしい。

 

「心配させやがって、全く……」

 

 天井を見上げ嘆息していると、ドン、と誰かにぶつかった。

 

「ふぇっ」

 

「わっ」

 

 とんでもない勢いで走ってきたのか、ぺたん、と尻餅をつく。

 

「ごめんな、前を見てなくて」

 

「ふぇ、あ、う……」

 

 謝るが金髪の少女、いや幼女は少し泣きそうになっている。紅と緑の瞳に涙がたまっていた。ぎゅっ、とウサギのぬいぐるみを握りしめる。やめて! そんなに握りしめられたらウサギさん中身出ちゃう!

 

 ……ってオイ!

 

「どうしたんだ?」

 

「ママ……いないの」

 

 これってあの時の……

 アニメのワンシーンが脳裏に蘇る。って言うかいつの間にか辺りに人気がないし。トイレ行ってる間に何かあったのか。近くになかったから、隣の特別病棟のところに行ったんだけど……。

 

「わかった、じゃあ一緒に探してあげる。俺の名前はレオンハルト・ブランデンブルク。レーヴェって呼んでくれ。君の名前は?」

 

「……ヴィヴィオ」

 

 うわぇっひゃーい!

 俺は変な声を上げてしまいそうになるほどに混乱していた。おいこれ三期だろ。StrikerSだろ。時間設定間違えたとか…間違え過ぎじゃないか?

 

「じゃあ、行こうか?」

 

「……うん」

 

 俺は混乱のあまり奇声をあげている自分をマルチタスクで押さえ込み、笑顔を作って言うと、

 ヴィヴィオはこくりと頷いた。

 

 

 

 

 

 

 で、庭の方を一緒に歩く。ヴィヴィオが少し先に進み、それを俺が見守る形だ。

 

 がさがさと、緑の中をかき分けていくのを見つつ、ついていくと

 

「ああ……こんなとこにいたの」

 

 斜め前から声が聞こえた。あれ? この声は……

 

「心配したんだよ」

 

 そう言ってヴィヴィオに歩み寄ってくるのは栗色の髪の女性だ。

 

 ヴィヴィオが少し後ずさったので、さっさと前に進み、かばうように前に出ようとすると、

 

 

 

 ズバーン!

 

 

 

 目の前に武装したシスターシャッハが飛び込んできた。

 

「ふぇ……」

 

 ウサギのぬいぐるみを落とし、たちまち泣きそうになるヴィヴィオ。やれやれ……

 

 そのままこっちを向いてきたので、ため息つきつつ前に出る。

 

「シスターシャッハ」

 

「っ! レオンハルト君!? どうしてこんなところに!?」

 

「いや、迷子が一人いたんで探すの付き合ってやろうかと。こっちの用事も済んでますし。それより」

 

 ジトッとした目で見た。

 

「脅かし過ぎじゃありませんか? 別にこの子、何か危険な要素があるわけでもありませんし」

 

「そ、それは……」

 

 

「「シスターシャッハ」」

 

 

「は、はい…」

 

 

 

「ちょっと、よろしいでしょうか」

「武装解除しないと整備の値段上げますよ?」

 

 

 

 同時に異なることを言われたシスターシャッハは大混乱である。

 

「は、はぁ。わかりました」

 

 俺の発言を受け、デバイスも待機形態に戻す。そして数歩下がった。

 

「ごめんね……びっくりしたよね」

 

 俺たちに謝ったのは栗色の髪の女性……やっぱりこの人……。

 

「大丈夫?」

 

 今度はしっかりとヴィヴィオの方を向いて聞いた。

 

「う、うん……」

 

 ヴィヴィオは少しだけ頷く。

 

「立てるか?」

 

 俺の問いにも頷いて、ヴィヴィオが立ち上がった、服についた埃を女性が払う。

 

「初めまして、私、高町なのはって言います」

 

 やっぱりか。じゃあこの人が……

 

(管理局の白い魔王……!)

 

「お名前、言える?」

 

「………ヴィヴィオ」

 

「いいね、可愛い名前だ。…君は?」

 

 俺もですか。

 

「レオンハルト・ブランデンブルク。フリーのデバイスマイスターで、そちらにいらっしゃるシスターシャッハのデバイスの整備とかをしています」

 

「その歳でデバイスマイスターの資格もってるんだ。凄いね」

 

 にっこり笑った。そして俺が何してたのかはさっき聞いていたため、ヴィヴィオの方へ向き直る。

 

「ヴィヴィオ、どこか行きたかった?」

 

「……ママ、いないの」

 

 一瞬だけ……本当に一瞬だけ、高町さんは辛そうな表情を浮かべた。

 その後すぐに表情を笑顔に変え、

 

「ああ……。それは大変。じゃあ一緒に捜そうか?」

 

「……うん」

 

 ヴィヴィオは再び、わずかに頷いた。

 

 

 数時間後。

 

 俺は機動六課の隊舎にいた。

 

 何だろう、この状況……

 

 目の前でヴィヴィオがなのはさん(来る途中、そう呼んでと言われた)のスカートを引っ掴み、泣きわめいていた。

 

「やぁだぁー!」

 

 というかだな、俺こんなところにいていいのか?

 民間人の少年である俺に対して若いフォワード陣も戸惑ってたし。

 ヴィヴィオの友達になったってことでついてきていいよって言われたんだが。

 

 まあ、ここは友達としての力を発揮するとしよう。

 

「ヴィーヴィオっ!」

 

「………レーヴェ?」

 

 涙目の幼女。何これ超可愛いんだが。

 

「なのはさんは大事な用事があるから出かけなきゃならないんだ」

 

「ふぇ…」

 

 また泣きそうになっているが我慢。

 

「ヴィヴィオはなのはさんにどっかに行ってほしくないんだよな?」

 

「うん……」

 

「でもこのままだとなのはさんが困る。ヴィヴィオもなのはさんを困らせたいわけじゃないだろ?」

 

「うん……」

 

「だからいい子で待ってような。なのはさんが帰ってくるまで、一緒にいてあげるからさ」

 

「……ほんとう?」

 

 あれ、ここは涙こらえながら頷くはずのところじゃなかったっけ?

 

「え?」

 

「いっしょにいてくれる?」

 

 やばい、潤んだ瞳で見てくるのが超可愛い。このままではロリに目覚め……いや、精神はともかく肉体は8歳だから問題ないはずだ。

 

「なのはさんが帰ってくるまではずっと一緒だよ」

 

(いいですよね、なのはさん?)

 

(ごめんね、ありがとう)

 

 そう念話でなのはさんと会話しつつ俺が言うと、なぜかヴィヴィオは笑顔になった。

 

「うん!」

 

「じゃあヴィヴィオ、ちょっとお出かけしてくるから」

 

「うん!」

 

 一緒に笑顔でなのはさんご一行を見送った。途中から入って来たフェイトさんとはやてさんは苦笑いで様子を見ていた。

 

 

 

 

 というわけで部屋には俺とヴィヴィオ、それにエリオとキャロの二人である。

 

「じゃあ、何して遊ぼうか?」

 

「えーと……」

 

 ヴィヴィオは少し困っているようだったので、

 

「どうしよう?」

 

 年上二人に意見を求める。

 

「え、いや……」

 

「そんなこと言われても……」

 

 ……こいつら年上なのに頼りにならねえぇええええ!

 

 しょうがない、俺がなんとかせねば。

 

「じゃあ、アニメ見よっか?」

 

「え、アニメなんてここには……」

 

 エリオの疑問の声を気にせずに俺は愛機に声をかける。

 

「ロイ」

 

『了解。まさかこんなところで役に立つとは……』

 

 さすが俺が組んだデバイス。感情豊かで結構だ。………他の人がほとんど褒めてくれないから自分で褒めるしかないんだよね。

 

「俺も思ってなかったよ」

 

 デバイス!? と驚いている二人を尻目に、俺は録画していたお気に入りのアニメを第一話から再生する。

 

 

 

 

 それは選ばれた子供達のお話だった。異世界に飛ばされ、仲たがいと団結を繰り返し、パートナーとともに戦う物語。

 

 デジタルなモンスター達と少年少女の活躍にヴィヴィオは大満足でもっと見たいとねだってきた。なぜか年上組も少し目がキラキラしてた。

 

 

 

 夜、なのはさん達が帰ってきた。とてとてとヴィヴィオが駆け寄る。

 

 それを見たなのはさんはにっこり笑ってヴィヴィオを抱き上げた。

 

「ただいま、ヴィヴィオ。いい子にしてた?」

 

「うん、レーヴェと一緒にアニメ見てた!」

 

「そ、そう…ありがとね、レオンハルト君」

 

 元気に答えるヴィヴィオに、なのはさんは若干引き気味だった。……なぜ?

 

「友達ですから。じゃあ、俺はこれで」

 

「ふぇ………」

 

 俺が別れの挨拶を告げると、またヴィヴィオが泣きそうになったので優しく声をかける。

 

「大丈夫、また来るから。また一緒にアニメ見ような」

 

「……うん」

 

 こくり、とヴィヴィオは頷いた。

 それを見た俺は安心して帰ることにする。

 

 

 

 

 三期関わることが決定しちゃったな………まあいいか。


 
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