No.470436

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 夏だ!海だ!みんなで旅行だー!

本郷 刃さん

この話は番外編です。
かなりカオスな事になっています。
また本編とはほとんど関係ありません。
ですので、お読みになる際は十分にご注意ください・・・。

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2012-08-15 11:18:20 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:31189   閲覧ユーザー数:29051

前書き兼注意。

今回のこの番外編はネタバレも含まれております。ですので、注意してお読みください。

ネタバレが嫌だと言う方々はいますぐ、ブラウザの戻るを押すか別のページにとんでください。

読んでみたいという方々は是非お楽しみください。

舞台は現実世界ですが、みなさんに分かりやすいようにするためにキリト達の名前はキャラ名にしています。

時間軸は『アリシゼーション編』無しの夏と思ってください。

また第三者がいる場合はキャラ名ではなく、本名を呼ばせています。

それでは、外伝をお楽しみください・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 夏だ!海だ!みんなで旅行だー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

「青い空!」

 

シャインが叫び、

 

「白い雲!」

 

クラインが叫び、

 

「熱い日差し!」

 

ルナリオが叫び、

 

「真夏の浜辺!」

 

テツが叫び、

 

「つまりここは……」

 

ロックが繋いで、

 

「「「「「海だーーーーー!!!」」」」」

 

女性陣が叫んだ。

 

 

 

「何をやってるんだか…」

 

「はぁ…」

 

「………」

 

「あ、あははは……」

 

「サチまで…」

 

「まぁ、いいんじゃないかなぁ」

 

俺とハクヤ、ハジメとヴァル、ケイタとヤマトは呆れたり苦笑したりしている。

俺達は今、海に来ているんだが……一部のテンションが異常に高いのだ。

まぁ折角の夏休みだからな。俺達はSAOから解放されて二回目の夏休みを迎えている。

それでシャインの提案によって、みんなで泊まり掛けで旅行に来たというわけだ。

ちなみにエギルは家族での旅行があるから無理だった。まあ折角の旅行だ。俺も楽しまないとな。

 

 

 

「それじゃあみんな着替えてからここに集合。

 男性陣はすぐに着替えられるから、道具を広げる準備をするからな」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

俺が指示を出すとみんながそう返事をした。なんで俺が言うとこんな返事が返ってくるんだろうか?

ゲームのせいか? まあいいか。俺達は更衣室に向かった。

 

 

 

「にしてもお前らよく鍛えてんな~」

 

クラインがふとそんな一言を漏らした。

 

「そういえば、そうだよな」

 

「しかも無駄な筋肉がないし」

 

「綺麗な身体つきだよな」

 

「すごいよね」

 

ケイタ、テツ、ロック、ヤマトがそんな風に感想を言った。

 

「それはそうだろう」

 

「鍛えているわけだからな」

 

俺とハクヤがそう返し、

 

「……いつもの事だと思うが」

 

「僕達にとってはですけどね」

 

当然というハジメにヴァルが一言口を添え、

 

「って言ってもクラインさん達だって、普通の人よりかはしっかりしてると思いますけど」

 

「だよな」

 

ルナリオの言葉にシャインが賛成の言葉を放った、確かにルナリオの言う通りだな。

クラインや黒猫団のメンバー達もそれなりの身体つきはしている。

 

「そりゃあれだ。SAOから解放されたら嫌でも鍛えなきゃならなかったしな」

 

クラインのいうことも当然だな。

あの一件で『SAO生還者(サバイバー)』は体が大変な事になったものだから、

自然と体力や筋肉をつけないといけなくなるのだ。

そのお陰で身体つきはしっかりするようになったが。俺達『黒衣衆』は元から鍛えてるけどな。

 

「それよりも全員着替え終わっただろ? いくぞ」

 

「「「「「おう(ああ)(ハイ)」」」」」

 

 

 

「場所を広く取れてよかったよ」

 

「そうだな、人数が多いし」

 

ケイタとハクヤがそう話している。

準備が終わった俺達は女性陣を待っているのだ、やはり女性の準備は長いからな。

ちなみに俺達男性陣は全員がトランクス型の水着である。そして、

 

「お、姫様達の到着だぜ」

 

シャインが見る先に俺も視線を向けた。そこには我らが女性陣がいるのだが……。

やはり周囲の視線が圧倒的に彼女達に向いている。彼女達も俺達を見つけて歩いてきた。

 

キリトSide Out

 

 

 

 

 

 

作者Side

 

ここからはキリト達に代わって自分、本郷 刃がお送りします。

加えて、水着の知識が無い方の為に水着の簡単な説明付きで進ませてもらいます。

トップは上半身、ボトムは下半身を指します。

 

「えと、ごめんね。遅くなって//////」

 

「大丈夫だよ……すごく似合ってる」

 

「あ…ありがとう//////」

 

照れているアスナにキリトは笑顔で言ってのけた。

アスナはツーピース(上下の分かれた水着)のセパレーツ型(ビキニより生地が多め)で、

白を基調に縁と紐の部分が赤色の水着です。

 

「その…可愛いよ///」

 

「良かった…//////」

 

ヴァルは照れながらもそう言い、シリカは安堵する。

シリカの水着はワンピース(上下が繋がった水着)のAライン型(ボトムにスカートがついている)。

黄色を基調にオレンジの花柄の可愛らしい水着。

 

「どう、かしら…//////」

 

「問題無く似合ってるよ」

 

訊ねてくるリズベットにハクヤは笑みで返した。

リズの水着はツーピースでボトムがボーイレッグ(ショートパンツ風)。

トップはピンク、ボトムは水色の水着。

 

「どうかな、ルナ君//////?」

 

「う、うん。可愛い、っす…///」

 

リーファの問いかけにルナリオは照れながら答えた。

リーファの水着はツーピースのストラップレス(肩紐がなく、背中は太い布)で、

トップとボトム共に翡翠色の水着です。

 

「変じゃない//////?」

 

「……似合ってる」

 

水着を気にするシノンにハジメは僅かに笑みを浮かべた。

シノンの水着はワンピースのモノキニ(バックがビキニのようなもの)で白一色の水着です。

 

「すっげぇ綺麗だぞ、ティア」

 

「ありがとうございます//////」

 

満面の笑顔で言い放ったシャインに対し、ティアは照れながらも嬉しそうにする。

ティアの水着はツーピースに青一色なパレオ(ボトムに布を巻いた)の水着。

 

「恥ずかしくって、その……こういうのしか…//////」

 

「気にすることじゃないって。あ~なんだ、うん。きれいだし、な」

 

恥ずかしがるカノンにクラインは安心させるように言った。

カノンの水着はワンピースだが、どちらかと言えば競泳水着に近い黒に白いラインの水着。

 

「えっと、どう//////?」

 

「ぁ、えっと…可愛いよ///」

 

サチの姿に照れながら答えるケイタ。

サチもアスナと同じでツーピースのセパレーツ水着。色は紫色です。

以上が女性陣の水着説明と男性陣(彼氏)の感想でした。

 

作者Side Out

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

まずは各々やりたい事をすることになった。少ししたら集まって昼食をとるからな。

俺はアスナとパラソルの陰に入っている。

 

「ねぇ、キリトくん。お願いがあるんだけど…」

 

「ん、どうした?」

 

アスナが俺にお願いねぇ。ただ、なんとなく予想はつくんだよなぁ。

 

「あのね…日焼け止め、塗ってくれないかな?」

 

「わかった」

 

「えっ?」

 

この反応はやっぱり俺をからかうつもりだったな。予想済みだから驚く事もない。

 

「ほら、貸して。塗ってあげるから…」

 

「ぁ…その……はぃ//////」

 

俺がアスナの耳元でそう呟くと彼女はあっさりと降伏して、シートにうつ伏せになった。

 

「水着の紐、解くからな」

 

アスナは小さく頷き、俺はその紐を解いて手に日焼け止めを乗せた。

最初は冷たいのでしばらく手で混ぜて、人肌程度の温度になったのでそろそろ始めるか。

 

「アスナ、動くなよ」

 

「う、うん…//////」

 

俺はアスナの背中に日焼け止めオイルを塗っていく。最初は少し驚いたようだがすぐに慣れたようだ。

 

「キリトくんってマッサージとか上手いの///?」

 

「母さんとか師匠、鍛練が終わったあとのみんなの体もほぐすためにやったりしたんだ。よし、終わったぞ」

 

俺はアスナの水着の紐をしっかりと結んだ。

 

「ありがとう//////」

 

「今度は俺に塗ってくれるか?」

 

「うん、いいよ///」

 

俺もアスナに日焼け止めオイルを塗ってもらった。

 

 

 

「あ~、結構量があったな~」

 

「確かにな。でもあんなもんだろ?」

 

俺達は海の家で昼食を取り、食べ終えて店から出てきたところだ。

シャインとクラインはそれなりに満足した様子である。

 

「アスナ、分けてよかっただろ?」

 

「うん。結構な量だったからね」

 

アスナは海の家でカレーを注文したのだが、かなりの量だったので俺が少しもらった。

海の家の料理は量が不安定だからな。多いところもあれば少ないところもあったりする。

 

「休憩したらビーチバレーでもしようぜ」

 

「いいですね」

 

「腕が鳴るな」

 

「面白そうじゃない♪」

 

「オッシャー! ぜってぇ勝つ!」

 

シャインの提案にティアさん、ハクヤ、リズ、テツはかなり乗り気になっている。

他のみんなも乗り気だな。ビーチバレーか。食後の運動にはいいかもしれない。

そして、休憩から二十分後。動けるメンバーから三人一組で勝負する事になった。

最初の試合はとにかくやばかった。なんせメンバーのAチームが俺、ハクヤ、ヴァルの三人。

Bチームがシャイン、ハジメ、ルナリオの三人という黒衣衆男性陣だったからだ。

試合は一進一退の攻防だった。点を入れては入れられての繰り返しで、最後には俺達Aチームが勝った。

 

そのあとの女性陣対決はAチームにアスナ、ティアさん、リズベットの三人で

Bチームはシリカ、サチ、カノンさんの三人。こちらも白熱した戦いとなったが、勝ったのはBチームだった。

 

次の試合Aチームはクライン、テツ、ケイタでBチームがロック、ヤマト、ヴァルとなった。

これはヴァルが試合の鍵となってBチームの勝利となった。

その後もメンバーや人数を入れ替えて中々楽しいものとなった。

 

ビーチバレーが終われば今度はスイカ割りが始まった。スイカの数は二個。一番手はサチだ。

 

「サチ、もうちょい右だ!」

 

「いきすぎだよ、少しだけ左!」

 

「ゆっくり、ゆっくり前に!」

 

「その調子!」

 

ロック、ケイタ、ヤマト、テツの指示によってなんとか進んでいくサチ。スイカの前に辿り着くが、

 

「ここ、かな? それ!(ブンッ、スカッ) あれ?」

 

「「「「「あぁ~~~」」」」」

 

見事に外れた。棒はスイカの左に沈んでいた。二番手はハジメなのだが……。

 

「全員指示はなしだ」

 

「え、なんで?」

 

俺の言葉にシノンは不思議がっている。

 

「ハジメさんには指示は必要ないからっすよ」

 

「それって……」

 

「見ていればわかるよ」

 

ルナリオに言われるとリーファはなんとなく気付いたようで、ヴァルは他の皆に見るように促した。

みんなが声を出さずに見守る中、ハジメは足を踏み込ませてスイカに一瞬で近づいて、

 

「……ふっ!(ブンッ!ゴシャッ!)」

 

スイカを一撃で割ってみせた。

 

「えっ?」

 

「さすがだな」

 

「明らかにおかしいよな!?」

 

「僕達にはとってはいつものことなんだけどね」

 

「いつものことなんだ…」

 

アスナが呆然とし、ハクヤは賞賛し、クラインはツッコミをいれ、ヴァルとシリカは苦笑している。

みんなが驚いているが、確かに俺達黒衣衆にとってはいつものことだな。取り敢えず砕いたスイカを分けて食べた。

人数は多いが女性陣はあまり食べないので二個で丁度良さそうだな。三番手は……俺か。

 

「指示は要らないが……何をするかは俺次第だ」

 

「「「「「………」」」」」

 

俺の言葉にみなが沈黙する。さてどうしてやろうか…。

俺は目隠しをしてから深呼吸をし、一気に駆け出して棒を振り下ろした。

 

「くたばれ!」

 

「のぉぉぉぉぉ!!!???」

 

俺が狙いを定めたのはシャインだ。だが棒に衝撃は伝わってこない。目隠しをとるとそこには、

 

「な、なめるな…」

 

「くっ、やるな」

 

「「「「「おぉ」」」」」

 

シャインは見事な真剣白羽取りで受け止めていた。周囲は驚嘆の声を上げている。

 

「てゆーか俺狙いか!?」

 

「ちっ……」

 

「舌打ちされた!?」

 

「なに、冗談だ………ちっ」

 

「どっちだよ!?」

 

俺とシャインのやりとりにみんなから笑いが巻き起こった。

一部のやつらは腹を押さえて笑い転げている。俺達もつられて笑ってしまう。

そして四番手はリーファとなった。

 

「リーファ。そのまま真っ直ぐ!」

 

「ほんの少しだけ左に!」

 

「あとちょっと左!」

 

「そうです、そのままです!」

 

「そこだ、リーファ!」

 

ルナリオ、アスナ、カノンさん、ティアさん、俺の指示に従ってリーファは進んだ。

 

「っ! めーん!(ブンッ!ガンッ!パカ!)」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

リーファが叩いたスイカは綺麗に複数分に分かれた。我が妹ながら恐ろしい技だな…。

スイカ割りもこれでおしまいとなり、俺達はまた各自で自由に行動する事にした。

 

 

 

 

 

 

俺とアスナは小休憩にパラソルの下でゆっくりしている。

他のみんなは泳いだり、砂で城やら作ったり、水の掛け合いや再びビーチバレーをしたりしている。

 

「ふぅ…。こういうのもやっぱりいいな」

 

「ふふ、そうだね~。わたし、友達と海水浴なんて初めてだから凄く楽しいよ!」

 

「そっか、なら良かったよ」

 

彼女の言葉に俺は嬉しくなった。

俺も昔はよくハクヤやシャイン達と海に遊びにいったが、

中学に入学する前頃から鍛練ばかりをするようになっていたからな。

 

「キリトくん。今度は、その……二人で来ようね//////」

 

アスナがそう言って俺の手を握ってきた。

 

「ああ。そうだな…」

 

そう答えて俺も手を強く握った。

 

「にゃ、にゃははは…。の、喉が渇いちゃったなぁ、え~と飲み物、飲み物//////」

 

アスナは照れてしまって誤魔化そうとした。ここは乗っといてあげるか。

 

「あれ? もう無くなってる」

 

「そうか…。じゃあ俺が少し買ってくる。お茶とジュースを二つずつでいいよな?」

 

「わたしも行こうか?」

 

「いや、大丈夫だ。アスナはもう少し休憩しててくれ…」

 

「うん、分かったよ」

 

俺は財布を持って、海の家の売店に向かった。

 

 

 

「麦茶を二本とスポーツドリンクを一本とジュースはオレンジでいいか。

 すいません、会計お願いします」

 

売店のおばちゃんに代金を渡して、俺は戻ることにした。

 

「さてと…早くもどって「(ドンッ!)うわっ!?」くっ!?」

 

人にぶつかってしまった。俺が注意を欠かしてしまうとは、浮かれていたのかもしれないな。

 

「すまない、大丈夫か?」

 

「あ、大丈夫です。僕の方こそすいません」

 

俺がぶつかってしまったのは俺よりも一つか二つ年下に見え、

女性にも見えなくはない顔立ちをした黒髪が綺麗な少年だった。ん? こいつ………。

 

「キミ、かなりできるな?」

 

「っ!? そういう貴方もかなりできますね?」

 

どうやらお互いに少し気が緩んでいたみたいだな。

 

「折角だから手合せを……と思ったが、やめておこう」

 

「そうですね。周りの事を考えるとさすがに…」

 

「名前ぐらいは名乗っておくか。俺は『桐ヶ谷 和人』だ、よろしく」

 

「僕は………『黒夜(くろや) (みつる)』といいます」

 

俺達は握手を交わした。恐らくだが黒夜の実力は俺と同等か…下手をすれば俺以上かもな。

しかし、さっきの間はなんだろうな…。まぁ人には言いたくない事もあるか。

 

「桐ヶ谷さんは「和人でいいぞ」それじゃあ、和人さんは旅行かなにかでここに?」

 

「ああ、友人達とな。「僕も満でいいですよ」わかった、満もそんな感じか?」

 

「はい。それで、その友達がはぐれたので探しに……」

 

それは大変だ。というか俺と話してていいのだろうか?

 

「多分、ここら辺にいると思うんですけど…」

 

それでここに居たという事か。俺は特徴を聞いて探すのを手伝おうと思った。その時、

 

「やめてください!」

 

女性の大きな声が聞こえた。今の声はまさか!?

 

「すまん、満!」

 

「和人さん!? 僕も行きます!」

 

俺がいきなり駆け出したが、満はすぐに追いついてきた。やっぱりこいつできるな…。

 

キリトSide Out

 

 

 

 

 

 

No Side

 

「この子嫌がってるじゃないですか!」

 

「そんなことないって。ねぇ、お嬢さん?」

 

「わ、わたしは友達と遊びに来てるんです! それに何回もお断りしたはずです!」

 

「ほら!」

 

アスナと一人の少女は、十人もの男にナンパされていたが、振り払えずにいた。

 

「それだったらさ、君も一緒に遊ばない?」

 

「そうそう。君なら大歓迎だよ!」

 

「お断りします! わたしだって、彼氏と友達と来てるんですから!」

 

十人の男に囲まれるアスナと女の子。断るアスナ達をよそに男達は喋りかけてくる。

 

「彼氏なんか放っておいてさ、俺達と遊ぼうよ」

 

「なんならさ、女の子の友達も一緒でいいからさ」

 

周囲の人達はガラの悪い男達のせいで注意する事もできないでいる。

しかし、男達は気付いていなかった。これがやってはいけないことだという事に。

 

「あのさ~。なにやってんの? アンタ達」

 

男達の背後には………悪魔が二人いた。

 

No Side Out

 

 

 

キリトSide

 

アスナは見知らぬ女の子と一緒に男に絡まれていた。おそらく、助けるために割って入ったのだろう。

隣の満を見てみると、俺同様にブチギレ寸前の様子だ。という事はあの女の子が満の探していた友達なんだろう。

満が俺の視線に気づき、俺達はアイコンタクトをとって男達に近づいた。

 

「あのさ~、なにやってんの? アンタ達」

 

「あん? なんだよ、ガキ?」

 

お決まりのセリフに思わず呆れてしまいそうになった、まあいいか。

 

「なにって言われても俺はその子の彼氏だよ」

 

「和人くん!」

 

「桜!」

 

「満君!」

 

「そういうわけで、なに人の女に手ぇ出そうとしてるんだよ?」

 

俺がそう言うと男が一人近づいてきた。

 

「ガキが生意気言ってんじゃねぇよ!」

 

男が拳を振り下ろしてきたので、周囲から悲鳴が起こったが…、

 

―――パシッ!

 

「なっ!?」

 

俺はそれを簡単に受け止めた。

 

「こんなもんかよ…。さて、俺に殴ってきた。つまり正当防衛が認められるわけだ。

 ちなみに証人は俺達をみている人間全てだ」

 

「くそ、やっちまうぞ!」

 

そういうと男達が全員で俺と満に向かってきた、これで明日奈と桜という子は大丈夫だな。

 

「満……半分ずつな?」

 

「はい、賛成です」

 

俺は足で思い切り踏み込んで、男1の目の前に立った。

 

―――ドスッ!

 

「がはっ!?」

 

腹に一発拳をブチ込んだだけで、悶絶して倒れた。

 

「次……」

 

―――シュンッ!

 

「へ?」

 

―――ドンッ!

 

今度は膝蹴りが男2の腹に抉りこんで、倒れ伏した。

 

「ひっ!?」

 

俺が睨んだだけで男3は怯えたが、そのまま接近して回し蹴りを喰らわせた。

 

「ごふっ!?」

 

そして、男3の隣にいた4の背後に回って手刀を叩き込んだ。

 

「がっ!?」

 

俺が倒すのはあと一人。残りは満がやっている。

 

「て、てめぇ!」

 

最後の男5は手にナイフを持っていた。

 

キリトSide Out

 

 

 

満Side

 

あまり厄介事は起こしたくなかったけど、桜の為だ。それに僕も久しぶりに怒ってるし。

 

「この女顔がぁ!」

 

―――ブチッ!

 

「何の音だガバハァッ!?」

 

「よくも人が気にしてる事を言ってくれましたね」

 

僕は瞬時に男6の懐に入り込んで蹴りをかましてやった。

 

「こ、こいつっ!?」

 

「遅いですよ……」

 

殴りかかってきた男7のパンチを躱して、腹に掌底を叩き込んだ。

それによって男7は後ろに吹き飛んで気絶した。

 

「まだ来ますか?」

 

「っのやろうーーー!」

 

僕の挑発にあっさりと乗った男8の腹部に連続でパンチをかます。さらに戦闘不能となった。

 

―――ザッ、シュンッ!

 

「なぁっ!?」

 

僕の高速での移動に驚愕している男9。それを無視して顔面を殴った。残るは一人。

和人さんの方をみてみるとあちらもあと一人らしい。

 

「ガキが…舐めてんじゃねぇ!!!」

 

最後の男10がナイフを取り出した。

 

満Side Out

 

 

 

キリトSide

 

「うおぉぉぉぉぉ!!!」

 

男5がナイフを構えて突っ込んできた。まったく、それじゃあ銃刀法違反で前科がつくぞ。

 

「ふっ!」

 

俺は男が持つナイフに近づきそのまま片手でナイフを挟んでへし折った。

 

「あっ!?」

 

俺がやったのはカウンタースキル《エッジスラッシュ》だ。

まさかリアルですることになるとは思わなかったぞ。そしてそこに、

 

「和人、使え!」

 

ハクヤが木刀を投げてきたので俺はそれを掴んで突きの構えを取った。

 

「神霆流闘技《鬼雫(きしずく)》」

 

威力を最低限に抑えて最速の突きを5の肩に、木刀の先だけを当てた。

しかし、それだけで男5は5mほど吹き飛ばされた。

 

「断罪完了…ってな」

 

キリトSide Out

 

 

 

満Side

 

和人さんすごいなぁ。僕は和人さんの方を横目でみながらそう思った。

 

「く、くっそーーー!」

 

男10はナイフを振りかざしてきた。僕は後ろに距離をとった。その時、

 

「少年、こいつを使いな!」

 

一人の男の人が僕に木刀を貸してくれた。これなら!

 

「(周囲に見えないくらいに薄く『神力』の膜を張っておけば!)っ、せい!」

 

僕は男10の持つナイフの根元に狙いを定めて、そこに木刀を叩きつけた。

 

―――ガンッ!

 

「げっ!?」

 

ナイフは刃の部分が根元から折れて男10はその衝撃に前のめりに倒れそうになり、そこに、

 

「はぁっ!」

 

思いっきり腹部にアッパーを叩き込んだ。体が少しだけ宙に浮いてすぐに砂に落ちた。

 

「やるね~」

 

「いえ。これ、ありがとうございました」

 

さっき僕に木刀を貸してくれた人は「なんのなんの」といいながら受け取った。

この人、和人さんと同じくらいの実力者だ。

『神力』がなくてもこんなに強い人が他にもいるなんて……世界は広いなぁ。

 

満Side Out

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

「和人くん! 大丈夫!?」

 

「俺は大丈夫だ。明日奈は?」

 

「和人くんのお陰でなんともないよ」

 

戦いが終わるとアスナが心配そうな表情を浮かべながら近づいてきた。

アスナが無事というその言葉に俺はホッとした。みたところ触られたりした様子もない。

 

「桜、大丈夫?」

 

「満君、平気だよ」

 

満は桜という桃色の髪の少女に近づいて、安否を確かめている。どうやらあちらも大丈夫のようだ。

 

「あの、助けていただいてありがとうございました」

 

「ううん。わたしこそ、あまり役に立てなかったし…」

 

「でもアスナが割って入らなかったらさすがに拙かっただろうな?」

 

「そうですよ、本当にありがとうございます」

 

桜という少女に礼を言われたものの、力になれなかったというアスナに俺がフォローをいれ、満もアスナに礼を述べた。

満と桜という少女に礼を言われてアスナは少々照れた様子だ。

 

「私『春風(はるかぜ) (さくら)』っていいます」

 

「わたしは『結城 明日奈』です。よろしくね」

 

アスナと桜はどうやら気が合ったようで少し話し込んでいる。そこに満が俺に話しかけてきた。

 

「和人さん。もしかしてですが、さっき僕に木刀を貸してくれた人って……」

 

「ああ、俺の友人だよ」

 

満に木刀を貸したのはシャインだ。騒ぎを聞きつけてハクヤと一緒に持ってきてくれたのだろうな。

 

「だから僕に…。なにからなにまで、ありがとうございました」

 

「気にするな。ところで満、あの子彼女か?」

 

「えっ!? ち、違いますよ///!?」

 

なんだ、つまらないな。だけど、あの子の満を見る目は間違いなく……。

 

「そ、そういう和人さんはどうなんですか?」

 

ほぅ。俺にカウンターをするか。だが俺にそんな事は意味がない。

 

「恋人同士だ。それに、身も心もお互いのものだ」

 

「な、なっ/////////!?」

 

満は顔を真っ赤にしている。こいつ初心なんだな。その時…、

 

「お~い、満~~?」

 

「桜ちゃ~ん。どこですか~~?」

 

「はっ!? そうだった。桜、戻るよ」

 

「あ、うん」

 

二人の名前を呼ぶ声が聞こえてきて、二人は反応した。

 

「また会えるといいな」

 

「会えますよ、きっと」

 

「それじゃあね、桜ちゃん」

 

「さようなら、明日奈さん」

 

俺は満と、アスナは桜と言葉を交わし、二人は俺達に頭を下げてから声のした方に駆けて行った。

 

「良い奴らだったな」

 

「そうだね」

 

「手合せが出来なかったのは残念だな」

 

「あの満って奴、キリト並にやばいだろ」

 

俺とアスナが話しているとハクヤとシャインが近づいてきてそう言った。確かに俺もそう思う。

 

「正直言って、桜の方もかなり出来るだろうけどな」

 

「え? そうなの?」

 

俺の言葉にアスナは自分が助けた少女がそれなりに腕が立つことに驚いたようだ。

 

「また会えた時を楽しみにするさ…。ほら残り時間も少ないし遊ぼう、アスナ」

 

「うん!」

 

俺達はみんなのところに戻って、夕方になるまで海を満喫した。

 

 

 

俺達はシャインとティアさんが予約を取ってくれた旅館に着いた。

海の近くだが、穴場になっているようで俺達以外に客はいない。というより完全予約制だったようだ。

そして俺達の夕食は持参した肉や野菜でバーベキューを行っている。

 

「どんどん焼けるからな!」

 

「焦げる前に食えよ~」

 

「こっちのお肉も焼けてるよ」

 

クラインとシャインとアスナの三人が肉や野菜を焼いている。

何回か俺やティアさん、カノンさんと交代したりした。ちなみに、

 

「アスナ、あ~ん」

 

「あ~ん(ぱくっ、もぐもぐ)///」

 

こんな風に俺がアスナに食べさせている。クラインとシャインも然りで彼女達に食べさせてもらっている。

交代した時は、逆に俺達が食べさせてもらっているが。

 

「っておい、ルナリオ! それ俺が狙ってた肉!」

 

「鍋や焼き肉同様にバーベキューも戦場ですよ!」

 

「おらぁ、いただき!」

 

「ちょ、ロックてめぇ!」

 

テツとルナリオとロックは肉の取り合いをしている。

 

「はい、シリカ」

 

「ありがとう、ヴァルくん」

 

「ハジメ、その…あ、あ~ん///」

 

「……あむっ(もぐもぐ)」

 

ヴァルは食べ物をシリカに取ってあげており、シノンはハジメに食べさせている。

 

「もう! ルナ君ってば…」

 

「テツもロックも、なにやってるんだろ…」

 

リーファとヤマトは肉を取り合っている三人に呆れている。

 

「こういうのもいいよね、ケイタ」

 

「(くすっ)そうだね」

 

「賑やかよねぇ」

 

「はい、私は好きですよ」

 

「あたしもよ」

 

サチとケイタ、カノンさんとティアさんは賑やかな食事の雰囲気を楽しんでいる。

 

「リズ、頬にタレがついてる(ふきふき)」

 

「んん、ありがとう///」

 

ハクヤはリズの頬についたタレを拭きとってあげていた。

みんな楽しそうだ。三人ほど肉の取り合いになってるが、それも楽しみ方の一つだからな。

俺達は賑やかな夕食を心ゆくまで堪能した。

 

 

 

 

 

 

食後の休憩を終えた俺達は砂浜へとやってきた。

 

「全員しっかり休憩したな? それではこれより、花火を始めるぜ!」

 

「「「「「いえーい!」」」」」

 

シャインの宣言にテンションの上がっている奴らと意外とノリの良い女性陣が叫んだ。

花火なんて見るほうはよくあったけど、するのは久しぶりだ。

各々が花火を手にして、蝋燭の火を灯して点火していく。

 

「見よ! 六本流花火乱舞!」

 

「危ないからやめろ、シャイン!」

 

「………(ヒュンヒュンヒュンヒュン!)」

 

「ハジメ、花火をペン回しみたいに回すな!」

 

「よ、ほっ、あらよっと(ヒュン、クルクルクル!)」

 

「ルナリオ君、花火をバトンみたいに投げたりしない!」

 

シャインは元々だとして、ハジメとルナリオは子供みたいにはしゃぐからな~。

その三人の行動をハクヤとクラインとヴァルが諫めている。

 

「もぅ、シャインったらあんなことして」

 

「あんなハジメ、初めてみたかも。ちょっと可愛い…///」

 

「ルナ君! 危ないから~!」

 

妙技を炸裂させる三人に彼女であるティアさんとシノンとリーファはハラハラしたり、トリップ?したりしている。

 

「綺麗だね~」

 

「うっひゃ~」

 

「あれ? もう終わりかよ。新しいのっと…」

 

「はぁ~~、綺麗……」

 

「そ、そうだな…(いえない…サチの方が綺麗だ、なんて……)」

 

みんなで楽しんでいる黒猫団達。

ヤマトとロックとテツは特に楽しんでおり、花火に対して感嘆の息を吐くサチに、

なぜかケイタが落ち込んでいる気がするが……何かあったのだろうか?

 

「綺麗ですね~。アスナさん、リズさん」

 

「そうだね~」

 

「他のもやってみるわよ」

 

シリカとアスナとリズは色んな花火を試している。一番微笑ましいな。そんなところに…、

 

「へい、キリト!」

 

「ん、どうした? なっ!?」

 

シャインに呼ばれて振り返ってみると、そこにはロケット花火を両手に八本持ったシャインがいた!

 

「スイカ割りの時の恨みだーーー!!!」

 

「くっ!?」

 

―――パパパパパパパパァン!

 

投げつけて俺に向かってきた花火を俺は全て回避した。それならこちらは!

 

「喰らえ! 六連鼠!」

 

俺は鼠花火に火をつけて、シャインに向けて投げつけた。

回転しながらトリッキーな動きをする鼠花火がシャイン目掛けて迫っていく。

 

「この程度で俺がやられると思うなよ!」

 

砂浜であるにも関わらず、華麗なステップでそれらを躱すシャイン。だが甘いな…。

 

「ふっ…」

 

「っ? なっ!?」

 

―――バチバチッ、ギュン!

 

躱しきったと思っていた鼠花火だが、一つだけ動きが変化してシャインに向かって飛び跳ねた。

それを回避しようとして、体勢を崩した。

 

「俺の勝ちだ…」

 

「ま、参りました……(ガクッ)」

 

「……自分から吹っ掛けておいて負けるとは…」

 

「無様だな」

 

俺の勝利宣言にシャインは項垂れ、ハジメとハクヤが発した言葉の刃で追撃されて落ち込んだ。

それをティアさんが慰めている。

 

「キリトく~ん。こっちで一緒にやろう~」

 

「ああ」

 

俺はアスナに呼ばれたので彼女の元に歩み寄った。

 

「お疲れ様。なんか面白かったよ」

 

「それは良かった」

 

俺は袋に入っていた花火を一本取り出して火を灯す。すると色鮮やかな火花が飛び散っている。

隣で同じように魅入っているアスナは笑顔を浮かべている。

 

「本当に花火って綺麗だよね~」

 

アスナの言葉に俺はありきたりかもしれないけど、あのセリフを言った。

 

「アスナの方が綺麗だよ。俺にとっては……」

 

「あ、その、ありがとう…/////////」

 

顔を真っ赤に染めながらもちゃんと答えてくれた。やっぱり可愛いな、アスナは。

そのあともわいわい騒ぎながら色んな花火を楽しんだ。そして最後は…、

 

「うし、みんな線香花火は持ったな? それじゃあ…スタート」

 

シャインの言葉で締めの線香花火を始めた俺達。次々と落ちていく花火の中で最後に残ったのは。

 

「俺とアスナか…」

 

「よくもつよね~」

 

そして、

 

「あ、落ちちゃった」

 

アスナの花火が落ち、最後に残ったのは俺の花火で、少ししたらそれも落ちてしまった。

 

「というわけで予想通り、みんなに一番好かれているのはキリトでした~」

 

シャインが言った言葉に俺以外の全員から賛同の声が上がった。

俺、そんなにみんなから好かれるのか?

まぁこんな感じで花火も終わりを迎えた。

 

 

 

「はぁ~~~、気持ちいいな…」

 

俺は大きく息を吐いた。旅館に戻った俺達はすぐさま温泉に向かった。露天風呂もあって眺めもいい。

 

「溜まった疲れも吹き飛ぶぜ~」

 

「……いい湯だな」

 

「だろ? だからここがいいと思ったんだよ」

 

クラインは普段の仕事疲れを癒すようにまったりとし、ハジメも顔を綻ばせ、

シャインは温泉に目を付けていたようでニカッっと笑った。

 

「エギルさんも来れたらよかったんだけどなぁ」

 

「あっちはあっちで家族旅行を楽しんでそうっすけどね」

 

「どうかん~~~」

 

家族旅行で来れなかったエギルを気遣うケイタだが、ルナリオはそっちで楽しんでいるだろうと言い、

ロックはふやけながら賛同した。

 

「この後はどうします?」

 

「みんなでゲームでもしようぜ!」

 

「そうするかぁ…」

 

ヴァルがこの後のことを思案し、テツがゲームを提案したので、ハクヤは妥当だろうと答える。

 

「なにしようか?」

 

「そうだな~……ん?」

 

ヤマトがどんなゲームが良いかと聞いてきたので答えようとしたその時、何か不穏な視線を感じた。

それは隣の女湯から感じた。

 

「……なぁ、ハクヤ?」

 

「……言うな、キリト」

 

「あの~、この感じってもしかして…」

 

「まさか…っすよね?」

 

「………」

 

「これ気のせいじゃないぞ…」

 

「んぁ? どうした?」

 

俺とハクヤは互いに言葉を掛け、ヴァルとルナリオは視線と気配に疑問を感じ、

ハジメは呆れており、シャインは当たりだと確信したようだ。

そして俺達の様子の変化にクラインが訊ねてきた。

 

「あぁ~、大した事じゃない。さて、上がるとするか」

 

「? だな。体も温まったし」

 

俺とクラインが上がるという事で、他のみんなも上がる事にしたらしい。俺達は揃って男湯をあとにした。

 

「そうだ。クライン、ケイタ。ちょっといいか?」

 

「なんだ?」

 

「どうしたんだ?」

 

「実はな………」

 

俺は二人に視線の正体を明かした。二人はなんとも呆れた表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

「それではこれより、王様ゲームを始めたいと思います!」

 

―――パチパチパチパチッ!

 

シャインの言葉に拍手が起こる。まあ、盛り上げるための拍手なのだが…。

 

「それではルールを知らない人のために説明するぜ、ここに人数分の棒がある。

 一本一本に1~18までの数字と王という文字が書かれている。

 王を取った人は1~18までの数字に好きな命令を出せる。

 ただし、数字を他の人に教えたりするのは駄目だぜ。

 それと連続で同じ人が王を引いた場合はもう一度やり直しだ。以上がルールだ、分かったな?」

 

「「「「「おう(うん)(はい)」」」」」

 

「それでは棒をコップに入れてっと(シャカシャカシャカ!)。

 それじゃあみんな、好きなのを引いてくれ。俺は最後でいいから」

 

みんなそれぞれに棒を引いていく。もちろん誰にも見せないように。俺は2番か。

 

「んじゃま、最初だから俺だけで言わせてもらうぜ。王様だ~れだ?」

 

手を上げたのは、

 

「僕です」

 

ヤマトだった。ヤマトならまともな命令を出しそうだな。

 

「えっと~、よし。5番と12番が……腕相撲勝負!」

 

「お! いきなり俺か」

 

「……相手になろう」

 

5はシャインで12がハジメか。これは見物だな。

 

「審判は俺がやるぜ。手を合わせて…レディ……ファイッ!」

 

「うっらぁ!」

 

「むん!」

 

クラインが審判を務めて勝負が始まった。

 

「シャイン! 頑張ってください!」

 

「ハジメ! 頑張れ!」

 

拮抗している勝負にティアさんとシノンが応援を送る。しかし意外とすぐに決着がついた。

 

―――ドンッ!

 

「よし……」

 

「あ~、負けた」

 

勝ったのはハジメだった。元のパワーではシャインよりもハジメの方が少し上だからな。

 

「いてて。それじゃ、どんどんいくぜ。せ~の……『王様だ~れだ?』」

 

再びシャインの号令で王様が聞かれた。

 

「私です」

 

今度はティアさんか。俺は16番だが、なんか嫌な予感がする…。

 

「それではですね~……4番の方が16番の方の浴衣を上だけ脱がして、

 16番の方は4番の方と真正面から抱き締め合ってください♪ 時間は十分です♪」

 

ティアさん、なんてことを。4番って誰だよ。確かに全員旅館用の浴衣を着ているけど。

 

「あ~。4と16、ご愁傷様。で、誰だ?」

 

「は、はい…」

 

シャインが聞くとアスナが答えた……ティアさん。貴女は超能力でも使えるんですか?

明らかに仕組まれた感じがするが…。

 

「16は俺だ…」

 

「「「「「なに~~~~~!!!」」」」」

 

「っ/////////!?」

 

俺が自分の番号を答えると、ティアさん以外から驚きの声が上がり、アスナは顔を真っ赤にした。

 

「ティア…。お前最後に引いたよな…?」

 

「はい♪」

 

訊ねるシャインに満面の笑顔で応えたティアさん、この人半端ないな…。

こういう事に関してはもの凄く感がいいのかもしれない。

 

「アスナちゃん! 早速どうぞ!」

 

シャインに押されて、アスナは恥ずかしがりながらも俺に近づいてきた。

俺の浴衣の上半身を脱がし、そして俺は折角の役得なのでアスナを思いっきり抱き締めた。

 

「アスナ可愛い…」

 

「キ、リト…、くん…/////////」

 

「ラブラブな二人はそのままにして次いってみよう!」

 

俺とアスナは立っているのもなんなので、座りながら抱き締め合う事にした。

 

「「「「「王様だ~れだ?」」」」」

 

そんなこんなでゲームは進んでいく。

 

 

 

~十分後~

 

「/////////(プシュ~~~)」

 

アスナは完熟したトマトのように真っ赤になっている。

なぜか俺達が抱き合っている間は一度も回ってこなかった。

ちなみにその間の命令はクラインとテツとヴァルの腕立て勝負や、

サチがアカペラで歌ったり、ルナリオのモノマネだったりした。

 

「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」

 

「あたしよ」

 

今度はカノンさんか。さて、今度はどんな命令がくるのやら。俺は3番だ。

 

「命令は……3番が1番にプロポーズよ」

 

「にゃっ//////!?」

 

あの反応……またアスナとか。というかカノンさんもなのか?

 

「3番だれだ?」

 

「はぁ、俺だよ……」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

聞いてくるロックに俺が答えると、再び全員が驚愕の声を上げた。

 

「にゃ、にゃ…/////////!?」

 

「……マジですか?」

 

アスナは再び真っ赤になり、シャインは呆然とした。

こういう反応が当たり前だよな。だけどプロポーズならいいか。

 

「アスナ」

 

「は、はい/////////!」

 

「「「「「(わくわく、わくわく)」」」」」

 

みんなは楽しそうな表情でこちらをみている。おいお前ら、あとで覚えとけよ。

 

「俺と……結婚してくれ」

 

「あ…あわ…、ふ、不束者ですがよろしくお願いします/////////!」

 

「「「「「おぉ!」」」」」

 

―――パチパチパチパチッ!

 

拍手喝采。いやまぁ、またちゃんとした機会にプロポーズするつもりなんだが…。

これでいいのだろうか?

 

「さらに盛り上がってきたから続いていくぜーーー!」

 

「「「「「おお!」」」」」

 

王様ゲームはさらに白熱することになりそうだ…。

 

 

 

「7番が私にマッサージ」

 

「あたしね、いいわよ」

 

シノンの命令にリズが従い、

 

「13番が一発ギャグ!」

 

「俺に何を言えと!?」

 

ケイタの無茶ぶりにテツがツッコミ、

 

「1番さん青汁一気飲みっす」

 

「マジか!? ええい、ままよ!(ごくごくごくっ)うぉぇ…」

 

ルナリオの命令にクラインが被害を受け、

 

「う~んと、9番が8番の不満なところを暴露?」

 

「……もう少し怒りを抑えられるように努力してくれ」

 

「はい、精進します!」

 

アスナの指示にハジメがヴァルの短所に指摘を加え、

 

「えっと~。18番さんの好みのタイプはなんですか?」

 

「そ、その…少し強気な子かな///」

 

サチの質問にヤマトが答え、

 

「6番と14番と17番のストレス解消法はなんだ?」

 

「「「彼女だ」」」

 

「「「/////////」」」

 

「「「「「ですよね~(笑)」」」」」

 

ロックの問いかけに俺とシャインとハクヤが同じ答えを言ったので、

それぞれの彼女であるアスナとティアさんとリズが真っ赤になって硬直した。

そんな俺達に全員が笑っている。

 

 

 

「あと二回くらいでお開きにするか」

 

シャインがそう言ったのに皆が賛成し、頷いた。

他にもたくさんの命令が遂行されたがどうやらここらで終わりらしい。

みんなが棒を引いていき、

 

「「「「「王様だ~れだ?」」」」」

 

「わたしです♪」

 

再びティアさん、かなり不安だ。なんたって二度あることは……、

 

「2番さんと11番さんはキスしてください。もちろん唇で♪」

 

三度あった。俺は2番。そしてアスナを見てみると、

 

「/////////」

 

既にオーバーヒート寸前だ。間違いないく11はアスナだ。

 

「キリト? もしかして……」

 

「……俺が2だ。恐らくアスナは11だと思う」

 

「ほ、ほんとうです……」

 

俺に聞くケイタに応えると、確かめたシリカがそういった。アスナは俺を見て顔を真っ赤にさせている。

しかし、命令だから仕方ないか。

 

「え、えぇっ!? や、やっちゃうの///!?」

 

「……//////」

 

リーファはテンパっており、シノンもさすがに顔を紅くしていて、みんなも騒いでいる。

男性陣に至っては「キ~ス! キ~ス!」と言っている。お前らなぁ…。

 

「キ…キリ……ト、くん…んむ/////////!?」

 

「「「「「おおおぉぉ!!!」」」」」

 

「んん……ちゅる…、ん……ふぅ…」

 

「ぷはっ、ふにゃっ/////////!?」

 

問答無用でアスナにキスすると、全員から歓声が起こった。

濃厚なキスが終わると同時にアスナは気絶した、これでよし…。

 

「アスナ脱落な?」

 

「まあ、仕方ねぇよな…。よし、最後に行くぜ!」

 

俺が言うとシャインは苦笑しながらOKを出した。

俺はまだ王を引いていないので、できれば当たってほしい。

そして最後の棒を引いて俺は心の奥底で盛大に笑った。

 

「「「「「王様だ~れだ?」」」」」

 

「……俺だ」

 

俺はみんなに、にこやかに笑いかけながら言った。

 

「「「「「(ガクガクブルブル)」」」」」

 

俺の良い笑顔に全員が恐怖しているようで、震えている。

 

「俺の命令は唯一つ。全員腕立て百回だ」

 

「「「「「なんですと!?」」」」」

 

「そ、そうか!? そのためにアスナを!?」

 

俺の意図を理解したシャインは気絶するアスナを見た、その通りだよ。

 

「これでもかなり減らしたつもりだ。シャイン達は問題無いがそれ以外のみんなは普通だからな。

 それでもこれ以上は減らさん」

 

「「「「「ですよね~……(泣)」」」」」

 

俺の命令にみんな見事に泣いていた。疲れている体に腕立て百回は身に染みたらしい。

 

 

 

 

 

 

「さて……寝るか」

 

「そういえば部屋割りってどうなってるの?」

 

時間も時間となったのでそろそろ寝るのがいいだろうと思った。

アスナは、いや女性陣は部屋割りを知らないので疑問符を浮かべている。

 

「それは……だ、な…」

 

シャインは辛そうに話している。今日の疲れに腕立て百回は意外と効いたのだろう。

他のみんなも少々へばっている。

 

「部屋の数は二人部屋八つと三人部屋が一つだ」

 

「ちなみに三人部屋はテツ、ロック、ヤマトが既に荷物を置いている」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

俺が取っている部屋を教え、シャインが内情を言うと女性陣が硬直した。

 

「「「お先に失礼しま~す(笑)」」」

 

テツ、ロック、ヤマトは笑いながら広間から出ていった、残されたのはカップル組。

 

「ここで本題に入りたいと思う。実は俺達が露天風呂に入っている時に不穏な視線を感じたんだ。

 その視線は女湯の方から感じたんだが……言い訳はあるか?」

 

「「「「「(フルフルッ)」」」」」

 

首を振って白状した女性陣。本当になにやってんだか…。

 

「男性陣、部屋に連行。判断は各自に任せる」

 

「「「「「了解」」」」」

 

「「「「「い、いや~~~~~//////!!!」」」」」

 

俺の指示に男性陣が女性陣を引っ張って行った。

これでみんないなくなり、広間に残ったのは俺とアスナで……。

 

「いこうか、アスナ?」

 

「あの、弁明の余地は…//////?」

 

「ない」

 

「ぁぅ…//////」

 

俺はアスナをお姫様抱っこして部屋に入った。その後、ナニがあったかは語るまでもない。

追伸……女性の声が上がったのは俺の部屋だけではない(笑)。

 

 

 

「あ~~、ねむい…」

 

翌日、目を覚ました俺。昨晩は疲れたからな。隣ではアスナが布団にくるまって寝ている。

 

「んぅ~? ぁ…きりとくん/////////」

 

目を覚ましたアスナは俺と自分の状態に気付いて真っ赤になったが、笑みを浮かべていた。

 

「とりあえず、服着て温泉行くか?」

 

「うん///」

 

その後、温泉に行くとみんなも入っていた。やはり考える事は同じだったようだ。

温泉から上がれば、旅館で朝食をとって帰る準備を整えた。今は電車の駅に向かっている。

 

「ねぇ、キリトくん」

 

「なんだ? アスナ」

 

「二人で来るのもいいけど……みんなとも、また来ようね!」

 

「(くすっ)もちろんだよ」

 

そして俺達は帰路に着いた。

 

キリトSide Out

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

今回のこの作品はある方からのリクエストによって生まれたものです。

結構カオスな事になったりしていますが、ご容赦ください(ペコリ)。

最後の締めくくりも雑になっています。本当にすいません。

女性陣がムッツリだったのも仕様ですのでご勘弁ください。

前書きでも書きましたが、舞台は現実世界ですが、みなさんに分かりやすいように

するためにキリト達の名前はキャラ名にしています。

また第三者がいる場合はキャラ名ではなく、本名を呼ばせています。

途中で登場した『黒夜 満』と『春風 桜』は自分と交流のある作者様からお借りした、一次創作のキャラクターです。

勿論、許可は頂いております。

本来は本編を長く執筆するべきなのですが、今回はやってみたい感がありましたので。

ちなみにあと、一本は外伝を投稿するつもりです(おいっ!)。

一部ネタバレもありましたが、それでも読んで良かったと思っていただければ幸いです。

それでは、本編で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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