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真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第六部 『水着と水とHE∀ting Sφul』 其の五

雷起さん

第八話は蜀対呉の後半戦です。
どちらが勝利するのか。個人の戦いもどういう決着を迎えるか。


ご感想、ご指摘、ご要望、更に

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2012-08-05 06:26:48 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3030   閲覧ユーザー数:2516

 

 

第六部 『水着と水とHE∀ting Sφul』 其の五

 

 

第八話『戦女神の凱旋 一』

呉領 荊州長江中流域 赤壁

呉本陣

【赤一刀turn】

「ほらな、蓮華!だからあれは思春の策だって言ったろ!」

「そ、そうね一刀・・・・・・ごめんなさい・・・」

 思春が華雄と翠に言った、あのトンデモナイ虚言を月が否定してくれたお蔭で俺の無実は証明された。

 俺の顔が手の形に腫れている事で、何が有ったか察して欲しい・・・・・。

 項垂れて謝る蓮華の水着は赤地に金のパイピングで縁どられた三角ビキニ。トップはホルターネックで吊るす形で支え、胸の中心の継なぎとボトムサイドの継なぎに(ぎょく)(翡翠)の飾りが使われている。ボトムバックは完全にお尻が隠れるフルバックだ。

 真桜やちぃに散々巨尻と言われたのを気にしているらしい・・・・・もったいないなぁ。

 

「孫権様!呂布将軍が『赤馬(せきば)』一艘でこちらに突っ込んで来ます!!」

 

 伝令兵は首部(こうべ)を垂れて片膝を付き報告した。

「判った!穏の言った通りになったな。守備隊は矢のみで応戦、決して恋に近づくな!恋が飛び移る距離まで来たら全員乗船して赤馬の退路を塞げ!良いなっ!」

「はっ!心得ました!!」

 伝令兵は視線を上げずそのまま走り去る。

 ある程度離れてから、ちらりと蓮華を見たのを俺は見逃さなかった。

 その直後に走り方がおかしくなる。

 悲しいな・・・・・男って・・・。

 ちなみに兵士達は全ての軍で全員海パンに木製の簡単な鎧を着けている。

 但し兜はいつものヤツだ。

 ・・・・・・何で俺が男の海パン姿の説明をしなきゃならんのだ!

 紫も緑も、エクストラまで説明避けやがって!

 あぁ後、俺たちも海パン姿です。

 まあ、そんな事はどうでもいいか。

 先程の蓮華の指示だが、蓮華が恋と一騎討ちをするつもり、と言う訳ではない。

 負けを認めて俺を引き渡す。

 もちろんそんな事もない。

 俺を盾にするわけでもないぞ・・・・・・思春からはそんな案が出たけど・・・。

 今回俺たちは模擬戦に参加出来ない事になっていた。

 戦乱の頃みたいにアドバイスは出来るが、俺が考える事は緑と紫も思いつく。

 逆もまた然りだ。

 よって俺たちはこの模擬戦では連れ去るべき目標以外の何者でも無い訳である。

 俺が恋に連れ去られるとしたら、どうやって運ばれるのか?

 

 ・・・・・まさかお姫様だっこ?

 

 

 

 

呉救出船団

【エクストラturn】

「七乃―!ゆけゆけ!!主さまを救い出すのじゃー♪」

「は~い、お嬢様ぁ♪一刀さんを救い出すっていうのは抵抗ありますけど・・・・・」

「ん?何か言うたか?」

「いえ~、なにも~♪」

 『先登(せんとう)』と『走舸(そうか)』で組まれた快速船隊で、蜀の防衛艦隊を翻弄していく美羽と七乃。

 美羽の水着は銀色のツーピース。トップはチューブブラでストラップレス。ボトムはビキニショーツ。

 七乃の水着も銀色のツーピース。トップは三角ブラでホルターネック。ボトムはハイレグでバックがブラジリアンカット。

「適当に蛇行しながら敵『楼船(ろうせん)』を目指してくださ~い!」

 七乃の指揮で船隊は矢を躱しながら突入して行く。

 

スコーーーーーーン!

 

「ひっ!!」

 七乃の隠れていた防御板に矢が付き立った。

 鏃の無い矢でこんな事が出来るのは・・・。

「し、紫苑さんですね・・・・・早く白兵戦に持ち込まないと・・・」

 

 

蜀第二艦隊旗艦

 

 星と明命が斬り結ぶ。

(何か手はないものか・・・・・・明命の打ち込みが重くなってきている・・・・・あれは!)

 星の視界に偶然入ったのは、愛紗と雪蓮が破壊した、漂う船の残骸。

(よし!これならば!!)

 星は一度バックステップで距離を取る。

「明命!これを見ろっ!!」

 

「お猫様っ!!」

 

 星の手には首根っこを掴まれた美以がぶら下がっていた。

「にゃ?おさかな追っかけてたはずにゃのに????」

 

 

特設モニター上

 

『な、何でしょう今のはっ!!突如趙雲将軍の下に南蛮大王孟獲が現れましたっ!!たった今まで四半里は離れた場所で夏侯惇将軍と皇魚を追いかけていたはず・・・・・あの、解説のみなさん・・・誰かわかる人います?』

『妖術・・・・・なのか?』

 さすがの冥琳も唖然としていた。

『いや、今のは妖術とちゃうよ。妖術ならウチわかるもん。』

 画面の外から炙叉が否定した。

『ではもしかしてアレの力なのかしら?』

 華琳が渋面で紫一刀に問いかけた。

『い、いや。星は今アレ着けてないし・・・・・』

 アレとはもちろん華蝶仮面の事である。

『まてよ・・・そう言えば緑に聞いたことが有ったな・・・以前、星が南蛮大麻竹を取りに行く前に、逃げて遠く離れた美以を一瞬で引き寄せたって・・・・・』

『・・・・・メンマ絡みなのね・・・もしかして星は勝ったらあなたたち三人と一日メンマ尽くしをするつもりなのかしら?』

 華琳は真剣な顔で考え込んでいる。

『・・・それシャレになって無いぞ・・・・・』

 

 

蜀第二艦隊旗艦

 

「さあ明命!我が最終兵器を喰らうがいい!!」

 星は美以を明命に向かって放り投げた!

「おねこさまあああああぁぁ♡」

「うぎゃあああああっ!!みんめーにゃあああああああああっ!!!」

 飛んでくる美以に両手を広げて受け止めようとする明命!

 トラウマとなったモフモフ地獄の記憶が蘇り泣き叫ぶ美以!

「もらったああああああああああっ!!」

 勝利を確信し龍牙を振るう星!!

 

ピピ~~~~

「星、自分反則負けや。」

 

 いつの間にか霞が笛を持って離れた所に立っていた。

 その腕には『審判』と書かれた腕章が巻かれている。

「なにっ!!私は反則などしてないぞ!」

「既に脱落しとる美以を加勢させといて何言うとんねん!」

「いや待て。この模擬戦では脱落した船に残った武器や残骸も使用して良い決まりだったはず。ならば水面に落ちている美以(武器)を使っても問題はあるまい?」

 真顔で言う星に霞がキレた。

 

「アホかああああああああああい!!そんな屁理屈通る思うとんのかっ!!!」

 

 そんなやり取りなどまるで眼中にない明命は美以を抱きしめモフモフしていた。

「こら、明命!さっさと蜀本陣に向かわんか!馬鹿者がっ!!」

 包囲殲滅戦の指揮を執っている祭が船を横付けして怒鳴った。

「あっ!そ、そうでした!!ではお猫様、お名残惜しいですが私は行ってまいりますっ!!」

 渋々美以から離れ駆け出す明命。

 しかし美以は既に白目を剥いてグッタリしていた。

 ちなみに霞の水着は紺碧のワンピース。背中が大きく空いているが至ってオーソドックスな形だ。ただ、お腹の所に『遼来来』と白文字が斜めに書かれている。

 

 

 

 

呉艦隊総旗艦

 

「明命ちゃんも蜀本陣に向かったようですねぇ~♪では亞莎ちゃんもそろそろ出発してくださ~い♪」

 穏は呉の本陣前の艦隊総旗艦で采配を振るっていた。

 穏の水着はピンクの三角ビキニ。ボトムにはスカート状にフリルが付いている。しかし、大人しめのボトムに比べトップは穏の爆乳を支えるのにはカップ部分の布地が足りなかった様で、白蓮なら丁度良い大きさも穏が着けるとまるでマイクロビキニの様になっていた。

「穏様・・・私も行ってしまって大丈夫なのでしょうか?」

 亞莎は穏の隣で心配そうに恋の乗る赤馬を目で追っていた。

 亞莎の水着はワンピース。しかも殆どスク水と変わらない形だった。だが、柄が凝っていてお腹から上がスカイブルー。下には向日葵畑が描かれていて、実に健康的で可愛らしいデザインとなっていた。

「もう少しすれば雪蓮様と思春ちゃんが戻って来ますから大丈夫ですよ~♪」

「了解しました。では呂子明、行ってまいります!」

 一度敬礼をした後、亞莎は走って自分の船に向かった。

「がんばって下さいね~♪」

 

 

恋専用赤馬

 

 降り注ぐ矢の雨を叩き落とし、恋の乗る赤馬は呉本陣に迫る。

 それに合わせ孫呉本陣の兵が赤馬や走舸に乗り込んで、本陣の艀から居なくなった。

「むむむ!如何にも罠の匂いがする動きなのです。でも恋殿にはどんな罠を仕掛けようとも正面から突破できるのです♪さあ、恋殿の天下無双を観客達にも見せつけようではありませんか!!」

「・・・うん。赤のご主人様連れてくる。」

 ねねの言葉に頷く恋の目は、しっかりと赤一刀を捕らえていた。

「ではお前たちはねねが合図したら右に旋回するのです!」

『応!!』

 片舷三人、計六人の漕ぎ手の兵が力強く答えた。

 漕ぎ手達の目の前で操船の指示を出すねねの水着はタンクトップとビキニショーツを合わせたツーピース。タンキニと呼ばれるもので、トップはオレンジで胸に小さくパンダの刺繍が入っている。ボトムは水色と白のストライプ。いつもの帽子は被っていないので、前髪が風になびいて可愛いおでこが見えている。

 実はこの漕ぎ手達、蜀と董卓軍の貧乳党員で構成されていた。

 この船のスピードは、眼前の『ねねの水着姿』というニトロを手に入れた変態(エンジン)のお陰である。

 

 

呉本陣

【赤一刀turn】

 呉の本陣に恋が遂に飛び込んで来る。

「来たわね!恋っ!!あなたの相手はこの子達よ!」

 蓮華の声に答え、俺と蓮華のいる日よけの横の小屋から、白虎とパンダがのっそりと姿を現した。

「行きなさい!周周(しゅうしゅう)善善(ぜんぜん)!!」

 蓮華の掛け声に、二頭の獣は恋に向かって駆け出して行く。

 白虎の周周とパンダの善善はシャオのペットだが姉二人の言う事も聞き分け、かなり頭が良い様だ。

 俺たちの事はナメられてるみたいだけど・・・・・。

 

 

特設モニター上

【エクストラturn】

『孫呉本陣に乗り込んだ恋さまを迎え撃つのは何と!白虎と大熊猫!!孫呉は模擬戦だとい事を忘れているのか!?これは危険すぎ・・・・・あれ?白虎と大熊猫が恋さまの前で止まって・・・お、お腹を見せて甘えだしました!?』

 小喬の疑問に紫一刀が答える。

『解説しよう。白虎の周周と大熊猫の善善は孫尚香シャオが飼っているモノで、シャオは都に来てすぐ、恋に紹介しているのだ。今の状況は、星が明命に美以を使ってやろうとしたこととほぼ同じ策。違うのはこちらが完全に時間稼ぎの為という事だ。』

『紫一刀さま、ありがとうございます。で、時間稼ぎというと・・・』

『その質問には私、周公謹が答えよう。雪蓮と愛紗が戦いながら呉本陣に近付いているだろう。あれは雪蓮がそう誘導しているからだ。思春も同じ・・・ん?華雄の姿が見えないが・・・・・』

『華雄ならさっき、船を飛び移る途中に落ちて失格になったわよ。』

『え?そうなんですか、華琳さま?いつの間に・・・・・おっと、今度は蜀本陣側に動きが有ったようです!』

 

 

 

 

蜀第五艦隊旗艦

 

 蜀第五、第六、第七艦隊からなる防衛艦隊に孫呉の中、小型船による乗り移り白兵戦が、各艦隊旗艦の楼船に行われていた。

 乱戦の中でも紫苑は弓で一人ずつ確実に孫呉兵と袁術兵を脱落させていく。

 しかし乗り込んでくる兵の数が多くかなり押され気味だ。

 防衛参謀の詠の顔にも焦りが見える。

「なんなのよ!この士気の高さは!?・・・美羽と七乃が指揮してるから?・・・とにかくこのままじゃジリ貧だわ、恋が早く赤いのを連れてきてくれるといいんだけど・・・・・」

 詠はまだ恋が周周と善善に足止めを食っているのを知らない。

 この状況ではモニターを見ている余裕が無かったからだ。

 詠の水着は黒のスリングショットと呼ばれるワンピース。実は月と色違いのお揃いだったりする。

「詠ちゃん、ここは防衛線を本陣まで下げた方が・・・」

 紫苑は提案するが時既に遅く、遂に最上甲板に孫呉兵が四方から乗り込んできた。

「そんな!早すぎる!?」

 船戦に慣れた孫呉兵と船酔いしている者も多い蜀兵、この差が歴然と現れた。

「これはもうどうしようも無いわね・・・・・」

 実戦なら水中に逃れる手も有るが、今回は落ちても失格。

 紫苑は既に覚悟を決め、詠はまだ打開策が無いか辺りを見回している。

 その二人に四方から走り寄る孫呉兵と袁術兵!

 

「黄忠将軍!副メイド長様!」

 

 最初に辿り着いた孫呉兵が紫苑と詠に手にしていたモノを突き出す!

 

「あ、握手してくださああい!!」

 

「「は?」」

 紫苑と詠は目を点にしてその兵士が持っている物を見ると、それは花束だった。

「黄忠将軍と副メイド長様にこのようにお近くまで来られる機会などまず有りませんから、一生の思い出に!是非お願い致します!!あ、我々は握手をしていただいたらその時点で討ち死に扱いになりますのでご心配なく♪」

 兵士から怪我人を出すのを極力減らす措置として、武将は手で触れただけでも兵士を無力化出来る事になっていた。

「まぁ・・・握手ならしてあげてもいいけど・・・・・あなたたち怒られないかしら?」

 兵士の提案に却って紫苑は気を使ってしまう。

「それなら大丈夫です!陸遜大都督から黄忠将軍と副メイド長様との握手を希望する者という呼びかけで集まった部隊ですので♪」

 これを聞いて詠は呆れた。

「異様な士気の高さはそれが原因なのね・・・・・穏ったらやってくれるわ・・・・・」

 詠の事を敢えて副メイド長様と呼ぶ兵士は『詠』というのが真名だと知っている者たちだ。

 模擬戦で敵味方に分かれているとはいえ、晋という国の兵士と将である。

 将として慕ってくれるのは素直に嬉しい。

 気付けば二人の前には順番待ちの綺麗な列が出来上がり、全員が手に手に何かしらの贈り物を持っている。

 楼船の上は完全に握手会会場となっていた。

「いつの間にこの国の兵隊はこんなのばっかりになったのよ・・・・・・」

 

 

蜀第七艦隊旗艦

 

「兄者と弟者!今日限りは敵同士!行くぞ!!」

「孫呉の尻好き!お前は孫策様の隊ではなかったか!?」

「うむ、そう聞いていたぞ、兄者」

「孫策様が関羽将軍と一騎討ちを始めてから、孫尚香様の隊に編入されたんだ!」

 尻好きは説明しながら兄者と弟者に斬りかかる。

 兄者と弟者も戦鎚を振り回し応戦。

 変態達が相対し、火花を散らす!

 様に見えている。

 三人は視線だけを少し離れた所で対峙している小蓮と麗羽、斗詩、猪々子にしっかり向けていた。

 小蓮の水着はツーピース。通常はセパレーツと呼ばれる大人しいタイプだが、いま小蓮が身に着けている物、ボトムがえんじ色のブルマにしか見えず、トップは白のスポーツブラにしか見えない。周りがいかにもな水着ばかりなのを逆手に取った一刀へのアピールだ。

 麗羽の水着は三角ビキニ。斗詩はワンピースで胸元からおへそまでスリットが有り、そのスリットを編み紐で繋いだ物。猪々子は麗羽と同じ三角ビキニだった。

 三人共銀に近い金色の水着で、日の光を浴びるとギラギラと眩しい事この上ない。

 

「小蓮さん!ここは一歩も通しませんわよっ!!」

 

 麗羽は袁家の宝刀を片手で軽々と構えて見せる。

「あたいらの前に現れた事を恨むなよ、小蓮♪」

 猪々子も斬山刀を担ぐ様に構えた。

「うぅ、傍から見るといじめてるみたい見えるんだろうなぁ・・・・・・」

 一人、斗詩の士気だけダダ下がりだった。

 

「そんな事心配しなくても大丈夫だよ、斗詩。だって・・・・・」

 

 小蓮は月華美人を構えにっこり笑うと、唐突に麗羽達へ向かって走り出した。

 三人の間を舞うような身のこなしですり抜ける。

「ね♪」

 一度振り返ってから、更に蜀本陣に向けて甲板を駆け出す小蓮。

「尚香様!お供致します!!」

 尻好きが小蓮の後を追って走り出す。

「ちょ、ちょっとお待ちなさい!!」

 麗羽もその後を追って走り出した。

「「れ、麗羽様!?」」

 

「あなた達お二人には追わせませんよ!」

 

 斗詩と猪々子の前に滑り込む影が言い放った。

「「明命!」ちゃん!」

 走り出そうとしていた二人はすかさず武器を構え直す。

「顔良将軍!文醜将軍!袁紹様は我等兄弟がお守りします!」

「ご武運を!!」

 そう言って兄者と弟者は麗羽を追って行った。

「しょうがねぇなぁ、向こうはあいつらに任せるか。明命!いつぞやは不覚をとったけど今日は簡単にいかないぜ!!」

「こちらが二人だから卑怯とは言いませんよね!」

「えぇ、構いません。では、周幼平!参りますっ!!」

 長刀を振るう明命を斗詩と猪々子は息の合ったコンビネーションで互角に渡り合った。

 

 

蜀第六艦隊旗艦

 

「ねぇねぇ、白蓮。たんぽぽ達、紫苑や猪々子の支援に行ったほうが良くない?」

「バカ!何言ってんだ!?こっちだって攻め込まれてる最中だろう!将がいなくなったら誰が指揮するんだよ!朱里も詠も支援の指示を出して来てないだろ!」

 白蓮が兵に指示を出し、それでも抜けられそうになる所を蒲公英が倒していた。

 現在の体制は鉄壁と言っていい防御だった。

 白蓮の水着はワンピース。センターが赤でサイドが白という実に普通の水着。

 対して蒲公英の水着はオレンジのマイクロビキニ。あまりの際どさに敵兵が鼻血を噴いて船から落ちる始末である。

「たんぽぽだってもっと活躍してご主人様にいいトコ見せたいのになぁ・・・」

 不貞腐れて乗船している艦の一番下の甲板を見ると、蜀の兵士が次々と水面に叩き落とされていた。

「な、なに!?誰が乗り込んで来たの!?」

 そこに居たのは向日葵畑を身にまとった亞莎だった。

 健康的で可愛らしい水着姿だけに、兵士たちを次々薙ぎ払って行く光景は異様だ。

「この気配は蒲公英さんと白蓮さんですね!すぐそちらに行きますよ!」

 モノクルを外している亞莎は目を細めてぼんやりと見える最上甲板にいる二人を見上げた。

「ひゃあ!あ、あれ亞莎だよね!なんかスゴイ睨まれたんですけど!?」

「元武官で相当強かったとは聞いてたけど、ありゃ本物だな・・・普段大人しいだけに凄い迫力だ。」

 蒲公英と白蓮は亞莎がやって来るのを、闘気を奮い立たせ待ち構えた。

 

 

 

 

蜀本陣

 

 船を伝って飛び移り、小蓮は遂に蜀本陣の艀にたどり着く。

「本陣にもこんなに兵を配置しちゃって。でもシャオの敵じゃないなぁ♪」

 待ち構える兵士達に単身突っ込む小蓮。

「孫尚香様!失礼致しますっ!!」

 襲いかかる五十人の兵士を小蓮は舞うように両手に持った月華美人で次々と倒していく。

「ふわぁ・・・シャオちゃんスゴイ・・・・・というか綺麗・・・」

 桃香が思わず見とれてしまう程、小蓮の戦う様は美しかった。

 小蓮がこの水着を選んだ理由のもう一つがこの為である。

 激しい動きにも決してズレたり外れたりしないこの水着なら大丈夫と思ったからだ。

 その選択の正しさはものの数分で五十人を失格させた事で証明された。

 

「さあ!大人しく緑一刀を渡しなさい!!」

 

 疲れを微塵も感じさせず、左手を腰、右手に持った月華美人で堂々と焔耶、朱里、桃香を指す。

「そんな事が出来るか!そのような事はワタシを倒してから言うのだな!!」

 焔耶が鈍砕骨を構え小蓮に戦いを挑む。

「まだ判んないなんて、そんなんだからたんぽぽに脳筋って言われるのよ。」

 片やチャクラムの月華美人。片や大金棒の鈍砕骨。

 月華美人には鈍砕骨を受け止める事はもちろん、受け流す事もかなわない。

 だが、今回の模擬戦では相手に武器を掠らせでもすれば勝となる。

 いくら焔耶が軽々と鈍砕骨を操ろうとも小蓮のスピードに追いつくはずがない。

 

「でぃやああああああああああ!!」

 

 真横に振り抜いた鈍砕骨を躱し、小蓮が焔耶の懐に飛び込む!

「そう来ると思ったぞ!小蓮!!」

 焔耶は鈍砕骨を右手だけで支え、空いた左手の裏拳を小蓮に振り下ろした。

「シャオもそう思ってたよ、焔耶♪」

 しゃがみ込む形で裏拳を躱し、今度は垂直に飛び上がる!

 その際、月華美人の飾り部分を焔耶の水着の肩紐に引っ掛け見事に切ってしまった。

 刃の無いレプリカでも小蓮並みの達人となればこれくらいは出来る。

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

 まろび出そうとするおっぱいを、辛うじて両手で押えしゃがみ込んだ。

「なんてことするんだ!小蓮!!」

「べ~だ。そんなおっきなおっぱいしてる方が悪いのよーだ!!」

 小蓮はあかんべえをしながら焔耶から走り去り、遂に緑一刀の前にやって来た。

「さあ一刀♪行きましょう♪桃香、邪魔するなら焔耶と同じ目に遭うわよ。朱里も。貧乳党の同志といえどこればっかりは容赦しないわよ。」

 桃香と朱里は渋々と、そして諦めきれないといった顔で小蓮と緑一刀を見る。

 緑一刀は小蓮が艀に乗り込んでから一言も発していない。

 一刀たち三人は相対する軍の人間がいる場合発言、及びどちらかに味方する行動は禁止されている。

 これは一刀たちに配慮したもので、今の場合小蓮は緑一刀を助けに来たという設定だし、桃香達は緑一刀を守っている訳である。

 どちらに何かを言えば苦しむのは一刀自身だという事はみんなも解っていた。

 それでも目の前で連れて行かれるのを何もできずにいるというのは辛い物だ。

 桃香と朱里の気持ちも解るから、小蓮は急いで緑一刀の手を引いて走り出した。

 

「お待ちなさい!この袁本初がいる限りそうはさせませんわっ!!」

 

 再び麗羽が小蓮の前に立ち塞がる。

「もう!しつこーーーい!!」

 小蓮は容赦無く、麗羽のビキニ上下のストラップを一瞬で切り飛ばした。

 

「きゃああああっ!」

 

 麗羽は可愛い悲鳴を上げてその場に踞る。

「「袁紹様!これをっ!!」」

 兄者と弟者が白い大きな布を持って走り寄る。

 その隙に小蓮は緑一刀を連れて艀の端に向かって走って行く。

「あなた達、良い心がけです!ですがあなた達は直ちに緑一刀さんを奪回に向かいなさい!」

 布を受け取り、体を隠しながら麗羽はそう指示した。

「「御意!!」」

 兄者と弟者は主命を果たすべく緑一刀の後を追う。

 一方、艀の端では一艘の走舸が小蓮と緑一刀を待っていた。

「姫様!緑北郷様!こちらです!!」

「小蓮さま!お疲れ様です♪緑一刀さま!もう少しの辛抱ですので我慢して下さい。」

 明命が斗詩と猪々子を下し追いついていた。

 尻好きと明命に守られた走舸は小蓮と緑一刀を乗せると全速力で自軍本陣を目指す。

「さあ、後は戻るだけだけど、最後まで気を抜くんじゃないわよっ!!」

『応っ!!』

 明命と尻好き、そして漕ぎ手の十名の兵が応えた。

「ふぅ、解っちゃいたけど、あの板挟み状態はかなり精神的に辛いなぁ・・・」

 ようやく緑一刀の緊張が解けた。

 

 

 

 

孫呉本陣

 

 未だ恋は甘えてくる周周と善善を撫でてあげていた。

「・・・・・周周、善善、もうおしまい。」

 恋がそう宣言すると、二頭はまだ物足りなそうだが言う事を聞いて立ち上がった。

 丁度その時、雪蓮と愛紗、思春と翠が孫呉本陣に到着した。

「「恋!!早くご主人様を蜀本陣に!!」」

 愛紗と翠が同時に叫んだ。

「・・・うん、わかった。」

 恋が赤一刀に向かって走り出し、雪蓮と思春が迎撃に向い、愛紗と翠が更にその後を追う!

 蓮華は一人、赤一刀の前に立ち恋の突進を待ち構える。

「解っていたつもりだけど・・・・・恋の気迫を受け止め続けるのはキツイわね!」

 蓮華はワザと愚痴っぽく言ってみせるが、引く気など毛頭ない。

 それは王の誇りか、はたまた女の意地か。

 しかし、恋を睨んでいた視界を、突如現れた戦斧に阻まれる。

『!?』

 孫呉本陣の上にいた誰もが驚いた。

 その戦斧は艀の繋目の水中から現れたのだから。

 戦斧に続き水中から人が現れる。

 

 それは華雄だった。

 

「・・・あかへいかぁ・・・・・ゆるさん・・・・・」

 移動中に長江に落ちた華雄は既に失格となっていたが、救助船の声を無視してここまで泳いでやって来たのだった。

「か、華雄?あなた何で・・・・・もしかして思春の挑発の所為!?」

「か、華雄!あれは誤解だ!!思春が誇張して言っただけで・・・」

 さすがにこの状況では赤一刀も黙ってはいられない。

 立ち上がって必死に言い聞かせようとするが。

「問答無用!死ねぇい!!屁以下!!」

 振り下ろされた金剛爆斧。

 

ガキィィィィン!!

 

 間一髪で受け止めたのは方天画戟。恋だった。

「華雄、ダメ。落ち着いて。」

「そこをどけ!恋!!赤屁以下をぶっ飛ばさねば私の気が収まらんっ!!」

 押し合いで恋に拮抗する華雄。怒りでいつも以上の力が発揮されているのは明らかだ。

「はい、そこまでよ。華雄。」

 軽い口調で雪蓮が手刀を延髄に叩き込んだ。

 華雄が意識を失いその場に倒れそうになるのを恋が抱きとめる。

「まったく、ホントとんでもない猪だな。汜水関の頃から変わってないんじゃないか?」

 翠の感想に恋以外の全員がウンウンと頷いた。

「しかし、華雄はご主人様の事を最後まで陛下と呼んでいたな。ご主人様を敬う気持ちもきちんと有ったのでは無いか?」

 愛紗が感心した様に言うと、雪蓮は困った顔になる。

「そうかしら?私にはな~んか違う字が充てられてた様な気がするんだけど・・・」

「それより思春!あなた挑発のためとは言え、一刀があんな事をしたなんて嘘を・・・私も少し信じちゃったじゃない・・・・・」

 蓮華が思春を怒るが、自分も信じた弱みの所為か強く怒れない。

「申し訳ありません、蓮華様。嘘は真実味が有った方が良いもので。以後気を付けます。」

「ちょっと待って!あの話ってそんなに真実味があったか!?まさかみんな信じた訳じゃないよな!?」

 赤一刀が慌てて確認するが、みんな視線を逸した。

「?」

 唯一人、恋だけが分かっていない様で、首を捻っている。

「さ、さて。そろそろ模擬戦を再開しよう。我々蜀側は艀の端まで戻り孫呉側はここで赤ご主人様を守る形でどうだろう?」

 愛紗は赤一刀の質問を誤魔化す様に提案する。

 しかし。

「いい提案だと思うけど・・・・・少し遅かったみたいね♪」

 雪蓮の視線の先に小蓮の旗を掲げた走舸が向かって来ていた。

「「ま、まさか・・・・・」」

 愛紗と翠には信じたくない光景が展開した。

 

「たっだいまー♪これで孫呉の勝利よーーーー♪」

 

 緑一刀が孫呉本陣に足を下ろした瞬間に孫呉の勝ちが決まった。

 小蓮の勝利宣言はモニターにも流れ、赤壁が鬨の声と歓声に包まれた。

 

 

解説席

【紫一刀turn】

「けっちゃあああああく!三国合同水上演習!初日は孫呉の勝利となりました!!解説の冥琳さま、如何でしたか?」

「まあ、六十点といった処だな。雛里と朱里が立てた策も思い切ってはいたが、艦隊戦を最初から捨てていたのが穏に見破られた時点でほぼ詰みだ。また、穏も見破っていながら詰めの甘さが見える。私ならもっと早く・・・・・おっと、これは言ってはいかんな。」

 冥琳は心の中で指示を出してたんだろうな。それだけに歯痒かったに違いない。

「では、華琳さま。今日の感想と明日への抱負をお願い致します。」

「そうねぇ・・・今日の模擬戦、見ていて楽しかったけど、今ひとつ美しさに欠けたわね。明日は観客の皆に誇れる戦いをしたいわ。」

 華琳の事だから水軍運用の研究もかなりしてるんだろう。

 今日の模擬戦を見て孫呉の動きも把握したはずだ。

「では最後に紫一刀さま。一言どうぞ♪」

 

「明日は思春が変なことを言い出さない事を祈っています・・・・・」

 

 春蘭にアレやられたらマジ洒落にならんぞ!

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

模擬戦初日は孫呉が制しました。

当初考えていたよりシャオが活躍して驚いてますw

 

 

船の種類

現在の日本で使われる漢字の語源なった物が幾つか有ります

楼船(ろうせん)

・前回の作中でも説明しましたがもう一度

・本来『艦』と呼ばれる船

・多層の船体と矢などを防ぐ板が周囲に並べて有ったので「監獄のようだ」という事でこの名前がついたそうです。

先登(せんとう)

・先陣をきる小型船。

走舸(そうか)

・『(てい)』とも言い、正史で黄蓋が赤壁で使ったものだそうです。

・祭さんが使ったのもこれでしょうかね?

赤馬(せきば)

・馬のように早く進む小舟。赤く塗られていたからついた名前。

・本来は追撃戦に使用したそうです。

・今回恋が使った物は矢を防ぐ板を取り付けるなどの改造をして有ります。

・普通の船の三倍の速さ・・・というわけではありませんw

他にも使用目的ごとに名前が有った様で、十数種類に及ぶそうです。

 

 

この外史で初登場

周周と善善

名前だけは改訂版でシャオと恋が初めて会った時の会話に出てきました。

きっと恋と始めて会った時も最初から服従のポーズをしていたのではないでしょうかw

個人的に周周がメス、善善がオスのように感じていたのですが

その辺りの設定は有るのですかね?

 

 

次回は模擬戦二日目

孫呉対曹魏。

『尻好き』対『追っかけ』の勝負もあるかもしれませんw

 

 

 


 
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