No.463006

ViVidに転生した。うん、そのはず………。 その2

真尋さん

ハローイングヴァルト

2012-07-31 20:52:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6730   閲覧ユーザー数:6281

 四歳になり、基本的な魔法制御をマスターした後、俺は考えていた。

 

「まずは戦いの流派か……」

 

 単純なストライクアーツであれば、おそらくあっさりフッケバインに負けてしまうような気がする。年齢が低いし、しょうがないのだが。

 かといって春光拳とかは魔法の使用を半分前提にしているようなもんだし……

 騎士の戦い方? ないない。武装の差があったとはいえそれでシグナムさん負けたし。というかそれだと他の人とかぶる。

 

「……いっそ、調べて我流でやってみるか」

 

 ForceではなくVividの話になるが、我流でも鍛えれば強くなる。我流の戦闘法で都市大会を勝ち上がった人もいるし。

 それに、どうせならVividの格闘の大会でも勝ちたいし。

 なら、俺の目指す戦い方は……

 

 

「……バーリ・トゥードに双剣双銃(カドラ)、かな」

 

 

 どこぞの武偵の戦闘法である。

 

 バーリ・トゥードというのは「何でもあり」という意味で、わかりやすく言えば総合格闘戦技だ。拳、掌、蹴りによる打撃や、投げ技、絞め技、固め技も用いる戦い方である。もっとも、魔法を使用することから、絞め技や固め技など近距離で自分の肉体を用いて相手の動きを封じ込める技はカウンターを喰らう恐れがあるので使用するつもりは無いが。

 

 双剣双銃っていうのは文字通り二本の剣と二梃の拳銃を使用する戦い方だ。状況によって使用武器を次々と切り替えながら戦う。

 

 どこぞの武偵はこの二つを組み合わせて強襲に用いていたが、俺のレアスキルはまさに強襲、奇襲にうってつけの物だった。

 

 デバイスはそれに合わせた物で、インテリジェントにするつもりだから……

 

「ふむ……」

 

 よし、少しは道が見えてきた。

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、次元世界最大のデータベースである無限書庫へ。

 

 そこは………何というか、混沌としていた。

 あれ、アニメで見たときとかはもう少し整理されてたんだけど。

 

「おや、ここに人とは少し珍しいね。しかもこんな小さい子が……」

 

 きょろきょろと辺りを見回していると、目の前に眼鏡をかけた少年が現れた。

 ハニーブロンドに翡翠色の目。間違いなく、後の無限書庫司書長、ユーノ・スクライアだ。

 原作キャラに会えたことに何となく感動していると、

 

「今ここは整理の途中だから、少しざわついてるけど、気にせずに本を探してくれていいよ」

 

 ……ああそっか、三期始まる少し前に整理終わるんだっけ。

 検索魔法と読書魔法を教えてもらった。

 早速検索魔法を活用する。

 

「ええと……まずは『デバイスの作り方』と『デバイスマイスターになるには』っと」

 

 結構な数が来た。取り敢えず置いといて後で選別する。

 

「それから『総合格闘戦技とその訓練について』……と」

 

 これはやや少なめだった。

 

 文章を読書魔法で斜め読みして取り敢えず選別。その後、一気に読み始めた。

 無論マルチタスク……並行的複数思考によって同時に何冊も読み進めていく。記憶するのも忘れない。

 

 

 「………よし」

 

 

 

 

 

 

 

 デバイスマイスター試験のための参考書を親に買ってもらい、それを読んで勉強しつつ、体を鍛え始める。

 スタイルとしてはコンボメイカー、カウンターヒッターを目指すことにする。まだ体が小さいので、相手が回避できない打撃の連携を組み立て、相手が不用意な攻撃を放ってきたら投げて地面なり壁なりに叩き付けると言った具合だ。

 

 無論魔法の練習も忘れない。防御、射撃、肉体強化、斬撃、高速移動など習得しなければならないことは沢山ある。余裕があれば幻術にも手を出してみるつもりだ。魔法制御も覚えられるし、デバイスを作るためのお金になることもあるので、無限書庫の司書の仕事もしてみるつもりである。

 

 

 そんなことを練習しているうちに、「ブランデンブルクの次男は天才」とかいうふざけた噂話がたった。

 

 アホか、早い段階から訓練してるだけだ。戦闘技能については天才的と言える物はないし、魔力もAA+。なのは達よりもやや低い程度である。レアスキル頼みにすると後が怖い。

 

 ところが、そうやって練習して勉強して……という生活を繰り返すと思わぬ弊害が出てきた。

 

 

 友達がほとんどいないのだ。あまり遊びもしないし。時たま来る兄貴や姉貴の友達と少し言葉を交わすくらいだ。

 

 

 心配しまくった親に、俺は「そういうのは小学生になってから作る」と答えてしまった。五歳のガキがいう台詞じゃない気がするが、まあそこは親ももう諦めている。

 

 というか、思考がついていけない。同年代のこいつらはいったい何を受信しているんだ。意味不明な論理ばっかで、やってられないのである。俺が落ち着きすぎているんだろうが、一緒に遊んでいてもあまり面白くない、というか面倒見なきゃならなくて大変だ。

 

 とはいえ、である。学校行く前に友達が一人もいないと言うのはかなりのレアケース。いじめとかが少ないという評判があっても、なかなかに馴染めないこともあるらしい。

 

 俺が将来通うことになっている(ザンクト)ヒルデ魔法学院に同じ歳に行くと言う子達との交流会的なものが開かれると言うことをどっかから聞きつけた両親は「友達作って来い」と俺をその中に放り込んだ。

 

 ………面倒だ。

 

 

 ため息をつく。正直、話とかに深い興味は無い。友達? 出来なかったと言えばいいような気がしないでもない。

 置いてある飯を食うことに専念することにして、飲み物を取りに行こうとしたとき、

 

 

 碧銀の髪の少女を見かけた。

 その少女の周りが何やらごたごたしてる。

 

 

「右と左で目の色が違うなんて、へんなのー」

 

「こわーい」

 

 うわー、ガキのいじめかよ。つか、こんなところでやんないでくれよな。

 ………ちょっと待て。碧銀の髪? 左右で瞳の色が違う?

 

 

 ……まさか。

 

 

 取り敢えずそっちに近寄ってみる。様子を聞いてみた。

 

「何やってんの?」

 

「この子変なんだよ! 右と左で目の色が違うの!」

 

 その声に少女はまた肩を縮めた。青と紺の目が悲しげに伏せられている。

 まあその辺は後でいっか。

 問い返す。

 

「え、どこが変なの?」

 

「え、だって……」

 

「聖王って知ってる?」

 

「もちろんだよ!」

 

 St.ヒルデは聖王教会系の学校である。囲んでいる少年少女達も知ってて当然だった。

 俺の言葉に、囲まれている女の子も反応していた。なんというか、少しびっくりしているような……

 

「あの人も右と左で目の色違ったんだってさ」

 

「……そうなの!?」

 

「そうなの。図書館の本に書いてあったよ。だから右と左で目の色が違うのはあってもおかしなことじゃないんだよ」

 

「そうなんだ……ごめんね」

 

 みんなその女の子に謝った。

 根は素直なやつらなんだな………

 

「……いえ、いいです。言われ慣れてますから」

 

 囲まれていた子の方もようやくそう言って、その場はお開きになった。

 

 さて、改めてこいつに話しかけるべきか否か……。

 

「……あの」

 

 考えている間に声を向こうからかけられた。おそるおそる、と言った様子で。

 

「ん? 何?」

 

「助けてくれてありがとうございます」

 

「気にしないでいいよ、見てて鬱陶しかっただけだから」

 

 手をひらひらと振る。別にここでこの子と深いつながりを持つ必要は無いはずだ。だがそれでは済まなかった。

 

「それでも、です。……アインハルト・ストラトスと言います。名前を聞いてもいいですか?」

 

(はいビンゴー)

 

 予想通り過ぎた。嘆息しつつ返答する。

 

「レオンハルト・ブランデンブルク。これからよろしく」

 

「はい、レオンハルトさん」

 

「……長いから『レーヴェ』でいい。その呼び方はくすぐったい」

 

「………私も長さは同じくらいですけど」

 

「じゃあどうにか縮めて呼んでみるか?」

 

「いえ、アインハルトと呼んでください、レーヴェさん」

 

「了解、アインハルト」

 

 ……まあ何はともあれ、親に「友達が出来た」って報告は出来そうだ。

 


 
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