No.455195

病みつきフェイト〜後日談〜

rikubさん

病みつきシリーズ第四弾!! 病みつきフェイトのその後を描くストーリー

優しすぎる彼に対するフェイトの不満とは?

フェイトの我が儘に振り回される主人公のお話です

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2012-07-18 18:14:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:12658   閲覧ユーザー数:12177

機動六課に入隊した。

 

入隊を決意するまでの話を簡単に説明すると、彼女に誘わ れたからだ。

 

俺の恋人であり 俺のものであり 俺の所持者である 彼女、フェイト・T・ハラオウン

 

それが、俺の恋人の名前だ。

 

俺は彼女と1日6時間以上居ないといけないのだが、今日は 珍しく、その約束が無効の日だ。

 

彼女が本局に行くため時間的に無理なのだ。

 

初めは俺と一緒に行くと言ってたが俺は彼女がいない分仕 事が増えるため本局にはいけない。

 

3時間以上の説得と幾つかの条件を呑むことで、彼女は納 得してくれた。

 

条件とは大雑把に言えば3つある。

 

1、1時間に1回はメールする事。

 

2、余り人に優しくしないこと。

 

3、エリオ、キャロ、ヴィヴィオの面倒をちゃんと見るこ と。

 

この3つが条件だ。

 

1は大丈夫だどうせフェイトからメールが来るだろうから それに返信すればいいだけの話だ。

 

3は…… まぁ、時間があればの話だな。

 

一番問題なのは2だ 人に優しくしないこと 意味がわからない。

 

……これは無視しておこう。

 

彼女から出された条件を思い出しながら、俺は外に出る。

 

そこには既にフェイトとはやてさんがいた。

 

「私が居なくても大丈夫?」 「私が居なくて心細くない? 」 「私と一緒に入れなくて辛くない?」

 

俺がフェイトに近づくと、淋しそうにフェイトは俺に尋ね てくる。

 

「淋しいよ」 「でも、フェイトが本局でちゃんと仕事やってるんだって 思うと、そばに居てほしいなんて我儘言えないだろ」

 

フェイトの頭を撫でながら言うと、フェイトは俺に抱きつ いてくる。

 

「何時でも我儘言って良いんだよ」 「私はあなたのものなんだから」

 

はやてさんに聞こえないよう、俺の耳元でそう囁く。

 

「でも、あなたも私の我儘ちゃんと聞いてよ」 「あなたは私のものなんだから」 「私だけのーーーー」

 

フェイトは俺から離れるとはやてさんの車に乗る。 「いってらっしゃい、フェイト、はやてさん」

 

「「行ってきます」」

 

2人が同時に返事をすると、車が動き出す。

 

……さてと、俺も仕事をするか

 

フェイトに負担がかからないように頑張ろう。

 

ーーーーー

 

本日の事務の仕事が全て終わった。

 

予想以上に早くできたが、今日は彼女が居ないためこれか らの予定が全く無い。 何時もなら、彼女と一緒に過ごすのに……

 

その、彼女は今は会議中なのかメールが帰って来ない。

 

そんな予想をしながら、俺は子供達を探す。

 

彼女との約束を守るためにだ。

 

俺がヴィヴィオの部屋を目指していると、すぐ近くの部屋 から大声が聞こえてきた。

 

……なんだ?

 

俺は声がした部屋に目線を向けると同時に部屋が開く。

 

「たまには1人で頑張りなさい」

 

部屋からティアナが出てくると俺に気付き此方を向く。

 

「こんにちは隊長補佐」

 

「ティアーーー手伝ってよ!!」 今度はスバルが出てくる。 何故か涙目だ。

 

「スバル、あんたも挨拶しなさい」

 

ティアナが言うと、スバルが俺を見る。

 

「こんにちは隊長補佐」

 

隊長補佐 それが俺の肩書きだ。

 

「聞いてくださいよ」 「ティアが私の……」

 

「自分の仕事ぐらい自分でやりなさいよ」

 

……予想はできた

 

「スバルはまた事務の仕事が終わらないのか」

 

「……すいません」

 

……時間なら、まだあるし……

 

「何処が出来ないんだ?」

 

「え?教えてくれるんですか!?」

 

「今回だけな」

 

スバルは俺の手を取ると部屋へとつれていく。

 

………こういうのもたまにはいいかもな。

 

ーーーーー

 

「お疲れさま、スバル」

 

予想以上に時間が掛かった。

 

俺はスバルの頭を軽く撫でる。

 

「ふぇ」

 

「次は、1人で出来るように頑張れよ」

 

スバルは突然のことで驚いていたが、徐々に顔を赤くする と、目を細め嬉しそうに笑う。

 

それを見て俺はフェイトとの約束を思い出す。

 

……他人に優しくしないことって、もしかしてーー スバルから手を離と、物欲しそうな表情で俺の手を見てく る。

 

「俺は用事があるから、もう行くよ」

 

「あ、今日はありがとうございました!!」

 

俺は部屋を出て当初の目的どうり、ヴィヴィオの部屋を目 指した。

 

「あ、なのはさん」

 

ヴィヴィオの部屋の近くでなのはさんを見つけたため、話 し掛ける。

 

「今からヴィヴィオに会いに行くんですけど、なのはさん も一緒に行きませんか?」

 

「ヴィヴィオはさっき寝たばかりだよ」

 

なのはさんは軽く笑みを浮かべながら応える。

 

寝てるんだたったら、会いに行かないほうがいいか。

 

……これからどうしよう 「ヴィヴィオに用事でもあったの?」

 

首を傾げながらなのはさんは言う

 

「用事というか……フェイトにヴィヴィオの面倒ちゃんと 見といてって言われて」

 

「相変わらずフェイトちゃんの言うことちゃんと聞くんだ ね」

 

彼女は笑みを浮かべながら俺に言う。

 

彼女の言うことを聞くのは当たり前だ。

 

だって、俺は彼女の……

 

「ねぇ、君はこの後用事ある?」

 

「特に無いですよ」 「だったら、少し私とお話しない?」

 

「別にいいですよ」

 

俺が返事をすると、なのはさんは嬉しそうに笑いながら、 俺の横に立つ。

 

「じゃあ、行こっか」

 

そういって歩きだした彼女に合わせながら俺も歩きだした 。

 

ーーーーー

 

なのはさんと来た場所は、六課にあるカフェだ。

 

俺はなのはさんの前の席に座ると彼女に飲み物を渡す。

 

それを受け取ると彼女は口を開く。

 

「フェイトちゃんが羨ましいなー」

 

「羨ましい?」 「何でですか?」

 

「だって、君みたいに優しい彼氏と一緒にいられるんだも ん」

 

「……その、そんなこと言われても」

 

自分でも顔が赤くなってるのがわかる。

 

「私も君みたいな優しい人と付き合いたいな」

 

「なのはさんにはユーノさんがいるじゃないですか」 「ふぇ?ユーノ君は友達だよ」

 

……ユーノさんには頑張ってもらいたいな

 

「フェイトちゃんも自慢の彼氏だっていつも言ってるよ」

 

なのはさんはからかうように言う 俺はそれを聞いてさらに顔を赤くする。

 

「フェイトちゃん君と付き合ってから、前よりもずっと元 気になったしね」

 

「前は元気じゃなかったんですか?」

 

「ううん、そんなことなかったよ」 「ただ、前よりも明るくなったなって思ったの」

 

……フェイトさんとの付き合いが長いなのはさんが言うん だ 間違いは無いだろう。

 

なのはさんは続けて言う。 「フェイトちゃん昔はどこか無理してるように見えたの」 「人に頼らずに何でも自分でやろうって感じかな」 「本 当に大変な時はいつも自分一人で解決しようとするの」

 

でもーーーとなのはさんは続ける

 

「君と付き合ってからーーーううん、君と出会ってから少 しずつ変わっていったの」 「自分一人じゃ解決出来ないことがあっても、君と一緒に 解決するようになった」

 

だからーーーと彼女は続ける

 

「フェイトちゃんを悲しませるようなことしちゃ駄目だよ 」 「今のフェイトちゃんは良くも悪くも君が必要なんだから 」

 

ーーーフェイトには俺が必要 それは、わかってる。 彼女の告白に応えた時からーーー

 

「わかってます」 「俺は、フェイトの傍にずっと居ます」

 

俺がなのはさんに力強く言うと、彼女は嬉しそうに笑う。

 

「やっぱり、私も付き合うなら君みたいな人が良いな」

 

そう言うと、なのはさんは立ち上がる。

 

「それじゃ、私はそろそろ部屋に戻るね」

 

彼女に合わせて俺も立ち上がる。

 

立ち上がると俺の目の前になのはさんが人差し指を向ける 。

 

「それと、余り他の女の人と一緒にいちゃダメだよ」 「君は優しいからフェイトちゃんも余計に心配するよ」

 

「はぁ、気を付けます」

 

それだけ言うと、彼女はカフェを出てく。

 

俺もカフェを出て、自分の部屋へと向かう。

 

……彼女は今頃何をやってるんだろうか。

 

ーーーーー

 

翌日、俺は今日の仕事を確認するために部屋を出る。 出て直ぐに此方へと近づいてくる彼女を見つけた。 「昨日はお疲れ様、フェイト」

 

「うん、お疲れ様」

 

フェイトは俺に抱きついてくる。 俺は彼女の頭を撫でる。

 

「今日は昨日の分も合わせて12時間一緒にいてもいい?」

 

「……いや、無理だろ」

 

時間的に無理だ

 

俺の一言に彼女は落ち込む。

 

「まぁ、何時もよりも長く傍に居るよ」

 

「……本当?」

 

彼女は涙目になりながら上目遣いで俺を見る。

 

「約束する」

 

そう言うと、彼女は嬉しそうに笑いながら俺と手を握る。

 

そのままフェイトとと共に歩きだした。

 

ーーーーー

 

朝の仕事を終わらせ、フェイトと共に朝食を取りに食堂へ と来た。

 

俺の隣の席にはフェイトがいる。

 

「あ、隊長補佐!!」

 

フェイトと話してると、スバルに声を掛けられる

 

「昨日はありがとうございました!!」

 

「別にいいよ、あれぐらい」 そういうと、服の袖をフェイトに軽く引っ張られたため、 彼女の方を向く。

 

「昨日スバルに何かやったの?」

 

「スバルの事務の仕事を少し手伝ったんだ」

 

「それじゃ、ティアが待ってるんで」

 

一礼すると、スバルは食堂を出ていく。

 

すると入れ代わるようになのはさんが此方に来た。 「おはよう、2人とも」

 

「おはよう、なのは」

 

「おはようございます、なのはさん」

 

なのはさんは俺の前の席に座る。

 

「昨日はありがとうございました、なのはさん」

 

フェイトについて色々と教えてくれたなのはさんに礼を言 う。

 

「昨日?昨日なにがあったの?」

 

「色々と教えて貰ったんだ」

 

「フェイトちゃんが自慢の彼氏だって言ってたよって教え たの」

 

なのはさんはからかうように言うと、フェイトは顔を赤く する。

 

「自慢の彼氏だもん」

 

そう言うと、俺を向くフェイト

 

……きっと俺の顔は真っ赤なんだろう。

 

「それとね、私も彼氏が出来るなら、君みたいに優しい人 が良いなーって」

 

「……優しい人」

 

フェイトはそう呟く

 

少ししたら、急に立ち上がる。

 

「ちょっと来て」

 

フェイトはそう言うと俺の手を取り、引っ張ってく。 そんな彼女に引っ張られながら俺は歩く。

 

着いたのは人当たりの無い通路だ。

 

俺の手を離すと、フェイトは顔を近付ける。

 

「約束したよね」 「余り人に優しくしないことって」 「何で破ったのかな?」

 

フェイトの目は告白された時と同じ光が無い濁った瞳だ。

 

「なのははあなたみたいな優しい人が良いんだって」 「私もそう」 「君の優しい処も好き」 「ううん、愛してる」 「でもね、あなたは私以外の人にも優しすぎる」 「私が少し目を離したらすぐこれだもん」 「困っちゃうな、そういうの」

 

フェイトは軽い笑みを浮かべながら言う。 「……ごめん」

 

「謝らないでよ」 「私はあなたのもの何だから」 「あなたの我が儘はちゃんと聞くよ」 「だから、あなたも私の言うこと聞いてよ」 「そうじゃないとーーー」 彼女が俺から離れる。

 

「……わかってるよ」

 

「わかってるなら良いよね」

 

彼女は俺を指差す。

 

「今週は私以外の女性と喋らずに私の傍にずっと居ること !!」

 

……え?

 

「それって」

 

「仕事に関係する事でも駄目だよ」 「私に言えば、私が言うから安心して」 「私はあなたの傍に居るから」

 

彼女は本気で言ってるんだろう。 ……俺は

 

「わかった」 「今週はフェイトの傍に居る」

 

フェイトは嬉しそうに笑うと俺に抱きついてくる。 「わかってたよ」 「だって、あなたは優しいもん」 「誰にだって……」

 

彼女は俺を強く抱き締める。

 

ーーー今週は大変なことになりそうだ。

 

―――――

 

俺の肩書きは隊長補佐だ 隊長補佐の仕事は名前道理隊長の手助けをするのが主な内 容だ

 

ここで言う隊長というのは、六課の隊長全員のことである

 

そして、俺は今週中はフェイト以外の女性と喋ってはいけ ない

 

そして、六課の隊長は全員女性だ……

 

幸いにも今週はもう半分を切っているため、それまでの我 慢なのだが……

 

「……フェイトちゃん、仕事はどうしたん?」

 

「今から彼と一緒にやるんだよ」

 

はやてさんが首を傾げながらフェイトに聞き、彼女は当た り前のように応える ―――フェイトの瞳はあの時のまま変わっていない

 

はやてさんは少し考え込むと、ため息混じりに言う

 

「まぁ、昨日は離れ離れだったし、今日ぐらいは大目に見 よか」

 

「ありがとう、はやて」 フェイトは嬉しそうに言い、 俺ははやてさんに頭を下げ る

 

「それとね、少し相談したいことがあるんだけど、いいか な?」

 

そう言うとはやてさんの手を取り部屋の隅に連れていくフ ェイト

 

どうやら、俺には聞かれたく無いことらしい

 

少しして、2人が戻ってくる

 

フェイトは楽しそうに笑いながら、はやてさんは苦笑いを 浮かべながら

 

……いったい何の話をしてたんだろうか?

 

「それではやて、今日の彼の仕事は何?」

 

「今日は私の仕事を手伝ってもらいたいんやけど……」

 

はやてさんが目線を俺に合わせる

 

「わかったよ、はやて」

 

フェイトが俺の代わりに応える

 

「……フェイトちゃんは自分の仕事に戻らんくていいの? 」

 

はやてさんは首を傾げながら聞く

 

「大丈夫だよ。私の仕事もちゃんとやるから」

 

フェイトは自信満々に応える

 

「……今日はフェイトちゃんの仕事を手伝ってあげて」 気を遣ってくれたのか、はやてさんは苦笑いを浮かべなが ら言う

 

「ありがとう、はやて!!」

 

フェイトは嬉しそうに言うと、俺の手を取り部屋を出る

 

……これが今週まで続くのか

 

認めたことに軽く後悔しながら、俺は彼女に着いていく

 

―――変わらない瞳のまま、楽しそうに笑みを浮かべてい る彼女の横顔を見る

 

―――まぁ、たまには良いかな

 

―――――

 

その後、フェイトの仕事を終わらせるだけで1日が過ぎた

 

俺が目を覚まし、制服に着替えようとしたら扉越しに彼女 の声が聞こえた

 

俺が部屋を出ると扉の前でフェイトが立っていた

 

「よかった、まだ着替えてないね」

 

フェイトの今の服装は私服だ

 

「どうして私服なんだ?」

 

俺は首を傾げ、フェイトに質問する

 

「昨日はやてに頼んで、私達は今日有休を使って休みにし てもらったの」

 

―――だから とフェイトは続ける

 

「今日はデートしよ」

 

唐突にフェイトは言う

 

その表情は笑顔で――― 昨日から変わらない瞳で―――

 

「デートって言っても直ぐに終わるよ」 「少し行きたいところがあるだけだから」 「あなたが嫌なら諦めるし」 「嫌じゃないなら、一緒に 行こ」

 

……デートか

 

いや、フェイトの言い方からすると、ただ一緒に行きたい 場所があるのか

 

―――たまにはいいかもな

 

「わかった、着替えるから少し待ってて」

 

俺は部屋に戻り、私服に着替える

 

―――楽しみだな

 

―――――

 

フェイトの車に乗り、向かった先は彼女の家だった

 

彼女が住んでおり、今は俺も住んでいる家

 

彼女は俺の手を取り、家の中へと入る

 

「ただいま」

 

彼女は誰をいない家に入ると言う

 

「ただいま」

 

俺も彼女に合わせて言い、家に入る

 

彼女が向かった先は3階の書斎兼仕事部屋だ

 

―――フェイトに告白された場所 ―――俺が彼女のものになった場所 ―――彼女が俺のものになった場合

 

色々と思いで深い場所だ

 

フェイトは部屋に着くと俺の手を離し、此方を向く

 

「ここで約束したよね」 「私は嬉しかったんだよ」 「あなたとずっと一緒に居ら れるんだって」 「ずっと傍にはあなたが居てくれるんだって」

 

でも―――と彼女は続ける 変わらない瞳で俺を見ながら―――無表情にただ俺の目を見ながら―――

 

「六課に来て……ううん、前からわかってたけどあなたは 優しすぎるよ」 「私以外の人にも、私にも」 「あなたは誰に対しても変 わらない」

 

だから―――彼女は続ける 俺にゆっくり近づきながら

 

「私だけに優しくしてなんて言わない」 「私以外に厳しくしろなんて言わない」 「少しでいいの……」 「私を特別な人として見てほしい」 「私の中のあなたは特別だよ」 「何時だって、誰よりも特別な存在だもん」 「それは、私だけが一方的に思ってるだけなの?」 「あな たは私のことどう思ってるの?」 「お願い―――教えて……教えてよ」

 

フェイトは俺の目の前に立つ

 

今にも泣き出しそうな表情で―――ただ、俺を見ながら―――

 

「特別だよ」

 

俺は言う

 

「特別じゃなきゃ、一緒に居ない」

 

フェイトを安心させるように

 

「特別じゃなきゃ、フェイトの我が儘何か聞かない」 なるべく優しく

 

「……本当に?」

 

フェイトは短く俺に聞く 「俺の中でフェイトは特別な存在だ」

 

フェイトは俺に抱きつく 「わかってるよ」

 

フェイトは言う 涙声で、顔を隠しながら

 

「でもね、もしかしたら私の思い違い何じゃないかって」 「私の一方的な勘違いじゃないのかって」 「そう思うと、何時も不安になって―――」 「あなたは何時も私の我が儘を聞いてくれる」 「でも、それは私だけじゃない」 「六課の人の我が儘ならあなたは聞いてる」 「それなのに、あなたは他人に我が儘を言わない」 「私 にも言ってくれない」 「私ばかりが何時も我が儘を言っ てあなたを困らせるの」 「何時も……何時も―――」

 

フェイトはそれから先は喋らない

 

そんなフェイトの代わりに俺が言う

 

フェイトの頭を優しく撫でながら

 

「確かに困ることはある」 「でも、別にいい」

 

優しく俺は言う

 

「フェイトの我が儘なら、困ることでもかまわない」 「 フェイトがそれで満足するなら」

 

フェイトは俺の目を見る 「俺はフェイトのものだから」

 

俺はフェイトと軽くキスをする

 

「でも、フェイトも俺のものだ」

 

そう言うと、フェイトは少し驚いた顔をする

 

「今週は俺の傍にいて、他の男と話すの禁止」

 

軽く笑みを浮かべながら俺が言うと、フェイトも笑いなが ら応える

 

「うん、わかったよ」 「だって、私は―――私達は―――」

 

フェイトは俺にキスをする

 

―――その瞳には光があり ―――何時も道理りの瞳で ―――俺を愛おしそうに見ながら

 

―――――

 

ここからは、この物語の少し先について話そう

 

フェイトの言うとおり、俺は他の女性と喋らないという我 が儘を無事に終えた

 

フェイトに関しては難なく俺の我が儘を終わらせたが、俺 はきつかった……

 

それに関しては、また何時か話すとしよう

 

俺の隣には彼女がいる

 

最近お互いに忙しかったので、少し我が儘を言ったのだ

 

フェイトは何も言わずに俺の隣に居る―――

 

彼女が隣に居るのは俺にとっての当たり前で フェイトにとっても俺が隣に居るのは当たり前で―――

 

今は、お互いにただ、当たり前のことをしているだけだ

 

―――こういうのを幸せって言うのかもな


 
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