No.452277

相良良晴の帰還4話

D5ローさん

織田信奈の野望の二次創作です。素人サラリーマンが書いた拙作ですがよろしければお読み下さい。注意;この作品は原作主人公ハーレムものです。又、ご都合主義、ちょっぴりエッチな表現を含みます。
そのような作品を好まれない読者様にはおすすめ出来ません。
追記:仕事の合間の執筆のため遅筆はお許し下さい。

2012-07-13 21:35:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:18469   閲覧ユーザー数:16684

池のほとりで昇進するという奇妙な経験をした後、良晴は織田軍と共に北上していた。

 

先ほどの龍神騒動の後、「約束の刻限が近いから」という理由のもと、信奈は居城に戻らず、美濃と尾張の国境に向かったのだ。

 

いくら鍛えぬいた体を持つとはいえ、池の水を全て掻き出して疲れていない訳ではないが、主君が動いているのに休む訳にはいかない。

 

流石に信奈もこれ以上良晴に無理をさせるつもりは無いらしく、行軍の速度は遅く、後方を警戒する任を与えられた良晴は、武将である勝家と共に体を休めつつ行軍していた。

 

馬上の勝家の隣を歩きながら、良晴は、勝家を不快にせぬよう、言葉を選びながら話しかける。

 

「この軍はどちらに向かっているのでしょうか?」

 

「ん、美濃の大名、『齋藤道三』の元さ。姫様は今川軍に狙われている尾張を守るために、美濃と同盟を結びたいのさ。」

 

「ふむ、同盟を結ぶ、ですか・・・金銭の支払いはなどはあるのでしょうか?」

 

「いや、ここいらの一般的な同盟と同じさ、相手先から、男の大名なら嫁をもらい、信奈様のような姫大名なら娘や妹を義理の妹として引き取る。相良の住んでいた所では違うのか?」

 

「私の住んでいた国だと金銭などで同盟を結ぶことが大半でしたよ。」

 

「そうか・・・まあ齋藤道三相手なら私としてはそのような同盟でも良いと思うけど。やたらと戦が強い上に一介の商人から下克上で成り上がった男だから油断ならないんだ。」

 

「御心配なら、道三と同盟せずに今川軍と対峙する方法などを模索すれば宜しいのでは無いのですか?」

 

「簡単に言うなよ!今尾張は内部でも争いがあって全然まとまってないんだ。」

 

「そうですか。何も知らずに差し出がましい事を口にして申し訳ございません。役に立てるか分からないけれど、何か困った事があれば相談に乗りますよ。」 

 

「お前・・・良い奴だな。ごめん、姫様に上手く取り入った悪い奴かと思ってた。」

 

最初は警戒し、強ばっていた勝家の表情が段々とほぐれていく。

 

良晴は内心、相変わらず言う必要の無い事まで口にする人だなあと呆れていたが、表情には出さない。

 

悲劇を回避するために出来る事で、自分一人の力で出来る事などたかが知れている。皆で生き残る可能性を高めるためには、早い段階で味方を増やす必要があった。笑顔のまま、会話を続ける。

 

「いえいえ、美人には優しいだけですよ。」

 

「び、美人とか、せ、世辞は良いよ!戦場で暴れまわっているせいで、尾張の皆からは鬼神のような扱いを受けているし。」

 

「もったいない。皆さん見る目が無いんですね。」

 

「・・・っく、も、もうこの話はここでおしまい!もうすぐ美濃に着くから、お前は姫様の護衛に回ってくれ。」

 

よほど照れているのか、顔を赤くして逸らした勝家に、良晴は暫し間を置いて再度話しかける。

 

「了解しました。・・・一つ、お願いが。」

 

「なんだ?」

 

顔を赤くしたまま振り向く彼女に頬をかきながら願う。

 

「なにぶん遠方から来たもので、分からないことが沢山あると思います。これからも先達として御指導頂けませんか。それと、自分は後輩ですので良晴と呼び捨てで呼んでもらって結構です。」

 

「せ・・・先輩かあ・・・。じゃあ、私も勝家で良いぞ。どんどん頼ってくれ。」

 

嬉しそうに答える彼女にうなずき返し、彼は信奈の元に向かった。

 

美濃と尾張の県境にある門前町(寺院勢力が統治する町という意味)の門が視認出来る距離まで来ているのを確認した良晴は、信奈のもとに向かいつつ、刀以外の武装を解き、先ほど部下としてつけられた数名の足軽に預けた。

 

学生服姿に戻った良晴は、軽く埃を払った後、お供の足軽を待機させ、信奈の近くまで移動した。

 

そして、改めて彼女の様相に目を向ける。

 

茶筅まげを結わえ、湯帷子を着込み、種子島を背負ったその格好は、『ヤバい(言葉通りの意味で)』の一言に尽きた。

 

彼女なりに機能性等を追及した結果であり、必要もなくこのような格好をとっている事を理解してはいるが、やはり先人の言う『馬鹿と天才は紙一重』というのは比喩ではなく、実際にそういう人間が多いから作られた言葉なんだろう。

 

信奈から五歩ほど離れた位置まで近づくと、彼女もこちらに気がついたのか、馬上から声がかかる。

 

「来たわね良晴。言われずとも武装を解くなんて、わかってるじゃない。」

 

「寺院勢力が強いこの町で無駄に目立つのは得策ではありませんから。」

 

肩をすくめて答えると、信奈は楽しげに笑った。どうやら面白い男ぐらいまでは評価されたらしい。

 

一応、衣装も着替えた方が良いか聞くと、

 

「着物は変わってるけど、まあ、最近は日本にはみられない南蛮の衣装も多く国内に流れているし、特に問題を起こさなければ大丈夫でしょう。犬千代と一緒に護衛をお願い。私は少し席を外すわ。」

 

簡単に返し、彼女自身は着替えのためにさっさと席を外してしまった。

 

相変わらず規則ゆるいなぁ・・・

 

常識や礼儀という言葉を遥か彼方に置いてきた物言いに懐かしさと呆れが入り混じる。

 

・・・まあ、いっか。

 

彼女のそのような行動に起因する様々なトラブルが脳内を駆け巡ったが、今から要らぬ心配を重ねてもどうしようもないため、良晴は割り切って紹介された小柄な少女に声をかけた。

 

「了解しました。よろしくお願いします・・・どのようにお呼びすれば?」

 

「・・・犬千代で良い。あと、敬語も使わなくていい。」

 

「ありがとう、じゃあ俺は良晴で良いよ。」

 

簡潔なやり取りに懐かしさを感じつつ、少し砕けた言葉で返す。

 

『正直、前の世界で親しかった相手に敬語とかしんどい』と考えていた良晴にとって、地位が近く、飾らないやりとりが出来る相手というのはありがたかった。

 

彼女との短いやり取りにかつての記憶を思い返しつつ、良晴は歩を進める。

 

斉藤道三との会談の場所、正徳寺の本堂へ。

 

(第四話 了)

 

 


 
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