No.449401

ハイスクールD×D~最強の戦車と最強の兵士(予定)~

平和島静雄の肉体に悪魔の駒の『戦車』の能力をプラスしたら?という妄想で書いた小説です。

2012-07-08 22:00:03 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4055   閲覧ユーザー数:3935

第一章

第五話「夢へ向かう最初のスタートは人それぞれ」

 

 

 

「二度と教会に近づいてはダメよ」

 

あの後、朱乃を先に部室へと向かわせ俺は荷物を朱乃の自宅へと運び、部室に向かうとリアスが兵藤に説教をしていた。

 

「やあ、静雄君」

 

「おい、祐斗。こいつぁいったいどういう状況だ?」

 

「実は――――」

 

いきなりの状況についていけず近くにいた祐斗に説明を要求すると、祐斗はいつもの笑顔で答えた。

要約すると、兵藤が教会に近づいてそれを知ったリアスが怒って注意したってことか・・・。

 

(やっぱ、あの時見たの兵藤か・・・・ん?確かあの時兵藤の他にもう一人いた様な気が)

 

「あらあら。お説教は終わりましたか?」

「おわっ」

 

いつの間にか兵藤の背後に朱乃が立っていた。

 

「朱乃、どうかしたの?」

 

リアスの問いに朱乃は珍しく顔を曇らせた。

 

「討伐の依頼が大公から届きました」

 

 

 

 

 

はぐれ悪魔という存在がいる。そいつは爵位持ちの悪魔に下僕にしてまらった者が、主を裏切り、又は主を殺して主なしになるという事件が極希に起きる。

悪魔の力は強大だ、人間なんかと比べもんにならねぇ。

その力を自分の為に使おうとする奴ももちろんいる。

そんな奴らが、主の元を離れて、各地で暴れまわっている。

要するにはぐれ悪魔は野良犬だ。野良犬は害を出す。見つけ次第、主人、もしくは他の悪魔が消滅させることになっている。それが悪魔(おれたち)のルールだ。

コイツは他の存在でも危険視されていて、天使側、堕天使側も『はぐれ悪魔』を見つけ次第殺す様にしている。

現在俺はオカルト研究部のメンバーと一緒に町はずれの廃屋の近くに来ていた。

毎晩、ここで『はぐれ悪魔』が人間をおびき寄せて喰っているらしい。

それを討伐するように、上の悪魔に依頼された。

 

「リアス・グレモリーの活動領域内に逃げ込んだため、始末してほしい」―――と。

 

コレも俺たちの仕事なんだが、

 

「ったく、なぁんで俺達が上の尻拭いなんかしなくちゃなんねぇんだぁ?」

 

懐から取り出した煙草に火をつけ一服しながら文句を言うと

 

「仕方ないよ、静雄君。どの道放っておくわけにはいかないんだから」

 

「その通りですわ。それに悪魔の駒(わたしたち)の力をイッセー君に見せるいい機会と部長も仰ってますし」

 

「害虫は早めに潰すべし」

 

俺の文句に対し祐斗、朱乃、小猫の三人が諌めてきた。

 

「分かってんよ、ンな事は・・・ん?」

 

ふと微かだが血の臭いがした。

 

「・・・・血の臭い」

 

どうやら小猫も感じたらしく、制服の袖で鼻を覆った。

コイツは俺よりそういうのに敏感だからな、かなりキツイだろうな・・・。

敵意と殺意が周囲に満ちて俺は自然と笑みを浮かべた。

 

「イッセー、いい機会だから悪魔としての戦いを経験しなさい」

 

リアス、それは無理だと思うぞ。

 

「マ、マジッすか!?お、俺、戦力にならないと思います!」

 

「そうね。それはまだ無理ね」

 

あっさりといったな。事実だけど。

 

「でも、悪魔の戦闘を見る事は出来るわ。今日は私たちの戦い方をよく見ておきなさい。そうね、ついでに下僕の特性を説明してあげるわ」

 

「下僕の特性?説明?」

 

「主となる悪魔は、下僕となる存在に特性をささげるの。・・・そうね、頃合だし、悪魔の歴史も含めてそのあたりを教えてあげるわ」

そう言ってリアスは語りだした。

 

「大昔、我々悪魔と堕天使、そして天使を率いる神は三つ巴の大きな戦争をしたの。大軍勢を率いて、どの勢力も永久とも思える期間、争い合ったわ。その結果、どの勢力も酷く疲弊し、勝利する者もいないまま、戦争は数百年前に終結したの」

 

リアスの説明に祐斗が続く。

 

「悪魔側も大きな打撃を受けてしまった。二十、三十もの軍団を率いていた爵位を持った大悪魔の方々も部下の大半を長い戦争で失ってしまったんだ。もはや、軍団を保ていないほどにね」

 

今度は朱乃が引き継ぐ。

 

「純粋な悪魔はそのときに多く亡くなったと聞きます。しかし、戦争は終わっても、堕天使、神との睨み合いは現在でも続いています。いくら、堕天使側も神側も部下の大半を失ったとはいえ、少しでも隙を見せれば危うくなります」

 

そこでまたリアスが語る。

 

「そこで悪魔は少数精鋭の制度を取ることにしたの。それが『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』―――」

 

「イーヴィル・ピース?」

 

 

「爵位を持った悪魔は人間界のボードゲーム『チェス』の特性を下僕悪魔に取り入れたの。下僕となる悪魔の多くが人間からの転生者だからって皮肉を込めてね。それ以前から悪魔の世界でもチェスは流行っていたわけだれど。それは置いておくとして。主となる悪魔が『王』。私たちの間で言うなら私のことね。そして、そこから『女王』、『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『兵士』と五つの特性を作り出したわ。軍団を持てなくなった代わりに少数の下僕に強大な力を分け与えることにしたのよ。この制度をできたのはここ数百年のことなのだけれど、これが意外にも爵位持ちの悪魔に好評なのよね」

 

「好評?チェスのルールがですか?」

 

「競うようになったのよ。『私の騎士は強いわ!』、『いえ、私の戦車のほうが使える!』って。その結果、チェスのように実際のゲームを、下僕を使って上級悪魔同士で行うようになったのよ。駒を生きて動く大掛かりなチェスね。私たちは『レーティングゲーム』と呼んでいるけれど。どちらにしても、このゲームが悪魔の間では大流行。今では大会も行われているぐらいだわ。駒の強さ、ゲームの強さが悪魔の地位、爵位に影響するほどにね。『駒集め』と称して、優秀な人間を自分の手駒にするのも最近流行っているわ。優秀な下僕はステータスになるから」

 

何度聞いてもムカツク話だぜ。人を玩具かなんかと勘違いしてんじゃねぇのかぁ?

 

「私はまだ成熟した悪魔ではないから、公式な大会などには出場できない。ゲームをするとしても色々な条件をクリアしないとプレイできないわ。つまり、とうぶんはイッセーやここにいる私の下僕がゲームをすることはないってことね」

 

「じゃあ、木場たちもそのゲームをしたことはないってことか?」

 

「うん」

 

兵藤の質問に祐斗は頷いた。

正直に言って俺はゲームに興味は無い。俺の目的はそんな事じゃなくて―――

 

「部長、俺の駒は、役割や特性って何ですか?」

 

「無駄話はそれくらいにしとけ。・・・来たぞ」

 

兵藤の無視し俺は一層強くなった殺気の出所を睨んだ。

 

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

 

ウゼェ・・・コイツの声がマジでウゼェ・・・・。

 

「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しにきたわ」

 

リアスが一切臆さず、声高らかに宣言すると。

 

ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ・・・・・・。

 

異様な笑い声が響き、俺の苛立ちはさらに増した。

そして、暗闇の中から上半身裸の女が現れた。しかし、体は宙に浮いていた。

 

ずんっ。

 

重い足音を響かせ、現れたのは上半身は裸の女で下半身は化け物の異形の化け物。

体長四メートルはある体躯、両手に槍っぽいのを持ち、爪も鋭い。尾は蛇だが、よく見ると独立して動いている。

 

「主のもとを逃げ、己の欲求を満たすためだけに暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげるわ!」

 

「こざかしぃぃぃ!小娘ごときがぁぁ!その紅の髪のように、おまえの身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁぁ!」

 

雑魚が随分イキがるじゃねぇか・・・・。

 

「雑魚ほど洒落のきいたセリフを吐くものね。裕斗!」

 

「はい!」

 

返事と共に俺の隣にいた祐斗は駈け出した。

 

「イッセー。さっきの話の続きをするわ」

 

後ろでリアスが兵藤に説明をしだした。

 

「裕斗の役割は『騎士(ナイト)』、特性はスピード。『騎士』となったものは速度が増すの」

 

リアスが説明する中、祐斗はさらに速度を増して化け物を撹乱し始めた。化け物は槍を振るうがそんな攻撃じゃあ祐斗に掠りはしない。

 

「そして、裕斗の最大の武器は剣」

 

一度、祐斗は足を止めるといつの間にか手には西洋剣が握られていたが、別段驚くほどでもない。

そして、それを鞘から抜き放つと、銀光を放ちながら、長剣が抜き身となった。

 

スッ。

 

再び祐斗が加速し化け物の両腕を切り裂いた。

 

「ぎゃぁぁぁぁああああっ!!」

 

敵の悲鳴が木霊し、両腕から鮮血が飛び散る。

 

「これが裕斗の力。目では捉えきれない速力と、達人級の剣さばき。ふたつが合わさることで、あの子は最速のナイトとなれるの」

 

悲鳴を上げるバケモノの足元でいつの間にか小猫が立っていた。

 

「次は小猫。あの子は『戦車(ルーク)』。戦車の特性は―――――」

 

「小虫めぇぇぇぇぇっっ!!」

 

ズズンッ!

 

バケモノが巨大な足で小猫を踏み潰す。が、完全に踏み潰していない。

さて、俺もそろそろやるか。

俺はバケモノを無視し化け物の背後に回り込む。

そして、

 

ぐぐぐ・・・・。

 

小猫が少しずつバケモノの巨体を持ち上げる。

 

「『戦車』の特性はシンプル。バカげた力。屈強なまでの防御力。無駄よ。あんな悪魔の踏みつけたぐらいでは小猫は沈まない。潰せないわ」

 

グンッ!

 

小猫は完全にバケモノの体を見ち上げ退かした。

 

「・・・ぶっ飛べ」

 

ズドンッ!

 

バケモノのどてっぱらに拳を打ちこみ、化け物の体は空高く飛んだ。

 

「そして静雄は、言うまでもないわよね?」

 

「おーおー、ドンピシャじゃねぇか」

 

舞い上がる化け物を捉えると、俺は高くジャンプし片足を振り上げ、

 

「うぉらぁぁぁあああっ!!」

 

「ぐぶぉあっ!?」

 

ドゴンッ!

 

飛んできた化け物にかかと落としを決め、地面に叩きつける。バケモノは地面にめり込むクレーターができていた。

 

「元々、並みはずれた身体能力に『戦車(ルーク)』の能力(ちから)が合わさった静雄は国士無双、私の眷属が誇る最強の『戦車』よ」

 

やけに褒めるじゃねぇか・・・。

自慢げに胸を張るリアスの隣で兵藤はただ驚愕に顔をゆがませていた。

 

「最後に朱乃ね」

 

「はい、部長。あらあら、どうしようかしら」

 

おい、朱乃。言ってるわりには楽しそうじゃねぇか。

 

「朱乃は『女王(クイーン)』。私の次に強い最強の者。『兵士(ポーン)』、『((騎手|ナイト)』、『僧侶(ビショップ)』、『戦車(ルーク)』、すべての力を兼ね備えた無敵の副部長よ」

 

「ぐぅぅぅぅ・・・・」

 

朱乃を睨みつけるバケモノ、朱乃はそれを見て笑みを浮かべた。

 

 

「あらあら。まだ元気みたいですね?それなら、これはどうでしょうか?」

 

そういって朱乃が天に向かって手をかざす。すると――――

 

カッ!

 

雷光一閃。天から降り注いだ雷がバケモノに落ちた。

 

「ガガガガッガガガガッガガガッッ!」

 

それを受けて、バケモノは激しく感電し。黒焦げになった。

 

「あらあら。まだ元気そうね?まだまたいけそうですわね」

 

カッ!

 

再び雷が化け物を襲う。

 

「ギャァァァァァッッ!」

 

それを受け、また声をあげるバケモノ。しかし、朱乃の事だから、

 

「グァァァァアアアアアッ!」

 

三発目の雷が降り注いだ。

あ~あ。こりゃあ完全にスイッチが入っちまったなぁ。しばらく続くな、コレ。

 

「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。雷や氷、炎などの自然現象を魔力で起こす力ね。そして何よりも彼女は究極のSよ」

 

一旦入るとずっと続けるからなコイツ。

 

「普段、あんなにやさしいけれど、一旦戦闘となれば相手が敗北を認めても自分の興奮が収まるまで決して手を止めないわ」

 

優しいか?

 

「・・・うぅ、朱乃さん。俺、怖いっス」

 

まぁ、慣れている俺でもときどき怖くなるしな・・・。

 

「怯える必要はないわ、イッセー。朱乃は味方にはとてもやさしい人だから、問題ないわ。あなたのこともとてもかわいいと言っていたわ。今度甘えておあげなさい。きっとやさしく抱きしめてくれるわよ」

 

「うふふふふふふ。どこまで私の雷に耐えられるかしらね?ねぇ、バケモノさん。まだ死んではダメよ?トドメは私の主なのですから。オホホホホホッ!」

 

・・・・。おい、朱乃。幾ら討伐の依頼が久々だからって少しやり過ぎな様な・・・いや、何でもねぇ。だからそんな熱の籠った目でこっち見んな!

 

数分間、朱乃のSMショーが続いたのは言うまでもないだろう。

 

 

 

朱乃が一息ついたのを確認するとリアスはそれを確認して頷いた。

完全に戦意の失った化け物にリアスは歩きだし、地面に突っ伏す化け物に右手をかざした。

 

「最後に言い残すことはあるかしら?」

 

リアスが訊くと、

 

「殺せ」

 

バケモノの小さく声を発する。

 

「そう、なら消し飛びなさい」

 

冷徹な一声。その低く冷たい声で兵藤が震えあがった。

 

ドンッ!

 

リアスの掌から大きくどす黒い魔力の塊がバケモノを飲み込みバケモノは一瞬で消滅した。

 

「終わりね。みんな、ご苦労さま」

 

「やっと終わったか」

 

「残念。もう少し楽しみたかったのですけれど・・・」

 

「・・・だからって俺によりかかるな。っつーか、テメェはもう少し自重しろ」

 

「あら、これでも我慢していますのよ?それとも、シー君が慰めてくれるのかしら?」

 

そう言って朱乃は艶っぽい声と潤んだ目でこちらを見上げてきた。

 

「バッ!ふざけんな!そういう誘惑は兵藤にでもやれ!」

 

「もうっ何もそこまで嫌がる事無いじゃない」

 

そういって朱乃は拗ねたように口を尖らせた。

 

「お前がシャレになンねぇ事するからだろうがぁ・・・」

 

「はい、そこ!夫婦漫才はそれまでにしなさい!」

 

リアスがビシッと効果音が付きそうなくらい俺と朱乃の方を指さしながら注意してきた。

 

「だから夫婦じゃねぇっつってんだろうが!!」

 

「あ、あの~部長、聞きそびれたんですけど」

 

「何かしら?」

 

「テメっ!コラ、リアス!無視すんなぁ!!」

 

「ま、まあまあ!静雄君、抑えて抑えて」

 

「どうどう、です」

 

食って掛ろうとした俺に祐斗と小猫が抑えてきた。

 

「離せ、祐斗、小猫!あのアマだけはぶん殴んねぇと気がすまねぇ!」

 

「それだと部長が死んじゃうから!」

 

「落ち着いてください」

 

「ハァ。もう、シー君?」

 

「フーッフーッ・・・ああ?何だよ朱乃?」

 

朱乃に呼ばれたのでそちらを振り向くと、

 

「そんなに否定されちゃうと、私・・・・怒っちゃいますわよ?」

 

掌からバチバチと紫電を走らせ怖い笑みを浮かべた朱乃がいた。

 

「あ、あ~・・・いや、その・・・悪かった・・・」

 

それを見た瞬間、俺は怒気を納めた。これ以上騒ぐと俺がさっきのはぐれと同じ末路になる。

 

 

 

 

「『兵士(ポーン)』よイッセーは『兵士』なの」

 

そんな俺達を余所にリアスは兵藤に笑顔でそう言った。

 

 


 
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