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魔法少女リリカルなのはmemories 〜幼馴染と聖王の末裔〜 第一章 消された記憶(メモリー) 第一話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-07-06 23:23:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5333   閲覧ユーザー数:5141

「今日はここまで。みんな、お疲れ様」

『ありがとうございました!』

 

 J・S事件から八年後、高町なのはは機動六課は解散した後、尚も戦技教導官として教えていた。

 あれからというもの、J・S事件以降にフッケバイン事件などとさまざまな事件が起こったが、J・S事件から養子として迎え入れた高町ヴィヴィオを親友でヴィヴィオの後見人であるフェイト・T・ハラオウンと一緒に育ている。もちろん育児と仕事を両立している。

 そして、今日の教導を終わらせてなのはが教えていた生徒達全員から教えてもらったことにお礼を言うのだった。

 なのははそれを聞いてから生徒達を解散させ、自分もさっさと変える準備をして、そろそろ家に帰ってくるだろうヴィヴィオに早く会うために急いで家に帰る事にしようとするのだが、帰ろうとした矢先に誰かが自分を待っている事に気づくのだった。

 その人物の髪は金髪で、なのはがほとんど会っている人物であった。

 

「やっと終わったようだね」

「ふぇ、フェイトちゃん!? な、なんでここに居るの!?」

 

 そう、何故かフェイトがなのはが終わるのを待っていたのだ。

 いつも通り一人で家に帰ろうとしていたなのはであったが、まさかフェイトがこの場所に来ていて模擬戦が終わるまでずっと待っていたことに驚いていた。いつもならそんなことはしてこないのに、一体何か用でもあったのだろうと思うぐらいだった。

 だが、なのはが思っているほど理由は簡単だった。

 

「ちょっと近くまで来たから一緒に帰ろうと思っただけだよ。なんか私が来たら困る事でもあった?」

「そ、そんな事はないよ!! 唯フェイトちゃんがここに居るのにちょっと驚いただけで……」

 

 なのはの驚きぶりにフェイトは自分がここに居てはまずかったのではないかと思い込んで落ち込んでしまい、なのはは慌てながらもすぐに否定する。

 だがなのはの慌てぶりを見ていたフェイトはなのはの慌てぶりが面白くて笑い出していたのであった。

 

「え、え、どういう事なの?」

 

 いきなり笑い出したフェイトを見ていて、なのははどういうことなのかと訳が分からなくなっていた。どうしてそんなにも可笑しそうな顔で笑っているのかなのはには分からないでいた。

 そんな訳が分かっていなくなっているなのはを見て、フェイトは正直に答える。

 

「だ、だって、私がわざと落ち込んだように見せかけたらなのはの慌てるから、それを見ていて面白かったんだもん」

 

 フェイトは笑いながらもなのはにそう答えた。それを聞いたなのはは落ち込んだ所から全て芝居だとようやく分かり、フェイトに少し怒るのだった。

 

「フェイトちゃん、あまりからかわないで欲しいの。本気で落ち込んでいると思っちゃったじゃないの」

「ごめんごめん、なのはの反応が見たかっただけだから。今思い出しても笑えるかも」

「そ、そんな事より速く帰ろうなの!! 早くしないとヴィヴィオも帰ってきちゃうから!!」

 

 なのははすこし恥ずかしくなって顔を赤くしながらも、この空気から逃げたくてしょうがなかった。

 フェイトもそんななのはを見てさらに笑っていたが、なのはの言うとおりヴィヴィオがそろそろ家に帰ってきてしまうので、自分の車になのはを乗せて急いで家に帰る事にするのだった。

 

 

----

 

 

 それから約三十分後、なのはを乗せたフェイトの車は二人とヴィヴィオの家である一戸建ての建物に着く。余談だが車の中でもフェイトにからかわれていてなのはが顔を赤くしていたのは言うまでもないだろう。

 車を止めてからすぐに車を降り、二人はすぐに玄関のドアを開けて家に入っていく。

 

「「ただいま」」

 

 玄関を開けて帰ってきたことを伝えると、リビングのある部屋から出てきた金髪で右目が翡翠、左目が紅玉のオッドアイをしていて、十四歳くらいの一人の少女がこちらに向かって駆け走ってきた。

 玄関の方へ駆け走ってきたのはヴィヴィオであり、ヴィヴィオは二人が家に帰ってきた声を聞いて、すぐに玄関の方へ駆けつけたのだ。

 そして玄関に着くとヴィヴィオはなのはに抱きついた。ちなみにこの時のヴィヴィオの年齢は14歳であるのだが、少し背が伸びたくらいであった。

 

「なのはママ、フェイトママおかえりなさい」

 

 ヴィヴィオはなのはに抱き着いてから笑顔で二人にそう言うのだった。

 隣でフェイトがヴィヴィオが先になのはに抱きついたのになのはが羨ましくて少し膨れていたが、ヴィヴィオはしっかりとフェイトにも抱きついたのでいつもどおりの顔に戻っていた。

 それから三人は家の中へと入って行き、リビングへと向かった。

 フェイトとヴィヴィオはすぐにソファに座ったが、なのはは座らずに未だに立っていて荷物だけフェイトとヴィヴィオが座っているソファの近くに置いてフェイトに話す。

 

「私はお風呂に入ってくるからその後夕食にしよ」

「じゃあ私も一緒に……」

 

 なのはが風呂に入ると言ったのでフェイトもすぐに立ち上がって一緒に入ろうと言おうとしたが、なのはがフェイトの言葉を遮ってきて断る。

 

「だ~め。フェイトちゃんはヴィヴィオの面倒を見ていてくれるかな? また少し、一人になりたいから」

「またなの? 最近一人になりたがるけどどうかしたの?」

 

 フェイトは心配をするかのうようになのはに聞く。

 そう、またなのである。なのはは最近何かを考え事をしており、それが何かというのはフェイトとヴィヴィオには言ってなかった。

 別に仕事に支障は起こすようば事は聞いていないので、それほど心配する事ではないのかもしれないとフェイトは最初思っていたのだが、ここ数日のなのはがいつも元気がないような状態だったのでさすがに何かあったのだろうと気づいていた。

 

「ごめん、何でもないから」

 

 しかしなのははそれでも何でもないと言い切るのだった。

 なのははそれでもフェイトはそんななのはを見ているとどうしても気になってしまい、どうして教えてくれないのかと思っているのだ。

 またヴィヴィオもなのはが最近何かを考え事をしているのに気づき始めており、せめて自分達にだけでも打ち明けてくれれば良いのにとフェイトは思っていたのである。話くらいは聞いてあげられるし、もしかしたら助けられるかもしれないと思っていたからので、せめて話してほしいと思っていた。

 だがフェイトがそんな事を思っていると、なのはの姿がいつの間にかリビングには居なくなっており、なのははお風呂場に向かっていたのだった。

 何時の間に行ったのかと思ったが、取りあえず風呂から上がってくるを待とうとフェイトは思い、ヴィヴィオと少し話すことにするのだった。

 なのはが風呂に向かってから数十分経ってなのはが戻ってくると、さっきまでの顔とは打って変わって今までどおりのなのはに戻っていた。しかし、フェイトはそうとは思わず、今までどおりの元気ななのはには見えていなかったのだ。

 今のなのは傍から見れば何も抱え込んでいるように見えないが、フェイトとなのはは長年の付き合いであるため、なのはがいつも通りに戻っているように見えていても元気ではないと分かってしまうのだ。

 それになのはは未だに自分の事になると、自分の中に抱えんでしまう事がある。それが友達とかに心配させる事になろうとも。

 そう思ったフェイトはどうやってこの話を切り出そうか考え始めた。けど言おうと思ってもなかなか言えずに夕食を食べ終わってしまい、結局寝室に入って寝る前まで言えなかった。

 そして三人で寝ようとしてヴィヴィオが寝てしまったのを確認してから、フェイトは意を決して言う事にした。

 

「ねぇなのは、何か考え事をしているでしょ?」

「え、何も考え事なんかしてないよ」

 

 なのはの言葉は違和感などを感じない言い方で返していたが、フェイトにはそれが嘘なのはとっくに分かっていた。

 

「嘘付かないで言ってよ。なのはが何か考え事をしているのは分かっているのだから」

「だ、だからなにも考え事なんてしてないよ」

 

 フェイトはその後も幾度もそんな事を言ったが、なのはは挫けずに同じような事を返した。だがなのはも一度言葉を詰まらせるが普通に返していた。

 だけどここまで行っても挫けないなのはを見てか、フェイトはこれ以上聞かずに諦めて最後にこう言っておくのだった。

 

「じゃあ、今言わなくても良いから今度いつか話してね。もしかしたら私達にも助けになるかもしれないから」

 

 フェイトがそう言うとなのはは黙ってしまう。それからフェイトはそのまま寝てしまったが、なのははフェイトが寝てしまったのを確認してから、なのは本人にしか聞こえないくらいの小さな声で呟くのだった。

 

「ごめんねフェイトちゃん。でも、私でも訳が分からないの。言えるようになったらちゃんと言うから」

 

 それからなのはもフェイトと同様に寝る事にするのだった。


 
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