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真恋姫無双 ~蜂蜜姫の未来~ 第12話

オルカさん

あの人たちがやって来ました。

それではどうぞ。

2012-04-29 21:52:34 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3355   閲覧ユーザー数:3031

この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。

 

そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。

※一刀アンチ作品ではありません。

第12話

 

前回の出来事から結果だけをお伝えするならば、袁家は綺麗になった。

 

簡単に説明させていただくと、陳紀の斬首が行われた後すぐに広間の外に待機させていた兵達を導入し文官たちの拘束を行った。翌日、罪状の重い順に裁き末端の者たちは減俸と監視体制付きでの職場復帰。中枢の者たちは親族揃って国外追放、家財の没収、官位剥奪。陳紀の側近である義了と藩遂については斬首ということになった。

 残った文官たちを総動員し、その後処理をするのが最近の主な活動となっている。

 

まぁ、難しい話はここまで。

あれから、二週間ほど経ったある日の午後。

 

庭には二羽鶏がいる……。

 

失礼。ちょっとした出来心ってやつです。

 

では改めまして。庭には金属を打ちつけ合うような音が響いていた。

 

「のう、七乃。兄上はあんなに強かったのか?」

「そうですねぇ。私も実際に見るのは初めてですけど、まさかこれほどとは……」

四阿でお茶を飲みながらゆったりとした時を過ごしているのは、この城の主である袁術こと美羽と彼女の側近である張勲こと七乃である。今日は大地の実力を見るため、仕事は午前中に終わらせ午後はゆっくり過ごそうと七乃が決めたのである。

 

「それにしてもよくあんな馬鹿デカイ剣振り回せますね。猪々子ちゃんの得物ほどじゃないですけど」

「のう、七乃。誰じゃ、そ奴は?」

そんな主の言葉に面識はあるはずなんだけどなぁ、などと思いながらも七乃は説明することにした。

 

「麗羽様のところにいる脳筋さんですよ~♪」

「ひっ……れ、麗羽じゃと!?ど、どこじゃっ!?どこにおるんじゃっ!?」

“麗羽”という単語を聞いた瞬間、美羽は小刻みに震え始めてしまった。麗羽というのは美羽の従姉に当たる袁本初の真名である。美羽は従姉である麗羽を苦手としていた。

 

それはなぜか?

 

彼女は決まって美羽に都合が悪い時に現れ、愛玩動物よろしく撫でまわしたり、セクハラ?紛いの事をしてくるためである。まぁ、袁紹本人に悪気はない……はずだ。

 

「そういえばお嬢さま、麗羽様が近々遊びにくるみたいですよ~」

「な、なんじゃとっ!?妾はそんな話聞いてはおらぬぞ!?」

「あれぇ~、言ってませんでしたっけ?じゃあ、今言ったのでもう大丈夫ですね♪」

先ほどの話で思い出したのだろうことを、満面の笑みで開き直る七乃。ここまで清々しいと怒る気力も失われそうなものだが、それはそれ。美羽にとっては七乃の開き直りなど些細なことでしかない。目下、襲撃が予定される麗羽への対策に没頭していた。

 

と、そこへ手合わせを終えた二人が四阿へとやってくる。

大地視点

 

「七乃、美羽は一体どうしたんだ?」

大地は頭を抱えてウンウン唸っている美羽を確認すると、事の顛末を知っているであろう七乃に尋ねる。

 

「えっとですねー、近々お嬢さまの従姉である袁紹様がお越しになるんです。でもお嬢さまは袁紹様が苦手なので、どうすればいいかこうして馬鹿みたいに考え込んでるんですよ、無駄な事ですけど。あぁ、でもそんなお嬢さまも素敵ですよね」

うっとりした表情で主君を馬鹿扱いする七乃。ウインクした目からはキランという音を立てて星が飛んだ気がしないでもない。最近はまともになってきたかも、などと淡い期待をしていた矢先にこれだ。どうやら一生治らないのかもしれないと八恵は心底落ち込むが、それとは対照的に大地は苦笑するだけだった。

 

近々と言ってはいるが七乃がこの件を聞いたのは“掃除”が行われる数日前の事である。あの時期は忙しかった事もあり、頭の片隅に追いやられていたのだろうが、どちらにしても七乃のことだ。美羽の慌てる姿を見て楽しむつもりだったのだろうという結論で大地は納得することにした。

 

「美羽の従姉ってことはもしかして馬鹿なんじゃ……?」

大地はふと出会ったころの美羽をそのまま大きくした姿を想像する。

 

「大地殿、お嬢様と袁紹様を一緒にしないでいただきたい!お嬢さまはあれより酷くはありません!」

八恵は大地の言葉に心外だとばかりに声を張る。

 

というか、八恵さんや。仮にも袁家の当主を、あれ呼ばわりはいかがなものかと。

 

「で、いつ来るって?」

「さぁ?」

大地の問いに七乃は興味無さげに返し、美羽の観察に没頭する。そんな七乃の顔は、とても人様に見せられるようなものではなかった。

 

と、そこへ城の方から一人の兵が小走りに近づいてくるのが見えた。

 

「紀霊将軍、大変です!袁紹様がお見えになられました!」

呼吸を整えながら報告をする兵に、八恵は信じられないというように目をぱちくりさせていた。小声で、「まさか」とか「いや、しかし」などとぶつぶつ呟いている。

 

それを見かねた大地が八恵に代わり兵に尋ねる。

「それで、袁紹殿は今どちらに?」

「はっ!外でお待たせするわけにもいかなかったので、応接間にてお茶と菓子を出し対応しております。ですが袁術様に早く会いたいと申しておりましたので、こうして呼びに来た次第です」

聞けば、少数の護衛だけを連れてお忍びでの来訪だという。めんどくせぇな、と内心愚痴りながらも、これ以上待たせてもなにか言われそうな気がした大地はとっとと行動に移すことにした。

 

「美羽、行くぞ」

「あ、あにうえ?」

「これ以上長引かせてもいい事なんかねぇし、久々の対面なんだろ?たまにはいいじゃんか」

「うぅ…、じゃがぁ……」

「なんか言われたら俺がなんとかしてやるから、な。それとそこの二人も、とっとと行くぞ」

大地は三人を連れて玉間へと急ぐ。美羽の足取りが重いのが少し気にはなったが、この時はそこまで気にしていなかった。

 

 

「おっーほっほっほっ!おっーほっほっほっ!」

美しい金髪を幾重にも巻き、やけに頭に響く高笑いを携えて入ってきたのは、美羽の従姉で現袁家の当主である袁本初。容姿だけを見ればどこかの貴族のご令嬢といわれても納得してしまうほどのものを持っているのだが、持ち主の頭の思考回路が残念なのかただの馬鹿にしか見えない、と大地は内心毒づく。

 

「美羽さん!お久しぶりですわね」

「れ、麗羽姉さま、ご無沙汰しておりますわ」

玉間で交わされる何気ない挨拶だが、美羽の方は若干ぎこちない。まぁ、袁紹はそんな事など関係無いとばかりにマシンガントークを炸裂させていたのだが。ふと目に入ったのか袁紹は俺の方を見つつ、美羽に問いかけた。

 

「美羽さん。こちらの男性は?」

「え…、あぁ、兄上ですか。最近採用した武官なのじゃ」

美羽が大地を袁紹に紹介すると袁紹の後ろに控えていた二人の女性のうちの一人が目を輝かせた。

 

「おっ!あんた、武官ってことは強いのか?なぁ、私と勝負しようぜ!」

「ちょっ!?文ちゃん、何考えてるの!?今はそういう状況じゃないでしょ!」

「堅い事言うなよぉ、斗詩ぃ。ちょっとだけ、ちょっとだけだからさ。な、あんたもいいよな?」

いきなり大地に声をかけてきたのは、翡翠色の鮮やかな髪のボーイッシュな女性。そんな彼女を宥めようとしているのは、前髪をおかっぱに切りそろえている気の弱そうな印象を受ける女性だ。

 

とりあえず自己紹介しろよ、と思わなくもなかったが、大地は大人の対応を試みる。

「挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。はじめまして、袁紹殿。僕は二月ほど前、美羽様のもとに仕官した呂範といいます。以後お見知りおきを」

すると袁紹はさして興味など無いのか「袁本初ですわ」とだけ告げると、再び美羽の方へと向き直ってしまった。一瞬、袁紹の視線に剣呑としたものを感じたが、指摘するのも躊躇われた。

 

「すみません。麗羽様は男性に対してはいつもあんな感じなんです。気を悪くしないでくださいね」

「そーそー。姫ってば男に対しては風当たり強いんだよな」

声のした方を見ると先ほど袁紹の後方にいたはずのおかっぱの女性とボーイッシュな女性が近づいてきていた。

 

「そうなんですか。嫌われているわけではないのですね」

袁紹の態度に内心イラッとしたが、そういう事ならと気にしないよう努める。

 

「私は顔良といいます。よろしくお願いしますね」

「アタイは文醜だ。後で庭に来いよ、ボッコボコにしてやるからさ」

「おや、それは楽しみですね。参考までにお聞きしたいのですが文醜殿は紀霊殿よりも強いのでしょうか?」

「ん、姐さんか?まぁ、五分ってとこかなぁ」

「文ちゃん!文ちゃんと八恵さんが五分なわけないでしょう!どう考えたって八恵さんの方が上だよ」

どうやら顔良は文醜の抑えのような役割らしいな。御しきれてはいないようだが。

 

とりあえずこの二人については後回しだな。美羽たちの方も一息ついたようだし、儀礼的な挨拶(あの二人がそんなことを意識して話していたかは置いておく)はこれで終了か。

 

文醜の相手は八恵辺りに任せるとして、顔良には色々と聞きたい事がある。

 

「顔良殿、少しお聞きしたい事があるのですが、この後お時間よろしいでしょうか?」

「あ、はい。構いませんよ」

「おい、呂範。斗詩に手出したら承知しねぇぞ」

あれ?なんか変なスイッチ押したらしいな。文醜の声質が一気に硬くなった。ここは誤解を解いておくべきかな。

 

「私がそのような下衆に見えますか?」

こういう場合、下手な言い訳を並べるよりもたった一言の否定の言葉をぶつける方が効果的だ。相手にストレートに意思が伝わる。

 

俺の言葉に納得したのか、文醜はすぐに表情を和らげて俺の方をバシバシと叩き、一言「悪かった」と告げた。文醜との手合わせは明日という事で納得してもらい、俺は急遽行われることになった宴の準備に奔走することになった。

 

視点アウト

 

その夜、袁紹たちの為の宴が開かれるのだが、そこで袁紹以外のメンバーに絡まれることを大地はまだ知らない。

 

ちなみに大地考案のある計画が実行段階に入っていたのだが、今回の袁紹たちの来訪により延期になってしまったらしい。

 

やってきました袁家御一行。

 

大地との絡みは次回になる予定です。

それと、麗羽が大地に対して素気なかった理由は単に男嫌いというだけではありません。

 

そしてある計画?が動いています。まぁ、そこまで大それたものではないのですが(作者視点では)。

 

そろそろ拠点を入れようかなぁと考えてます。まずは自陣営の三人ですね。

 

でわでわしつれいします。

 


 
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