No.394202

魔法少女リリカルなのは -朱星の少女- 第一話

水凪さん

この話で出てくるのはシュテルさんではなくマテリアルSさんです。
つまり、GODからではなくBOAから引っ張ってきてるので、そのあたりは前もって頭の片隅にでも置いておいてください。

それと、なのはの台詞がひらがなだけで読みにくいものとなっているかもしれません。
ですがそれはなのはの年齢を考えた結果ですので、しばしの我慢を。

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2012-03-19 00:38:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1261   閲覧ユーザー数:1213

「……んぅ」

 

閉じているまぶたからわずかに入ってくる朝日のまぶしさに目を覚まし、ムクリと起き上がる。

そして、右を見て。左を見て、最後に自分を見下ろして、現状を把握。

 

「あぁ、そういえばそうでしたね」

 

今の私は、何故かタカマチ・コノハという、ナノハの双子の姉と言う存在になっていたのでした。

そして、何をするにしても活動の拠点は必要であり、私を家族として扱うなら、それを利用し、この家を拠点としようと決めたのでしたっけ。

 

自分が置かれている現状を再確認した私は、ベッドから降り、部屋に設置してある姿見に自分の全身像を映す。

 

「しかし、これはまたずいぶんと幼くなってしまったものですね」

 

姿見に映る姿は、せいぜい……3~4歳くらいでしょうか、まぁなんとも頼りない姿だ。

外見は、以前の私をそのまま小さくしただけと言うところでしょう。

まぁ、3~4歳にしては目つきが少々鋭いとは自分でも思いますがね。

 

しばらく自分の現在の姿をじっと見つめた後、ベッドに腰掛ける。

 

「外見についてはこれぐらいでいいでしょう。次は、何故このようなことになっているか、ということですね」

 

そう、そこが一番不可解だ。

 

私が昨日目を覚ます前は、私はナノハと互いに魔道をぶつけ合い、そして私はそれに負けてしまったのだ。

あの膨大な魔力を有した収束砲撃に飲み込まれた私は、そのまま自身の構成を保てずに消滅したはずなのだ。

 

だが、こうして私は存在している。

そして、私の記憶から、姿は多少違えど、自分はあの時ナノハと戦ったマテリアルSであるということはまず間違いない。

 

「そして、驚いたことに、今私がいる時代は、私がナノハと戦った時代より過去と言うことです」

 

それはナノハが異様に幼い姿をしていたのであらかた予想がついたし、カレンダーで年号を確認ので間違いない。

 

私が再びこうして活動できるようになっただけであったなら、闇の書の再生機能あたりが原因であろうと予想がつく。

体が小さいのも、自身を構成する情報が欠損しているからで話がつく。

 

しかし、過去にさかのぼってしまったとなってしまえば、一気に分からない。

闇の書に転生機能はあれど、時間をさかのぼる機能はないのだ。

 

こうなってしまっては、闇の書のせいとは言えないですね。

 

「……今のままではあまりにも判断材料が少なすぎる」

 

もっと情報がほしいところですが……どのように集めればいいのでしょうか?

こればかりは図書館という場所でも調べられないですし……ナノハから受け継いだ記憶にある、管理局の無限書庫は……管理局と接触できないので無理。

それ以前に、私自身があまり管理局と接触したくないですし。

 

「でしたら、ハヤテと接触?」

 

ならば、闇の書の主、今では夜天の書の主でしたっけ? である彼女ならどうだろうか。

何とか彼女と接触できれば、闇の書を用いて何かが分かるかも知れない。

その方針で考えたが、よくよく考えればナノハは彼女がいつ闇の書を手に入れたかを知らないようだ。

つまり、今彼女に接触できたところで、そもそも闇の書がないと言う可能性も……

 

「……ふぅ、ままなりませんね、いろいろと」

「どうしたの? おねえちゃん」

「っ!?」

 

ふと横から聞こえてきた声にそちらを向くと、そこには私と同じようにベッドに腰掛けているナノハの姿があった。

 

「ナノハ、いつからそこにいるのですか?」

「えっとね~、『いまのままではあまりにもはんだいざいりょうがすくなすぎる』っておねえちゃんがいってたくらいからいたよ? なんどもよんでも、なのはにきづいてくれなかった!」

「考え事に集中しすぎていたみたいですね」

 

頬を膨らまし、何故か不機嫌だということをアピールしてくる妹(らしい存在)。

そんな彼女に、私はどう接すればいいかをつかめないでいた。

 

そもそも、妹と言われても困る。 どうしろと言うのですか?

私が接したことがあるのは、味方では雷刃に王、敵では執務官にナノハだ。

その中に妹、ないしそれにあたる立場にいた存在がいただろうか?

 

……雷刃がややそれにあたりそうな存在だったということに思い至り、頭を抱える。

 

「むぅー!! またなのはをむしするーー!!」

「それはそれは、申し訳ありません」

 

本心からの言葉ではなく、形だけの物だったが、それでも謝罪に満足したのか、ナノハは笑みを浮かべながら、足をぶらぶらさせ始めた。

 

「おとうさん、げんきになるかなぁ」

「……さぁ?どうでしょうか」

 

昨日モモコ達が話していた内容を聞くに、父親であるシロウは現在入院中らしい。 それもかなりの重症患者だそうだ。

シロウが入院したばかりの頃、コノハとナノハも一度だけ見に行ったらしいが……生憎、コノハではない私にはその記憶はない。

 

とにかく、その時見た父親の姿が未だに頭を離れないのか、ナノハはちょくちょく私に不安を吐露してくる。

 

しかし、私はそれに答えない。

なぜなら、答えるつもりなどなく、そもそも答えれないからだ。

 

結局、その後はナノハに返事すらしなかった。

自分にとって優先順位が上なのは、自身が現在抱えている問題の解決だったからだ。

 

 

 

 

ふと目を覚ませば、窓の外は漆黒の闇に包まれていた。

 

「これはまた、ずいぶんおかしな時間に眼が覚めてしまったものですね」

 

あれから、結局いくら考えたところでいい考えが浮かんではこず、今日も何をするでもなくすごし、眠ったのだ。

しかし、先ほど口にも出したが、ずいぶんおかしな時間に眼が覚めてしまった。

 

(まぁ起きてしまった事はしかたありませんし、せっかくなので喉の渇きを癒すことにしましょうか)

 

部屋を出る際、同じ部屋においてある別のベッドに眠っているはずのナノハがいないことに気がついたが、トイレか何かに起きたのだろう。

私が気にすることではない。

 

「……?」

 

階段をおり、リビングとつながっている台所に水を飲みに行こうとした際、リビングから誰かの話し声が聞こえた。

誰かがリビングにいるのだろうか? だとしても、私がやることは変わらない。

台所へ行き、水を飲むだけです。

 

とはいえ、現在の時刻は夜中。

大きな音を立てて扉を開ける様な事はしない。

 

キィ……と静かに扉を開けると、そこにいたのはモモコとナノハ。

しかし、モモコはナノハを抱きしめ泣いており、何かがあったであろうとは予測できる。

けど、これも私が気にすることではない。

 

どうやら二人は、私の存在に気がついていないようだし、このまま脇を通って台所へ行きましょう。

 

脇を通る際、ナノハの顔が視界の隅に見えた。

 

「……!?」

 

この時見たナノハの表情を、私は以前見たことがあった。

いや、そっくりそのままの表情を見たわけではないので、依然見たことがあった表情の片鱗が見えたといったところでしょうか。

 

とにかく、私はその視線に釘付けになった。

 

決して涙は流すまいと涙をこらえ、まっすぐにモモコを見つめるその表情に、私は、私が知っているあのタカマチ・ナノハの表情を垣間見た。

 

「……あ、おねえちゃん」

「っ、このは?」

 

どれくらい、ナノハの表情を見ていたのだろうか?

気がつけば、私の存在は二人にしっかりと認識されていた。

 

「どうしたの?こんな夜中に」

「いえ、喉が渇いて起きてしまったので、水を飲もうかと」

「そう……」

 

モモコの質問にそう答えながらも、私はナノハから視線をはずすことはしなかった。

 

 

 

 

あの後水を飲んだ私は、ナノハを連れ立って部屋に戻っていた。

そもそも、同じ部屋で寝ているのだから、一緒に部屋に戻るのは当たり前なのですけど。

 

「…………」

「…………」

 

部屋に戻る間、私達に言葉は無かった。

 

そして、部屋にたどり着き、そこで私はようやく言葉を発した。

 

「ナノハ、あなたは何故泣いていないのですか?」

「ふぇ?」

 

いきなりの私の質問に、ナノハも驚いたようだ。

だが、そんなことはどうでもいいのです。

 

「もう一度聞きます。何故泣かないのですか? 昨日、あれほど泣いていたあなたが」

「……ないたら、きっとおかあさんたち、もっとかなしいとおもうから」

 

「わたしは、おにいちゃんやおねえちゃんみたいに、おかあさんをてつだえないから」

「だから、わたしはおかあさんたちをかなしくさせないようにって。だからなかないよ」

 

「……そうですか」

 

私の知る、あのタカマチ・ナノハと言う人物の始まりは、どうやらこの頃だったようですね。

 

「おねえちゃん」

「なんでしょう?」

「なかないわたし、えらい?」

 

そういって、えっへんと胸を張るナノハ。

 

「……そう、ですね」

 

ぽん、とナノハの頭に手をのせる。

 

「偉い、のでしょうね。おそらくは」

「……えへへ」

「ですが、泣けるときに泣いたほうがいいのでは?」

「へ?」

 

ナノハの頓狂な声を聞き流し、私はベッドにもぐりこむ。

 

「自分の為に涙を流せない存在は、果たして人間と呼べるのか、そういうことですよ」

 

誰かのために、自分を押し殺す。

果たして、それは人間として正しき姿だろうか?

 

(いえ、人間でない私がそれを考えたところで詮無きことでしたね)

 

まったく、理のマテリアルである私らしくない。

ここで彼女に助言を与えたところで、私が得るものなど無いと言うのに。

 

けど、そんな合理的ではない行動を取ったというのに、私はこの行動をそれほど無駄だったとは思っていなかった。


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