No.361492

エネルギー保存の法則

健忘真実さん

原発とエネルギーの話です。

2012-01-10 17:49:22 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:757   閲覧ユーザー数:751

 

【まえがき】

原子力発電は、CO₂を排出しないクリーンなエネルギーであると喧伝されていました。

確かに、発電所においてはそうかもしれません。

しかし、ウラン鉱石から放射性ウランを濃縮するまでに、また輸送などで多くのエネル

ギーを使い、CO₂を放出しています。

ウラン採掘現場では、生きるために働いている作業員が自らの健康を犠牲にしています。

報道に大小の差はありますが、核の時代に入ってから世界には核事故・核実験・原発事

故等で、数多の被害者が存在し、すでに地球は放射能にまみれています。

国の利益の為、国民の生活向上の為というごまかしに追従し無関心できた私たち。

使用済み核燃料の処分方法が未解決のまま経済優先で稼働させたために、放射性物質は

たまるばかり・・・あるいは秘密裏に環境に捨てられてきました。

余った夜間の電力は、たいして必要とされない揚水電力源として捨てられています。

電力会社の保有資産が増えれば(原発を造れば)、会社の利益が上がるという価格システム。

しかし、まだ見落とされている問題点があります。

原発は川や海などの、大量の水を必要としています。

原子炉冷却の為に。

 

近年の集中豪雨や大型台風は「近海の水温が上昇しているため」とお天気キャスターは

伝えます。

 

誰も、このふたつを結びつけた発言をしないのはなぜでしょう。

私の妄想かもしれませんが。

 

 もっと早くに気付くべきであった。兆候はあったのだ。

 南方に棲息している巨大クラゲが山陰沖から新潟にかけて出現した時に。『越前クラゲ』

と名付けられたために、問題の本質が見えなくなってしまったのだ。いや、それ以前に

も熱帯でしか見られなかった魚介類がすでに多く見られていたはずだ。

 すべては、『温暖化』という言葉でその重大な問題が隠されてきた。

 

 地球物理学を専門として研究してきたお茶の水博士は、助手のアトムの協力のもと、

数台のコンピューターをつないでシミュレーションを描いた。

 それは海底に温度差をもたらし、三陸沖の地殻変動の原因の一つとなっていることを

示していた。

 またそれは集中豪雨と、大型台風の遅い速度と洪水を引き起こすほどの多い雨量にも

関係していたのである。

 

 お茶の水博士は世界中にいる知己の研究者と連絡を取り、河口湖畔の別荘に集結する

ことを促した。コンピューターの盗聴を恐れたからである。特に政府と関連企業による

盗聴を。

 

 

「昨今の集中豪雨や超大型台風の発生には、地球温暖化が影響していることはご存じの

とおりです。特に周りを海に囲まれた島国日本においてそれらの現象は顕著なのですが、

日本近海の水温が異常に高まっていることの影響が大きい」

 

 お茶の水博士は、信頼している人々を前にして話し始めた。

 部屋の大きく切り取られた窓からは、雪を頂いた秀峰富士山が望まれる。静かに、そ

して堂々と構えた姿。人間の愚かな行為を、ただ黙って睥睨している。

 

「そして、異常水温に関係しているのが、原発なのです」

 

「なるほど、十分考えられることだ。なぜ今まで気づかなかったのだろう。アメリカで

もハリケーンの脅威は増しているんだ」

 

「それは、科学者間の連携がなかったからです。意図的かどうかは分かりませんが、政

府や関係企業が、瑣末な情報とみて開示していないからでしょう。科学者も細分化され

た専門性によって個々の問題は捉えていても、関連付けをしてこなかった」

 

「それでどういうふうに考えられるのかね」

 

「原発一基につき、300万kWの熱を作り出しています。そのうち電気に変わるのが

100万kW。残りの熱は冷却水として取り入れている海水に捨てているわけです。海

水の温度は7度上昇します。その温まった海水を毎秒70t、海に流しているのです」

 

「そうか、7度の温度差は大きすぎる! その温められた海水から発する水蒸気が雲と

なって、あるいは台風に巻き込まれて雨を降らせているわけだ」

 

「海流も変化しています。『海水温め器』でもある原発の存在は、どのような処置のし

ようもなく増え続ける『死の灰』だけの問題ではないのです」

 

「う~む、原発・・・我々だけの力で何ができるのだろうか」

 

「自然エネルギーの開発にも力を入れ始めていますが、それらにも問題は多い。太陽光

発電。これも大きく普及すれば、気候変動は避けられません。サハラ砂漠に大々的に設

置されれば、太陽熱を受けて温まった空気の上昇がなくなり、気流が変化して、北欧に

雨や雪を降らせなくなるでしょう。干ばつが始まるのです。しかるに、太陽光発電パネ

ルを地球の衛星軌道に乗せてしまおうという、バカげた提案をしている輩までいるのです」

 

「そうなると・・その分地球が冷え込んで、どのような影響が生じるのか・・・」

 

「太陽光発電などは、地産地消には適しています。しかしその装置を生産し運搬し、メ

ンテナンスの為の動力を考えると、総エネルギーの高々10%程度の効率にしかなりま

せん。風力発電はさらに効率が悪い。しかも山に道路を作り風車を作り、環境や生物の

生息に与える影響は計りしれません」

 

「自分の研究ばかりに目を向けていたために、そういったことには関心がいかなかった。

どうすれば・・・」

 

「未来の人類の為にエネルギー消費を減らす生活を推進すること。それの為の技術研究

をお願いしたい」

 

「現在の経済活動に水を差すことになる」

 

「命と経済、どちらが大事なのか! 今の世界の指導者と企業は、経済にしか目が向い

ていないのです。我々の活動が知られれば・・・おそらく、つぶされるでしょう!」

 

 

 地球誕生時から、大きな気候変動と環境変化は幾度となくあった。

 地球にとって生物は偶然生じた存在。

 それに関係なく地球の寿命がある限り、太陽の周りを回り続けるだけのもの・・富士

の山はやはり静謐のまま、夕暮れの太陽がその冠雪を赤く美しく染めていた。

 

 
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