No.360803

真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 35話

lovegtrさん

あけましておめでとうございます。
新年、最初の投稿です!
赤壁の戦い開始!……そして終わり?
では、どうぞ!

2012-01-09 03:39:09 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4724   閲覧ユーザー数:3561

【曹操 side】

こんなはずじゃ無かった。

燃え盛る自分の船を見て、私は呆然とした。

どこで間違えた、何を間違えた。

頭の中で雑念が浮かび、溢れ、思考を乱してゆく。

そんな私に炎はあざ笑うかのように広がり、船を焦がしてゆく。

 

数刻前、その報告は入ってきた。

「周瑜と黄蓋が仲違い?」

「はい。あちらに潜ませた草の報告に拠りますと、軍議の最中、話が進まないことに腹を立てた黄蓋が、周瑜に突っかかっていったとのことです」

桂花の報告を聞き、少し考える。

呉の大提督周瑜と宿将黄蓋が、この大戦の前に喧嘩をするものだろうか。

「その後、黄蓋は天幕から追い出され、提督を侮辱した罪として鞭打ちの刑に処されました」

鞭打ち?策のため、あの一刀がそこまでするだろうか。

呉は将たちを家族の様に大事にする。だから皆を信用し、自らが傷つくことをも厭わないのだろうか。

それとも、つながりが強いからこそ憎さも強くなるのだろうか。

………いや、今考えても仕方がない。ただ、分かっている事実だけを把握していれば良い。

桂花に引き続き敵の監視を行うように伝え下がらせた。

 

しばらく経って、再び報告が入ってきた。

「先ほど黄蓋が数名の部下と共に呉の陣から抜け出しました!」

潜ませていた間者の続報を受けた桂花が慌てた様子で知らせに来た。

「どうやら黄蓋はこちらに向けて逃走しているようです!」

「こちらに…ね………呉の宿将黄蓋、欲しいわね」

「なりません!これは罠です!何かの策に違いありません!」

私がそうつぶやくと、稟は顔を赤くして強く抗議した。

「この時機にこの動き、明らかにおかしいです。我等の内部から崩そうとしているか、もしくは死兵となっ

 

て決死の覚悟で…とにかく今、黄蓋を中にいれるのは危険です」

先ほどの激昂から少し冷静になった稟は、自分の考えを述べた。

「ええ、普通に考えればそうね。

 でも稟、私は曹孟徳なの。覇王として私は逃げるわけにはいかないのよ。

 敵の策くらい飲み込めなくてなにが覇王だ。敵が策を講じるなら、その策もろとも敵を打ち砕く、それが我が王道!

 ……わかった、稟?」

「…っ!分かりました………」

「そう落ち込むな、稟。

 もし華琳様に危害が及びそうになったら、私達が命に変えて華琳様をお守りする!それだけだ!」

肩を落とす稟を励ますように、春蘭は明るく笑い飛ばした。

そう、私達には敵の策さえ叩き潰す力がある、頭脳がある。

なにも、心配などいらない。

程なくして、黄蓋が近づいてきたという知らせが入ってきた。

知らせによると、『周』の旗を掲げた船から苛烈に矢を受けているということであった。

周瑜との仲違いは本当だったようだ。

私たちの船に近づいてきたということもあってか、周瑜の船は黄蓋の船を追うのを止めた。

黄蓋がもうすぐこちらに着くという時、異変を感じた。

些細な事だけど、戦にとっては大事になること……風向きが変わった。

今まで私たちの追い風となっていた風向きが、前から、向かい風に変わったのだ。

ゾクリ…その風に乗って、不気味な空気が流れてくるのを感じた。

私の勘が危険だと告げている。普段は勘などと言う曖昧なものに頼りはしないが、警鐘がずっと頭の中でずっと鳴り響いている。

前方が赤く明るくなるのを感じた。

まずい、警鐘音はより大きくなり頭痛となる。

「も、申し上げます!黄蓋の船が火を点けこちらに向かって来ます!」

その時、船に何かがぶつかる衝撃が伝わってきた。

「くっ!?火を点け、船もろともぶつかってきたのか!?」

そう言うと秋蘭は対応のため、黄蓋がぶつかったと思われる現場へと向かった。

「船が繋がっていては動きがままならない。このままでは火が一気に全体にまわるぞ!

 急いで鎖を外せ!お前たちは火を消せ!

 他の者達は敵の襲撃に備えろ!」

春蘭の指示で呆然と止まっていた兵たちが一斉に動き出す。

「華琳様、ここは危険です。一旦、引きましょう」

「なにを言っているのっ。さっきもいったでしょ、ここで引くことなんて出来ないわ!」

「そうです!貴方は王となられるお方だ!

 しかし、だからこそ、ここで倒れてはいけない!今は安全なところに下がるだけです」

「っ………わかったわ」

春蘭に連れられ、下がろうとしたとき、その声が聞こえた。

「曹操ーー!!」

もう私の真名を呼ばない、あいつの声が。

【曹操 side end】

風向きが変わり、祭が自分の船に火を点け魏軍の船へと突撃を開始した。

俺達も遅れてはならないと、一斉に進軍を開始した。

待ちに待ったとばかりに、兵たちは果敢に進んでゆく。

俺達も燃え盛る魏の船に乗り込み、先に乗船したはずの祭を探す。

少し進むと肩を抑える祭を発見した。

「祭っ!どうしたんだ!」

「おお、一刀か。なにかすり傷じゃ、心配するな。

 それに夏侯淵のやつにも一矢報いてやった。

 それにしても奴もなかなかやりおるわ」

肩に刺さった矢を抜きながら、祭ははははと笑ってみせた。

「そうか……おつかれ祭。後は俺達に任せて下がってくれ」

「なにを言っておる。こんなもん、怪我にも入らん。もうひと暴れさせてもらうぞ」

そう言い、弓を構え戦う姿勢を示す。

「…分かった。でも、無理はするなよ。

 俺達は奥に、曹操のところへ行く。行くぞ!思春!」

軽く手当を済ませた祭に注意をし、俺と思春は華琳のところへ向かう。

 

燃え盛る船のなか、混乱する魏の兵を倒しながら進んで行く。

ここまで火がまわっていたら華琳は、もう退避したかもしれない。

船の中央辺りに着き、そう思いながら辺りを見渡す。

……いた。その小さな背中を、覇王と名乗る女の子の姿を。

「曹操ーー!!」

真名ではなく名前を叫ぶと、ビクリと体を揺らし、華琳は静かにこちらを振り向いた。

「…かず……いえ、孫権」

「曹操…その首、貰い受ける!」

「させるかーーー!!」

南海覇王を構え、斬り込む姿勢を見せると、華琳に付いていた夏侯惇が叫び斬りかかってくる。

「華琳様ー!お行きになって下さい!」

「分かったわ。

 死ぬのは許さないわよ、春蘭」

そう言い駆けてゆく華琳の背中に「御意」とつぶやき、夏侯惇はこちらに顔を向ける。

「華琳様に指一本触れさせはしないっ!」

ガンガンと太刀を振りかぶり、一合、二号と斬り結ぶ。

さすが魏武の大剣と呼ばれることはある、その力任せの剣に押し返されてしまう。

このままでは華琳が逃げてしまうかもしれない、そう思った時、

「はあーっ!

 ……一刀様、こいつは私に任せて、先にお進み下さい!」

横から入り、夏侯惇の剣戟を受け、思春がそう促す。

「分かった、ここは任せる」

夏侯惇を思春に任せ、華琳の追跡を再開する。

「待て!行かせるか!」

「よそ見をしている暇があるのか!」

俺を止めようとする夏侯惇に思春は、斬り込みそれを止める。

「退け!お前では私は倒せん!」

「……確かにそうかも知れない。だが、時間稼ぎくらいは出来る!」

二人の剣戟の音を背に、俺は華琳を探し走る。

「もう、終わりにしましょうか」

立ち止まった華琳は、自身の武器である大鎌の先端をこちらに向ける。

「まさか、ここまでやられるなんて思わなかったわ。

 でも、ここで貴方を倒せば逆転出来るわ」

「俺に勝てると思うのか。

 私塾に居たときは、俺から一本も取れなかっただろ」

「あら、人は成長するものよ。

 あの時の私とは違うわ。……貴方もそうでしょ」

悲しそうに顔を伏せるがそれも一瞬、両手で大鎌を構え、体勢を整える。

「俺もここで死ぬわけにはいかないんだ。だから、手加減はしないっ」

足に力を入れ、一気に距離を詰める。

俺の動きに合わせ、華琳は大鎌を振るい迎撃する。

その小さな体のどこに力があるのか、素早く手数を多く攻撃してくる。

鎌との長さの差でなかなか踏み込め無い。しかし、懐に入ることが出来ればこちらのものだ。

内に入れないように繰り返す華琳の攻撃を避けながら、隙を伺う。

「避けてばかりでは勝てないわよ!…っ!?」

その時、轟音と共に船が激しく揺れた。

どうやら火薬庫に火が引火し、爆発が起きた様である。

好機。その瞬間、揺れに気を取られ、華琳に隙が生まれた。

「はぁっ!」

「うっ……きゃー!」

力一杯の一撃を与える。咄嗟に鎌の柄で防ごうとするがそのまま吹き飛ばされる。

「終わりだ、曹操」

距離を詰めるため近づこうとすると、再び大きな揺れが船を襲う。

その衝撃で、燃え盛る大きな帆柱が俺と華琳の間に倒れて来た。

燃える帆柱が華琳への道を遮る。これでは向こうへ行けない。

「華琳様ーーーー!!」

どうすれば良いかと悩んでいると、後ろから思春と戦っていたはずの夏侯惇の叫び声が聞こえてきた。

「華琳様!今そちらに向かいます!」

すると、夏侯惇は燃える炎をもろともせず、向こう側へと飛び込んで行った。

「春蘭……傷だらけじゃ無い」

「それは華琳様も同じです。さあ、ここから脱出しましょう」

夏侯惇に支えられ立ち上がった華琳は、こちらを一瞬見た後、炎の中へと消えて行った。

 

「すみません。夏侯惇を逃してしまいました」

「いや、あれだけ足止めをしてくれたのに、俺も曹操を仕留めることが出来なかった」

少しして夏侯惇と戦っていた思春と合流することが出来た。

小さな傷が幾つかあるが、命に関わる様な怪我はしていないようである。

「ここからは陸に控えている桃香たちの仕事だ。

 俺達も兵をまとめ、曹操の追跡に入るぞ」

燃え盛る船のなか、とりあえず緒戦は魏に勝つことが出来た。

後は桃香たちに任せ、俺達は次の準備に取り掛かった。

【関羽 side】

「魏延隊、魏軍と衝突。敵軍は迎撃せず逃げて行きました」

あの赤壁の戦いから数日、私達蜀軍は兵を幾つかに分け、魏軍が撤退するであろう進路にその兵たちを伏せさせ、待ち伏せを行った。

先の大敗で士気も落ち、戦う気力をなくしている魏軍は少数の伏兵でも恐れ、混乱し、逃げてゆく。

百万と言われたその大軍も、今は大幅に数を減らした様である。

「ねえ、愛紗ちゃん。曹操さん達と、本当に仲良くすることはできないのかな」

「桃香様?」

「この戦乱ってはじめは、漢王朝に不満を持つ民の反乱、黄巾の乱から始まったよね。

 それから、月ちゃん達とも戦った。内乱が起きていた蜀を平定した。

 これまでは苦しむ人達のために、そう思って戦ってきた。

 でもね、曹操さんは別に極悪非道の政治を強いているわけじゃ無い。曹操さんが私たちを倒そうとしてきたから戦った。

 この戦いの前の曹操さんは強くて私たちの言葉なんて届かなかった。

 けど、対等になった今なら私達の声も届くんじゃないかな」

隣に立つ桃香様は兵の報告も半分に、暗い顔で独り言の様に言った。

「桃香様はこの軍を、義勇軍を立ち上げた時の心意気を覚えていますか?」

「うん。皆が笑顔で暮らせる、そんな国を作りたいって」

「その皆は私達だけですか。そうでは無いでしょう。

 敵も、曹操たちも皆、笑顔で要られる、そんな国が桃香様の夢では無いのですか?」

「愛紗ちゃん………」

「この夢はとても難しいかもしれません。曹操は笑ってあしらうかもしれません。

 ですが私は、蜀の皆はその考えに共感し、今まで付いて来たのです。

 だから、桃香様は貴方が思うようにすれば良いのです」

「そうだね。

 あ~あ、きちんとわかっていたつもりだったのに、いざとなるとやっぱり揺らいじゃうんだよね。

 でも、愛紗ちゃんがいてくれて良かった」

「出すぎた事を言い、申し訳ございませんでした」

「ううん、ありがとう。こんな頼りない義姉だけど、これからもよろしくね」

いつもの笑顔に戻った桃香様は、両手を握りしめ決意するように、

「うん、そうだね。私一刀さんに曹操さんと仲良くできないか言ってみる」

そう宣言し、決意に燃える桃香様。

桃香様の考えのためにも今はこの戦いを勝利しなくてはいけない。

兵に次の指示を飛ばし、最後の戦いに向け準備を行う。

【関羽 side end】

皆様、明けましておめでとうございます。

本年も作品ともどもよろしくお願いいたします。

 

さて今回は赤壁の戦いでした。

前回の話しで祭が火を着けるの早すぎじゃ無いっていうコメントがありました。

これは史実の黄蓋が周瑜に献策し実行した、火計を採用したからです。

でないと話がサクサク進まないからで………

 

次回はこの章の最終までいけたらと思います。

ではまたノシ


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