No.352102

【同人恋姫参加作品】 思春的な好象你 ,好象俺 

甘露さん

タイトル文法的にグチャグチャだけど気にしたら負けですよ。

作品紹介。
『真・恋姫無双 霞√ 俺の智=ウチの矛』

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2011-12-24 22:09:26 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:6291   閲覧ユーザー数:5684

 

 

 

 **

 

 

 「ほぉ、ではその“くりすます”とやらは暦の上で明日に当たるのだな」

 「うん、師走の二十四日はクリスマスイブって言ってね…」

 「それで? 何故貴様はその話を今する」

 「あはは……やっぱ誤魔化されないよね」

 「当たり前だ。私は学は無いが阿呆じゃあない」

 

 思春の冷たい視線を一身に受けながら、俺は乾いた笑いを漏らすしかなかった。

 

 「えっと……ごめん」

 「謝ってどうする。こうなった以上、腹をくくるしかあるまい」

 「うん、でも……その、本当にごめん。俺の所為で──

 

 

  ──離島に二人きりだなんて」

 

 

 何度目か分からない謝罪に、思春は黙って手を上げただけだった。

 

 

 **

 

 きっかけは竜骨を組み込んだ初の外洋航海船が真桜の指揮の元完成したことだった。

 それの試験航海が技術者真桜、海軍代表で思春、各々の部下50人ずつと御使いで提案者でもある一刀が総括者として乗り込み出向。

 

 途中嵐に見舞われ先ず一刀船から落下。

 真桜が命綱のからくりを思春に装着し救出に思春が飛びこむもお約束なのかからくりが誤作動。

 慌てる真桜、なんとか船に戻ろうとする思春。しかし命綱が無くては戻る事も叶わず流され……。

 

 気付けば二人はどことも知れぬ離島に漂着していた。

 二人ともが同じ島に漂着し生存している事が既に奇跡みたいなものだが、だからといってこのままでもいられない。

 なんとか帰る方法を模索するも良い案は浮かばず、結局廻りに廻った逃避行為の末最初の台詞へと繋がったのだった。

 

 **

 

 「……っしゃ! どうなるかも分からないし、うじうじしてても何も始まらないしな!」

 「どうした?」

 

 俺が頬をパチンとたたき己に気合を入れると、思春が訝しげな表情で俺を見てきた。

 

 「座ってたって状況は改善しないってことだよ。何か出来る事を見つけないと」

 「……やれやれ、やっと動く気になったのか貴様は」

 「あはは……子どもっぽく駄々こねててゴメン……」

 「全くだ。とりあえずは食料と水、遭難生活中の拠点となる場所が必要だろう」

 「あ、えっと」

 「それに火だな。どうにかして種火を熾さなければ途端に生活の難易度が上がってしまう」

 「だからさ、その」

 「貴様に素潜りで魚を採る事も火を上手く熾す事も出来まい。水と何か陸上で食べられそうなものを見つけてくれ」

 「……はい」

 

 発言する事すらなく思春に流されるままの俺。

 そりゃあ、脆弱な現代人だし! 本当に魚をモリで突くことも火を一から起こす事も出来ないけどさ!

 ……なんていうか、俺って情けないよなぁ。

 何も出来ない事なんて、とうの昔に、戦時中に分かりきってはいるけども。

 こうもそれを目に見える形で突きつけられると、何とも言えない敗北感が俺を襲った。

 

 でも、なによりもさ。

 それを是としている自分が本当に情けなくてみみっちい男に思えた。

 好きな女の子の力にさえマトモになれないなんて、さ。 

 

  

 **

 

  

 「はぁー……意外と寒いんだな、南方だとおもってたけど」

 「大陸広しと言えど寒くなる時期はどこでも師走から、それが当たり前だ」  

 

 

 日が出ているうちはまだなんとかなった。

 太陽光に当たっていれば温まれて体力も回復できたし。

 アレだ、戦闘終了ごとに回復するにくいアイツみたいなもんだ。

 

 だけどもそれも所詮は昼の内だけの話で。

 

 日が沈めば亜熱帯な気候の南方の一離島だとしても気温はぐんぐん下がる訳で。 

 体感では12,3度だろうか。ギリギリ息が白くならない感じ。

 

 そんな寒空の元、俺は思春の熾した火に当たっていた。

 手に持つのは思春が素潜りし採った魚の塩焼き。  

 竹っぽい何かで思春が作った器に入っているのは、思春が見つけた島で唯一真水の沸いていた泉の水。

 

 ……何から何まで思春思春思春思春。我ながらいくらなんでも情けなさすぎる。

 元々水の確保は俺担当だったのに見つかる泉は全て塩水。

 軽く震えながら戻ってきた思春に結局探させて見つけてもらったという。

 

 思春は構わないと言っていたけどもだ。

 本当に俺って何も出来ないんだと実感させられてしまった。

 俺って奴ぁ……俺って奴ぁよぉ……!

 

 「どうした。何か可笑しな物でも拾い食いしたか」

 「いや、流石にソレは……」

 「どうだかな。先程私が止めなければ毒茸を食べ掛けていたが」

 「うっ……だって、みかけ椎茸だったし」

 「匂いが明らかに違うだろうが」

 「椎茸の匂いなんて分かんないよ……」

 「本当に世話の焼ける奴だ。貴様なんぞ私がいなければ今頃死んでいたんじゃないのか?」

 「うぐっ!?」

 

 思春の言葉が胸に突き刺さった。

 鋭角に俺の心を抉る言葉だ。

 

 「穏や亞莎でも水くらいは余裕で見つけられるだろう。

  下手したら小蓮様でさえ水を見つけて火をおこす位やってのけるだろうに」

 

 ぐうの音も出なかった。

 俺って、本当にただのヒモなんだなぁ……。

 

 「蓮華様なら水と火程度ササッと起こして獲物を採り配下の者を労わる程度には……おい、何処へ行くんだ」

 「いや、うん。もうさ……なんていうか、生きててごめんなさいっていうか……?」

 「ちょ、ちょっとまて早まるな!」

 「離してくれ思春! お、俺みたいな嫁元パラサイトヒモ野郎は生きてる価値が無いんだ!」

 「ば、馬鹿な事を言うなっ! お前が死んだら私が皆に申し訳が立たぬではないかっ!」

 「皆にはヒモでごめんなさいっていってくれればいいよ!」

 

 こんな三国一のヒモ野郎、さっさと土に帰った方が環境にエコなんだ!

 そんなことを思いながら俺が海に向かって突撃を敢行しようとしていると……

 

 「馬鹿者がっ!」

 「げふっ!?」

 「一度冷静になれ! き、貴様が死んでどうするのだ! 

  それに残された蓮華様や呉の皆、魏や蜀の人間も……それに、わ、私だってほんの少しではあるがな……」 

 

 綺麗に顎にパンチがヒットした。いや、顎は無いだろ顎は。ボディなら良くあるけど顎って。

 ぐらんぐらんと視界が揺れ、俺はそのまま気を失った。

 最後に思春が何か言っていた気がしたけど、俺には聞き取れなかった。

 

 **

 

 「……ん?」

 「起きたか」

 

 ふと目覚めれば、真っ先に見降ろす思春の顔が目に入った。

 未だかつてない事態に俺は少し困惑する。

 

 え、えっと、こういう時はどうリアクションすればいいんだっけ。

 

 「えっとだな……その、さっきは済まなかった。

  咄嗟に無力化しようと思った結果で決して悪気があった訳では無くてだな」 

 「へ?」

 「顎を殴って気絶させただろ。アレのことだ」

 「あ、ああ!」

 

 思春に言われて先程までのいきさつを思い出す。

 そーいや俺妙にムキになってたな。……うわぁ、黒歴史確定だ。

 

 「俺は全然気にして無いからさ。

  寧ろお礼を言うのは俺だよ。えっと、冷静な対応をありがとう」

 「くすっ……なんだその礼は」

 「あはは。自分でもちょっと変だとは思ったよ」

 

 そういえば。思春とこんな風に笑いあったことなんて初めてな気がする。

 いつか聞いた時は、私は上手く笑えないなんて言ってたけどさ。

 

 「笑顔の思春って、綺麗だな……」

 「は? ……っっ~~~!!!? な、何を馬鹿な事をっ!?」

 「あっ、ごめん。声に出てた?」

 

 とりあえず鈴音を突きつけられちゃ困るから謝っておく。

 でも、どうも嫌とかそう言う訳ではなくまんざらでも無さそうなだけに見えた。

 

 「っわ、私が可愛い訳ないだろっ! そ、其れに貴様、いつまでこのままで……」

 「このまま、ってああ、膝枕のこと?」

 

 思春がなにもつっこまなかったから俺もノータッチだったんだけど。 

 どうやら本人はそうでも無い様だ。と、すると忘れていたということか?

 それこそ思春らしくもない、と俺は思った。

 

 「そ、そうだっ! 蓮華様がお相手ならばともかく、何故私が貴様などに長々と膝を貸さねばならんのだっ!」

 「膝って言うよりふとももだけどね」

 「うるさいっ! 目が覚めたならさっさと退けっ!」

 「わ、分かったよ」

 

 俺が頭を上げると思春はさっと足を退いて立ちあがってしまった。

 ああ、至福のふとももが遠のいてゆく……。

 

 「全く……大体私は何をしているのだ……。

  あんな節操無しに口説かれただけでへらへらと……」 

 「何か言った?」

 「煩いっ! 貴様は黙って火の番でもしていろ! 

  私は寝るっ! “誰かの所為”で何から何まで働き詰めだったからな!」

 「っ!? さーいえっさー!!」

 

 思春が何か呟いたのに反応を返すと怒鳴られてしまった。

 思わず脊髄反射で沙和式の応答をしてしまう。

 と、思春はふん、と鼻を鳴らし俺とは火を挟んでの反対側に寝転がってしまった。

 

 「あ、あのさ……」

 「こちらに近づくな。誰かの所為で私は疲れているのだ。種馬の相手はそいこらの野生の馬にでもして貰ってろ」

 

 取り付く島もないや。しょぼーん。

 失敗したことをちゃんと謝っておきたかったんだけどなぁ。

 というか馬て。いくら俺の守備範囲が広いったって、名実ともに種馬だからって……! 

 

 って、堕ち込んでる場合じゃあ無い。これくらいは俺もなんとかして思春の要望に答えなきゃな!

 見張りくらいは、戦争してたころに何度か経験したこともあるんだし。

 頬をぱちんと叩き気合を入れ直すと、俺は思春の背中を眺めながら火の番をし始めた。

 

 **

 

 「──い、おいっ! 起きろ北郷っ!」

 

 頭部にがつんと衝撃を受け飛び起きた俺。

 な、何だ!? 敵襲か!?

 

 「って、思春? どうしたのさ」

 「悠長に話してる場合か! この様が見えないのか!?」

 「この様……ってなにこれ熱い?」

 

 辺りを寝ぼけ眼で見回せば一面の橙。

 そしてソレは凄く熱い。つまりは、炎だ。ということは、火事だ。洞窟が。

 

 …………

 ………

 ……

 

 「……えっ? ……えっ!? か、火事!? ヤバいじゃん早く逃げなきゃ!!」

 「だからさっきからそう言っているだろうが! いつまでも寝ぼけてないでさっさと逃げるぞ!!」

 「う、うんっ」

 

 そのまま思春に手を引かれ洞窟の外に向かって駆けだす。

 どうやら1Lそこらの水じゃ消火は出来そうにないがまだ逃げられない程でも無い規模だったようで、俺と思春は炎の隙間を縫うようにして出口に駆けだした。

 

 「ぜぇっ…はぁっ……はぁぁぁ……し、死ぬかと思った」

 「全くだ。気付けば壁に火が燃え広がっているんだからな」

 「でもアレってどうして……」

 「大方見張っていた貴様がうたた寝をしているうちに燃え広がったのだろう」

 「そ、そっか……」

 

 また、やっちまったよ。

 本当にさ、俺って奴は……。

 

 「本当に、貴様は何も出来ない奴だな」

 「うん……そうだよね……ははっ。本当にさ、俺って……なんなんだよなって話だよな。

  思春もさ、もう俺なんて放っておいた方が……」

 

 なんだか何もかもがどうでもいい気がしてきた。

 本当に俺の存在意義ってなんなのだろう。

 俺がいなくても何も変わらないんじゃないか、ってそんな気がしてきて……。

 

 「この阿呆がっ!!」

 「っ痛てててて思春さん間接かぺっくぁwせdrftgyふじこlp」

 

 そんな俺を、思春は間後ろから腕をつかみ地面に引き倒すと、そのまま関節技を決めてきた。 

 

 「貴様はっ! 本当に! ド阿呆だなっ!!」

 「タップタップ! 一刀さんの右腕はもう限界ですよ!?」

 「煩いっ!」

 

 なんで思春がこんなにも怒っているのか俺には皆目見当が付かなかった。

 そりゃ洞窟がキャンプファイヤーで怒ってるのなら当然だと思えるんだけど、どうもそうでは無い様で。

 それが俺を益々混乱させた。

 

 「初めからっ! 誰も! 貴様に戦働きも野働きも求めてはおらんのだっ!」

 「……えっ?」

 「戦場で命を散らすのは兵に任せろ! 兵を指揮し将と打ち合うのは私達に任せろ! 

  貴様は私達の道標ではないか! 蓮華様や華琳殿、桃香殿と共に我らを導くのが役目であろう!

  だから……っ! だから……。貴様がそんな風では、私まで心配になるではないかっ!」

 「っ!!」

 

 思春の言いたい事が、やっと分かった。

 つまりは、思春だって不安だったんだ。

 

 考えてみればそりゃそうだろうさ。

 どことも知れない無人島に二人ぼっち。

 

 肝心の俺は良く分からんがなよなよしててちっとも頼りにならずに気にもかけてくれない。

 自分がしっかりするしかない、って重圧までおまけに掛る始末だ。

 

 「……その、ごめん」

 「謝るなド阿呆!」

 「いや、本当に、ゴメンな、思春」

 「きゃっ……貴様はっ。本当に阿呆だ」

 

 砂に寝転んだまま。力の抜けた思春の腕を俺に向かって引いた。

 そのまま倒れ込んで、気付けば、思春を抱きしめていた。

 俺は阿呆だよ。

 好きな人の気持ちも考えてやれずに一人で勝手に自分勝手な自己嫌悪してさ。

 

 「ああ……本当に阿呆だ」

 「この、ド阿呆が……」

   

 それで、結局思春をこんなんにするまで何も気づけなくて。

 本当に、どうしようもない阿呆だよ。

 

 「あのさ、思春。 ……俺ってさ、皆の力になれるのかな?」

 

 無理して自分勝手に人を振り回すんじゃなくて、俺にしかできない事をしてあげる、そんな風に皆の力に……。

 そう思ってした問いに、思春は気付いたのかはたまたそうではないのか。

 

 「……知るかっ、阿呆め」

 

 俺には分からなかったけど。

 ぷいと頬を染めてそっぽを向いて、でも顔を胸板に深く埋めてきたその仕草が全部を語ってる気がした。  

 

 「そういえばさ、思春」

 「なんだ?」

 「さっき言ったクリスマスだけどさ、宗教的な意味合いだけじゃあ無くて、もうひとつ意味があるんだよ」

 「……?」

 「一番大切な人とさ、二人っきりで過ごす日……なんだ」

 「っ!?」

 

 腕の中で思春が真っ赤になった。

 そんな仕草がとても可愛らしく見える。いや、実際凄く可愛いんだけどさ。

 

 「だからさ……俺、遭難して良かったかもしれないよ

  大事なコト分からせてもらえたし。思春と二人っきりだし」

 「……本当に、貴様という男は!」 

 

 恥ずかしそうに思春が腕の中で身をよじらせた。 

 

 「あはは……でも、可愛いってのは本当だよ」

 「っ……だがな、これも、少しだが、本当に少しだけだがな!! 

  ……そう悪くは無い、と私も、な。北郷……っん……」

 

 思春と、俺の影が重なった。

 

 

 **

 

 

 「全く、本当に心配したのよ」

 「申し訳ございませんでした蓮華様」

 

 晴れ渡る冬の空の元、呉の屋敷の中庭で蓮華と思春が会話をしていた。

 労う蓮華の表情には心からの喜びが浮かんでおり、思春もそれに何処か嬉しそうな雰囲気を漂わせ答えていた。

 

 「まぁ、貴女と一刀が無事に帰って来たのだし、結果としては良かったのだけれどね。

  ──ところで思春」

 「はっ」 

 「最近、というより遭難して帰って来てから何だけどね、一刀の様子が変なのだけれど、貴女心当たりないかしら?」

 「変、といいますと?」

 

 蓮華の問いに、思春は片眉を上げ訝しげな表情をする。

 蓮華はそれを、思春がまた一刀に対して邪推しているのかと思ったようで、慌てて次の言葉を繋いだ。

 

 「な、なんて言うかね、前よりもずーっと頑張る様になったって言うか。

  無理してる感じじゃないんだけれど、雰囲気が頼れるようになったって言うか。

  それに、何やら皆に様々な事を教わっているみたいなのよね。島で何かあったの?」

 

 蓮華の問いに、思春は一瞬だけ思考を巡らせると、柔らかく微笑み答えた。 

 

 「──さあ、私には皆目見当が」

 「そう……って、あら。思春、貴女とても綺麗な笑顔を浮かべて……なにか良いことでもあったの?」

 「っ……いえ、何でもありません。さあ蓮華様、休憩はそろそろ終わりです、部屋に戻りましょう」

 「ええ。あんまり休んでばかりもいられないものね」

 

  

 「(それでいいのだ、北郷。 お前はお前らしく私達を照らしてくれれば、な)」

 

 

**

 

あとがき

 

このssは思春と二人きりにクリスマスを過ごすにはどうすればいいか、という一点のみで構成されています。

 

なのでその他の理由やなんとなく良いコトっぽい台詞は全部後付けなのです。

メインは島で思春と一刀がちゅっちゅしてるところだけなのです!

 

はいごめんなさい。

色々台無しってレベルじゃねーぞですよね分かります。

でも思春と二人きりでちゅっちゅするにはこれしか思いつかなかったんだよっ!(迫真

 

 

という訳で。

ではまた、再見


 
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