No.212925

真・恋姫無双 夜の王 最終話

yuukiさん

真恋姫無双夜の王、最終話。
明けた夜、終わる黒天、敗れた大義、朽ちた魔王。

2011-04-22 20:11:27 投稿 / 全15ページ    総閲覧数:12909   閲覧ユーザー数:10134

この作品の一刀は、性格、武力ともに原作とは異なっています。

 

また、一部キャラを否定する場面もございます。

 

ご理解をお願いいたします。

 

まだまだ誤字、脱字や分かりにくい表現などもあると思いますが、

 

こんな自分の作品でも楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

目を覚ますと、見慣れない天井が広がっていた。

 

一刀「ん、んん、ここは、、」

 

袁術「おお!目を開けたぞ、七乃、ななのー!」

 

張勲「わぁ、本当ですねー。拾った時は犬の死体みたいでしたのに。よ!ゴキブリ並みの生命力!」

 

一刀「あ、ああ、、袁術、張勲?なんでお前らが。ここはどこだ?洛陽じゃないのか?」

 

張勲「馬鹿ですねー。何も覚えてないんですか?仕方ないから説明しますから耳の穴かっぽじって聞いてください」

 

話し始める張勲を見ながら、俺は気を失う前のことを思い出していた

 

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愛紗との死闘は結局、俺の勝利で終わった。

無論、代償も大きかった、俺ではなく愛紗が払うモノのことだが。

 

そして後、俺は中岳嵩山城を離れ、近くの林の中に居た。

賭けたと言っていい。

もし、誰かが俺の元へ向かってくれているとしたら此処に来ると思った。

 

そして、誰かが来た。

俺は掛けに勝ち、助かった。

 

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一刀「そうか、お前達がか。助かった、礼を言う」

 

袁術「うむ!お主には前にちょっとした借りがあったからの!特別に妾が助けてやったのじゃ!光栄に思うが良い!」

 

張勲「美羽様の寛大なお心に感謝してくださいねー」

 

前とかわらない二人。

偉そうな袁術と太鼓持ちな張勲。

麗羽は変わったというのにこの袁家二人に変化は無かった。

 

そんな二人を見ている時、扉が開き、男が一人入って来た。

 

華陀「目が覚めたか、調子はどうだ?」

 

一刀「悪くない。助けてもらい、礼を言う。華陀」

 

華陀「ん?俺、お前に名乗ったことあったか?」

 

一刀「いや、だが俺の国の兵を助けてもらったことはある。名くらいは聞き及んでいるさ」

 

華陀「そうか、納得だ」

 

うんうん、と頷く華陀に俺はずっと聞きたかったことを聞く。

代償を支払った、彼女のこと。

 

一刀「愛紗、関羽の容体はどうだ?」

 

華陀「、、、あれは、お前がやったのか?」

 

一刀「ああ、そうだ」

 

目が責める様なものに変わるが華陀はすぐに目を閉じてしまう。

別段、攻めて貰ってもかまわないし言い訳する必要も無い。

やりすぎたとも、思ってはいない。

 

華陀「こういうことを言うのは嫌だが、両腕とも見事な切り口だった。おかげで血止めもやり易かったろう。俺もすぐ手当て出来たから命に別条は無い。が、もう二度と剣は握れないぞ」

 

一刀「当然だ、そのようにした。あいつから武人としての人生を奪う為にそうしたんだ」

 

華陀「どうして、あそこまでやる必要があった」

 

一刀「あいつにまだ武器を握る手があったなら、何度でも俺に挑んでくるだろうからだ。愛紗は愛紗の正義にかけて、何時までも俺を殺し続ける。俺は手足の一本や二本欠けても愛紗を愛せるからな。それに、」

 

華陀「それに、なんだ?」

 

一刀「生きていて欲しいから。もし、何度も俺に挑んでくるようならいつの日か殺さなきゃならなくなる」

 

華陀「、、、そうか」

 

医者としてどう言ったらいいのかわからないという風に、華陀は腕を組みながら唸っていた。

 

一刀「それより、俺はどれ位眠っていたんだ?」

 

ずっと聞きたかったその問いを投げかけると、華陀は言いにくそうに喋り出す。

 

華陀「二週間だ」

 

一刀「、、、そうか、傷が完全に塞がっているから一日二日じゃ足りないとは思ったが、そんなに眠っていたのか。天は、いやこの場合世界はどうなっているのかと聞いた方がいいか?」

 

華陀「この町に居て、はいってきた話だ、確証があるとはいえないがいいか?」

 

俺が頷くと、華陀は話し始める。事の顛末を。

 

華陀「お前が消えて以降、天は袁紹を中心に停戦に向け動いたらしい。そして、それが実を結び大戦は決着する筈だった。だが、一週間ほど前に天内部で新たな勢力が出来上がった。お前の意思を継ぎ戦い大陸を制覇しようとする派閥だ」

 

一刀「穏健派と過激派というわけか。俺の意思を継ごうなんて、一体どこの馬鹿の考えだ?」

 

華陀「表向きは袁紹と同等の権利を持つ大将軍の呂布、と言うことになっているが呂布の専属軍師陳宮は穏健派だったらしくてな。誰か別の人物ではないかと言われている。心当たりはあるか?」

 

一刀「、、、あるな、ありまくる。たぶん隠れロリコンの阿呆だ」

 

華陀「ろりこん?なんだそれ?」

 

一刀「気にするな」

 

華陀「まあいいが。始めは二つの派閥は話し合いでの決着を望んでいたようだが泥沼化したようでな、つい先日過激派が武力行使で穏健派の中心の袁紹を始めとする軍師、将軍達を捕え投獄し実権を握ったらしい」

 

ありえない話じゃないだろう。

もし、恋が本気で動けば誰にだって止められない。

それに獅堂の馬鹿がかんでいるとなればなおさら、止まれない。

 

一刀「現状はどうなっているんだ」

 

華陀「、、、過激派は武力行使で実権を握った後、停戦中だった連合に宣戦布告をした。昨日のことだ、今この瞬間にも殺し合っているだろうな」

 

華陀は悔しそうに、本当に悔しそうに唇を噛んでいた。

医者として、一人の人として、何千もの命が散る戦争は許せないのだろう。

俺とは違い、華陀は本物の善人だった。

 

一刀「、、、華陀、俺の服はあるか?それと馬も貸してくれると嬉しい」

 

華陀「何処へ行く気だ?」

 

一刀「何処に?決まってるだろ、天は俺の国だぞ。自分の家に帰るだけだ」

 

華陀「俺がそれを許すと思っているのか?何人もの人を殺すお前を、戦場に行かせるとでも?」

 

立った俺の前に立ちふさがる華陀。

その眼は使命に燃えていた。

 

一刀「、、、華陀、俺はいまさらながら反省している。、、、自国以外全てを犠牲にした国に未来は無かったのかもしれない」

 

華陀「、な」

 

華陀の驚きもわかる。

魔王と呼ばれ、征服の限りを尽くした俺がいまさらこんなこと言うなんてどんな綺麗事だ。

後悔は遅い、今、戦いが始まり、人が死んでいるというのならそれは全て俺のせいだろう。

大戦を起こしたのは俺、なら天の国王と言う座も責任も誰にも譲らない、譲っちゃいけない筈だ。

人の上に立つ人間の最低限の節度として。

 

一刀「部下に尻ぬぐいなんてさせられない。あいつらが戦っているのを知りながら、寝て居られるほど俺は図太い人間じゃない」

 

どんな気持ちだったか、麗羽を裏切った恋の気持ちは。

どんな思いで、めんどくさがりの獅堂が俺の後釜になろうとしたのか。

もし俺が此処で何もしないというなら、それは裏切りだ。

彼らに対する裏切り、そんなこと出来る訳がないだろう。

 

一刀「天は俺の国だ。俺だけの為に俺が作った国だ。なら、けじめは俺が付ける。頼む、華陀」

 

頭を下げ、どれほど経っただろう。

華陀は目を瞑り、腕を組んだ。

 

華陀「医者として、認められない。、、、、、だが、俺は今から寝ることにする!なにも見ないし何も聞こえない。寝ているからな!馬は裏に居る!これは寝言だからな!」

 

一刀「、、、、大層でかい寝言だな」

 

有難う、そう呟き華陀の横を通り過ぎる時、呟きが聞こえる。

 

  「生きて、帰れよ。生きてさえいれば、必ず救ってやる」

 

ああ。そう答え、俺は通り過ぎて行った。

 

 

裏庭に出ると、既に馬の準備を終えた張勲と袁術が居た。

そういえば、華陀との話の途中に何処かに消えていたな、、

 

張勲「馬の準備は万端ですよー」

 

一刀「協力してくれるのか?」

 

張勲「いえいえ、お見送りまでですよ。ね、美羽様」

 

袁術「うむ、お主には曲がりなりにも恩があるが一緒に行くのは怖いから嫌なのじゃ」

 

そうか、とこたえ馬にまたがると洛陽の方向を向く。

 

張勲「、、、、怖くないんですか。多分、洛陽は泥沼の戦場になっていますよ」

 

一刀「怖い?なに言ってるんだお前は」

 

張勲「へ?」

 

一刀「家に帰るだけだろ?」

 

張勲「はは、そうですね。行ってらっしゃい」

 

 

 

 

一刀が洛陽に向かう最中、笑う彼らとは対照的に戦況は激化していた。

 

天軍はあらゆる戦いの中で初めて、押されていた。

当然だろう、将はもはや四人しかいない、そして軍師二人は仲良く檻の中。

ただでさえ王が消え厳しい状態の天軍だったというのに内部分裂を起こしたらどうなるか、獅堂とてわかっていなかった訳じゃない。

わかっていて尚、その道を選んだのだから。

 

そんな中、獅堂は前線に立っていた。

 

兵士1「なんなんだ、これは、なんでこんなことに、、、俺達が、押される筈がない」

 

獅堂「違う」

 

兵士3「えっ?」

 

獅堂「違う、押されるさ。これまで俺達がそうしてきたように。俺達だって押される。それだけだ」

 

兵士3「、、、、、、、」

 

獅堂「誰かが負けて、無敗国天は出来てきた。無敵だから勝ってきたんじゃねえ、勝ってきたから無敵だったんだ。誰かを破り勝ってきた。その誰かの番が、天に来たのかもなぁ」

 

兵士3「、、、、、、」

 

獅堂「命運、尽きたってか。糞やろう」

 

兵士4「将軍!」

 

獅堂「、、、、、、、、」

 

兵士4「もはやこれまで、撤退のご下命を!」

 

獅堂「撤退?何処へ退くんだよ。」

 

兵士4「この地域は危険です。とにかく離脱を!」

 

獅堂「後ろには真天城。ヤローが作った城がある。長安には天の民がいる。その両方を討ち捨てて、退けってのか」

 

兵士2「将軍、撤退せねば全滅の可能性も」

 

獅堂「うろたえんじゃねえ!貴様らは糞か!愚図が!」

 

兵士達「「「、、、、、、、、」」」

 

獅堂「勝ち戦しかできねえのか、たかだか戦局が絶望的になった程度で、腰抜かしてんじゃねえ!」

 

兵士達「「「、、、、、、、、」」」

 

獅堂「わかってんだろ、この一戦に黒天成就の全てが掛ってんだ!もうヤローはいねえ、次の機会はねえ、ここで戦い抜いて、勝たなくちゃなんねえんだ!なにがあろうとだ!」

 

兵士達「「「将軍、、、、」」」

 

獅堂「思い出せ。一刀、俺達の王。魔王と呼ばれたあのヤローを」

 

兵士達「「「、、、、、、」」」

 

獅堂「反董卓連合、蜀軍、魏軍、袁招軍、呉軍、どこでもいい。奴らに囲まれ進退窮まった時、ヤローは降伏し命乞いをしたか?家臣を捨てて逃げたか?んな可愛げが、あの大馬鹿ヤローにあったか?」

 

兵士達「「「、、、、、、、」」」

 

獅堂「ここで俺らが無様を晒せば、いつか地獄で有った時、嗤われるぞ。あいつだけじゃねえ、一蝶、今まで死んできた全ての天兵の嘲笑を買う始末だ。、、、、テメーらの懐は、そんな屈辱に甘んじられるほど深いのか!」

 

兵士1「、、、、、、、、」

 

兵士2「、、、、、、、、、、、、、、、」

 

獅堂「陣形を組みなおせ!」

 

兵士1「はっ、」

 

兵士2「御意!」

 

 

、、、、、ふん、命運尽きたか、だからどうした。俺は最後までやる。諦めねえ、後悔もしねえ、んなこたぁ、死んだ後でも十分間に合うじゃねえか。生きている間は、戦い戦い戦い勝つ。ヤローの為に、天の為に、いや、全ては大義の為にか。なぁ、そうだろ、一蝶。

 

 

思春「はああああ!」

 

獅堂「なっ、くぅ!」

 

完全に不意を突く形で、鈴音が獅堂に襲いかかった。

 

獅堂「テメ―、やってくれるじゃねぇか。根暗」

 

思春「背後からの一撃をかわすか、相変わらず非常識な身体だな」

 

敵を前にしても獅堂の取る構えはだらりと手を落とした姿勢。

不規則で理屈を無視した動きは蛇を思わせた。

 

獅堂「わかってんのか?もう誰も助けちゃくれねーぞ?孫策も張遼もいねえ、死んじまうぜ?全戦全敗の甘寧さんよぉ」

 

思春「、、、、、、、」

 

獅堂「ああ、そうかよ。死にてぇってんらな是非もねえ。悔いを残して死んじまいなぁぁぁ!!」

 

思春「ふん、蓮華様は今、最大の試練へと向かわれた。それなのに私が三下相手に負けられる筈がないだろう!」

 

互いに剣を握るのは国の為に。

二度あることは三度あるのか、三度目の正直か。

魏の時、先の大戦初戦、今回。

彼らは三度相対す。

 

獅堂「あいつの居ない世界ですら、俺は守り続けなきゃなんねえぇぇんだぁぁぁよぉぉぉ!」

 

思春「拝ませて貰うさ、この夜が明ける瞬間を!」

 

 

 

 

獅堂達の拘束を逃れ連合へと渡っていた真桜と沙和の案内の元、彼女は城門の前に来ていた。

 

霞 「止まり、、城門の前に誰か居るわ」

 

沙和「あれって、、、」

 

真桜「、、、、うそや」

 

 

城へと入る門の前、立ちはだかるは一人の武人。

銀色の髪を靡かせて、体に負った傷後は癒えずとも、その凛々しさは増すばかり。

紫草の根で染め抜いたような美しい、けれど譲れぬ意志を持った目で彼女達を見据えている。

 

霞 「なるほど、そう言う訳かいな」

 

””前魏国警備隊隊長 現天虎警備隊隊長””

 

凪。楽文謙の姿がそこにはあった。

 

凪 「、、、、、、」

 

真桜「凪、なにしてるんや?もう、やめ、わかっとるやろ。これ以上は、、もう」

 

沙和「どうして、こんなことしたの?なにかあったの?」

 

自分たちの前へと向かう道を塞ぐ彼女に、二人は心配そうに声をかける。

 

凪 「安心してくれ、何も無い」

 

真桜「ならなんで、「私は、私の意思で此処に立つ」、、凪」

 

沙和「凪ちゃん、、」

 

そう答え、一度目を瞑り開くと凪は構えを取る。

 

凪 「故にこれ以上の侵略は行いたくば、、私を倒して行け!」

 

静まり返る場、彼女達に向けられる敵意、それが、なにが理由かは分からない。

 

しかし、事実は一つ。倒すべき”敵”が目の前に居た。

 

 

おそらくは数秒、長くても数十秒の静寂の後、

前に出ようとした真桜と沙和を押しのけるように霞は前に出た。

 

霞 「なら、ウチが相手したるわ」

 

真桜「姐さん、、、」

 

沙和「霞様、、、」

 

霞 「、、、誰も手を出すんやないで」

 

真桜「、、、、わかったわ」

 

沙和「はい、なの」

 

そうして、兵士達を含めた全員が見守る中、凪と霞は向かいあった。

 

 

飛龍偃月刀を片手で持った状態で霞は凪に語りかける。

 

霞 「聞いときたい。自分、凪なんやな」

 

凪 「ええ、」

 

霞 「脅されたとかじゃなく、自分の意思でそこに立っているんやな?」

 

凪 「はい」

 

そう、真っ直ぐと目を見て喋る姿は確かに、霞の知っている凪だった。

 

霞 「なら、どうしてウチらの邪魔をするんや?一刀がいないこの国に、もう価値は無い」

 

凪 「語らず」

 

霞 「、、、何かあったんか?」

 

凪 「喋らず」

 

霞 「なら、どうしてもウチらを通してはくれないんか?」

 

徐々に霞の顔は好戦的なモノへと変わっていく。

 

凪 「通さず」

 

霞 「ウチが無理やり押し通る言うてもか!凪!」

 

凪 「退かず!」

 

叫び声と共に、二人は戦闘態勢へと移る。

 

霞 「面白いな、凪ぃ。いくら三羽鳥の中で一番強いからって、ウチに勝てる思うてんのか?」

 

凪 「禁じ得ず。失笑を禁じ得ませんね、霞様」

 

ふふ、と彼女にはあまり似合わぬ笑みを凪は零す。

 

凪 「一刀様に獅堂様、一蝶様に手解きを受けた私が、何時までも貴方に劣っているとは思わぬ方が良いと思いますよ」

 

霞 「なら、その力見せて貰おうか!」

 

そう言い、凪へと突っ込む霞の目は、猛禽のモノへと変わっていた。

 

 

霞 「はああああ!」

 

最初に霞が選択した攻撃は、左下より右上への振り上げ、

 

凪 「っっ、」

 

の後の同方向への振り降ろし!

初撃を見きっていた凪は思わぬ事態に思いっきり地面を蹴りがむしゃらに後方へと飛ぶ。

 

霞 「まだまだ!」

 

凪が体勢を整える前に、霞は間を詰める。

横撃、縦撃、斜め、次々繰り出される連撃に凪には逃げの一手しか無い。

 

凪 「(まだだ、、この間合いは霞様の物。なら、どうにか間合いを詰めれば、、)」

 

凪の守りを崩そうと、霞は大ぶりな横殴りの斬撃を繰り出す。

 

凪 「ここだ!」

 

凪はそれをしゃがむことで回避をする。

 

霞 「なっ、」

 

凪 「(やはり、霞様の攻撃は速い。しかし、一刀様程では無い!見えるぞ、見える)」

 

しゃがんだ低い姿勢のまま、凪は間合いを詰める。

 

凪 「はあああ!」

 

殴打が霞の腹へと向かう。

 

霞 「させんわ!」

 

霞はとっさに獲物を回転させ、柄でそれを防ぐ。そして受けた勢いのまま距離を取ろうとするが、

 

凪 「させません!次は、こちらの番です!」

 

霞 「っっ、」

 

それを追う様に凪は霞の懐へと張り付く。

次々に繰り出される殴打、強打、剛拳。それを霞はなんとか防いでいくが、

 

霞 「ぐっ、つぅ」

 

この近い間合いでは薙刀は無用の長物。肩に、腕に、少なからぬ攻撃を受ける。

 

凪 「こんなものですか、、霞様」

 

霞 「言うてくれるやんけ、、凪ぃぃ!」

 

凪 「なっ、」

 

凪の言葉に切れたのだろうか、霞は防御を捨て全力で飛龍偃月刀を振り一回転する。

武器の特性も、間合いも無視した攻撃を凪は手甲でとっさに防ぐが勢いを殺しきれず吹き飛ぶ。

 

霞 「どうや、凪ぃ、、少しはウチのこと見なおしたか」

 

凪 「流石です。しかし、獅堂様の理も命も無視した攻撃には見劣りしますね、、」

 

霞 「あんな、狂人と一緒にして欲しくないなあ」

 

会話はそこまで、そこまで話すと両者は同時に相手との距離を詰める。

 

霞 「はあああ!」

 

凪 「くっ、」

 

最初に間合いを取るのは武器の性質上、霞。

 

凪 「行きます!」

 

霞 「ちぃ、、」

 

凪はその動体視力を持って距離を詰める。

 

霞 「まだまだ!」

 

凪 「つっ、、」

 

霞はそんな凪を、剛撃を持って間合いから吹き飛ばす。

 

 

そして、再び同じことが繰り返される。

 

 

押しては引かれ、引いては押され、そんな一進一退の攻防が繰り返されること数十。

 

凪 「はぁ、はぁ、はぁ、」

 

霞 「はぁ、はぁ、はぁ、」

 

既に両者の身は満身創痍、凪の体には新たな傷跡が刻まれ、霞の体は至る所で内出血を起す。

 

霞 「凪、強くなったな。ウチ、嬉しい」

 

凪 「いえ、霞様もやはり強い。流石です」

 

霞 「とっても楽しいけど、、、そろそろ終いにしようや」

 

凪 「ええ、そうですね」

 

薙刀の刃を真っ直ぐと向ける霞を見て、凪はさっきまでとは違う構えを取る。

 

霞 「必殺技で決着か、ええな。そういう展開は大好きや」

 

それを見た霞は両腕で飛龍偃月刀を持ち、なにを思ったか頭上で回転させ始める。

 

凪 「、、、、、、、、」

 

   ギュィィィィィィィンン

 

霞 「、、、、、、、、」

 

   ブンブンブンブンブンブン

 

気が貯まる音と飛龍偃月刀が空を回る音だけが響く。

 

そして、

 

 

  

   『猛虎、蹴撃波!!!!!』

  

   『飛龍、半月斬!!!!!』

 

 

 

迫りくる気弾を霞は回転させた勢いのまま振り下ろした一撃で切り裂く。

 

凪 「そんな、馬鹿な、、」

 

霞 「凪ぃぃぃぃ!」

 

気弾を切り裂いたままの勢いで霞は凪との距離を詰め、無防備な凪の腹に柄での一撃が入る。

 

凪 「かはっ、、つっ」

 

霞 「ウチの、勝ちやな」

 

凪 「、、飛龍半月斬。薙刀を回転させその遠心力が最大になった時、流れのままに一閃させる一撃ですか、、」

 

霞 「こんな状況でも敵の分析か。相変わらず真面目やな、凪」

 

凪 「性分、です、ので」

 

そういうと凪は霞にもたれ掛かるように倒れる。

 

真桜「凪!」

 

沙和「凪ちゃん!」

 

霞 「安心し、気絶しただけや」

 

霞もまた、凪を胸に抱きながら地面に座り込む。

 

霞 「ウチは此処で退場か、先行っていいで」

 

真桜「ウチも残る。姐さんと凪を置いては行けんもん」

 

沙和「沙和も残るの」

 

霞「はは、そうか。なら、後は任せてゆっくりしよ」

 

そう言いながら、霞は抱いた凪の頭を撫でる。

 

霞「(一刀、分かってたはずやろ。自分の選んだ道が、一歩間違えればこうなることくらい。ウチらは一体、何のために戦ってるん)」

 

 

 

 

思春と別れ蓮華は一人、部隊を率いて進んでいた。

姉から命じられた命を行う為に。

 

そしてそこには、一人の少女が道を塞ぐように立っていた。

 

蓮華「っっ、、、、」

 

手入れが行き届きお洒落に束ねられた桃色の髪、そして褐色の肌がその者の性格を表すよう。

少女と言う言葉が誰よりも似合う。さりとて、その蒼穹の瞳には、

常人を逸した敵意と狂気が宿り映っていた。

 

蓮華「、、、、、どうして、、」

 

そう呟く彼女の妹、小蓮。孫尚香がそこには居た。

 

 

蓮華「一応聞いておく、そこに居ると言うことは退く気はないということなのか」

 

小蓮「うん。城門で凪と戦ったでしょ?お姉ちゃんは戦って無いかな?まあ、どっちでもいいけど、シャオも同じ。退かないよ」

 

蓮華の問いに、シャオはとびっきりの笑顔で答える。

 

蓮華「どうしてそんなことを、そう聞いたら答えてくれるかしら?」

 

小蓮「わからない訳じゃないんでしょう?シャオは、一刀の国を守るために此処に居るの。渡さないよ、誰にも一刀の夢は」

 

蓮華「そうか、、」

 

蓮華は諦めたように目を一度瞑ると姉から預かった南海覇王を抜いた。

じっと小蓮を見る蓮華、それを見た兵士達は頷きながら下がる。

 

南海覇王を受け取った蓮華は一歩前へ、小蓮の前へと立つ。

 

緊張した様子の蓮華に自然体の小蓮が話しかける。

 

小蓮「シャオと戦いたいなんて、お姉ちゃんはそんなにシャオのこと嫌いなの?」

 

蓮華「そんなわけ、ないだろう、、」

 

小蓮「じゃあ自分で戦ってシャオに怪我をさせないように倒すつもりかな?相変わらず優しいね、お姉ちゃん。けど、それは無駄だから諦めた方が良いよ」

 

蓮華「どういう意味だ、、」

 

小蓮「だって、雪蓮お姉様ならともかく、蓮華お姉ちゃんじゃシャオには敵わないもん」

 

蓮華「なっ、」

 

満面の笑顔でそう言う小蓮に、蓮華は驚きを隠せない。

 

小蓮「本当だよ?シャオ、天に来て、戦場に出てわかったんだ。シャオは、雪蓮お姉さまと似ている。そして、蓮華お姉ちゃんと雪蓮お姉様は似ていない」

 

蓮華「それは、、、、」

 

小蓮「だから、お姉様やシャオと違うお姉ちゃんがシャオと戦って勝てる訳ないじゃない」

 

蓮華「くっ、小蓮!それ以上侮辱するなら妹と言えど許さないぞ!」

 

小蓮「許さない?どうしてシャオが許されないと行けないの?シャオより弱いお姉ちゃんに、、」

 

その言葉を聞いた蓮華は南海覇王を小蓮に向ける。

 

蓮華「もういい!私が小蓮に劣ってなどいないということを、その身に教えてやる!」

 

小蓮「ふーん、、そこまでいうなら相手にしてあげる」

 

小蓮もまた、月下美人をその手に握る。

 

蓮華「次期呉国、国王、孫仲謀。押してまいる!」

 

小蓮「天国王妃、孫尚香。いっくよー!」

 

 

小蓮「やあ!」

 

先に動いたのは小蓮、右手に持ったチャクラムを蓮華に向け放つ。

 

蓮華「甘い!」

 

蓮華はそれを簡単に剣で弾く、しかし

 

小蓮「甘いのはお姉ちゃんだと思うけどな?」

 

蓮華「なっ、」

 

弾くことに集中しすぎた蓮華はチャクラムを投げると同時に走って来た小蓮に気づか無かった。

 

動揺し体勢を崩す蓮華に小蓮は左手に残したチャクラムの一撃を加える。

 

蓮華「つっ、、」

 

小蓮「ふふ、、」

 

とっさに避けた蓮華だか、肩から血が零れる。

 

一撃を入れ、小蓮は間合いを離す。

距離を取った小蓮の右手に先ほど弾かれたチャクラムが戻り、再び月下美人が小蓮の元に揃う。

 

小蓮「上手いでしょ。気ってこんなことも出来るんだよ」

 

蓮華「小蓮、貴方、何時の間に気なんて仕えるように、、」

 

小蓮「一刀に教えてもらったんだ。戦場に出てもらうけど心配だからって付きっきりで。だから、

こんなこともできるよ!」

 

また小蓮はチャクラムを放つ、

 

蓮華「なっ、、」

 

しかも、先ほどとは違い両方。放たれた月下美人は蛇交しながら蓮華の元へと向かう。

 

蓮華「つっ、はあああ!」

 

蓮華はその二つを防ぐために向かえ打つしかない。二つを南海覇王でなんとか弾く。

そんな蓮華の懐に再び小蓮は入り込んできた。

 

小蓮「とう!」

 

蓮華「かはっ、、」

 

月下美人の迎撃だけで精いっぱいの蓮華の腹に、小蓮の正拳突きが容赦なく決まる。

 

蓮華は床を転がった。

 

小蓮「うーん、気を込めた拳なんだけど凪や祭みたいにいまいち上手くできないなぁ」

 

そんなこと呟く小蓮の手に再び月下美人は戻ってくる。

 

蓮華「、、くっ、、小、蓮」

 

小蓮「あ、立てたんだ。一応本気でやったのに」

 

腹を押さえながら立ちあがった蓮華に感心したように小蓮が笑顔を見せる。

 

小蓮「そんなにお姉ちゃんはシャオを倒したいの?嫌いなの?」

 

蓮華「だから、嫌ってなどいない、、」

 

小蓮「なら、もういいじゃん。わかったでしょ?お姉ちゃんじゃシャオには敵わないって」

 

蓮華「まだまだ、だ!」

 

蓮華はそう叫ぶと走り、小蓮との間合いを詰める。

 

蓮華「(月下美人での間合いで戦っては勝てない。けど、南海覇王の間合いに入れば!)」

 

小蓮「はぁ、わかってないね。お姉ちゃん」

 

そんな蓮華に小蓮は右手にもったチャクラムを投げる。

 

蓮華「くっ、」

 

蓮華はそれをなんとは避けると小蓮に斬りかかる。

 

蓮華「はああああ!」

 

小蓮「よっと、」

 

小蓮はその斬撃を左手に残したチャクラムで防ぎきる。

 

蓮華「まだまだ!」

 

縦横無尽、蓮華は手を止めず連撃を続ける。

 

蓮華「(このまま、攻め続ければ、、)」

 

小蓮「お姉ちゃん。後ろ、気を付けた方がいいよ」

 

蓮華「え?」

 

連撃を器用に防いでいた小蓮がそんなこと呟くと同時に、

 

蓮華「がはっ!、、つっ」

 

蓮華の背に激痛は走る。

 

小蓮「だから言ったのに」

 

蓮華が間合いを詰める際、最初に放ったチャクラムが弧を描き巻き戻り、蓮華の背に直撃していた。

 

小蓮「はあっ!」

 

前のめりに倒れそうになる蓮華の腹に、再び小蓮の正拳突きが決まり、蓮華はまた床を転がる。

 

蓮華「くっっ、、、っつっ」

 

苦しそうに床に伏す蓮華を見ながら小蓮は笑顔で喋る。

 

小蓮「背に当たったのが”美人”で良かったね。お姉ちゃんも知ってるでしょ?シャオのチャクラムは二つで一つ。右手のが”美人”左手が”月下”、二つ合わせて”月下美人”」

 

なんとか立ちあがろうとする蓮華を気にする風も無く、小蓮は続ける。

 

小蓮「美人が打撃用。月下が斬撃用なんだけど、もしシャオが投げたのが美人じゃ無くて月下だったら、お姉ちゃんは今頃、真っ二つだったね」

 

そう、小蓮が喋り終わる頃には蓮華は再び立ちあがっていた。

 

小蓮「まだ立つんだ、、本当に、お姉ちゃんはシャオのこと本当に嫌いなんだね、、」

 

蓮華「そんなことは、、ない、と、言っている」

 

小蓮「ならどうして立つの?シャオのことを嫌いだから倒したいんでしょ?」

 

蓮華「違う、、私は、お前を止める為に、、」

 

小蓮「それは無理だってわかったでしょ?お姉ちゃんじゃシャオには勝てない。そんなにシャオを止めたいんならお姉様にでも頼めばいいよ。そうすればきっとシャオは負けて止まるよ?」

 

蓮華「違う、、、私は、自分の手でお前を止めたいんだ」

 

小蓮「一刀と一緒に呉を出て行ったシャオが嫌いだから、そう言って意地悪したいんだよね?」

 

蓮華「違うと言っている!」

 

蓮華の声が響き渡る。

 

小蓮「、、、、、、、」

 

蓮華「私は嫌ってなんていない。シャオが呉を出て行ったのも頭には来たが恨んでなんて居ない。私は、小蓮のことが好きだ。だから、今のお前は見ていられない。お前は、何が、何を、したいんだ」

 

その言葉に、小蓮は視線を床に落した後、

 

小蓮「そっか、、、、、、本当にシャオはお姉ちゃんのそういうところが嫌い」

 

蓮華「えっ、、、小、蓮」

 

悔しそうに顔を歪めながら蓮華を睨む。

 

そして、両腕に力を込め一気に蓮華との間合いを詰めた。

 

小蓮「怒れないんだ、戦えないんだ!自分の気持ちを殺してシャオに譲ってくれるの?、、本当に優しいね、お姉ちゃんは!優しすぎて、苛めたくなるよ!」

 

蓮華「なっ、なにを、言って、小蓮」

 

自分の間合いも戦い方も無視して小蓮は月下美人で連撃を繰り出す。

そんな滅茶苦茶な戦い方でも、蓮華は防戦に徹するしかなかった。

 

小蓮「知ってるんだよ。お姉ちゃん、一刀のこと好きでしょ」

 

蓮華「な、なにを、、、つっ」

 

戦闘中にそんなことを言う小蓮だが、その攻撃に手心は無く蓮華の体は容赦なく月下に切り裂かれる。

 

小蓮「呉に一刀が居た時、これから仲良くなろうと思ってたよね?仲良くなることを楽しみにしてたよね?シャオ、近くで見てたから良く解ったよ」

 

蓮華「く、、そ、それがどうした!」

 

そんな声と共に蓮華は反撃の一撃を繰り出すがあっさりとかわされ、美人を肩に叩きこまれる。

 

蓮華「ぐうっ、、」

 

小蓮「でも、そんなことを思ってたのに、、一刀は居なくなっちゃた。シャオと明命を連れて」

 

蓮華「だ、だからそのことは別に恨んではいないと」

 

小蓮「そうだね。一刀が呉を出て行ったことは恨んでないと思うよ。けど、”一刀がシャオと出て行ったことは恨んでるよね”」

 

蓮華「な、そ、そんなことを恨んでなど、、」

 

小蓮「好きな男を寝取られて、恨まない女なんか居る訳ないじゃない!」

 

小蓮の言葉で動揺した蓮華に、そんな叫びと共に正拳突きが当たり、

 

蓮華「つっっっ、、、くっ」

 

三度蓮華は床を転がる。

 

小蓮「本当に頭に来る。お姉ちゃん、争いもしないで男を譲られた女の気持ち考えたことある?何がしたいかわからない?嘘よ、何をしているか分かってるからお姉ちゃんはシャオを止めたいんでしょう。自分にはそれが出来ないから、一刀の為に戦えないから」

 

蓮華「つっ、、はぁ、はぁ」

 

蓮華は膝を振るわせながら、三度立ちあがった。

 

小蓮「ほら、認めなよ、お姉ちゃん。シャオのこと恨んでるって、うらやましいんだって!、それは自然なことなんだよ?」

 

蓮華「、、、、、、、、」

 

小蓮の問いかけに、蓮華は答えず小蓮を見つめたままだった。

 

小蓮「そっか、、、そんなんだから一刀に連れて行ってもらえなかったんだよ、、」

 

蓮華「、、、、、、、、」

 

小蓮「自分の気持ちも言えないような女、嫌われて当然だよね、、」

 

蓮華「、、、、、、、、、うな」

 

小蓮の言葉に傷ついた蓮華は何かを呟くが小蓮はかまわず続ける。

 

小蓮「シャオ、お姉ちゃんのことちょっと殺したくなっちゃった。一刀に殺しちゃ駄目って言われてたけど、、」

 

蓮華「、、、、、、、、言うな」

 

小蓮「シャオ、一刀が帰ってきたら怒られちゃうかな?お仕置きされちゃうかな?けど、きっと許してくれるよね」

 

蓮華「、、、、、何も、言うな」

 

小蓮「だって、“一刀はお姉ちゃんじゃなくてシャオを選んでくれたんだから”」

 

蓮華「それ以上、何も、言うな!小蓮!」

 

蓮華は戦いで初めて敵意を向けて小蓮を見た。その眼に、確かに憎しみを宿しながら。

 

小蓮「あは、あはは!それでいいんだよ。お姉ちゃん!でも、女の嫉妬は醜いよ!」

 

小蓮はチャクラムを両方とも放ち、蛇交させながらその後ろを駈け蓮華へと突っ込む。

 

蓮華「小ー蓮ー!!!」

 

蓮華はそれを弾くことはせず、向かってきた二つを文字通り、真っ二つに切り裂いた。

 

小蓮「え?、、、うそ」

 

そうして、南海覇王を持った蓮華と丸腰の小蓮は激突した。

 

 

小蓮「い、痛い、よ。お姉ちゃん」

 

蓮華「安心しろ、、」

 

 

衝突する刹那、剣を回転させた蓮華は柄で小蓮の鳩尾を打っていた。

 

 

小蓮「あ、あは、、やっぱりお姉ちゃんは優しいね。シャオ、お姉ちゃんのそういう所、たまに、頭に来るけど、、大好き、、だよ、、」

 

蓮華「小蓮、、、」

 

そう言って気を失った小蓮の体を蓮華は優しく受け止めた。

 

蓮華「一刀、お前は本当に死んだのか。もしそうなら、小蓮が惨めすぎるではないか。違うというのなら、早く来い」

 

 

 

 

多くの武人と相対しながら、その武人は立っていた。

 

深紅の髪から飛び出た二房の髪束を揺らしながら、目を瞑るその姿に白黒の服は良く似合ってる。

可愛らしいその顔とは相反し、肩に担ぐ武器は禍々しい様相を見せる。

一体何人の人がこの武器で屠られてきたのだろうか、一体彼女はどれだけの血をその身に浴びた。

そんな伝説ともいえる武人がいま、目を開けた。

 

恋 「来た」

 

雪蓮「ええ、来たわよ、呂布。それで、貴方が塞いでいるその建物の中に袁紹達が居るってことでいいのかしら」

 

さして何も意識せず、雪蓮は何時も通りの口調で話す。

 

恋 「 コクッ この間の中に、みんなが居る」

 

雪蓮「そう。それで、一応礼儀として聞いて置くけど、退く気はない?」

 

恋 「駄目、恋、獅堂に言われた。此処を動かないで誰も入れるなって。もし、麗羽達が外に出たら全部終わっちゃうからって。麗羽達、狭くて可哀想だけど」

 

しゅん、と申し訳なさそうに恋は視線を下げる。

 

恋 「でも、恋は一刀の国を守りたいから、恋は戦う。だから入りたいなら恋を倒せば良いと思う」

 

雪蓮「じゃあ少し手加減してくれない?」

 

恋 「駄目、本気で行く」

 

雪蓮の笑顔で言った言葉に恋も微笑みながらそう返す。

 

雪蓮「そう、じゃあもう話すことは無いわね。なれない剣でやりにくいけど、行くわよ「いや、私が行く!」邪魔しないでよ!」

 

春蘭「うるさい!私は華琳様から袁紹たちを救って来いと言われているんだ」

 

鈴々「それなら鈴々だってお姉ちゃんを助けなきゃならないのだ!」

 

そういって前に出ようとしたいつの間にか合流していた鈴々の手を華雄が掴む。

 

華雄「待て、私は呂布との戦闘経験がある。私が行く!」

 

鈴々「ええい、離すのだー!」

 

季衣「しょうがない、ここは僕が行く!」

 

流琉「えっ?季衣、突然どうしたの?」

 

そんな諍いが暫く続き、

 

雪蓮「呂布、その、全員を相手にしてもらうことは出来るかしら、、」

 

恋 「 コクッ 何人でもいい」

 

雪蓮「そう、ありがと」

 

結局はそう落ち着いた。

 

 

そして、実力不足の者、多勢で戦う為弓を獲物とする者以外の6人が武器を手に恋と対する。

 

春蘭「ふん、私達全員を一度に相手にするなど、思い上がりが激しいな呂布!」

 

季衣「通して貰うよ、こんなこと兄ちゃんが望んでる筈ないんだから」

 

流琉「そうです。もう、戦う意味は無い筈なのに、、」

 

雪蓮「そうね、本当に無駄な戦いだと思うのだけれど」

 

そんなことをまた話しだす彼女達に恋は静かに言う。

 

恋 「、、、、御託はいい、掛ってこい」

 

その言葉に、全員が武器を構え、、

 

春蘭「、、ふん、」

 

雪蓮「、、へえ、」

 

華雄「ああ、、、」

 

鈴々「おうなのだ」

 

季衣「、、、、、」

 

流琉「はい、、、」

 

目の色が変わった。

 

 

最初に動いたのは春蘭、

 

春蘭「はあああ!!」

 

何の変哲もない上からの剛撃が恋を襲う。

 

恋 「、、、、、?」

 

恋はそれを避ける必要も無いと戟を横に振るだけで押し返す。

 

春蘭「なに!?」

 

華雄「ふ、猪め。呂布に力で勝てる筈がないだろう」

 

弾き飛ばされた春蘭の横を華雄が飛び出し、大斧で上から斬撃を放つ

 

華雄「少しは頭を使うことだ!」

 

ように見せかけ、恋の手前で振り下ろした流れのまま下から振り上げる。

 

凪との戦いの始め、霞がやったことのまったくの逆を遣って退けた。

 

恋 「、、、、??」

 

しかし、それもいとも簡単に振り上げる前に戟で上から大斧を押さえつけられる。

 

華雄「なに!?」

 

鈴「うりゃりゃりゃー!」

 

何故か首を傾げ大斧を抑えた姿勢のまま止まる恋に横から蛇矛の横撃が迫る。

 

恋はすぐに大斧を弾き飛ばし視線も動かさずにそれを防いで見せた。

 

鈴「にゃ、にゃにー!」

 

恋 「、、、???」

 

季衣「二人なら、」

 

流琉「届きます!」

 

吹き飛ばされる鈴々を横目に見ながら、二人は素早く恋に剛撃を放つ。

 

季衣「貰った!」

 

流琉「貰った!」

 

恋「ん、、、、、しょ」

 

季衣の首を狙った一撃をしゃがみ回避した後、低い姿勢から流琉の顎を目指して拳を上げる。

 

恋 「やあ」

 

流琉「えっ、、、ぐう!」

 

顎を拳で打ち上げられ、見事にアッパーを決められた流琉は落下し飛びそうになる意識をなんとか

保ちながら地面を転がり体勢を立て直す。

 

季衣「流琉!」

 

恋 「、、????」

 

雪蓮「余所見とは余裕ね」

 

春蘭「舐めるな!」

 

華雄 「決まりだ、呂布!」

 

思春の転がる様子を見ていた恋に正面から雪蓮、右から春蘭、左より華雄の攻撃が迫る。

 

恋 「、、、回る」

 

雪蓮「うそ!」

 

春蘭「なあ!?」

 

華雄「くっっ」

 

恋は方天我戟を長く持つと勢いを付け回転しながら器用に南海覇王、七星餓狼、金剛爆斧の全てに当て三人を弾き飛ばす。

 

恋 「??????」

 

 

みんなが平等にいとも簡単に己の攻撃を防がれ、距離を取るなか恋はぼそりと呟いた。

 

恋 「みんな、弱い?」

 

春蘭「なんだと!」

 

華雄「流石に聞き捨てならん!」

 

鈴々「頭に来たのだ!」

 

季衣「むー!」

 

怒り沸点低い組が一斉に恋へと飛びかかる。

 

正面より迫る七星餓狼、恋はそれを正面から真っ直ぐ撃を振り下ろしはじき返す。

 

春蘭「なにぃぃぃ!」

 

そしてその勢いのまま方天我戟を横に持ち直し、刃で迫る右より迫る金剛爆斧を柄の先で左から来る岩打武反魔を止める。

 

季衣「うそ、」

 

華雄「ありえん、、」

 

身軽さを生かし跳躍したのだろうか、飛びながら迫る鈴々に恋は一度戟を回転させ止めていた二つを弾くと柄で肩を撃つ。

 

鈴「くうっっ」

 

恋は飛ばされた鈴々が地面に落ちるのを首を傾げながら見る。

 

恋 「みんなが弱いんじゃない、、恋が、強い?」

 

 

そんな様子を、煽り体勢高い組は離れてみていた。

 

流琉「孫策様、気づきましたか?呂布はあそこより一歩も動いていません」

 

雪蓮「え?そりゃ、追撃はしてないけど、それがどうかしたの?」

 

流琉「違います。文字通り”一歩も動いていない”んです。回転する際も軸足の位置は動いていません」

 

雪蓮「、、へぇ、本当ね。つまり今の呂布は防御に徹しているということ」

 

流琉「はい」

 

雪蓮「それがわかっても、行くしかないわね!」

 

流琉「そうですよね、、」

 

 

押され倒される四人を見て二人は助けに入るように恋へと向かう。

 

しかしやはり、

 

雪連「くっ、」

 

流琉「っっ、」

 

攻撃は恋には届かない。

 

 

恋 「無駄、やっとわかった。今の恋は、、すごい強い」

 

初見と同じよう姿で方天我戟を肩に担ぐ恋を他の者は肩で息をしながら見る。

 

春蘭「(これが、呂布の力。あいつに次ぐ、最強の武力)」

 

華雄「(強いとはわかっていたが、此処までだったのか)

 

雪蓮「(無双の武も、守に回せば鉄壁と言う訳ね」

 

恋 「もう諦める?恋も知らなかったけど、恋、守る戦いはすごい強い。一刀の国を守ってる、今の恋は無敵」

 

雪蓮「さすが大陸最強ね。「違う」えっ?」

 

顔を俯け、放たれ、響くその悲痛な声に武器を構えた彼女達は不思議そうに恋を見る。

 

恋 「恋より一刀の方が強い。 フルフル 一刀は、、生きてる。だから、守る。一刀の帰る家」

 

雪蓮「何か、言ったかしら?」

 

聞き取れるかどうかの声量でなにかを呟いた恋が顔を上げればその頬には涙が伝っていた。

 

春蘭「お前、、、泣いておるのか?」

 

恋 「だから、、恋が一刀を守る。一刀の夢も、恋が守る。誰も、此処は通さない」

 

そう言うその眼には、確かな殺意が宿っていた。

 

 

雪蓮「私に、考えがあるわ」

 

あらゆる攻撃がいとも容易く返され、流石に攻めあぐねる5人に雪蓮が声をかける。

 

春蘭「なんだ」

 

雪蓮「まずは呂布を消耗させるわ、互いに援護し合って絶えず攻撃を続ける。その後はまた指示をだす」

 

雪蓮の言葉に頷きあいながら、全員が再び恋に向かい武器を向けた。

 

 

斬撃、剛撃、突き、払い、体技、振り被り、振り下ろし、多種多様な攻撃に身を晒されながら、

それでも恋の体が動くことは無く。返す技で敵を切り裂く、まるで一刀の戦い方を真似るように。

 

春蘭は、雪蓮は、華雄は、鈴々は、季衣は、流琉は、互いが互いを庇い致命傷だけは避けながら連撃を続ける。

 

既に恋が防いだ攻撃は三桁。そんな恋の額を汗が流れるのを、雪蓮は見逃さなかった。

 

雪蓮「今よ!華雄、夏候惇、張飛」

 

華雄「わかっています!!!」

 

春蘭「はああああああ!!!」

 

鈴「うりゃりゃりゃー!!!」

 

雪蓮の叫びを受けた三人は左側から揃って剛撃を繰り出す。

 

恋 「無駄」

 

恋は渾身の力でそれを迎撃し、一人と四人の武器は弾きあう。

 

雪蓮「典韋、許緒!」

 

流琉「はい!」

 

季衣「うりゃー!」

 

恋 「、、無駄」

 

右側から迫る三人の攻撃を、恋は弾かれた勢いを利用して弾く、否、弾く筈だった。

 

恋 「え?」

 

雪蓮「、、いくら貴方と言えど、あの三人の馬鹿力を弾くには本気で行くしかない。そして、もしその時に反対側から攻撃されればその勢いのまま戟を振るい防ごうとする」

 

恋 「どう、して?」

 

恋が、攻撃が来ていると感じた場所に岩打武反魔も伝磁葉々も無い。

季衣達は攻撃をする降りだけをして、実際に繰り出してはいなかった。

 

雪蓮「その時の戟の勢いは速過ぎて、止められないでしょ!」

 

恋の方天我戟は空を切り、生じた隙に雪蓮の一閃が走る。

 

恋 「、、、、あ」

 

雪蓮「貰ったわ!呂布!」

 

迫りくる南海覇王を、恋はまともに受けるしかなかった。

そして、恋は戟で倒れ落ちる体を支えようとし、、、、倒れ落ちた。

 

恋 「ごめんね、、一刀、、恋、強くなるから、、次は絶対負けないから、、帰って来てよ、かず、と、、、」

 

雪蓮「、、、呂布」

 

そんな言葉と共に、人中の呂布との戦いは終わりを告げた。

 

 

 

 

凪が負け、小蓮が敗れ、恋が倒れ、天は真天城城内まで進行を許し、既にまともな戦力など残ってはいなかった。

そんな中、獅堂は一人ある部屋への道を、身体を引きずり進んでいた。

 

獅堂「くっそが、根暗のやろう、、」

 

既に勝敗は決していた。

それでもなお、その眼から火は消えてはいなかった。

 

獅堂「は、はは、はははは。負けねえ、終わらねえ、終わってたまるかよ。あいつの夢を、一蝶の野望を、俺の願望を、天の未来を、諦めてたまるかよ。まだ、、まだ、やれる。夜明けなんて許さねえ、俺は諦めねえぇぇぇ」

 

全身から滴る血など気にすることなく、ただ道を歩く。

唯一、残された勝利の可能性。

屑ほど残るそれを手にする為、離宮へと向かう。

 

獅堂「屑だな、俺は。こうでもしなきゃ、勝てねえなんてよぉ。けど、仕方ねえじゃんか。勝ちたいんだよ、守りたいんだよ。勝つために、なんでもするってのは間違っちゃいねえだろーだ」

 

そこに居るのは二人の少女。

一人は獅堂が良く知る子、もう一人もまあ、知っている子。

 

獅堂「とりあえず、、あのガキを人質にとりゃ、止まらざるえないだろ。は、はは、」

 

そう笑うとするとき、カツッカツッ、と誰かが近づいて来る音が聞こえた。

 

獅堂「誰だ、」

 

負けないため、最後の勝利の可能性を消さないため振り返った獅堂の顔が一瞬止まり、笑みが浮かぶ。

 

獅堂「ああ、テメーかよ。おせえんだよ、帰ってくんのがよぉ。おかげで全部ぶっ壊しちまったじゃねえか」

 

獅堂は力が抜けたように地面にへたり込むと、

 

獅堂「守ったぜ、テメーの大義はこの俺が。は、はは、ああ、守れたか、あの子達を」

 

気を失った。

 

  「ああ、守ったさ。よくやった」

 

 

 

 

牢獄、そこに華琳はいた。

制圧した勢力下、そこで華琳は驚愕していた。

 

華琳「なん、ですって。本当なの、麗羽」

 

麗羽「ええ、本当ですわ」

 

華琳「でも、あの人は、今は長安に居る筈でしょう!」

 

麗羽「獅堂が連れ戻したんですの。従わなければ私たちを殺すと脅して」

 

華琳「なら、本当に此処の城に離宮に、」

 

麗羽「ええ、劉協陛下が居ますわ」

 

 

 

 

倒れた獅堂を寝かせ、先にある離宮を見る。

間に合わなかった、俺が着いた時には全てが手遅れだった。

なら、どうする?もう、黒天成就は果たせない、なら俺のやるべきことは。

子供のように眠る獅堂の表情を見て、迷うことは無いと悟る。

 

一刀「勘違いすんなよ、俺はホモじゃないしこれはお前の為じゃない。俺は、俺の為に、全てを終わらせてくる。ああ、どの道、恋や凪、小蓮のこともあったしな。ちょうどいい。全部救ってくるさ、俺のやりたいように」

 

たどり付いた離宮の前、一瞬だけ立ち止まると扉を開ける。

中には、璃々と劉協が居た。

 

璃々「、、、、、」

 

璃々は文字通り、幽霊でも見る様な眼で俺を見た後、泣きながら抱きついて来た。

 

璃々「おにぃ、ちゃん?おにいちゃん、かずとおにいちゃん!」

 

一刀「、、泣き過ぎだ。泣き虫だな、璃々は」

 

璃々「だって、だって、、うう、うぇぇ」

 

劉協「ぐっす、よかったな、璃々」

 

いつの間に仲良くなったのか、劉協も涙声になっていた。

頭を撫で、しばらくすると一転、璃々は怒りながら俺が突然いなくなったことを責めてくる。

泣きながら怒る璃々に俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

璃々「で、璃々。最後に言いたいことがあるんだよ」

 

すーっと息を吸い込む璃々を見て、大音量での罵声を覚悟した俺だが、紡がれた言葉は、

 

璃々「おかえりなさい」

 

優しいそんな言葉で、俺はそれを聞いて悔いの全てが無くなった。

 

一刀「ただいま」

 

そう言って最後に璃々の頭をくしゃくしゃになるまで撫でると俺は言う。

 

一刀「さて、璃々。俺は最後の仕事があるから、璃々は外に出てあっちに居る獅堂と合流してくれ」

 

璃々「え?まだ、お仕事あるの?」

 

一刀「ああ、でもすぐ終わる。だから終わったら一緒に遊ぼう」

 

笑顔でそう言うと璃々も満面の笑顔を返してくれた。

 

璃々「うん!」

 

そう言って手を振りながら出ていく璃々を見送ると、俺は劉協の方へ向きなおり、

 

劉協「どうした?」

 

刀を抜いた。

 

劉協「、、、、そうか、そうなんだな」

 

一刀「ああ、そうだ。悪いな劉協、俺はお前とあの子なら迷わずあの子を選ぶ」

 

そう言うと劉協は覚悟したように、俺の前へと立ち真っ直ぐと俺を見る。

 

劉協「よし、いいぞ。受け入れてやる」

 

一刀「素直だな、嫌がってもいいんだぞ?無理やりやるだけだが」

 

劉協「鬼畜め、やはりお前は魔王だな、、、お前こそいいのか?全てを失うぞ?」

 

一刀「いいさ、別に」

 

俺の答えに劉協はわからないと首を傾げる。

 

劉協「なあ、一体お前は何がしたかったんだ?これがお前が望んだ未来なのか?」

 

一刀「初めは全てを守るため全てを背負おうと思った。次は全てを守るため全てを手に入れようと思った。だが、こうなったなら俺は全てを守るため、捨てるしか無いじゃないか、全てを」

 

暴君になろう、魔王として、最悪最低の行いをしよう。

獅堂の名も、小蓮の威光も、凪の武勇も、恋の伝説も、この無謀な反乱で穢れてしまうだろう。

そんなこと、許せる筈がない。

なら、抵抗できない小さな少女を傷つけるという、最低な王の名を轟かせよう。

この反乱が霞んでしまうほど最低で、この反乱の志望者が俺であったと知らしめよう。

 

全てが手に出来ないなら、せめて、手にした者を守るしか無いじゃないか。

 

劉協「それで、いいのか?」

 

一刀「俺は俺の守りたいものを俺のやり方で守るだけだ。たとえ、約束を破ることになろうともな」

 

最後にそう笑って、剣を振り降ろした。

劉協は苦痛の悲鳴を上げ、膝をついた。

俺は笑い声を上げる、魔王として最後まで、魔王である為に。

 

大義とは大罪であり、それを背負う者こそ魔王である。

 

かつて麗羽にいったことを思い出す。

 

       『お前に覚悟はあるか?命を背負い、命を捨てる覚悟が』

 

ああ、あるさ、故に背負おうその大罪の全てを。

 

 

 

 

華琳「そこをどきなさい!」

 

逆狗「退かない、退けるわけ無いがないだろう。ふざけるなよ、曹操。隠密にも隠密なりの意地がある」

 

幾度となく鎌で切り裂きれ、血塗れの身体をさらに血で染めて逆狗は立っていた。

 

逆狗「はは、ははは。俺はもうこれ以上、主の邪魔を誰にもしてほしくないんだよ!!」

 

泣きながらそう叫ぶ逆狗を見て、華琳は悟る。

この男に勝つことは出来ても倒すことは出来ないと。

 

華琳「本気で殺すわよ!」

 

逆狗「お好きにどうぞ!」

 

殺気がぶつかり合う中、

 

璃「へ?真黒なお兄ちゃん?」

 

突然現れた少女に華琳はもちろん、璃々と知り合いの逆狗すら唖然とする。

 

そして、次の瞬間。

 

劉協の悲鳴と、一刀の笑い声が響いた。

 

逆狗「、、ああ、終わったの。主」

 

もう、仕事は終わったと地に着く逆狗から眼を離すと華琳は声のした方向へと駆け出していく。

 

 

そして、たどり着いた先で見たものは、

 

顔を切り裂かれ血塗れになった劉協と、笑い狂う一刀の姿。

 

華琳「、、、一刀、、、それが貴方の選んだ答えなのね、、、馬鹿」

 

そう、呟くと後ろから駆け付けてきた兵達に華琳は命じる。

 

華琳「天子様を傷つけ、大陸を混乱させた元凶たる魔王を、拘束しなさい!」

 

一刀「は、はは、馬鹿かお前は、華琳。雑兵如きが、この俺を捕えられると、そう言うのか!なめるなよ、大陸最強の武を!」

 

瞬間、その場に立つ者は一刀と華琳になっていた、血風が吹き荒れる。

 

華琳「、、、、、、」

 

一刀「、、一つ聞きたい、華琳。獅堂から聞いた、停戦中に村を襲ったのは何処の兵だ。魏か、呉か」

 

華琳「、、、両方よ。いい訳に聞こえるかもしれないけど聞いてくれるかしら?」

 

一刀「ああ、」

 

華琳「やはり、急ぎ過ぎたのよ、私も孫策もね。お陰で指揮系統に乱れが生じ、天を囲むように全域に放った兵士達に連絡が行きとどかなかった。そのせいで、いくつかの村が襲われたのは聞いた、兵士たちも怖かったのでしょうね、襲われた村は初期、貴方に続いた者達。貴方への忠誠はもはや妄信とすら言えたのだから」

 

一刀「そうか、なるほど。そう言うことだったのか、安心したよ、華琳たちの意思でやっていたなら、少しばかり傷ついていた」

 

それだけ言うと俺は華琳に背を向け、扉の方へと向かっていく。

 

華琳「待ちなさい!何処へ行く気なの!」

 

一刀「何処へ?無意味な問いだろ、今もまだ戦争は続いているんだ。戦場に立つことの何処がおかしい?」

 

華琳「行かせると思っているのかしら。一刀、、わかっているでしょう、、これ以上は無意味な犠牲よ。貴方の国は、負けたのよ」

 

絞り出すような声が耳に響く。

 

一刀「わかっているさ、けど、けじめはつけなきゃならないだろ。華琳、俺に武器を向けるなら春蘭達を呼んでからにしろよ。お前じゃ、俺には敵わないだろ」

 

それだけ言うと、俺は外の戦場へと歩いて行く。

背に璃々の声を聞かぬように道を選びながら、我ながら卑怯者だと思う、いまだ俺が人を殺す姿を見せたくないなどと思っているのだから。

 

「さてと、流石は呉と魏の精鋭か。こちらの兵達はほぼ沈黙、まあ、別に俺だけいれば十分だとも思うんだがな」

 

城壁の上に登り、見わたせばちらほらと武器を落とし制圧されている天兵達の姿が映る。

多くの者は自発的に降ったのだろう、しかし文句も言えない、なにしろ将全員が倒されたのだ、戦えという方に無理がある。

むしろ、おそらく将が倒れてもなお抵抗を続けようと試みたであろう彼らには拍手でも送るべきだ、そんなことを考えていると一人の兵が俺の姿に気付いたのかこちらを見上げてくる、何処かで見た顔だった。

 

東鳴「、、、、、、、まさか、そんな、生きて、おられたのですか」

 

遠くで呟かれたその言葉に呼応するように、波及するように多くの者の視線がこちらを向く。

 

凪 「かずと、さま」

 

霞 「かずと、、やっぱ生きとったんやな」

 

真桜「うそ、本物なんか」

 

沙和「足があるから幽霊ではないと思うの」

 

 

小蓮「は、はは、あはははは。やっぱり、生きてた、一刀は生きてたよ!お姉ちゃん!」

 

蓮華「ああ、本当に、、良かった」

 

俺は、笑みを浮かべた。

 

一刀「問おう、我が兵達よ!何ゆえに剣を置く!臆したからか?ならば握れ、我が前に敵がいないことなどお前達がよく知っているだろう!疲れたのか?ならばいい、立てる者だけ立って見せよ!負けを認めたのか?それでもいい、最終にして最大、最高の負け戦を存分に楽しもうではないか!さあ、剣を取れ、立ちあがれ、戦友達よ!」

 

「「「「「「「お、おおお、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」

 

稟 「な、これ以上の戦闘は無意味だという事くらい貴方ならわかるでしょう!一刀殿!」

 

一刀「祝おう、呉の兵達よ!魏の兵達よ!よくぞここまで成り果せた!我が天を破ったその意志、武は至高のものと信じよう!一度は言ってみたかった!相手にとって不足無し、さあ、我が武、我が大義、その意志と力を結集し破って見せよ!」

 

「「「「「おお、おお、うううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

桂花「な、何を考えている訳。敵の兵まで煽って士気をあげるなんて。馬鹿なの、死ぬの」

 

一刀「何を考えているかか、決まっているだろう。俺が言うことは一つのみ!」

 

一気に息を吸い、吐き出した。

 

一刀「俺は俺の道を行く!言葉などでは止まらん!故に、武人達よ、全ては血風の中で語り合おうぞ!」

 

俺は刀を担ぎ、戦場に立つ。

今まで、浮かべたことのないような笑みを浮かべながら。

全ては終わった、大義は朽ちた、罪は背負った、なら後は好きにしよう。

語りたい者達と、存分に語り合おうじゃないか。

 

春蘭「ふ、ふふ、ふふははは。良いぞ、良いぞ、それでこそ面白い!貴様には百以上文句があるのだ!我が七星餓狼に乗せて、全てを語ってやろうではないか!何故、なぜ、お前は華琳様を裏切ったのだ!この馬鹿者がぁぁ!」

 

「お前に馬鹿呼ばわりされる日が来るとは思わなかったよ」

 

一番最初に乗ってきたのは春蘭、それに続くように次々に武器が襲ってくる。

 

季衣「なんで僕に何も言わないででていっちゃったんだよ!兄ちゃんの馬鹿―!」

 

流琉「さびしかったんですからね!兄様の馬鹿―!」

 

霞 「一刀―!凪を泣かせるとはいい度胸やな!生きてるなら紛らわしい真似するなやー!」

 

秋蘭「伝えておくことがある。私は、お前の友を殺した、しかし、それを恥じてはいない。悔いもしない、あれ程の男と対することが出来たのだ。生涯の誉と信じよう!」

 

「ああ、そうしてくれ。その方が、一蝶も喜ぶだろうからな!」

 

桂花「、、、馬鹿ばっか」

 

稟 「私達軍師にはわからない世界なのでしょう」

 

 

何も守れなかった青年、目的を果たせなかった男、志半ばで倒れた将、思いを遂げられなかった王、負けて、挫けて、朽ちた、願い。

 

 

鈴々「愛紗を何処にやったのだ!鈴々のお姉ちゃんを返すのだー!」

 

焔耶「高定とかもう死んだ奴のことはどうでもいい!貴様の所為で桃香様と離れ離れになってしまったじゃないかぁぁ!」

 

桔梗「はは、体が疼くのぅ。一度、手合わせ願いたいと思っておった。我が豪天砲の一撃、受けて見せろ!」

 

朱里「は、はわわ!何やら大変なことに!一般兵の方は危ないのでさがってくだしゃい!

 

 

一生懸命に頑張って、大切なものを傷つけてでも貫いて、それでも行為は全く意味を成さず、努力は須らく無駄に終わった。

 

 

蓮華「かずと、かずと、わ、わかっているわよ、小蓮。う、うん、自分の気持ちに素直によね。べ、別に私だって出来るんだから」

 

思春「死ね、しね シネ。よくも蓮華様を、、、何も言わずに黄泉路に旅立っていればよかったものを」

 

華雄「ふ、ふふははは、ずいぶんと余裕だな!だが、いつまでも昔の私ではないぞ!私にも遂に目立つ時がきたのだ!」

 

祭 「むう、呂布や華雄すら超える武か。ちと興味があるの」

 

亜莎「えっ、えっと、その、わ、私は武人として行った方がいいのでしょうか、、それとも軍師として残るべきか、悩みます、、」

 

穏 「あはは、どっちが正解なんでしょうね~」

 

冥琳「止めておけ、亜莎。あんな馬鹿騒ぎに飛び込めば馬鹿だと思われる」

 

 

無残に、あるいは無慈悲に、ただ無様に、どうしようもなく後悔しながら死んでいき、破れた者が多くいたhappyendからは程遠い物語。

 

 

麗羽「はぁ、なんなんですの、一刀さん。生きていたなら私が獅堂さん達と対することもありませんでしたのに」

 

恋 「麗羽、ごめん、狭かった?」

 

音々「ですぞ!」

 

猪々子「ふふふ、あたいはわかってたね。アニキが生きてるって。こう、なんか、直感みたいのがビビビッと来てたから」

 

斗詩「はいはい、そうだね。文ちゃんはすごいね」

 

明命「良かったです、かずとさま、かずとさまぁ」

 

小蓮「もう、明命はなに泣いてるのよ。一刀が妃であるシャオを置いて死ぬわけないって言ったじゃない」

 

凪 「その、真桜、沙和、、勝手に一人で、ごめん。一刀様が戻られて冷静な内に誤っておく。ごめんなさい」

 

真桜「ま、確かに先走ったのはいただけなかったけど、」

 

沙和「沙和達はそれが凪ちゃんの良いところでもあるって知っているの」

 

風 「むー、お兄さんがいると本当に騒がしいですねー。これじゃあ、お昼寝もできないのですよー。迷惑なのです」

 

宝譿「おいおい、じゃあなんで笑顔なんだよ」

 

蒲公英「あー、お姉様泣いてるのー?割りきったようなこと言ってたのに。本当はご主人様のこと心配だったんだ」

 

翆 「な、泣いてなんかいない。そ、それにもし泣いてたとしても、心配して、悪いかよ」

 

星 「ふふ、私の心を此処までざわめかせるとは、本当に主は罪なお人だ」

 

雛里「あ、あわわ。兵士の皆さん!見るだけにしてください!絶対に入り込んじゃだめですよぉ。死んじゃいましゅ」

 

璃々「ねえ、お母さん?なんでみんな喧嘩してるの?」

 

紫苑「喧嘩じゃないわ。ただ少し、本当に少しすれ違って離れてしまった距離を戻そうとしているのよ」

 

 

それでも、誰かが笑っていた物語。誰も望まなかった物語、されど、誰かが願った物語。

 

 

獅堂「は、ははは、流石、一刀だ!いいじゃねえか、血が滾ってよお!」

 

逆狗「止めておけ、獅堂。そんな体で行ったら本当に死ぬぞ」

 

哀 「、、、、、、、ふふ」

 

 

もしかしたら、別の未来があったかもしれない。

欲望を持たなかった天の御使いの物語、一人の犠牲も出さず、涙が零れる感動喜劇。

けれど、それは、たぶん、別の外史のお話。

 

 

劉協「うう、あまりに綺麗に切ってくれたせいでもう痛みも薄いが、こんな形で汚名を被るなど本当に不器用な男だ」

 

華琳「そうですね、陛下。本当に、もっと器用なら別の未来をあったかもしれないのに。本当に馬鹿なんだから」

 

雪蓮「けど、仕方ないことなのでしょうね。だって一刀が器用だったら色々つまらなかったわよ、きっと」

 

桃香「ああ、みんな大丈夫ですよね?あれ、本当に殺し合ってる訳じゃないですよね?」

 

 

少なくとも、この物語には敗者がいた憎しみは渦巻いた。

けれど、もし明日という夜明けを目指しひた走るならいつの日か、それは消えるのかもしれない。

 

 

「さあ、越えてみよ。我が大義、打ち砕けるというのなら!」

 

 

不幸なのか、幸運なのか、一人の王の大義は叶うことは無かった、それが、この世界の答え。

 

 

黒天は、明けた。

 

 

 

 

新暦、一年。

 

天が滅びさり、魏と呉が大陸を統べることとなった洛陽の王間において、一人の罪人が裁かれることとなった。

 

幾千の時が立ち、風化した今となってはその名を知ることすらできない。

ただ一つ、その者は魔王と呼ばれていた事実が残る。

 

その王は臣下すら怪しげな術で操り、魔性の人心で人の心を弄んだと言われた。

事実、臣下であった者達は囚われた王を、涙を流しながらその者を罵倒したという、無論、その涙がどういう意味であったかなどは今となっては知るよしもないが、事実とし伝わることを聞くには臣下であった者達の命は帝であった劉協、そして呉王孫策と魏王曹操の名の元に助けられたというのだからおそらくは憎しみの涙であったのだろう。

そして魔王と呼ばれた王は、最後までつき従った者たちと共に斬首され、形も残らないほどに切り裂かれたそうだ。

 

書には魔王が最後に残したとされる言葉が残されている。

 

「明けぬ夜が無いのなら、沈まない太陽も無い。いつの日か、必ず夜は訪れる」

 

その言葉は恐怖と不安を大陸の民達へ知らしめた。

そして、恐怖にあった民達を統べる為、魏と呉、そしてよみがえった蜀の三国は劉協を中心とした新たな王朝の建国を宣言することとなった。

 

その王朝の名は、北郷。

後の三千年まで語り継がれることとなる大国の完成であった。

 

 

朝日が降り注ぐ河原で寝ていた俺は目を覚ます。

 

「ふぁあ、夜が明けたか」

 

「一刀様。朝ご飯が出来ていますよ」

 

「一刀、おはようって、なんで小蓮がそこにいるのだ!」

 

「うるさいなあ、良いじゃん。昨日は熱かったね。一刀♪」

 

「き、貴様!ま、まさか、今日もか!私が正妻であることを忘れたわけじゃないだろうな!」

 

「ふん、シャオは認めた訳じゃないもんね!大体愛紗、そんな腕じゃ愛妻弁当も作れない癖に!」

 

「う、腕のことはいうな!腕のことは!」

 

「あ、あの、一刀様。私も朝ご飯を作ってみました、唐辛子びたびたで」

 

「おなかへった、、、」

 

「あ~あ~、うるせえな、おい、肉あるか肉」

 

「ねえよ、魚食え魚、新鮮だぞ。釣ったばかりだし」

 

「取りあえず食ったら行くぞ、今日から一年に一度、洛陽で開かれる祭りの日だからな。この期間しかみんなに会えないんだ、遅刻はしないようにしないとな」

 

「うん、音々、麗羽、元気かな」

 

「鈴々は桃香様に迷惑をかけていないだろうな」

 

「小蓮、お姉ちゃん達に会える。楽しみだな~」

 

「真桜、沙和、元気だろうか」

 

「取りあえず、根暗に喧嘩を売りに行くか」

 

「返り討ちにあうぞ」

 

地位も失い、名も捨て、彼らは今日も歩きだす、いつかまた太陽が堕ちる日を願いながら。

 

 

戦い負けた、されど、黒空は落ちなかった。

慈悲と呼べばいいのか、情けと呼べばいいのか、それとも憐れみか。

どうであれ、青年達は生きていた。この広すぎる大陸の何処かで。

たぶん、それはきっと、誰かが望んだことだったから。

 

 

----真に大きな国が、開花期を迎えようとしていた。王朝傘下三国に三人の王がいたり。

 

その一人、曹操は、勝利は不可能に近いと言われた第二次五胡侵略において、匈奴軍を破る作戦を立て、それを実行した。

 

その盟友、孫策は張遼、馬超らと共に大陸の騎兵を育成、世界最強と呼ばれたローマ騎士団を破る快挙を遂げる。

 

もう一人は、その言葉を武器に外交を重ね、世界平和の概念を作り出した大徳、劉備である。

 

世界乱世という荒波の中で、もし空に一重の雲があるのならそれのみを見つめひた走る、そんな物語もあって見れたかもしれないのに、いいのかしらあん。管路ちゃん----

 

しかし、その物語の中に一人の男の名は無い。

 

「なら、私は、興味はありませんね、ちょうせん。私もまた、ただ一人の観客なのですから「哀、どうかしたか」いえ、今、行きます。一刀様」

 

所詮、人に全ては得られない、救えない者は救えない。ならばせめて、手にしたものだけは守り抜くべきだ。

 

今更ながら、そんなことに気付いた気がした。

 

 

 

「まあ、けど、黒天はまた昇る。この俺が、居る限り」

 

視線を上にあげると遠くで村から黒煙が噴いているのが見えた。

青年の笑みが先ほどまでのそれとは違うものとなる。

 

「やっぱり、俺の言った通りじゃないか。いくら夜が明けようと、黒は消えない。太陽があるせいで影が出来るんだよ」

 

 

その男は天に住み、あらゆる英雄も、あらゆる道士も、あらゆる全てを持ってもつなぎとめることが出来ない。

 

彼は英雄も堕とし、道士も破り、笑い続ける外史の主、この世のありとあらゆる全ても彼を抑える力にならない。

 

故に、神は問われた、貴方は何者か。

 

「愚問なり、無知盲昧、知らぬならば答えよう。我が名は北郷一刀。黒天よりの御使いなり」

 

 

 

 

真・恋姫無双ss夜の王    完。

 

                    著 yuuki

 

 

             後書き

 

自分の作品を最後までお読みになってくれた皆さまに心からの感謝を送ります。

去年の夏ごろより、何のプロットも無く、迷走を続けながらも此処までたどり着けたのは皆さまの暖かなご声援あってのことでした、事実何度筆を置こうと思ったことか、、、。

 

不満な点、不明な点も多くあると思いますがこの物語に関しては一旦、筆を置かせて頂きます。

何度も言うようですが、本当にご声援ありがとうございました。

応援メッセージ、お褒めのコメント等を頂いた時は本当にうれしかったです。

 

次回作に関しては随時執筆中です。

と、いう少々の言い訳を最後に一時の別れとさせていただきます。

 

 

真・恋姫無双 夜の王 ご愛読ありがとうございました。

 

 

 


 
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