No.206408

ふわふわり

tanakaさん

どうしてこうなった!?
そんな感じですよ。

2011-03-14 23:05:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1555   閲覧ユーザー数:1482

 ふわふわ。

 ふりふり。

 耳と尻尾が揺れるたび、先輩の視線もそれに合わせて動く。

 まったく……先輩は本当にどうしようもない雄だわ。

 

『頼む黒猫! この動く猫耳と尻尾をつけてくれ! この通りだ!』

 私の顔を見るなり土下座をしつつ、そんなお願いをしてきた。

 どうして先輩がここまで必死なのかは分からないけど――

 

「ほんと、先輩はどうしようもないわね」

「うぐっ、これは違うんだ。これは――」

 何が違うというのかしら?

 ぜひ教えて欲しいわね。

「お、俺にはこんな趣味は無かったんだが、猫耳と尻尾をつけた黒猫があまりに可愛すぎる

から、だから俺は――」

「やめてちょうだい」

 そんな恥ずかしい事、いちいち声にしないでよ。

「ただでさえ黒猫は可愛いのに、猫耳と尻尾は凶悪すぎるだろ」

「~~~~~~~~っ!」

 こ、この男はさっきから何を言ってるのよ?

 あ、ああ、頭でもおかしくなったんじゃないのかしら!?

「いーや、止めないね。お前がどんだけ可愛いか説明をしてやる」

 変なスイッチでも入ったのかしら、さっきから先輩の言動がおかしい。

「いいか黒猫。黒猫に猫耳と尻尾。この組み合わせはなぁ――」

 先輩が語りだしたわ。

 もうダメかもしれない。

 こんな恥ずかしい台詞、ずっと聞き続けるなんて出来ないわ。

 なんとかして止めさせないといけない。

 

「あのね、先輩――」

「なんだ黒猫。まだ俺の話は終わってないぞ」

 まだ語ろうとする先輩。

 止めて、本当に止めてちょうだい。

 このままだと私がおかしくなってしまうわ。

「あぁ、猫耳と尻尾をつけた黒猫。可愛いな」

 まだ言うのね……

 はぁ。どうして私は先輩のお願いを聞いてしまったのかしら。

『バカを言わないで』そう言ってあしらえばよかったのに、どうして聞き入れてしまったのかしら?

 バカだわ。私は大バカ者だわ。

 

 ふわふわ。

 ふりふり。

 

 意識してないのに猫耳と尻尾が揺れる。

 そしてその揺れに合わせて、先輩の視線も動く。

 猫耳も尻尾も嫌いじゃないけど、先輩の喰い付き方が怖いわ。

 今までにないくらいにテンションが高い。

 初めて見るような興奮の仕方。

 先輩にこんな一面があるだなんて驚きだわ。

 変態な先輩。だけど――

 

 それでも、先輩に可愛いって言ってもらえるのは嬉しい。

 そう思ってしまう私も、もしかしたら…………

 


 
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