「お頭!見えてきましたぜ」
「おうよ!ちと、食いもんがなくなってきちまったからな。ここらで調達しとかねぇとな」
「へい!」
「おし。お前ら、行くぞ!ついてきな!」
「「「「おおおおお・・・お?」」」」
「どうした?」
数十人からなる武装した集団。彼らはボロボロの衣服を纏い、手には血糊のこびりついた剣を帯剣していた。見るからに賊である。そんな彼らがまた新しい獲物を見つけて攻め込もうとしていた。そんな彼らにどこからともなく牙を剥く集団がいるとも知らずに。
「跳べ・・・」
「「「「応!」」」」
静かに、それでいて耳に良く届く力強い声が聞こえたと思うと、明るかった空が急に暗くなる。否、何かが日を遮って影を作ったのだ。
「今までは奪う側だったようだが、今からは貴様らが奪われる側だ」
「な、何!?」
「眠れ・・・」
ドグッ!!
「ガハッ!?」
賊達は首に強烈な一撃を受け、意識を失っていく。その一撃を放った者達の正体は。
「左慈隊長。制裁完了です」
「ご苦労。そいつらを運ぶぞ」
「「「「はっ!」」」」
蹴率いる白士軍の精鋭達であった。彼らは草むらに身を潜め、死角から接近、飛び掛り首への一撃を放つことで脳を揺らし賊を気絶させたのであった。
これは、そんな賊を討伐する者達の長であるおせっかいの物語である。
「みんな~!元気~?」
「「「「「「「元気~~~~~!!」」」」」」」
「もっと大きな声で~!!」
「「「「「「「げ・ん・き~!!」」」」」」」
「私達の歌でもっと元気になっちゃお~!!」
「「「「「「「ほあっ!ほあっ!ほぁああああああああああああああああああ!!!」」」」」」」
「あっ、木材はこちらに運んで下さい。薬はこっちです」
「仙花様。怪我人が運ばれてきました」
「こちらは人が一杯になっているので、あちらに運んで下さい」
「わかりました」
蹴達は順調に討伐を進めていた。その為、街の復興、被害にあった人達の精神ケアを担当している一刀達も大忙しである。街の中央では歌三姉妹がライブを開催。その明るく元気の出る歌と、彼女達の容姿から多くの人が集まっている。彼女達が笑顔で歌って、踊っている姿は人々の心を癒し、楽しませ街に活気を取り戻させていた。
その一方で、仙花を中心に賊による被害を受けた箇所の修復をしているところもあった。建物の修復をしているのと同時に怪我した人達の手当もしている為、担当は駈けずり回っていて、暇な人はいなかった。しかし、文句を言う人はいない。彼らも賊に襲われる恐怖を理解しているから。少しでも力になれるなら手を貸してあげたいと思っているから。
「あなたが白士様ですか」
「ええ、私が姓は白、名は士、字は北郷と申します」
「この度はあなた様の助力のおかげで我が街を守ることが出来ました。心から感謝の言葉を贈らせて下さい」
「困ったときはお互い様ですよ。私達も街を守れたことを嬉しく思います」
「・・・助けてもらった身であるにも関らず図々しいとは思いますが、折り入ってお願いが御座います。私達の街をあなた様の傘下に加えてはもらえませぬか?我が街は小さいですが、織物が盛んです。その為、賊に狙われることもあります。我らには防衛する手段が御座いません。私はこの街が好きなのです。大好きな街が賊に蹂躙されるのは我慢なりません・・・どうか!」
「わかりました。その申し出をお受け致しましょう」
「ほ、本当で御座いますか!?」
「ええ、詳しいことは我が街の軍師であるこの者から聞いて下さい」
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
一刀と符儒は助力した街の代表との会談を設け、同盟を結んでいた。このような場は街の代表である一刀と、軍師である符儒が出なければならない。ほとんどのところでは、賊に襲われたことがあり、問題なく話しが通っている。たまに、突っかかることがあるが、そこは符儒の交渉術により、説得し協力を得ることに成功していた。
「お疲れ様ですわ」
「紫苑もお疲れ様。今回も勝ったみたいだね」
「ええ。ですが、収穫はなしですわ。完全に賊として落ちぶれていた者達でしたので」
「仕方ないな。それよりも紫苑達が無事でよかった」
街の代表との話を符儒に任せた一刀は一足先に街へと戻り政務をこなしていた。そこへ、賊の討伐を行った報告をしに紫苑がやってきてしばらく話をしていた。蹴はすでに休んでいる。賊と直接ぶつかる左慈隊は討伐後は休ませ、後方支援で戦うことがないこともある黄忠隊は街の復興作業を手伝うことがある。そして、部隊長である紫苑は討伐の報告書を書いて提出することになっているのだ。ただ単に、書類仕事は蹴よりも紫苑が得意ということもあるのだが。
「今回も協力要請がきたよ。順調だね」
「まぁ!それは喜ばしいことですわね」
「そうだ「おかあさん!おかえり~!!」あはは、璃々ちゃんのお出迎えだよ」
報告も終わり、雑談に入ったところで紫苑の娘、璃々が母親の帰還に笑顔で出迎えの言葉を送る。紫苑も優しく受け入れると親子の時間を壊さないように一刀は声をかけた。
「紫苑。もう、報告は受けたから。璃々ちゃんと一緒にいてあげなよ。後は俺がやっとくから」
「そうですか・・・申し訳ありません。お言葉に甘えさせて頂きますね」
「ああ、いっといで。璃々ちゃん。お母さんにうんと甘えるんだよ?」
「うん!!またね、おとうさん!!」
「ああ」
こうして、黄親子は執務室を後にした。再び一人となった一刀はそれから黙々と政務をこなしていく。部屋には書簡に記入する音と書簡を積み上げる音だけが響く。
そこに、今度は仙花が訪れた。
「一刀様?よろしいですか?」
「ん?仙花か・・・どうしたの?」
「ええ、復興の報告書を提出しにきました」
「ああ、ありがとう。今回は被害は軽微だったんだろ?」
「ええ、怪我人のほうが多かったですね。命の危険に晒されるような重傷者はいないのが救いです」
「そうだね」
「それと、天和さん達の歌が好評のようですよ。連日、満員で喜んでましたが、人和さんは、怪我しそうで心配だと言ってました」
「ああ・・・どの世界でも一緒なんだなぁ・・・」
「はい?」
「いや、こっちの話」
仙花は談笑しながら、そのまま一刀の隣に座り書類整理をしだす。彼女は復興担当なので、街の状況などは一番詳しい。よって、書類仕事もそれなりにある。さらに、怪我した人達の治療も行っているので、被害状況の報告書も纏めている。ある意味一番書類仕事が多いのは彼女なのである。一人でいる時とは違い、二人でいると書類を書く音と積む音以外にも雑談による人の声が交じる。最後に符儒が部屋にやってきて、報告と状況整理、今後の方針について話すとその日の仕事は終了となる。
「ふぁ・・・寝るか」
仕事が終わると夕飯を食べ、体を清めた後就寝だけなのだが、ここでいつも一騒動が起こるのだ。例えば・・・
「一刀~。まだ起きてる~?」
「ん?天和?どうしたの?」
「ちょっと、相談に乗って欲しいんだけど」
と天和が踊りの振り付けについて相談に来て、疲れて寝てしまったり。その過程で一刀の腕を掴んだまま寝てしまい離れられなくなり、結局同じベットで寝ることになったり。
「一刀~。聞いて聞いて!」
「地和か?どうしたんだ?そんなはしゃいで・・・」
と地和が来て、その日にあったことを誇らしげに語ったり。で、最後は天和と同じ展開になってしまって結局一緒に寝たり。
「すいません、一刀さん。少し相談が・・・」
「いいよ。人和、入ってきて」
と人和に新曲について相談を受けたり。で、やっぱり姉妹なのか、後の展開は二人の姉と同じだったり。
「一刀様、この書類のことなのですが・・・」
と書類を口実に仙花が訪ねてくることもある。そして、やはり最後は・・・。
「まだ、ここに越してきて慣れないのかなかなか寝付けないのです。しばらく一緒にいてもらえませんか?」
仙花は自分の部屋に一刀を招いてそういう。そんなお願いをおせっかいな一刀が断れるはずもなく、寝付くまで一緒にいてあげるのだが・・・。
「手を握ってもらえますか?」
「わかった」
仙花の手を握ったままの為、結局一緒のベットで寝ることになるのであった。だが、彼女達は頻繁に訪れるわけではない。そう、一刀の部屋に最も頻繁に訪れる者、それは。
「おとうさ~ん。いっしょにねよ~」
「すいません、一刀様。璃々がどうしてもと聞かないものでして・・・」
「紫苑、そんなこと気にしないで。よ~し、璃々ちゃん。一緒に寝よっか?」
「わ~い!」
そう、黄親子なのである。璃々が一刀と寝るといっているのは事実で、以前に我慢しようと宥めようとしたところ、盛大に泣いたのだ。その泣き声で全員が何事だと起きてきてしまったこともあり、それ以降はなかなか我慢しようとは言えなくなってしまったのである。恐るべし、幼女の力。なのだが・・・。ここで乙女達がいれば、紫苑が一刀に申し訳なく思っているのとは別に、一緒に寝れることに嬉しさを感じていることがわかるだろう。
こうして、三人は璃々を真ん中に川の字になって寝るのである。
ちなみに、ただ添い寝しているだけなのでご安心を。まだ、一刀の家族フィルターをブレイクしたものはいない。紫苑とて、一緒に璃々がいるおかげでフィルターが強化されブレイクすることが出来ないでいるのだ。
順調に力を蓄えていたある日、符儒によって主要な人物が会議室に集められた。
「中央に動きがありました」
その一言で皆に緊張が走る。以前の話では何進と十常侍が権力争いをしていたということだ。それから動きがあったとなると、どちらかが権力を得たということが予想される。また、一刀は正史の流れになっているかもしれないと皆とは若干違う意味で緊張していた。
「まず・・・何進は死亡。おそらく暗殺されたのかと思います」
「「「「「「!?」」」」」」
「では・・・」
「しかし、何進が殺されたことにより、袁家が怒り十常侍を始末し始めました。そして、新たに帝を保護したのが・・・董卓という涼州出身の者ですね。ここで、落ち着くと思ったら、今度は袁紹、袁術らが反発しまして。檄文をばらまいているそうです。その内容は要訳すると暴虐の限りを尽くしている董卓を皆で一緒に退治しましょうってとこですね」
この外史も、正史と同じ流れになってしまったようである。近いうちに反董卓連合が組まれ、大きな戦が起こるのだろう。これからどう動くのがいいのか。と考え始めた一刀を他所に会話は続く。
「今の流れから言って、今日集まったのは俺達は連合に参加するのか反対するのか決める為だな?」
蹴の言葉に視線が符儒へと向かう。一刀も考えを中断し、皆と同じで符儒を見た。その蹴の質問に符儒は笑顔で予想外の言葉を放つのであった。
「違いますよ」
「何?」
「え?だって、その袁家ってところが檄文をばらまいているんでしょ?」
「ええ」
「では、私達はその檄文に従うのか、それとも従わないのかを決めるのでは?」
「檄文が届けばそうなりますね」
「???どういうこと?人和ちゃん、わかる?」
「さ、さあ?」
「どういうことよ?ちゃんと説明しなさい!」
符儒の言葉に一同困惑を隠せない。檄文をばら撒き始められたのだが、今回はそのことではないという。そんな一同の様子をなんてことないように符儒は言葉を紡ぐ。
「簡単なことです。私達のところには檄文が届いていないのですよ」
「「「「「「ええ!?(なんだと)」」」」」」
予想外の言葉に一同驚愕である。そんな様子をおかしそうに見ながら符儒は言葉を続ける。
「そもそも、数ヶ月前まで廃墟だった街を復興した私達に、いくら最近周辺の街を傘下にし始めたからといって連合へ参加させる檄文を送るかという話です。というかそれ以前の問題ですね。まず、私達の存在を知らないはずです。もし、知っていた場合でも、一都市しかない我が軍を戦力として考えるかと言うと、いいえと答えざるを得ないはずですよ?」
「「「「「「確かに・・・」」」」」」
符儒曰く、これは好機だという。何故なら有力な諸侯の目がほとんど董卓に向けられるからだ。これなら、多少派手に動いても諸侯の領土を侵さなければ、問題が起こらないと予想される。
「というわけで、諸侯の目が董卓に向いている間、我々はこの機に周辺の・・・具体的には豫州を制圧してしまいましょう。まずは隣の寿春を制圧します。その後は北上し勢力を強化します」
符儒の考えに反対する者はいなかった。檄文が届いたのなら参加するか否か考えていただろう・・・おそらく一刀の性格から言って参加していたと思われるが、今回は檄文が届いていない為、遠い戦争より近くの安全確保である。それで反対する者はいなかった。また、一刀も同じく賛成派であった。彼には珍しく、おせっかいで連合軍に参加する~や、董卓を助ける~などと言うことはなかった。それは正史の知識が関係する。一刀はこの外史では劉備、孫策とは会った。が、袁紹、袁術、曹操、董卓と反董卓連合の主要人物とは面識がなく、董卓は悪い印象しかなく、袁家の二人にも良い印象を抱いていない為、手伝う気になれないでいるのだ。だが、おせっかいな為、劉備、孫策が参加するなら手伝うと思われた一刀。そんな一刀の考えは至って単純だ。つまり、豫州を制圧ひいてはこの街の安全を確保することである。この連合後に訪れる群雄割拠の時代を生き残る為に。真名まで許された劉備達や2喬のことで知り合った孫策達を助けたい想いもある。しかし、彼は今県令だ。ましてや、その彼女達よりも付き合いの長い村人達がいるのだ。そんな彼らをないがしろには出来なかったのだ。
「豫州にはまだ有力な諸侯がいません。ここで、賊を討伐しつつ、豫州の商人、豪族達に我らの強さを見せられれば、向こうからやってくるでしょう」
「そうだな・・・。よし!俺達は連合のことは気にせず、豫州を制圧しよう」
「「「「「「はい(応)!」」」」」」
反董卓連合が結成されるのと同時期、白士軍は豫州統一へと動き出したのであった。
反董卓連合の檄文が届いた諸侯の反応・・・
陳留
「華琳様・・・」
「董卓の素性がどうあれ、これは名を上げる好機よ。参加するわ」
「「「御意」」」
「桂花。出陣の準備をなさい」
「はっ!」
「春蘭、兵の統率を・・・」
「はっ!」
「秋蘭は私の補佐をなさい」
「御意」
「我が覇道はここから始まるのよ・・・」
幽州
「伯珪殿、このような文書が届きましたが」
「ふむ、星はどう思う?」
「私は参加すべきかと。これに参加する諸侯は今後の情勢に深く関ってくる者達でしょうし。今のうちに知っておくほうがよいかと」
「桃香達はどうだ?」
「私は、この文が本当なら見過ごせないよ。だから、参加するべきだと思う」
「私も同じ意見です」
「鈴々難しいことはよくわからないのだ!でも、困っている人は見過ごすことは出来ないのだ!」
「軍師殿は?」
「はわ!ここは参加するべきだと思いましゅ!星さんの言うとおり、今後の情勢を考えると今のうちに見たほうがいいと思うのでしゅ!」
「あわわ・・・・私もそう思います。それと、名を上げられますので、天下に自分達の存在をしらしめるには効果抜群だと思いましゅぎゃ・・・あわわわ!?」
「落ち着けって・・・。わかった。この連合に我が軍も参加を表明する!各人、準備を怠るな!!」
「「「「「「御意!(うん)」」」」」」
「それにもしかしたら一刀さんに会えるかもしれないしね」
「おせっかいの一刀殿のこと、これに参加しているかもしれないし・・・」
「お兄ちゃんもいるかな~?」
「ふむ。あの御人はどうしているかな?もしかしたらこの連合で再開するやもしれんな」
江東
「ふ~ん・・・連合ねぇ」
「なんだ?気が乗らないみたいだな」
「冥琳だってわかってるんでしょ?こんなの茶番だって」
「わかっている。わかっているが・・・「名を上げる好機だって言いたいんでしょ?」そうだ。ここで、名を上げることができたら我らの宿願である江東の地を取り戻し、独立する足がかりになるのだから」
「私だってわかってるわよ。だから、参加するのはいいのよ。ただ、なんか気が乗らないの」
「いつものやつか?」
「そ。勘でね。あ~あ、なんか面白いことがあればいいんだけど・・・」
「例えば・・・白士がいるとかか?」
「あ~、それはいいわ・・・って、なんでそこで白士が出てくるの!?」
「お前も知っているだろう?2喬の会話には頻繁に出てくる名前だろうに・・・」
「それはそうだけど。なんで、さっきの会話の流れで・・・」
「お前も興味津々だからな」
「そ、そんなことないわよ?」
「どうだか・・・」
「ぶーぶー!信じてないでしょ!!」
おまけ
一刀達が引っ越すことになったと知った村人達は軽い騒ぎになった。
「長!村から出ていっちまうって本当なのか!?」
「遠くへ行っちゃうって聞いたぞ!?」
「長がいなくなったら、この村はどうなるんだよ!?」
「長~、いかないでくれ~」
一刀の家へと人が押し寄せ、絶え間なく行かないでくれと懇願に来る。
その度に、別に遠くにいくわけではなく汝南の県令になった為拠点を隣町に移動させるだけだと説明。決して村を捨てるわけではないと、懇切丁寧に説明してきた人達を説得して帰ってもらっていたのであった。
それは、引越しの前日まで続いた。そして、引越しの当日となり、村人全員が見送りにきてくれるのであった。一刀だけでなく、仙花や蹴、符儒までここで暮らしていた者達各人も親しくなった者、慕っていた者などがおり、全員が全員それぞれ囲われるのである。
「左慈様、あちらでもお体にお気をつけて下さいね」
「これ、私からの贈り物です。体を冷やさないようにと思って」
「左慈様。ここを、私達を忘れないで下さいね」
「ああ、感謝する。が、今生の別れというわけではない。またここに来るから、そんな顔をするな」
背は高くないが、凛々しく整った顔立ち、高い武勇を誇る左慈は若い女性の人気が高かった。村の若い女性の多くが彼がこの村を去るのを惜しんで見送りに駆けつけたのである。
その見送りをぶっきらぼうだが、彼にすれば精一杯の誠意で受け止めたのである。
「于吉様、畑でとれたものです。受け取って下さい」
「あの節はお世話になりました」
「お体にお気をつけ下さい」
「ありがとうございます。皆さんも健康に気をつけて下さいね」
符儒はその柔らかな笑みと知的な容姿で幅広い年齢層の女性から人気を得ていた。そんな女性に対して紳士に笑顔で答える様子に、熱い吐息を吐く女性も少なくなかった。
「管輅ちゃん!いかないでくれ!!」
「管輅ちゃん、好きだ~!!付き合ってくれ!!」
「管輅ちゃんがいなくなったら俺は・・・俺はあああああ!!」
うってかわって熱く自分の思いを告げられているのは仙花だ。丁寧な言葉遣いとその可憐な容姿から村のおじさま層には非常に人気が高い。さらに、復興作業の指揮をとっていたこともあり、頻繁に接していた為、彼らとはなかなかに親しかった。なので、こういう熱い想いも緊張するが言えるのである。
「ありがとうございます。でも、私は一刀様についていきます」
「あがあああああああああん。わかっていたけど・・・うおおおおおおおおおおおおおおお!」
「長相手じゃ仕方ない!幸せになってくれ!!管輅ちゃん!!」
「ずっこおおおおおおおおおん!!管輅ちゃんが決めた道だ!反対はねぇ!!元気でな!!」
断られても、すっぱりと相手の幸せを願う非常に気持ちいい連中だった。少々暑苦しいが・・・。
「黄忠さん、僕はあなたのことが好きです。いや、愛してます!子供がいても関係ない!!」
「黄さん!俺の妻になってくれ!!」
「忠さん。毎日、飯を作ってくれ!」
「俺があなたを幸せにしてみせる!!」
対して、紫苑は若い男から絶大な人気を誇っていた。物腰の柔らかさとその非常に高い色気、妖艶さに撃沈された男達だ。その若さに任せた勢いの良い告白が紫苑に向けられていた。
「私にはもう、心に決めた人がいるので・・・ごめんなさいね」
「くっそー!羨ましい・・・羨ましいぞ!長~!!!」
「わかっちゃいた。わかっちゃいたが、悔しいものは悔しいんだ!!」
「ずっこおおおおおおおおおおおん!!」
見事に撃沈したが・・・。
「こうちゃ~ん。さみしいよ~」
「こうちゃん。いっちゃやだ~!!」
「うえええええん。こうちゃああああん」
「りりもさみしいよ・・・みんな~うわああああん」
こちらは子供組である。みんな純粋に寂しがっていた。璃々は村の子供達から大変人気があったのだ。それは女男関係なくだ。まだ、恋愛するには幼いものの、実はひそかに璃々を好きな男の子はたくさんいた。悲しいかな、幼い故にそれが恋とは理解できなかったが。そんなわけで子供達は璃々の引越しを名残惜しんでいたのである。そんな子供達の様子に引っ越すことを決めた一刀達はちょっぴり罪悪感を感じていたのは秘密。
「かくさん・・・俺は、あんたのことが・・・」
「ほうちゃん。俺と・・・」
「りょうちゃん・・・俺、俺ぇえええ」
この村で過ごしたのが一番短い三姉妹にもちゃんと見送り?に来てくれた人がいる。それは、以前、劉備達と一緒にここに住んでいたときのことを知っている人達であった。
「泣かないで」
「また、ここらへんで歌を歌うことにするからね」
「また、私達の歌を聞いてください」
「「「もちろんだよ!!」」」
多くの村人、もう村の全員といってもいい程の人が見送りにきてくれていた。その中でやはり、一番多くの人、多くの層が見送りにきたのは一刀だった。
「長!ここは長の村だ。いつでも帰ってきてくんろ?」
「ああ、絶対にまた来るよ」
「俺は長に命を助けてもらった。だから、今度は俺がこの村を守る!」
「そうか。なら、この村は大丈夫だな。任せたぞ」
「長、この村のこと忘れないでくださいね?」
「当たり前だよ。ここは俺の故郷のようなものだ。絶対忘れないさ」
「おさ~、またあそんで~」
「もちろんさ。また、一緒に遊ぼうな」
こうして、一刀達は多くの村人から惜しまれながら、汝南の街へと越していったのである。
というわけで。
連合に不参加どころか、関係すらありません(笑)
理由は本編に書いた通りとなっています。この外史では天の御遣いという肩書きもありませんし。
太守ではなく、一都市の県令でしかありませんからね。
さて、次回予告を少し
みんな大好きあの人がついに登場します。
乞うご期待(笑)
それから、次の投稿は少し頭に思い浮かんだ話があるので、そちらを投稿してみようかなと思います。あっ、でも話をこれから書くので纏まらなかったらやはり【おせっかい】の投稿になりますが。
おせっかいの話はちゃんと思いついているんですけど。いつも、余計なネタも思い浮かんで書きたくなるという・・・。しかも、終わりが見えないっていうタチの悪さ・・・。
ダメだこいつら(余計なネタ)はやくなんとかしないと・・・。
いまだに出番のない三羽烏の扱いはどうなる?
親衛隊の二人は原作通り魏にしますがね。
そして、風と稟は?
こちらも楽しみにしていてください。
当分先の話になりますけどね。
今年はこれで最後の投稿になります。
皆さん、良いオノコ・・・ではなかった。良いお年を!
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「私、バスケット部の小田君が好きなの・・・」