No.188007

真・恋姫†無双~恋と共に~ #9

一郎太さん

#9

2010-12-05 00:30:16 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:23537   閲覧ユーザー数:14958

#9

 

 

 

決着をつけた俺と華雄の元に、恋たちが駆け寄ってきた。

 

 

 

「なんやねん、あれ!?北郷、お前よくあんなんする気になるわ」

「…びっくり」

「華雄さん、惜しかったですね。北郷さん、その…格好よかったです………へぅ」

「まさかアンタも勝つとはね………素直に驚きだわ」

 

 

 

それぞれを感想を言ってくるなか、華雄が口を開いた。

 

 

 

「なぁ、張遼………何が起きたんだ?私には、北郷が突然消えたようにしか見えなかったんだが………」

「あぁ、アンタの位置からやとウチでもわからんわ。えぇで、説明したる。北郷が獲物を払われて、そのまま間合いに飛び込んできたとこまではわかるな?」

「あぁ、そこまでは私にも勿論見えていた」

「問題はその後や。たぶん華雄も思ったやろうけど、ウチは、北郷がそのまま蹴りか拳かはわからんが、そのまま身体で攻撃すると思うてたんや。けど違うた。斧の内側に入り込んだ本郷はな、そこで右手をこう、突き上げて華雄の斧の柄を取ったんや」

 

 

 

身振りを添えて説明する霞に、華雄の瞳は驚愕に染まる。

 

 

 

「なっ!?」

「…びっくり」

「それだけならまだ眼で追えたかもしれへんし、感触で伝わったかもしれんけど、ウチには、北郷がその瞬間に斧の動きに合わせて跳んだように見えた。ここまで合うてるか、北郷?」

「あぁ」

「華雄の渾身の一振りに加えて、その勢いを削ぐことなく自分も跳ぶんや。そら速度が倍になって眼で捕まえられるわけあらへん。それで華雄には北郷がホンマに消えたように見えたんやろな。実際ウチにも一刀が霞んで見えたで。

ほんで、そのまま身体を回転させて、斧の上に乗り、もう一本の剣を抜いて華雄に突きつけたわけや」

「………………」

 

 

 

霞の説明を受けた華雄はそれでも信じられないような顔をしていた。

 

 

 

「言っただろ、華雄?」

「…何を、だ?」

「武器を抜かない戦法もある、ってね。正直ここまでやる羽目になるとは流石に思ってなかったけど、もし一本で無理だったら最後の最後でコイツを抜くかもな、とは思ってたんだ」

 

 

 

一刀はそう言って、腰の小太刀の鞘を軽く揺らす。

 

 

 

「そうか………私の完敗だ。戦法でも、武でもお前には負けたよ」

「そっか…。お疲れ様」

 

 

 

俺はそう言って華雄の肩を叩いた。

 

 

 

 

 

俺と華雄の会話が終わると、恋が近寄ってくる。

 

 

 

「どうだ?ちゃんと勝ったぞ、恋」

「ん…。一刀、えらい。格好よかった」

「ははっ。ありがとな」

 

 

 

俺はそう言って恋の頭を撫でてやる。恋の頭の触角(?)がピコピコと、撫でる手の動きに合わせて動いている。うむ、相変わらずの撫で心地だ。俺が恋の頭を堪能していると、今度は董卓と賈駆が話しかけてきた。

 

 

 

「北郷さん、お疲れ様でした。あの…格好良かったです………へぅ」

「あはは、ありがとう」

「改めて、その御力を私と一緒に民の為に振るっていただけませんか?」

「あぁ、客将という立場ではあるが、精一杯やらせてもらうよ」

 

 

 

俺がそう返事を伝えると、董卓は少し頬を染めた。

 

 

 

「へぅ…。あの、昨日のお礼と、そして信頼の証として私の真名をどうか受け取ってください。私の真名は月といいます」

「そうね。アンタのその力には期待させて貰うわよ?ボクの真名は詠だから、今度からそう呼んでよね」

「あぁ、ありがたく受け取らせてもらうよ。昨日も言ったとは思うが、俺のことは一刀と読んでくれ。これが俺の国での真名みたいなものだから。これからよろしくな、月、詠」

 

 

 

俺はそういって、恋にするのと同じ感覚でつい二人の頭を撫でてしまった。だって撫でやすい高さにあるんだもん。二人は顔を赤くしてはいたが、特に嫌がる素振りを見せなかったので、そのまま撫で続けた。

 

 

 

「ほな、ウチもやな。ウチは張遼文遠。真名は霞や。これからよろしゅうな、一刀」

「私は華雄だ。私もお前と同じで字と真名がない。まぁ、そのまま呼んでくれ」

「わかった。2人もよろしくな。」

 

 

 

俺と恋は、こうして新たな絆を手に入れたのだった。

 

 

 

 

 

 

月の元に仕え始めてから、一週間が経った。

俺の持つこの世界の経験はあの邑だけであり、街としてどの程度の規模で、どのように機能しているのかはじめは分からなかったが、街にやってくる商人や旅人の噂を聞く限り、月は領主としてはかなり優秀な部類に入るらしい。もちろん、詠たちの助力が大きいのだが。

 

 

 

「いやぁ、他のところは治安があまりよくないし、正直警備の人たちもちゃんとやってくれないんだよ」

「董卓様の街は、税もそこまで高くないし、商売がしやすくていいね」

 

 

 

商人が来るということは、物が行き渡るということであり、そうして人や金が集まり、また商人が来る。この街は良い循環の流れに乗っているようだ。

ただし、いい面があるように、勿論悪い面もある。

 

 

 

 

 

一つ、警備体制の穴。

一つ、住居の不足。

一つ、職のない人間が集まる、いわゆるスラム街。

 

 

 

 

 

他にも細々とした問題点はいくつか見受けられるが、この3つが、俺がこの一週間で特に感じたことだ。俺はこの問題点を抱えて、月と詠がいる執務室を訪ねた。扉をノック―――俺がこの一週間で皆に(特に霞に)教えた作法だ―――すると、中から返事が聞こえてくる。

 

 

 

「開いてるわよ」

 

 

 

返事を確認した俺は、扉を開いた。部屋の中にはいつも通り、竹簡の山に埋もれる月と詠がいた。相変わらずすごい量だな。そこそこに広い部屋の端では、数名の文官が処理済の竹簡を内容や重要度ごとに整理していた。

 

 

 

「あ、一刀さん。今日はどうしたんですか?」

「あぁ、二人ともお疲れ様。この1週間街の様子を見ていたんだが、それで気がついたことを伝えにね」

 

 

 

俺がそう切り出すと、詠も筆を置いて視線をこちらに向ける。

 

 

 

「もちろん二人だって既に知っているとは思うけど、大きくわけて3つだな。まずは、この街はさすが月が領主なだけある。住民以外にも、商人や旅人の話を聞いてもなかなかの評判だ」

「そんなの当たり前よ」

「ただ、それが故の問題がある。

一つは、街の住民の数が多すぎることに対する住居の不足だ。評判を耳にした他の街や邑からの流民が多いせいで、家屋と世帯の比率が悪い。

それに関連して、主に南東の地区なんだが、家や職のない人間がたむろしている。これが2つ目。

最後に、そういった人たちの盗みやスリ等の軽犯罪の発生率だ。警備隊の人数が少ないこともあるが、警邏に穴がある」

「そうですか…」

「そんなことボクたちだってわかってるわよ。でも、一朝一夕で対処できる案があるわけでもないし、他にも処理するべき案件がこんな風に大量にあるから、どうしても後手後手になっちゃっうのよね…」

 

 

 

反応は二者二様だ。月は問題を知りつつも力になれない自分に肩を落とし、詠は目の前の竹簡の山を指して溜息をつく。

 

 

 

「…で?」

「『で?』とは?」

「すっ呆けるんじゃないわよ。ボクたちが知ってると分かっててわざわざそんなこと言いに来たわけじゃないんでしょ?」

「あぁ。その通りだ。とりあえずは口を挟まないで全部説明させてくれ。質問は最後に受け付ける。最初に言ったとおり、これらの問題は、すべて民が増えすぎていることが原因で派生している。

だからこそ別々に対処していくんじゃなくて、対処法を連携させる必要があるんだ。まず一つ目だが―――」

 

 

 

俺は説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

俺はいま、詠に頼んで補佐に付けてもらった文官と街へ出ている。

 

 

 

 

 

「わかったわ。これまで聞いたことないような方法だけど、アンタにすべて一任する。もし成功したらその効果は計り知れないわ。いいよね、月?」

「うん、いいよ詠ちゃん。それにしても一刀さん、すごいです!たった一週間で問題点に気づき、さらには改善案も出してくれるなんて………私なんかより、ずっと凄いですよ」

「何言ってるんだ、月。月が領主にいるからこそ、俺も詠もここにいるんだぞ?もちろん他の皆もだ。だから、『なんか』なんて言うものじゃない」

「そうよ、月!月は領主としての経験はあるんだから、もっと自信を持たないと」

「へぅ………うん、そうだよね!では、一刀さん、この件はすべて一刀さんにお任せします。

予算などは、後ほど見積もりを出してくれればいいので、まずは一刀さんの思うように行動してください」

「わかった。ありがとう、月。それと詠」

「なに?」

「俺に文官を一人貸してくれないか?できるだけ優秀だとありがたいな」

「それは構わないけど………でもこれだけの案を出せるアンタなら、一人で十分じゃないの?」

「いや、それがさ…俺、実はまだ字をそこまで読める訳じゃないんだ。邑で呂奉さん…恋の母親に教わってたんだけど、どうにも俺の国と文字が違うから、慣れるのに時間がかかってね。それほど難しくない文なら問題ないんだが………。

あと、金銭的な常識も俺の国とは違うから、その点も補佐できる人だとありがたいな」

 

 

 

そう言って俺は苦笑した。嘘ではない。呂奉さんに習ってはいたものの、勉強できる日はまちまちだったため、習得量はそこまで多くはない。そんな俺に詠は溜息を吐きつつも、部屋の端で仕事をしていた女官を呼びつけた。

 

 

 

「話は聞こえていたわね?今日からしばらくは北郷の補佐についてもらうから、よろしく。代わりの者を一人ここに遣してくれたらいいから、今から北郷と行動を共にしなさい。

………一刀、彼女はうちの文官の中でも一、二を争うくらい優秀だから、しっかり補佐してくれると思うわ。それじゃ、よろしくね」

 

 

 

 

 

こうして俺は補佐を手に入れ、街へと来ているというわけだ。

 

 

 

「北郷様、まずはどちらへ行かれますか?」

「それじゃ李儒さん、まずはこの街で有力な商人のところを何件か案内してもらえるかな?」

「いやですわ、北郷様」

「えっ、なんで!?」

「私のことは唯とおよびください」

「え…それって真名でしょ?」

「はい。お話は月様や詠様から伺いました。なんでも、あの華雄将軍を圧倒するほどの武をお持ちとか…。

それに我が主が真名をお許しするほどのお方です。そして今回の政策………。私も全幅の信頼を持ってお手伝いさせていただきます」

「………………………」

「北郷様?」

 

 

 

義理堅いというか、生真面目というか…。まぁ、俺も男だし、女性から信頼してもらえるのは嬉しいけどね。俺は一つ息を吐くと、李儒さんに向き直った。

 

 

 

「わかったよ、唯さん。その代わり、俺のことも一刀って呼んでくれ。生憎真名がないから、これが真名みたいなものだ。それじゃぁ、改めて、案内してもらえるかな?」

「呼び捨てでも構いませんのに。ふふふ…かしこまりました、一刀様」

 

 

 

そう微笑んで、李儒―――唯さんは歩きだした。

 

 

 

 

 

 

それから数日間、私は一刀様について街を歩き回った。ずっと城で仕事をしていたから、こんなに外にいるのは本当に久しぶりだった。

 

そしてその間の一刀さんは、行動を共にしていて驚きの連続だった。

 

 

 

 

 

初日

 

 

「おう、北郷さん!よく来たな。今日はどういった御用で?」

「あぁ、おじさん。商売の方はどうだい?今日はちょっと城からの仕事でね」

 

 

 

とある商人の屋敷の扉を開けると、一瞬怪訝な顔をした商人であったが、一刀様の姿を認めるとすぐに破顔し、一刀様の両肩をバンバンと叩きながら笑顔で迎え入れた。よくも悪くも、官は商人から金銭を奪う立場だ。それがここまで仲良くなれるとは………一刀様はこの一週間をどう過ごしていたのだろう。

出されたお茶は城のものに勝るとも劣らない味で、この屋敷の主人が相当の実力者であることがうかがわれる。一通り飲茶と世間話にを終えると、一刀様は本題に入った。

 

 

 

「それでね、おっちゃん。今日俺がここに来た理由なんだけど………」

「おう、そう言えばそうだったな!なんでも城からの仕事と言ってたが…」

「うん。おっちゃんはさ、董卓様の治めるこの街をどう思う?立場とか関係なしに、忌憚なき意見を聞かせて欲しい」

「そうさなぁ………これまでいろんな街を転々としてきたけど、ここが一番商売がしやすいな。税も安いし、人も多い。あとは全体的に街の雰囲気がいいな。皆笑顔で店に来てくれる。

………たまにメンドクサイ酔っ払いとかが来ることもあるけどな」

 

 

 

そう言って主人は笑い、お茶を啜った。一刀様も湯呑みを手にとり、お茶を口に含む。

 

 

 

「他には?」

「他に?………あ、でも街の南東地区はあまり商売したくないな」

「それはどうして?」

「そうさなぁ。あそこの地区は流民が多いし、金がないせいかあまり治安もよくないからな。仮に店を出すとしても―――」

「住民の経済状況を考えるに、安価であまり質の良くないものしか出せない、と」

「あぁ、北郷さんの言うとおりだ。なんていうかなぁ………これは俺の持論なんだが、やっぱり、身の回りのものは充実して欲しいよなぁ」

 

 

 

一刀様は彼の言葉に少し考えるそぶりを見せたあと、問い返した。

 

 

 

「ん…それってどういう意味?」

「いやな、成金趣味とまで言うつもりはないが、ある程度物が充実していると、そのことに安心して心持ちが穏やかになると、俺は思うんだ」

「そうだね。その通りだ」

「ウチを見てもらえばわかると思うが、ウチが大きいのは、いろいろと物を管理しているからだ。侍女も雇ってはいるが、俺もよく他所の街に取引しに行くから、その間の維持を頼むのが主な理由だ。

それ以外に必要以上に物を揃えすぎるということはしていない。これは倅にも言ってるんだがな」

「そういえばそうだね。儲けている割には装飾品なんかほとんどないし、この街で有数の商人の家とは思えないよ」

「まぁな。ある程度がありゃそれで十分なんだよ。たまに美味いもん食って、美味い酒を呑んで………。

で、話は戻るが、あの地区の住民にはその『ある程度』すら難しい。だから心も荒んでいっちまうんだろうよ………」

 

 

 

そう彼は天井を見上げ、苦い顔をする。彼も一刀様に劣らず優しいのかもしれない。

 

 

 

「そうだな………。それでさ、おっちゃん。ここからは俺の話になるんだが………それ、どうにかしたくない?」

「それ、とは?」

「南東地区でも、商売できるようにしたくはない?」

「そりゃ、できるに越したことはないが………」

「そこで、俺から案があるんだ。実際、おっちゃんや他の商人の人たちにも出資してもらうことになるんだが―――」

 

 

 

一刀様がそう言いかけると、彼は身を乗り出して言葉を遮った。

 

 

 

「…へぇ、北郷さんが俺と取引とはね。いいぜ、聞いてやる」

「あぁ、まずは―――」

 

 

 

 

 

 

 

その日、他にもいくつか街の有力者の家を訪ね、私たちは城に戻った。

その帰り道―――。

 

 

 

「どう思った、唯さん?」

「そうですね…一刀様の政策の内容もさることながら、その取引に対する御力も感嘆するほどでした」

「そうか、ありがとう。案を出すことは難しいが、話し合い自体はそんなに難しいことじゃないんだよ。ちょっとしたコツと、言い方は悪いけど、相手の心理を利用することで、ものすごい無理難題以外はたいてい上手くいくんだ」

「そうなんですか!?」

 

 

 

私は思わず声を荒げてしまった。私も何度か商人や民と仕事で話す機会はあったが、相手は初めから私が役人ということで、壁を作ってビクビクと脅えながら返答をするばかりであった。

対する私もそういった態度をとる民に、もう決まったことだからと決定事項を事務的に伝えるだけだった。北郷さんが言うには、そんな私にもあのような交渉事ができる、と。

 

 

 

「あぁ、よかったら教えてあげるよ。唯さんだってこれから民と接する機会は増えるだろうし、覚えておいて損はない」

「はい、ありがとうございます!」

 

 

 

話に聞いた、武官としての北郷さんの違う側面を見ることができた嬉しさと、純粋に尊敬と憧れの対象となった方が隣を歩いている喜びで、私の足取りは軽くなるのであった。

 

 

 

 

 

 

三日目

 

 

昨日は、初日に訪ねることのできなかった商人の家を訪れた。北郷さんはどの家でも主人たちと気軽に話し、悉く協力をとりつけた。

 

そして今日、一刀様と私は、南東地区へと来ている。視界に映る家々はどこか薄汚れており、所々破損している家屋もちらほらと見える。一刀様はそんな様子も気にすることなく、道を歩いていく。通りには男女関係なく、手持ち無沙汰な人々がたむろしたり、フラフラと歩いたりしており、遊ぶ子どもたちも、どこか元気がないように見える。

 

私たちが道を歩くと、そんな人たちがジロジロとこちらを見ている。確かに、服装は小奇麗なものを着ており、また一刀様の腰に下がる日本の剣で私たちは一際目立つ存在といえる。

しかし一刀様はそんな視線を気にすることなく、道を進み、そうして少し開けた場所に到着すると徐に――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなぁぁあああ!!話があるんだぁぁ!集まってくれないかぁぁぁあ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――思い切り声を張り上げた。

 

 

 

 

 

各街路からぞろぞろと人が集まってくる。集まってきた人々は数百人にのぼる。私たちは群集のガヤガヤと騒ぐ声に囲まれてしまった。私は、これほどの人数に注目された経験などしたことがなく、みっともないと分かりながらも、思わず俯いてしまった。

 

 

 

「大丈夫だよ、唯さん。俺たちは何も悪いことをしに来たわけじゃないんだから、唯さんは堂々と俺の傍にいてくれるだけでいい」

 

 

 

一刀様が小声で私に言葉をかける。そうだ、私たちはこの人たちの現状を打開するためにここに来たのだ。私は一刀様の言葉を何度も反芻し、覚悟を決めて顔を上げた。

突き刺さる人々の視線。そう、役人が来たのだ。何もしてくれない私たちに敵意を向けても仕方がない。しかし、私は前を見据え続けた。それが私の仕事だから。そして、すぐ傍には一刀様がいるのだから。

 

 

 

喧騒がやや落ち着いてきたところで、一刀様は再び口を開いた。

 

 

 

「みんな、よく集まってくれた!まずは自己紹介をさせてもらうが、俺は北郷一刀。一週間前に董卓様の軍の将に任に就いた者だ!」

 

 

 

一刀様の張り上げられた、しかしよく通る声が響き渡る。

 

 

 

「そして彼女は李儒文優。俺の補佐をしてくれている、城の文官だ。さて、今日、ここに集まってもらったのは他でもない。君たち自身の話のためだ!

みんなもわかっているだろう。ここに住むみんなはそのほとんどが他所の土地からやって来たはいいが、しかし、職もなく、今こうして、暇を持て余す日々を過ごしている。

………その現状を、どうにかしたいと思わないか!?」

 

 

 

一刀様は一旦言葉を切り、周囲を見渡した。人々の目は何を当たり前のことを、と語っている。

 

 

 

「そんなの、なんとか出来るならしたいに決まってるだろ!」

「そうだ!この街は暮らしやすいと聞いて、救いを求めてやって来た俺たちに、領主は何もしてくれてないじゃないか!」

 

 

 

そうだそうだと、民衆は口々に同意する。と、そこで一刀様は思いもよらぬ行動に出た。

 

 

 

「わかっている。だから、まずはそのことを謝りに来たんだ。みんな、すまなかった!…俺たちの役人の力不足で、みんなに苦しい生活を強いてしまっていることを、領主董卓様に代わって謝罪する」

 

 

 

そう言って、腰を曲げ、民たちに頭を下げたのだ。これは私たちの常識からは最も遠いものだった。別に民を卑下するつもりはないが、それでもどこかに差別的意識があったのだろう………民は我々の統治により生活できている、と。

だからこそ、私は驚きに目を見開いたのだ。周囲の人間たちも、初めて見る官のその行動に、先ほどの喧騒が嘘のように静まりかえった。

 

 

 

「………そこで、だ。俺はみんなに提案したい!俺に協力してくれと!言い訳をするつもりはないが、官である俺たちだけでは手に負えないんだ。そして勿論、民のみんなだけでも解決できない。

だがしかし、俺たちが協力すればこの現状から脱却することができる!そのために俺たちは今日、ここに来たんだ!」

 

 

 

気がつけば、すべての人々が一刀様の方を向き、話に耳を傾けていた。将軍になるくらいなのだから、勿論大声で指示を出すことはある。そして指示を出される方も忠実にそれを聞く。ただし、それは訓練された兵士であって、ここにいる民ではない。

私は董卓様の就任以来見たことのないその光景に、眼を奪われた。

 

 

 

「俺は、みんなに仕事を提供する。勿論給金は他の地区の人たちと同様に支払うし、仕事内容もいくつか選択肢を提示する。

みんなは自分がしたい仕事、自分に合った仕事を選んで、それを一生懸命こなしてくれるだけでいい!ただそれだけでこの生活から脱却できるんだ!!

だから!どうか俺に力を貸してくれっ!!」

 

 

 

 

 

そして一刀様は、再び頭を下げた。しばらくの間、沈黙がその場を支配した後―――

 

 

 

 

 

「そこまで言われちゃ仕方がねえ!俺は協力するぞ!」

「俺もだ!こんな生活、さっさとおさらばしてやる!」

「俺もやるぞ!」「あたしたちだって!」

 

 

 

 

 

―――心を一つにした民たちの歓声が、その場に木霊した。

 

 

 

 

 

 

五日目

 

 

今日は朝議の日だった。普段は先に玉座に行き董卓様たちの到着を待つのだが、今の私は一刀様の補佐の立場なので、玉座には向かわずに一刀様の部屋へと向かっていた。

 

 

 

コンコン

 

 

 

「開いてるよ」

 

 

 

一刀様に言われた通り、部屋の扉をのっくすると返事が返ってきたので、私は扉に手をかけた。中に入ると、一刀様は既に机に向かって、竹簡をまとめていた。

 

 

 

「おはようございます、一刀様」

「あぁ、おはよう。昨晩に引き続き、朝まで悪いね」

「いえ、とんでもございませ……ん………あの、一刀様?」

「ん、どうしたの?」

 

 

 

歯切れの悪い私に、一刀様は手を止めて向き直る。

 

 

 

「どうして、その………呂布様が一刀様の寝台で寝ておられるのですか?」

「へ?あぁ、いつものことだよ。夜はちゃんと自分の部屋で寝るのに、なぜか朝には俺の布団に入り込んでくるんだ」

「うらやまs………じゃなくて、『男女七歳にして同衾せず』ですよ?」

 

 

 

嫉妬…だろうか。今の私の声音はひどく低くなっており、一刀様もつい仰け反った。

 

 

 

「う…でも朝だから同衾じゃないんじゃないのかなぁ…なんて」

「はぁ………いいですよ。一刀様と呂布様の間には特別な絆があることは周知の事実ですから」

「うぁ、そんな風に見られてたんだ…」

 

 

 

私は一体どうしてしまったのだろう。普段の私なら、立場をわきまえてこんな軽口など叩かないはずなのに………一刀様のせいだ。私なんかより立場は上なのに、それを感じさせない態度で接してくる。

それに、この三日間で行動を共にしてわかったことだが、一刀様は、民に対しても同じように接しているのだ。だからこそ民たちは皆一刀様に惹かれ、そして私もまた―――。

 

 

 

「それはさておき、竹簡の方はいかがですか?何か私にも出来ることがあればお手伝い致しますが」

「いや、あとは予算の計算だけだから大丈夫だよ。ありがとう………っと、これでオッケー」

「…桶?」

「あぁ、俺の国の言葉だよ。問題がないことをオッケー、って言うんだ」

「なるほど………。あ、そろそろ朝議の時間です。玉座の方へ移動しましょう」

「そうだな。今回は俺たちの出番があるけど、補佐とかお願いできるかな?」

「はい、オッケーです」

「あはは。早速使いこなしてるね。よし、じゃぁ、俺は恋を起こして連れていくから、先に資料を持っていって貰える?」

「はい、畏まりました。では、また後ほど」

 

 

 

私はそう言って部屋を出た。

 

 

 

 

 

………呂布様が羨ましいな。目覚めて最初に一刀様のお顔を見られるなんて。

 

 

 

 

 

 

俺は恋を起こすと、まだ眠いとごねる恋を宥めて、玉座の間へと向かった。今日は資料の整理で朝食を食えなかったから、さっさと終わらせて朝食を食べたいな。

なんてことを考えて玉座の扉を開けると、そこには、すでに文官武官が勢揃いしていた。

 

 

 

「遅いわよ」

「悪いな。恋がなかなか起きてくれなくてね」

「…ごめんなさい」

「う…」

 

 

 

開口一番俺たちの遅刻を注意する詠だったが、項垂れる恋を見ると、言葉を詰まらせた。

俺たちが揃ったところで唯さんが俺の隣に立ち、朝議が始まり、各官が今朝の報告を上げていく。

文官が昨日のうちに処理した問題の報告をしたり、武官が兵の練兵状況や発生した事件の報告をする。そうして二刻ほどが過ぎ、俺の出番がきた。

 

 

 

「それじゃぁ一刀、先日の案の進行状況がどれほどか教えて貰える?」

「あぁ。まず、俺がやるべきことだが、実は昨日でほとんど終わっている。残りは詠たちの仕事だ」

「はぁ!?あれだけの案件でしょう?たった4日で終わるの?商人との交渉だってあるし、民たちの説得もあるし、もっとかかると思っていたんだけど………」

「そうだよ?」

「そうだよ、ってアンタ………唯、ホントのところはどうなの?」

「はい、一刀様の仰る通りでございます。商人たちとの交渉は最初の二日で終わり、民の説得も実質二刻ほどで終わり、どちらも協力をとりつけました」

 

 

 

一体なんの話かと小声で話している他の者もいたので、俺は詠に指示され、全員に説明を始めた。

 

 

 

「まず、俺が対処しようとしていた案件だが、大きく分けて3つあった。実質1つのようなものなんだがな…。詳しくは後で資料を渡すから後でそれを読んで欲しい。

主に南東地区の問題だが、簡単に言うと、流民の増加による世帯不足、職のない住民たちによる貧民街の形成、そして治安の悪化だ。これはすべて移住してくる流民が多いことに端を発している。ここまでで質問は?」

 

 

 

俺が一度言葉を切り、質問の有無を尋ねるが、月や詠たちはもちろん、他の文官・武官も特に問題ないようだ。

 

 

 

 

 

恋?恋は俺に持たれかかって眠っており、俺の肩を涎で濡らしてるよ。

 

 

 

 

 

「それで、この案件への対処法だが、まず、大前提として、官と民が協力する必要がある」

 

 

 

俺がそう言うと、場がざわめく。華雄が戦斧の石突で床を何度か叩くことで喧騒が治まったことを確認した俺は、少し声量を高めてさらに言葉を続ける。

 

 

 

「じゃぁ聞かせてもらうが、詠やここの文官たちが対処できなかった問題を、これからも俺たちだけで上手く処理できるのか?………そうだろう?だから、前提が違うんだ。

いいか?民があってこその街だ。民があってこその国だ。そこを履き違えるな。

月の元で働いているくらいだ。まずいないとは思うが、もし、役人ありきと本気で思っている者がいるのなら、即刻その考えを改めて欲しい。

………話が逸れたな。それでその対処法だが―――」

 

 

 

 

 

 

「―――その対処法だが、先も言ったとおり、この3つの問題はすべて、流民が多いことに起因する。だから、個々に対処するのではなくて、すべてを関連付けて行うことが必要となる。

まず、職のない流民だが、彼らにはこちらから仕事を与える。実際彼らが働くことができるのならなんでもいいのだが、俺が挙げるのは、次の3つだ。

一つは未開の地を開墾する農業従事者、一つは不足がちな警備隊の隊員、そしてもう一つは、アルバイト…簡単に言うと、いろいろな仕事の手伝いだ。

もちろん、それぞれ問題を抱えているから、ここからが俺がやってきたことと関係しているのだが………」

 

 

 

俺は再び言葉を切り、皆を見渡す。誰も質問がないようで、続きはまだかと、眼で訴える。いいな………いい意味で貪欲だ。月は本当にいい家臣を持ったな。

 

 

 

 

 

恋は相変わらず俺の肩で眠っている。そろそろ肩が冷たくなってきたんですけど。

 

 

 

 

 

「まず、一つ目の農業従事者だが、彼らには一定期間―――まぁ、作物ができるまでだな―――は生活の保障を行う。そして、収穫後は保障を打ち切る変わりに、自分が開墾した土地をその開墾者に与え、来年からも同じように作業ができるようにする。

次に二つ目の警備隊だが、今は軍の兵から選んで警備を行っているよな?だが、流民はもともと民なのだから、兵役自体は希望するものだけに対してだけ課すことにし、それ以外の警備隊志願者は、街の専門部隊として従事させる。

最初は今いる警備兵と混合で行うが、最終的には兵はすべて軍に戻し、志願者のみで警備隊を編成できるまでにしたいと考えている。

ちなみに、その者たちの訓練は俺が行うつもりだ。華雄や霞でも悪くはないんだが、戦をするためではなく、民の安全を守ることを最優先事項とする組織だから、少し対応を変える必要があると思ってな。

………そして最後に、アルバイトの制度だが、これは商人や店、屋台などで人手が足りないときに手伝いをし、その日分の給金を店側が与えるという制度だ。もし本人や雇い主がその気になればそのままそこで働くことも可能だし、そこは本人たちの決めることだ。

こちらが決めるのは、最低賃金の設定と、違反や不正がないかを取り締まる部署を作るくらいかな。あと、いろいろな基本的な取り決めを設定する必要もあるが………。

とまぁ、俺が考えているのはこんな感じだ。大雑把な説明で申し訳ないが、何か質問はあるか?」

 

 

 

俺が再び問いかけると、一人の文官が手を挙げた。

 

 

 

「一つ目の農業従事者に対する保障にしても、二つ目の警備隊の給金にしても、何しろ予算がかかりすぎてしまいます。残念ながら、そこまでの予算が捻出できるかと問われれば、否と答えざるを得ません」

「いい質問だな。だが、俺が何のために商人たちと交渉に行ってきたんだと思う?………唯さん」

「はい、一刀様」

 

 

 

唯さんは俺が声をかけると、月の元へ行き、一つの竹簡を差し出した。それを見た月の目は驚きに見開かれる。月が無言で隣にいた詠に竹簡を渡すと、詠の瞳にもまた、驚愕が浮かぶ。

 

 

 

「何よコレ……『賛同書』?………って、街の有力な商人の半分以上が署名しているじゃない!」

「あぁそうだ。これが俺の交渉の成果だよ。俺が彼らに提示したのは、農業従事者から収穫物の一部を安価で買い取る権利と、南東地区の治安回復後の優先的な商売の権利だ。

その代価として、農家の生活保障金と、警備隊の運営費を寄付してもらう。実際、時間が惜しかったからすべての有力者を回ったわけではないが、俺が訪ねた商人はすべて協力を申し出てくれたよ」

 

 

 

俺のその言葉に、周囲がざわめくが、俺は構わずに言葉を続けた。

 

 

 

「これで予算の心配はいらないな。一応『月の許可が下りなければ実効できないから、すぐにとは言わない』とは伝えてあるが、協力者は皆、いつでもいいと言ってくれた。月が慕われていることと、詠たちが頭を悩ませてきた結果が出ていることの証拠だよ。

ちなみに、南東地区の住民たちもこの制度に納得していて、すでに、各々の得意分野で誰がどんな仕事につきたいかの希望を考えるように伝えてある。もし人数が偏るようだったらある程度は編成し直す必要はあるが、女性やある程度の年を重ねている者なんかは警邏には出られないし、農業従事に大半が向かうと思われる。

あと、最初のうちは、街の大工にも協力してもらって家屋の増加を行なっていく予定だけどね。

………どうだ、詠?ちゃんと結果を出してきたぞ?」

「そうね………問題に対する対処法に、派生する諸問題の対応策も考えてある。ボクはいいと思うわ。一刀の案に反対するものは挙手なさい!………いないようね。…月」

「うん。一刀さん、お疲れ様でした。この件に関しては、一刀さんの案で進めていきたいと思います。それに伴う新しい部署の配置などは、追って通達します。ただし、皆さんも資料は必ず読んでおいてください。………一刀さん、資料はこれから用意できますか?」

「そう言うと思って、すでに用意してあるよ。ただ時間がなかったから月と詠以外は、数があまりないから自分たちで写してもらう必要があるけどな。…唯さん」

「はい」

 

 

 

唯さんは、俺の合図で月と詠、そして文官の数人に資料を渡した。

 

 

 

「細かいことはそこに書いてあるから、また質問があったら俺か唯さんに聞いてくれ」

 

 

 

 

 

 

朝議も終わり、玉座の間に残っているのは、月と詠、霞に華雄、俺と恋(とセキト)、そして唯さんのみになった。

 

 

 

「お疲れ様。というか口調が変わるだけで随分別人に見えるわね」

「いやぁ、あまり会ったこともない人たちもいるから、舐められないようにと…ね」

「その割に、たまに素が出てたけどね…。まぁいいわ。それにしても、アンタどうやって商人たちの協力を取り付けたの?普通そんなに協力的じゃないわよ?」

「さっきも言ったけど、月や詠たちが頑張って治めている結果だよ。実際、街をどう思うか聞いたら、みんな商売がしやすくてありがたい、って褒めていたし。な、唯さん?」

「そうですね。皆様口を揃えてそう仰ってました。でも私が驚いたのは、一刀様が会いに行く先々でそこの主人と既に仲良くなっていらしたことです」

「はぁ?アンタ、街に出てると思ったらそんなことしてたの?」

「いろいろ店とか屋台とかで話を聞いたりしてるんだけど、その時にその店の所有者とかが偶々いたり、飯屋で意気投合したりして、そこからどんどん広がって繋がりができた、って感じかな」

「アンタ…自分が役人だ、って自覚ないでしょ?」

「役人も民も同じ人間だ。仲良くしたっていいじゃないか」

「いや、まぁわかってはいるんだけどね。でも一応威厳ってものが………」

「ダメだよ、詠ちゃん?一刀さんも言ってたじゃない。これからはみんなで協力していく、って」

「わかってるわよぅ………」

 

 

 

と、ここでこれまでダンマリを決めていた二人が口を開いた。

 

 

 

「あれやで、月っち。一刀が思っとうた以上にできる奴で、詠は悔しいに違いないわ」

「そうだな。私もてっきり一刀は武のみかと思っていたが、智の方も相当のものを持っているみたいだ」

「そこ!うるさいわよ!」

 

 

 

そんな風にワイワイ騒いでいると、ふと、月が口を開いた。

 

 

 

「そういえば、唯さん、一刀さんに真名を預けたんですね」

「はい。月様たちのお話を聞いて、実際にお会いして、呼んで欲しいと思いました」

「なんや、月。ヤキモチか?」

「へぅ…そんなんじゃ………」

「そうよ!なんで月がこんな奴に………」

「ほう、賈駆よ。お前は北郷のことを認めていると思っていたのだがな。そんなことはなかったのだな」

「ばっ!そんなわけないじゃないっ!こいつの実力は武でも智でも十分に認めているわよ!」

「へぅ…詠ちゃぁん」

「なるほど?詠もすでに一刀にベタ惚れ、っちゅうわけやな」

 

 

 

そんなわけあるかぁ!と詠の叫びが広間に木霊する中、俺は肩の染みが背中に達するのを感じていた。

 

 

 

「恋さん、そろそろ起きよう?今回まだ一言しか喋ってないよ?」

「…むにゃ………おなかすいた」

「………………ダメだこりゃ」

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

「あ、そうだ、唯さん。あれ、詠に渡して」

「はい。どうぞ、詠様」

「何よコレ…『予算見積もり書』………?って何これ!?請求内容が人件費のみのくせに、こんなに請求する気?どれだけ自己評価高いのよ、アンタは!?」

「違う違う。それは南東地区の住民に払うものなんだ。実は一昨日と昨日で地区の清掃作業や家屋の修繕を一気に行ったんだが、住民たちにも協力してもらってね。

本来なら俺たちがやるべき仕事だろ?だから、アルバイト制度を理解してもらうためにも、仕事として参加して貰ったんだ。ちゃんと賃金基準は唯さんに確かめてもらったぞ?

………でもそのおかげで、今の住民の士気は董卓軍にも負けないぞ?」

「何馬鹿なこと言ってんのよ!」

「いいじゃない、詠ちゃん。先行投資と思って、ね?」

「そんなに言うならこれ見てみなさい」

「うん………!………………………………………………………へぅ」

「ちょ!月!?月ぇぇぇええええっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと張り切りすぎたかなぁ?」

「いえ、結果的には問題ないでしょう」

 

 

 

 

 

 

おまけ その2

 

オリキャラ

 

姓:李 名:儒 字:文優

 

董卓に仕える文官。史実では董卓が入朝してからの配下で、董卓に悪政を進言していたとされる。

 

いろいろ調べたけど、ネットだけだと情報が足りず、李儒さんくらいしか董卓の部下で名前がわかる人がいませんでしたorz

 

年は20代ちょい過ぎくらいかな。だから一刀君は「さん」付けで呼んでいます。

髪は黒で腰くらいまであるイメージ。

たぶん、けっこう真面目な方で、スレンダーな美人さんだと思うんだ。

これからどんな風に絡んでいくのかわからないけど、モブキャラも設定を加えたら内容に深みが出るかな、と思って登場して頂きました。

 

拠点も1、2個作るかも。

 

 

 

 


 
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