No.143106

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 37話

虎子さん

お久しぶりです。
まさかの多忙で大幅に遅れてしまいました。
待っててくれた読者の方々、すみませんでした。

あとがきの後に、この前言っていた没ネタを載せています。

続きを表示

2010-05-14 23:56:43 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:4372   閲覧ユーザー数:3627

~『白虎』本陣への帰路~

 

豪臣たちが劉備軍を後にし、荒野を自陣へと向かっていると

「豪臣。来ましたよ」

朔夜が声を掛けてきた。

(・・・やっぱり)

「ま、待って下さい!」

豪臣が振り向く。

声を張り上げ、此方に馬で駆けて来るのは

「・・・やっぱり来たか、雛里」

雛里だった。

 

 

 

駆けて来たのは単騎、雛里のみだったため、豪臣はそのまま自分の前まで通した。

その通された雛里は、かなり急いで来たのか息が切れてしまっている。

豪臣は、時間が掛るかも知れないと思い

「星、先に戻って我らの頭脳に今回決まったことを報告しといてくれないか?」

星に声を掛ける。

「フッ、了解した。が、あまり苛めないでやって下されよ?」

星が笑って言った言葉に、豪臣は溜息で答える。

星はそのままこの場を後にした。

豪臣は、その後ろ姿を眺めながら

(ホント。この娘が何て言うかだよ、星)

と、内心で呟いた。

 

 

 

豪臣と星が話している内に息が整った雛里は、豪臣が振り向くと口を開いた。

「ひ、豪臣さん」

「ん?」

豪臣は、恐がりな雛里のために視線を下げ、優しく相槌を打ってやる。

「さ、先程のことで話しがありましゅっ!・・・噛んじゃった」

「さっきのこと?」

豪臣は、態と分からない風を装う。

「はい。桃香様が“皆が平和で安心して暮らせる世の中にしたい”という目標を述べたにも拘らず、豪臣さんは“夢”と言いました。桃香様たちは同意して貰えたのだと喜んでいましたが、私には実現不可能だと莫迦にされた様に感じました」

少しだけ怒った様な顔で言ってくる雛里に豪臣は嘆息した。

「・・・まぁ、彼女が一個人の思いとして言ったのなら好感が持てるし、実際、彼女のあり様・・・民、その全てを想う心には好ましく思ったよ。

 ただ、俺の考え方とは大分違うから同志にはなれないだけだ」

雛里は、豪臣の言葉の真意を読み取ろうと目を細める。

そんな雛里を見た豪臣は、ニヤッ、と笑って

「端的に言えば、劉玄徳の如き甘い考えは俺には同調出来ない、と言うことさ」

言ってやった。

「っ!・・・つまり、桃香様がただ甘いだけ、と言うのですか?」

「さぁ?それは、君らで考えると良いよ。俺は“だけ”何て一言も言っちゃいないだろ?ただ、甘過ぎるのさ。

それに、俺はさっきも言った通り、桃香には好感を持っている。だが、だからと言って、俺は彼女の言葉を全て肯定することはしない。それだけだよ。

彼女の言は、非現実的過ぎる。・・・そう、まるで物語の主人公の様だ。

そう思わない?」

「・・・・・・」

一瞬黙ってしまう雛里。

「・・・じゃあ、逆に訊くけどな。桃香の夢は実現出来るか?」

そんな雛里に、今度は豪臣が質問をする。「分かっているんだろう?」という顔で。

「私も朱里ちゃんも、簡単なことではない、ということは重々理解してましゅ!でも、桃香様はそれを実現させようとしているんです!心の底から!だから・・・だからっ!」

(簡単ではない、か。不可能の間違いだろ?・・・ま、俺の言葉を肯定してしまうと、その時点で桃香に付き従う理由が無くなるから無理なんだろうけどな)

「だから、惹かれたんだろ?君も。そして、彼女の周りに居る娘たちも」

「そうです!桃香様の大望を叶えるために、皆で団結してるんです!」

(まるで宗教だな。有り得ないことのために団結するなんてな)

一瞬、不快な表情を浮かべる豪臣。

(これ以上話しても平行線だな。所詮、叶わぬ幻想を彼女に見てしまった者たちの集まりか・・・星は好きそうだが、俺は嫌いなんだよ。自身が軍を率いて何をしたのか、そして何をしていくのかを理解していない。そんな彼女の言葉はな。どうしても、薄っぺらな言葉に聞こえてしまう。

それに、基本的に俺は自分の認めた奴以外は生きようが死のうが関知する気がないしな。害を為すなら兎も角として、同調してやれるところが無い)

豪臣は、内心でそう呟きながら、ある言葉を思い出した。

 

“正義を名乗る者こそが悪”

“自覚と覚悟の無い正義を悪と呼ぶ”

“自覚と覚悟の無い正義は悪にも劣る”

 

この三つの言葉は、豪臣の師匠である陳(ちん)と二人の兄弟子の言葉だ。勿論、この言葉のまま言われた訳ではないが、意味はこんな感じの言葉であった。

豪臣は、この言葉を思い出すと、苦笑してしまった。

(桃香には、この言葉が当てはまらなければ良いけどな)

 

 

 

【視点・雛里】

 

『凄く素敵な“夢”だな。それが実現出来ると良いな』

豪臣さんは、眉を下げて少し困った感じで笑いました。

私は、豪臣さんのこの言葉に違和感を感じました。

そして、すぐに理解しました。

 

“夢”

 

この言葉に、私は違和感を感じたんです。

元来“夢”と言う言葉は、実現させたい理想と言う意味と共に幻や空想的と言う意味があります。

豪臣さんは、“目標”と言った桃香様の言葉に“夢”と言う言葉で返しました。

これは、あまりにも不自然な答えです。

(・・・莫迦にしてる?)

そう考えると、先程の困った表情に不快感が湧き上がって来ます。

 

私は、気づいたときには朱里ちゃんに「豪臣さんに伝えることがあるから」と一言告げて豪臣さんを追い掛けました。

 

そして、追いついて豪臣さんと話をしました。やはり、桃香様の言葉を肯定はしていない様です。

(反論できないこともありました。けれど、その大望を叶えるために、矛として盾として一騎当千の愛紗さんや鈴々ちゃんが居る。皆の頭脳として私や朱里ちゃんが居る。御旗として桃香様が居る。

 確かに、人数はまだまだ少ないけど、私たちと同じ願いを抱いている人はたくさんいるはず。だから・・・)

私は、反論しようとしました。

しかし

「雛里。君に一つの言葉をあげるよ」

豪臣さんの言葉の方が早かった。

「・・・どんな言葉ですか?」

仕方ないので、先に豪臣さんの話を聞くことにしました。

すると

「俺の兄弟子の言葉なんだけど、“自覚と覚悟の無い正義を悪と呼ぶ”って言葉だ」

(っ!!・・・何ですか?桃香様がそうだと言うのですか!?)

私は、自分が驚くほどに怒りを感じてしまいました。

「・・・桃香様が・・・悪、とでも言うんですか!?」

自分で分かる程に低い声で訊く。

「そうならない様に、という願いを込めて君に告げたんだけど・・・ま、どう捉えるかは、好きにすると良い」

豪臣さんは、そう言うと私の目線から外れて真っ直ぐ立ち

「じゃ、話は此処までだ。俺は戻る」

「えっ!まだ、話は・・・」

しかし、私の制止の声には耳を貸さずに豪臣さんは背を向け

「あ、さっきの言葉なんだけど。朱里ちゃんとしっかりと話し合って考えなよ・・・じゃあな」

歩いて行きました。

その後ろを朔夜さんと数人の兵士さんたちがついて行きます。

私は、そんな後ろ姿を見ながら悔しさから拳を握っていました。

 

【視点・終】

 

 

 

雛里に別れを告げ、自陣に戻る途中のこと。

「何だか、物語の導き役みたいでしたよ、豪臣?

 何だかんだ謎めいた言葉を言うだけ言って死ぬキャラクター」

朔夜が呆れた様に言う。

「そうか?まぁ、出来れば見たくないからな・・・桃香たちが苦しむ姿を」

「覚悟、ですね?」

「ああ。あの娘がしっかりと自身を見詰められれば、もっと現実的な目標を見つけるか、誰かに仕えて、その目標を追うかに考え直してくれれば嬉しいんだけどな」

(今の彼女はリーダーには向いていない。が、先のことは分からないからな)

豪臣は、朔夜に答えながら

「朧(オボロ)、居るか?」

「居るッスよ」

暗部班長を呼んだ。

 

豪臣に呼ばれて、周りの兵たちの中から現れたのは紺色の忍装束に身を包んだ暗部班長の朧だ。

序列でいえば朔夜たち部隊長。その下の百人を纏める団長。さらにその下である、五十人を纏める班長だ。

が、暗部は構成員が百人で他の部隊よりも団長も班長も少ない。つまり、暗部では朔夜と団長に次ぐ地位だ。

『白虎』の兵の中でも実力は上位で、気配を消す術である『消(しょう)』をほぼ完璧に使いこなし、豪臣直伝の小太刀二刀流を使う。

因みに、豪臣と最も仲の良い男兵士二人の内の一人で、豪臣のことを兄者、朔夜のことを姉御と呼ぶ。

 

周りに居た兵士たちが驚いているが、構わずに朧は口を開く。

「で、何スか~?」

全身を紺色一色に身を包む朧は、豪臣に対してぞんざいな言葉使いで訊いてくる。

「劉備軍の動向を監視してくれ。特に劉玄徳と鳳士元を重視してくれ」

豪臣は、そんな言葉使いは気にせず要件を告げる。

「・・・爆乳と貧乳ッスか。兄者は、女なら何でもいいn「死ね!」おっと!・・・危ねぇッスねぇ」

「下らないこと言ってないで、さっさと行きやがれ!」

中段回し蹴りを寸でのところで避けた朧に、豪臣が怒鳴る。

「へいへい、行きまッスよ。だから、そう怒りなスんな」

「て、テメェ・・・」

握り拳を作る豪臣。

「んじゃ、行ってきまッス~!」

そう言うと、朧は周りの風景に同化する様に気配を消した。

「・・・あんにゃろ~、戻って来たら一発ぶん殴ってやる!」

豪臣は拳を合わせながらそう言った。

 

 

 

~『白虎』豪臣の天幕~

 

夜になり、自陣に戻った豪臣は、皆への説明を終えると鈴花と朔夜のみを天幕に残した。

「それで、劉備さんはどうでしたか?」

「中々に重篤な娘だったよ」

鈴花に、疲れた表情を隠さずに答える豪臣。

それを聞いた鈴花は、いつも通り「あらあら」と頬に手を添えて微笑む。

「で、鈴花だけを残した、と言うことは、黄巾の後の話と見て良いのですね?」

朔夜の問いには、首肯して答えた。

 

豪臣は、鈴花や商人であり『白虎』の支援者でもある元(げん)こと衛慈と圓(うぉん)こと衛臻の親子には自身が未来から来たことを伝えている。

もし、歴史通りに反董卓が起こった場合、月の性格を考慮した上でどちらに付くかを朔夜と鈴花に相談していたのである。

 

「俺たちは連合側に付く」

「豪臣君。理由をお訊きしても?」

鈴花は、月と詠、そして仲良くなった李傕が豪臣にとって如何に大切かを聞かされていたので、若干眉を顰めて訊いた。

ああ、と豪臣は頷いて説明する。

「最初は、董卓軍に付くつもりだったけど、どうやら、それでは勝てないみたいだからな」

苦笑する豪臣に、鈴花は沈黙して続きを促す。

「今回の接触で、経緯はどうであれ、関羽と手合わせすることが出来た。互いに本気の戦いにはならなかったが、実力は見えた。

 鈴花には、前に言ったよな?董卓軍の呂奉先(リョ ホウセン)のこと」

「ええ。先日、三万の黄巾賊を一人で返り討ちにしたとか・・・確か暗部の情報にありましたね。その呂布という方でしょうか?」

「そう。その呂布だ。彼の・・・俺の知る方の彼のもっとも有名な戦いに“三英戦呂布”、というものがある。これは、関雲長と張翼徳(チョウ ヨクトク)、劉玄徳の三義兄弟と互角、若しくは、それ以上に戦ったというものだ」

「つまり、関羽が弱かったということかしら?」

「そっ。確かに、今回は本当の実力は見られなかったけど、それを考慮した上で呂布の力を見積もっても俺の方が強い。そう踏んだんだよ」

「豪臣並みに強ければ、董卓軍に合流して二人で・・・と考えていたみたいですよ。この朴念仁は」

朔夜が呆れ顔で二人の会話に入ってくる。

「それは・・・・・・豪臣君」

「な、なんだよ?って、何で可哀想な奴を見る様な目で見詰めてくるんだ!?」

「いえ・・・いくらなんでも、ですね~。

 私の計算では、反董卓連合の規模は二十万を超えます。それに比べて、董卓軍の現在の兵力は五万。幾らなんでも、豪臣君二人分の力があっても厳しいと思いますよ?」

「いや、計算が出来なかった訳ではないんだけど。ただ、守戦であれば、如何にか出来ると思っていただけだよ」

「・・・まぁ、良いでしょう。取り敢えずは、反董卓の動きが見えたら連合に参加出来る様に調整しましょう。董卓さんたちの救出の件は豪臣君と朔夜さん、暗部の皆さんに任せます。

 で、この話の結果、董卓軍には与しないことが決まりました。では、乱の集結後は何処の麾下(きか)に入るのです?それとも、独自の領土でも持ちますか?乱の功績を使えば、州の一つくらい治める権利くらいなら取れますよ。私の繋がりで」

そう訊かれた豪臣は、少し考える素振りを見せた後

「まだ、決められないな。何しろ、最後の候補に会ってないからな」

と、肩を竦めた。

 

豪臣の言う最後の候補とは、曹操孟徳である。

豪臣は、鈴花と元(げん)との約束の際に「豪臣自身が君主である必要は無い」と云う旨を聞いていた。これに対し、豪臣は目的のある自分では君主は無理と判断。『白虎』としての賊討伐をしながら、自分と朔夜の力が預けられる人物を探していた。

そして、豪臣が当りを付けていたのは、孫文台・董仲穎(とう ちゅうえい)・袁本初・劉玄徳・曹孟徳の覇者になりえる五人だった。

その中で、月こと董卓は、今後起きるであろう反董卓連合戦での圧倒的不利から却下。袁紹は暗部の情報(莫迦と言う報告)と先の謀略により却下。桃香こと劉備は、考え方の違いから却下。

つまり、誰かの麾下に入るなら、青蓮(しょうれん)こと孫堅か、まだ見ぬ曹操だけである。

 

「まだ時間がありますから、大丈夫ですが、しっかりと答えを出しておいて下さいね」

豪臣の答えを聞いた鈴花は、そう言って天幕を出て行った。

その後ろを朔夜もついて行く。

(ん?今日は一緒に寝ようと言わなかったな。何かあるのか?)

豪臣は、その朔夜の行動に疑問は持ったが

「・・・寝みぃ」

気にしないことにして、腕を枕に体を横にした。

 

 

 

【視点・豪臣】

 

俺は、寝ていたらしい。

(寝るなら、何か羽織ってからまた寝よ)

そう思い俺は体を起こそうとした。

しかし

(っ!動かない!・・・・・・縛られている!?)

体が動かないことに気付き、ゆっくりと目を開けた。

すると、そこには

「あらあら。起きましたか、豪臣君?」

いつもの頬笑みを浮かべたまま立つ鈴花が居た。

そして、やはり自分が縄で縛られて、蓑虫状態になっていることが分かった。

「・・・何をしている?」

ジト目で睨む俺。

「あらあら、私、どうして睨まれているんでしょう?」

鈴花は、悪びれる様子も無く微笑みのままである。

(そう言えば、さっきは急に眠たくなったな・・・まさか、薬か?)

俺は、怒鳴りつけてやろうかと、口を開こうとしたとき

「そうですぞ、豪臣殿。鈴花殿だけがやったわけではないのですから」

「そう。我も手伝いました」

「・・・ボクも」

星、昴、燈が鈴花の後ろから視界に入って来た。

(・・・・・・・・・ヤバい。何か、凄くヤバい気がする)

「何をしているんだ、お前ら」

冷や汗が額を伝う。

「あらあら」

鈴花は、何も答えずに近づいて来る。

それに合わせて、後ろの三人も近づいて来る。

「おいおい!何か言えよっ!」

「お仕置きですよ、豪臣君」

「はぁ?」

俺は、鈴花の言う意味が分からない。

「分からない様ですねぇ。仕方ない人ですね、豪臣君は。

 星さんから聞きましたよ。劉備軍の方たちとも真名を交換するほどまでに仲良くなられたとか」

「いや、別に良いじゃないか!?」

(訳分かんねぇよ!)

「豪臣殿、説明してあげましょう。なぁ?」

「ああ。ほら、燈」

「ん。・・・・・・浮気厳禁」

「そう言うことです、豪臣君。覚悟は?」

満面の笑みを浮かべる鈴花。

それを見た俺は

「いや、いやいやいやいやいやいや、ちょっと待てって!」

蓑虫状態の俺は、必死で足を動かしてバックして離れようとする。

が、俺の背中に何かが当った。

「ん?」

と、振り向いた俺が見たのは

「さ、さく、や?」

若干、申し訳無さそうな顔をしている朔夜だった。

「さ、朔夜!助けてくれ!」

最後の砦。その思いで朔夜に訴える。

すると、朔夜は俺の左肩に手を置き

「豪臣。こんな言葉を知っていますか?

 “据え膳食わねば女の恥”

 と言う言葉です///」

(違う!そこ、女じゃない!後、頬を染めるくらい恥ずかしいなら言うな!)

ツッコミを入れようとした俺の右肩に、後ろから手が置かれる。

ビクッ、と体が反応してしまう。

ゆっくりと振り向くと・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・長い長い夜が始まった

 

 

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

まずは、予定を大幅に過ぎてしまってすみませんでした<m(__)m>

全く予期せぬ忙しさに、執筆時間が取れず遅れてしまいました。

 

では、作品の話です・・・

何とか、劉備編終了です。

若干、雛里との仲が心配ですが、概ね予定通りの終わり方かなぁ?

今回登場した男性キャラの朧(おぼろ)は、これからもチョイチョイ出演する予定。読んでて分かったとは思いますが、暗部では団長は“白”で班長が“紺”です。

次回から二話分の拠点に入ります。順番は未定ですが、星か燈辺りから書こうかと・・・

 

次回投稿なのですが、23日(日)を予定しています。

 

作品への要望・指摘・質問と共に、誤字脱字等ありましたら、どんどんコメント下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 

 

 

 

※次のページから、没になった無情なる豪臣の愛紗ボッコです。

 見たくない方は此処で止めて置いて下さいね。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「そうか・・・なら、これで良いか?」

豪臣はそう言って腰に差していた煙管、三日月(みかづき)を帯から引き抜く。

「それは、何だ?」

愛紗は、必死に自分を抑える様に問い掛けた。

「キ、貴様は、何処まで私を莫迦にすれば気が済む!?」

「お前が泣き叫んで許しを請うまで」

即答する豪臣。

 

ギリッ

 

愛紗は、今にも飛び掛かりそうになる自身を、奥歯を噛み締めて堪える。

豪臣は豪臣で、勝手なことを言われて下種呼ばわりされたのだ。多少痛め付けなければ怒りが収まらない。

「どうした関雲長?お前は、こんな鉄の棒きれ一本に臆してしまうのか?」

「~~~~~~~~~!!」

(ハッ!こうも簡単に挑発に乗るか。話にならないな)

豪臣は思いきり、ニヤッ、と嗤い

「恐いのであれば、背を向けても良いんだぞ?・・・ククク、臆病者が」

愛紗を嘲嗤ってやった。

 

ブチッ!!

 

(臆病者、だ、と?この男・・・コロス!!)

その言葉で、場の雰囲気が一気に張り詰めた。

そして、愛紗が口を開く。

「御遣いを騙る愚か者紫堂!覚悟!」

愛紗は、殺気立った視線を豪臣に向けたまま言う。

「御託は要らないだろ。さっさと掛って来い」

そんな愛紗の視線を向けられながらも、薄笑いを浮かべながら豪臣は言う。

愛紗は、舌打ちをした後、数瞬の沈黙の後名乗りを上げる。

「・・・我が名は関雲長!我が姉、劉玄徳が一の矛!」

言葉の後、愛紗は青竜偃月刀を構える。

「・・・・・・」

豪臣は、そんな全く関係の無いとばかりに無言。

さらに、構えることすらしない。

(この男、名乗ることすらせずに、さらにこの態度!絶対に許さん!!)

愛紗は、豪臣の態度に更なる怒りの炎を燃やし

「参るっ!であぁぁぁっぁあああ!!」

無防備な豪臣に対して斬りかかった。

 

 

 

愛紗が踏み込んで来た瞬間

 

「我が心を以て、我が身、力を得る――『怪』、我が心を以て、我が身、風と為る――『疾』」

 

と、豪臣は呟く。

青竜偃月刀が、豪臣の頭上から振り下ろされる。

 

ガキンッ!

「「「なっ!!!」」」

 

振り下ろされた愛紗の一撃は、豪臣の右手にある煙管の三日月によって受け止められていた。

豪傑で鳴らす武人の矛を片手、受け止めたのは鉄の棒(三日月)。劉備軍の面々は驚愕に目を見開く。

まさか自分の豪撃が片手で受け止められるとは思っていなかった愛紗は、つい動きを止めてしまった。

「ぬるい」

そんな隙を見逃す程、今の豪臣は優しくない。

豪臣は、言葉と共に踏み込む。

「チッ!!」

愛紗は、舌打ちと共に後方に飛び退く。

(紫堂の間合いは狭い。これは当たらない!)

初動は僅かに豪臣よりも遅れたが、自身よりもリーチの短い豪臣の攻撃ならば届かないだろうと踏んだのだった。

しかし

 

ドゴッ!!ミシッ!

「ぐぅう!」

(な、何故・・・)

 

愛紗の鳩尾には、三日月の先が打ち込まれていた。

(私が・・・見えなかったのか?)

愛紗は、驚愕しながら膝を着く。

「ば、莫迦な・・・ッ!ゴフッ!」

膝を着いた愛紗が吐血する。

(チッ・・・内の臓を傷めたか)

と、内心で舌打ちすると

「いつまで呆けて居るつもりだ?」

「!!」

豪臣が目の前に立っていた。

「ふん!」

 

ドッ!ボキッ!

「がぁあ!」

 

愛紗の左腕に蹴りが入り、大きく飛ばされる。

大きな音と共に地面に落ち

「ぐ、ぐがぁああぁあ」

左腕を押さえて苦悶の表情を浮かべる。

(ふんっ、折れたか)

後方では、桃香が制止しようとする声や、朱里・雛里の悲鳴が聞こえるが、豪臣は無表情のまま愛紗に近づく。

そして、躊躇無く愛紗の左腕、それも折れた部分を踏み付けた。

 

ミシッ!

「ぐあぁぁぁあああああ!」

 

愛紗は、堪らずに叫ぶ。

その叫び声を聞いても

「謝罪」

豪臣は、無表情のまま短く問うた。

「く・・・ぐぅう・・・・・・」

愛紗は、苦痛の声を漏らすも、謝罪の言葉を口にせずに豪臣を睨み付ける。

(ほぉ・・・まだ、睨む元気があるか)

内心で驚きながらも

「その気概は認める。が、現状でのそれは愚行だ」

睨み付ける愛紗の顔面に爪先を喰い込ませた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

と、まぁこんな感じで、これ以上はヤバイ、と書いてる途中でボツりました。

間違えて、読んでしまった愛紗ファンの皆さん。ごめんなさい。

 

 


 
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