No.132821

恋姫異聞録40 番外編 -秋蘭-

絶影さん

番外編 -秋蘭-

今回で番外編は終わりです
次回からは本編に戻ります^^

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2010-03-28 16:45:00 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:20893   閲覧ユーザー数:15980

「・・・・・・む、朝か」

 

目が覚めると目の前はだけた寝巻きから見える大きな刀傷、最愛の夫の身体に残る頬からわき腹にかけた傷

私はゆっくりと指でなぞる、これは私達の家を帰る場所を守る為についた傷

 

そして

 

「・・・・・・ふむ」

 

両腕の傷は私と姉者に対する想い、私は胸の上に寝転ぶと昭の右腕を持ち上げて握ったり撫でたり

包帯を外して自分の頬に当てたりする。これは毎朝の日課だ、昭の腕をこうやっていると朝から私の心は

暖かいもので満たされる。

 

女の身で戦場に立ち、自分は女であると忘れてしまうことが多くあるが昭は私に強く女だと思い出させる

何時も私は妻だと、女だと、そして弱くて良いのだと思わされてしまう

 

それが嫌なのではなく   「「嬉しい」」  そう感じてしまう自分に少し苦笑してしまう

 

満足するまで一通りもてあそぶと私は包帯を巻いて何も無かったように元にもどす

 

「さて、朝食の用意だ」

 

何時も昭を挟むように寝ているのですぐ手の届く場所に涼風がいる

私は優しく涼風の頭を撫でるとゆっくりと目を開けた。どうやら起こしてしまったようだ

 

「おはよう、涼風」

 

「おはよぅ・・・ふぁ・・・」

 

起きてしまったのなら着替えさせるか、私はまだ眼をこすり眠そうにする涼風を優しく抱き上げると

箪笥から服を出して寝巻きから着替えさせた

 

「さて、今日の朝食は何にしようか」

 

ここのところ戦は無く、穏やかな日々が珍しく続いている。

理由は劉備は先の戦で撃退したのでしばらく動きは無いだろうし、孫策もまだまだ力を蓄えているところだ

我等はといえば天子様奉戴の為の下準備をしている最中、お陰で内政面では忙しい事はあるが穏やかなものである

 

「・・・朝から重いものは嫌だな。粥と野菜の点心にするか」

 

朝食を作るのも結婚してからは何時も楽しい、昭のうまいと言う言葉が聞けるだけで次も頑張ろうなどと思ってしまう

もちろん娘の笑顔を見て、皆で食べるのが一番楽しいのだが

 

「後は蒸しあがるのを待つだけだ。昭を起こすか」

 

私は人形で遊ぶ涼風の頭を撫でると部屋の奥から一馬がやってきた、義兄弟の契りを交わしてから一馬は

私達の家で一緒に住むことにしている、これは昭が望んだことだ。そして姉者もこの家で寝泊りをしている

姉者の事は私が望んだことだ、しっかりしてきたといってもまだまだ妹としては心配な姉なのだ

 

「おはよう一馬、悪いが涼風と一緒に姉者を起こしてきてくれないか?もうすぐ朝食が出来る」

 

「おはようございます。わかりました、行こうか涼風ちゃん」

 

一馬は涼風を連れて部屋を出て行った

 

さて、起こしにいくか。昭を起こすのは私の大切な役目、誰にも任せる事は出来ない

理由は・・・理由は恥ずかしい理由だ

 

寝室に戻ると気持ちよさそうに昭は寝ている。無防備に寝台に寝そべり、この状態で襲われたらひとたまりも無いだろう

私は扉に鍵をかけると周りを確認する。窓も閉めて、人がいないことを確認し

 

「ん~~~~~~~♪」

 

昭の頬に自分の頬を擦り付ける。私が起こしに行く理由はこれだ、恥ずかしくて誰にも見せられない

きっと私は自分でも驚くくらいにだらしない顔をしているだろうから

 

こやつの「私達で無ければ決して起きることの無い」ということを利用して朝は私のおもちゃと化している

だからやられている本人も私のこの醜態を見る事はないだろう

 

満足するまで抱きしめたり擦り付けたりした後は、気が付かれないように窓を開けて鍵も開けて元に戻す

 

「起きろ、朝だぞ」

 

「・・・んぅ・・・おはよう秋蘭」

 

頬を撫でて声をかけてやれば何時ものように笑って目を覚ます。私はこの優しい笑顔が大好きだ

私に笑いかけてくれる笑顔は何処か皆に向けるものとは違うように感じるのは思い込みが過ぎるのだろうか?

 

「朝食がもうすぐ出来るぞ、着替えてくれ」

 

「うん・・・わかっふぁ~」

 

昭は起きて服を着替え始めた、私は寝台に座りながらその様子をみる。そして着替え終わったら

私の着付けの確認がはいる。これも私の大事な役目、理由は・・・さっきと同じような理由だ

 

「よし、いいぞこれなら華琳さまの前に出ても恥ずかしくはない」

 

「ありがとう。腹が減ったな、早速飯にしよう」

 

恥ずかしそうに毎朝私の確認を受ける様は何と言うか可愛く見えてしまう

着付けを見るのは本当は違う理由だが半分は本当のことを言っているから昭の慧眼にも見破れない

私自身ずるいやり方だと何時も思う、だが恥ずかしいのだから許して欲しい

 

食卓へと向かうとそこにはすでに三人が集まり、一馬は卓を綺麗に拭いて姉者は膝に涼風を乗せて

何時もの朝の風景、昔はこの風景に華琳様がいらした。そのうちまた華琳様もご招待しよう

 

「秋蘭、皿と蒸しあがった料理を用意していいか?」

 

「ああ、一馬も手伝ってくれ」

 

「はい姉者」

 

何も言わずともこうして昭は手伝ってくれる。昔からマメというか気が利くというか、まるで曹騰様だ

本当に良く似ている

 

「それじゃ食べようか、頂きます!」

 

「「頂きます!」」

 

「昭、それ取ってくれ」

 

「おう、春蘭、涼風に野菜を多くとらせてくれ」

 

「大丈夫だ、心配せずとも姉者はちゃんと食べさせてくれる」

 

「姉さまは涼風ちゃんの専門家のようですからね」

 

昭はそれを聞くと「俺だって負けてない!」と姉者に対抗意識を燃やした。

まったくこやつは本当に涼風がすきなのだなと思ってしまう、妻としては嬉しい限りだ

ほかの事ではあっさりと折れるのに、娘のことに対しては誰にも負けたくないと思っているようだ

 

「ご馳走様、今日は先に出るぞ。仕事が残っているし、涼風は私が孤児院に連れて行くがいいな?」

 

「姉様、私も出ます。途中まで一緒に行きましょう」

 

「ちょっと待て春蘭!」

 

そういうと昭は姉者から涼風を取り上げて優しくしっかりと抱きしめた

こうなると長い、昭は抱きしめるだけで一日過ごせるだろう

 

「昭っ!遅れてしまうだろう!お前はこれから秋蘭と会議の打ち合わせをするのだろう?」

 

「うぅぅ!しかしだな春蘭!」

 

「いいかげんにしろ、姉者、涼風を頼む」

 

 

 

 

私はニコニコと笑顔になる涼風を昭から優しく引き剥がすと姉者に預けた

涼風も昭の愛情を強く感じるからだろうか、こうして仕事が忙しく月たちに預けることになっても

少しも悲しい顔をする事はない、それどころか頬に口付けをして父を慰めてやるのだから

 

「ううぅ~涼風~」

 

「まったく、仕方の無い奴だ」

 

姉者たちが出かけてしまうと昭は今にも泣き出しそうな顔をしてしまう、こういう顔もなかなかに可愛い

私は部屋に戻って昭を抱きしめてなだめると二人で食事の後片付けにはいった

 

「・・・・・・昭、着替えてくる。後片付けを任せてもいいか?」

 

「?・・・もう着替えているだろう?」

 

私は良いことを思いついた。たまにはこういうのも良いのではないかと思い、昭に後片付けを任せると

寝室に戻り箪笥を開く、そして一枚の服を手に取った。私はすぐに着替えると鏡の前で自分の姿を確認する

 

「終わったぞ秋蘭」

 

「ああ、どうだ?」

 

「・・・・・・あぅ」

 

前に私に買ってくれた高貴礼服、本当は結婚のときに着た真っ白な高貴礼服でも良かったのだけれど

あれは昭がずっと溜めていた小遣いで買ったものだからなるべく汚したくは無い、でもこれなら

 

「・・・・・・」

 

「何も言ってくれないのか?」

 

「あ、いや凄く綺麗だから・・・ごめん」

 

そういうと顔を真っ赤にして顔を伏せてしまう、私は嬉しくなって抱きついてしまった

愛する人に綺麗だといわれることがこれほど嬉しいことだと、昔の私に話したらどういう反応をするだろうか

冷静に「そうかも知れんな」などといって終わりだろう、自分がこのようになるとは思いもしないだろう

 

「今日はこれで過ごす。仕事に行こうか」

 

「う、え?そ、それは俺が・・・その・・・仕事に集中がだな」

 

「大丈夫だ、私がその分仕事をするさ」

 

昭に青く美しい外套を纏わせる、横に並ぶ私も青く美しい礼服、これから何か式や祭典があると言っても皆が信じてしまうだろう

 

私達は腕を組み城に向かう、周りの皆が振り返るが今日は気にしない、回りの人間が振り返るのは

一人のときでもそう珍しくは無いが今日は少し多い、そこまで目を引く格好だろうか?

 

「あのな、秋蘭があんまり綺麗過ぎるから皆振り返る。俺はなんと言うかつりあっていないのではないのか?」

 

「私とつりあわない?何を言うかとおもえば、私のほうが釣り合っていない」

 

「そんな事はない、本当に綺麗過ぎるんだよ」

 

「私は、そう思ってくれるのはお前一人で十分だ」

 

そうだ、別に誰かに綺麗だといわれてもさほど嬉しいとは思わない、昭にそう思われるのが一番嬉しい

だから釣り合うとか釣り合わないは問題ではない、問題は昭にどう思われるかということだけだ

今日は綺麗過ぎるなどと言ってくれた、それだけで満足なのだから

 

城に着くと会議の打ち合わせと事前確認を行った。皆が今日はいつにも増して綺麗だと褒めてくれて

昭は終始顔を赤くさせたままだった。それはそれで昭の違った様子が見られて楽しい

 

「秋蘭様、すごく綺麗です。それってこの間、兄様が買ってこられた服ですか?」

 

「ありがとう、その通りだ私も気に入っているんだ」

 

「いいなぁ、秋蘭様は素敵な旦那様がいて」

 

「フフフ、昭はやれんが流流にもそのうち良い縁があるさ」

 

その日の会議でも私の姿に皆は驚いていた、これはこれで面白いものだ。華琳様も

 

「あら、今日はいつにもまして美しいわね。何かあった?」

 

「いいえ、そういったわけではありませんが」

 

「フフッ、今日は貴方に閨を共にしてもらおうかしら?・・・・・・でもその格好は、なるほど今日誘うのは無粋ね」

 

などと私の心を深く読んでくださって、わざわざ気を使ってくださったのだ

さすがは華琳様、確かに今日は何時もより自分を女だと意識しているようだ

普段の私ならこういった格好は嫌いではないがする事はない、いつ戦があるかもわからないからだ

だが一日ぐらいはこのような格好をして昭を喜ばせてやるのも悪いことではない

 

「ねぇねぇ隊長、秋蘭様すっごくきれいなのー!いいなぁーあの服ー!」

 

「そうやねぇ、今日って何かあるん?」

 

「ん?・・・まぁ、あることにはあるな」

 

「なにがあるのですか?」

 

「それは・・・・・・秘密だ」

 

まったく会議中だというのになにを話しているのか、そんなことでは華琳さまにまた御叱りをうけてしまうぞ

私は昭のほうに視線を向けると少しきつく睨んでやった。すると何時もとは違って顔を赤くしてうつむいてしまう

何時もなら真面目な顔を返すか、苦笑いなのだが普段と違う私の姿でどうも今日は終始こんな感じになってしまいそうだ

 

「うるさいぞお前達っ!」

 

「うわっ!す、すまん春蘭」

 

「まったく、会議に集中しろ。次はお前の報告だぞ」

 

「ああ、俺からは水車と竜吐水の作成だ。水路が確立した今、水車を使った大量の粉引きを行えるようにすることと

竜吐水を使用した火消し部隊の編成をした。水車と竜吐水については木管に、火消し部隊はこの間の報告の通りだ」

 

「火消し部隊なのだけどどういった編成をするつもり?」

 

「部隊は最近増えてきた警備隊員から選出する。数にして全体の四分の一程度、選出されたものは火消しの

専門家に育て上げ選出されなかった警備隊員にも基礎的な消化知識を与える」

 

「ふむ、選出されなかったものは火消し部隊の指揮によって消化活動を手伝えるようにするのね?」

 

「その通りだ、これによって町の火災は随分と押さえられる。竜吐水については町の水路を使用し途切れる事無く

火事になった家屋に放水が行える。どのくらい被害を抑えられるかは具体的な数をあとで報告するよ」

 

報告を受けて華琳さまは満足そうな顔をされた、いつ聞いても昭の知識には驚かされる

天の知識だと本人は言うがそれをきちんと使えるものとして魏に還元している、なかなか出来るものではない

みなには気がつかれていないが私はいつも会議では鼻が高い、だからこっそりと昭に笑顔を返してやるのだ

 

「ぬぐっ・・・・・・うぅ」

 

昭はまた顔を真っ赤にして顔をうつむかせてしまう、フフフッそれでは一馬のことを純情すぎるとはいえないだろう

その日の会議は無事に終了し、その後も普段と変わりなく仕事に従事した。昭は今日は警備隊の再編成と犯罪者の

処理を、私は華琳さまと新しく作成された水車と竜吐水の視察をした。

 

実際に作成されたものを見て華琳様は大変お喜びになられ「やっぱり秋蘭だけの物というのはもったいないわね」

そう仰られたが私は「申し訳ありませんがそればかりは」と返して二人で笑い合った。

 

他の者を取り合いにしていたら私は譲るか、共有していたかもしれないがどうもそういう気にはなれない

だが華琳様とこんな話をしていても笑い合えるのはきっとなにがあっても昭は自分の下から居なくならないと

なぜか確信してしまっているからだろう、そして華琳様が昭を手に入れたとしても昭は変わらず私を愛してくれると

解ってしまう「俺が結婚したのは秋蘭だから」と、きっとそういうだろう、真面目なのだあやつは

 

仕事も終わり涼風を迎えに昭と共に家路を歩く、ふと昭は立ち止まり腕を組む私のほうを見ると顔を

赤くしながら私の左手をとると青く美しい手袋をはめてくれた

 

「これは?」

 

「弽だ、この間無理をして手を怪我しただろう?それに結婚記念日だから・・・」

 

覚えていてくれた、当たり前だ昭が忘れるはずが無い。すごく嬉しい、私がこの間むりな速射をしたときに

怪我をしたことを覚えていてくれたのだ。それどろか私のことを気遣ってこのようなものまで用意を

私は人目も気にせずその場で頬に口付けをした、嬉しくて周りの目など一つも気にならなかった

 

「ありがとう、すごく嬉しい」

 

「良かった、喜んでくれて。今日は俺も嬉しかったよ、その服を着てくれてその、すごく自慢だった」

 

こやつはどこまで私を喜ばせれば気が済むのだろう、昭と結婚した事はまったくの偶然、華琳様の罰による

ものだったが今ではそれを感謝している。いや感謝しても仕切れないくらいだ、あのときの私に言ってやりたい

お前は損をしているぞと、目の前にはこれほど自分を思ってくれるものがいるのだぞと

 

 

 

 

「帰ろう、涼風がまってる」

 

「ああ、今日は私一人で食事を作らせてくれ」

 

「え・・・ああ、頼むよ」

 

昭は私に優しく微笑んでくれた、そして二人で涼風を迎えに行き、孤児院で詠にからかわれてしまった

「相変わらず暑苦しいわねー」などとニヤニヤしながら言われてしまったがいやな気持ちは一切しなかった

 

その後、屋敷に戻り久しぶりに三人で風呂に入った。食事の用意が終わる頃には姉者と一馬も帰ってきていた

みなで食事を取り姉者は一馬を酒につき合わせるといって屋敷から出て行ってしまい、久しぶりに二人で

涼風と遊ぶことが出来た。何時もは誰かしらいるのだが今日は珍しく夫婦水入らず、きっと華琳様が気を利かせて

姉者に話しを通しておいてくれたに違いない

 

「ぁふ・・・むにゅ・・・」

 

「眠くなったか、そろそろ寝ようか秋蘭」

 

「そうだな、姉者と一馬はそのうち帰ってくるだろう」

 

昭は涼風を抱き上げ寝室に連れて行くと、寝かしつけながら自分も寝てしまった。いつものことだが

疲れているのだろう、この間も寝ることも無く戦で留守にしていた分の木管全てを目に通していた

「犯罪は町の生の声だ、そこには不満や苦しみがある」と言っていたが私はお前の体が心配だよ

 

「・・・・・・すぅ・・・すぅ・・・・・・」

 

クスッ

 

私は完全に寝静まったことを確認すると部屋の鍵を閉めて窓も閉める。そして朝のように私の至福の時間の始まりだ

昭の色々なところに噛み付いていく、もちろん甘噛みでだ。最近どうも噛む癖がついてしまった、噛跡が残ってしまうと

色々と面倒なので(からかわれたり、まさか私が夜にそんなことをしていると思われる)散々噛み付いた後、朝は

着付け確認と言って噛跡を確認しているのだ

 

カプッ

 

「ん~~~~♪」

 

「・・・・・・秋蘭」

 

「んっ!・・・・・・あ・・・・・・」

 

しまった、いきなり呼ばれて驚いた私は少し強く首筋を噛んでしまい、その噛跡は確実に残ってしまうようなものになっている

 

「どうしたものか・・・むっ」

 

私は噛跡をどうしようかと迷っていたら昭の腕が私の身体を抱き寄せた、きっと寝ぼけているのだろう

私は腕に抱きしめられる感触がなんとも心地よくて、そのまま眠ってしまった

 

「・・・・・・む、朝か」

 

そのまま寝てしまったらしい、さて噛跡をどうしたものか?包帯で隠すか・・・それとも服でうまく隠すか

包帯は昭に変に勘ぐられてしまうからな、やはり服だろう

 

「隊長ー!おはようさーん!迎えに来たでー!!」

 

「おはようなのー!今日は朝から新兵訓練を見に来る約束なのー!」

 

「いらっしゃらないのですかー?」

 

む、これはまずいな。とりあえず昭を起こして服を着替えさせて、首を隠して

 

「少し待て、昭はまだ寝ている。今起こすからそこで待っていてくれ」

 

私はすぐさま昭を起こし、寝ぼけたままで素早く着替えをさせる。もちろん服装の確認をしっかりとする

首の丈が長い服を着させて・・・よし、問題はないな

 

「ふぁ、ありがとう秋蘭」

 

「いや、いつも通り綺麗な身なりになった。行って来い」

 

「ああ、涼風を頼むよ。いって来ます」

 

何とかうまくいったようだ、昭を無事に送り出して私は一息を付いた後、自分自身に笑ってしまった

こんなことにあせってしまう自分が面白くて仕方が無い、私まで初心な女に変えられていたということか

なんと面白いのだろう、それがちっとも嫌ではない。ただ嬉しいだけとはな

 

 

 

 

 

「なんや随分ねてたんやなー」

 

「そのようだ、何時もは秋蘭が早いんだが昨夜はとてもよく寝れたんじゃないかな、そのせいかもしれない」

 

「隊長、首が赤くなっていますが」

 

「ん?首?」

 

凪が指摘したところを男は服をずらして手で確認するが良くわからない

しかしそれをみた三人は顔を赤くしてしまう、その様子を見て男は首を捻る

 

「なんや~よく寝れたってそういうことかいな」

 

「隊長と秋蘭様アツアツなの~!」

 

男は何のことかさっぱりわからず首を触るが一向に答えがわからない、仕方なく三人に聞いてみるが

わかっているくせにと言われてしまってますます首を捻る

 

「なんや、秋蘭様ばかりずるいなぁ。ウチらも噛み付くくらいかまわんやろ凪」

 

「やっちゃえー!凪ちゃんー!」

 

「・・・・・・すみません隊長」

 

「うおっ!なにするんだ凪」

 

凪は顔を赤くさせて男の背後に回りこむと羽交い絞めをして自由を奪う、そこに真桜がニヤニヤと

しながら男の首筋に噛み付こうとした瞬間

 

「フンッ!」

 

「いだだだだだだだだだだっ!」

 

男の手が真桜の頭を鷲掴みにするとギリギリと締め上げた

 

「ま、真桜っ!」

 

「せいっ!」

 

「あっ!・・・う、ううぅ」

 

驚く凪に対しても男は顔の横に手を伸ばし真桜と同じように掴むとギリギリと締め上げた

男が手を放すと地面にうずくまる凪と真桜、そして男はゆっくりと沙和に目線を合わせると

逃げ出そうとする沙和を追い詰めた

 

「ま、待ってなのー!沙和は何もしてないなのー!」

 

「煽っていただろうっ!はぁっ!」

 

「あーーーーーーーーーーっ!!!!」

 

 

その後しばらく凪達に鉄爪の舞王と男は呼ばれることになった

 

 

 

 

 

 

皆様いつもありがとうございます><絶影です

 

 

今回後書きを書かせていただいたのは主人公の不臣の礼での権限のことです

 

友人はよくわからんとのことなので、きっと権限すげえンだろうなと思っていらっしゃる

方がおられると思うのでここで誤解を解いておこうかと思います^^;

 

 

権限についてなんですが無いと思っていただいて結構です

簡単に言うと臣下と同じ用に扱わないと言う意味なので

兵を勝手に動かすことも、法を勝手に作りかえることも出来ません

なにが出来るのかといえば

 

華琳が命令する→「やだ」→OK

 

と言った感じ、対等な立場でいると言うことです。

本当に友人として親族としての扱いと言ったところでしょうか

 

まぁそれだけでも魏に住む人間としてはものすごいことなので

(何せ王からの命令を拒否できるくらいですから)

 

立場的には王と同じ、だけど兵とか国は王のものだから勝手に出来ないよ

でも貴方は何やっても自由ですよとのことです

 

まさに雲ですねw

 

こんな主人公ですがこれからもよろしくおねがいします><

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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