No.126547

恋姫のなにか 8

くらげさん

今回は姉'sメインのお話。

2010-02-25 02:19:43 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:11131   閲覧ユーザー数:5557

更新滞ってまして、申し訳ありません。待ってくださってた方がいると信じての投稿。前向きに行こう、うん。

今回は姉'sメインのお話。ですがパロネタは皆無です。それが楽しみで来られてる方には申し訳ないです。

今回多少過激な表現がありますので、そういうのが苦手な方はその時点で読まれるのを止めた方がいいかもしれません。

【キャラ崩壊・(多少ですが)暴力的表現・エロ】

以上のキーワードに拒否感を覚えた方はスルー推奨です。

果たして私の表現力でエロに分類できるのかどうか疑問ではありますが。

「正拳構え!打ち方始め!」

 

良く通る声が号令を発し、応!と野太い声が塊となってそれに続く。

とある街の武道場。古流剣術・近代格闘技・弓術・銃技に暗殺術まで何でもござれの万道場には、伝説を創った女が三人いる。

正しくは其処に通う者は一名しか存在せず、あとの二人は道場破りだったのだが、あまりの出鱈目さに道場主が急遽師範代の座を用意したのだった。

しかもその三人が同じ家に住む姉妹だというのだから笑い話では済まされない。

特に道場に通う正式な師範代であり、実質的な支配者である凪を、彼女の姉である恋が殺しかけた事件(アレは断じて力比べなどと言う生易しいモノではなかった)は、新米門下生に此処の厳しさを知識として教える恰好の教材となっている。

姉にボロ負けしたが、それでも門下生にとっては武神と言って差し支えない道場のアイドル兼鬼師範は、号令を掛けてからチラチラと時計の針の進み具合を確かめている。時間を確認するのは凪にとって鍛錬を打ち切る前フリなのだ。

普段ならありえない事である。今は昼前と言っていい時間帯で、そもそも鍛錬が始まってから二時間ほどしか経過していない。

しかし彼女への恋情が敗れた者は「ああ、帰ってきてるのか」と納得した。

未だ思い続ける者は「そんな師範も・・・」と別方向へ思いを募らせる。

 

「余所見をした者。サンドバックに穴を開けるまで帰るな」

 

次々に名前を挙げられた者は愕然とし、名の上がらなかった者はくわばらくわばらと胸を撫で下ろす。

絶望という名の空気を振り払う様に必死に声を上げながら拳を突き出すその空間に、快活な声が響く。

 

「たのもー!凪さん!今日こそ一撃入れて、弟さんへの告白を認めていただきますっ!」

「生憎と今日は時間が惜しい。さっさと気絶させてやるから上がって来い」

 

凪の目付きは決して懐く後輩を見る先輩の眼でもなければ、着々と下地を整える門下生を見守る師範代の眼でもなかった。

打ち方やめ!と凪が声を上げれば、それまで地響きの様な豪声に見舞われていた道場内がシンと静まり返る。

はねっ返りだろうが自意識過剰なバカだろうが、凪は此処のルールを叩き込むため、その全てに拳という名の牙を振るった結果である。

それはすなわち【強者は自分、弱者は等しくお前等全て】という獣の理論だったのだが、目の前で『ヴァーリ・トゥード。五十VS一』で五十人を薙ぎ倒す所を見せ付けられれば、安いプライドなんぞ圧し折れて当然だろう。

静まりかえった道場内に、オス!しつれーします!と可愛らしくも頼もしい声が響く。

彼女の名は蒲公英。かなり離れた県から単身この道場に力試しに来た少女であり、凪への恋を諦めた者にとっては二代目アイドルになりつつあった。

しかし可愛い顔してやる事はえげつなく、卑怯上等勝てば官軍という、ある意味もっとも此処の戦闘方針に適している少女でもあった。

 

「今日はいままでの?!」

「喋繰ってる暇があるなら、石の一つでも投げるんだったな」

 

前口上すら聞く時間が惜しかったのか、蒲公英が立ち止まり顔を上げた瞬間には、もう凪の拳は彼女の腹に突き刺さっていた。

喧嘩を売った=試合開始のルールは蒲公英も熟知していたが、凪の機嫌がどれほど悪いのかまでは知りえなかったようだ。

 

「正拳500発打ち込めた者から上がってよし。それまでに気が付かなかったら表に叩き出しておけ」

 

何時もなら水掛けて云々と一応は気遣うのだが、その容赦の無い物言いに古参の門下生は「ああ、負けたのか」と納得する。

 

「それと、先程名前を挙げた者はサンドバックを忘れるな」

 

それを聞いた古参はもう一つ理解した。ああ、ボロ負けか。

凪は全力で見慣れた街を走っていた。何があったのかは良く知らないが、この間の電話から数日も立たずに弟は帰郷してきた。

もし嫌な事があったのなら全身全霊を込めて慰めてやりたいし、誰かにイジメられたのなら不本意ではあるが恋との共闘も吝かではない。

日々の鍛錬の成果か、異常な速度で走っても酸欠も息切れも起こらないが、顔だけは家に近づくにつれてどんどん赤くなる。

 

(一刀!一刀!一刀!一刀!)

 

角を曲がり、見慣れた街でも一等見慣れた景色――自宅の前まで来ると凪は急停止して、深呼吸を行うと同時に乱れた髪を手串で整える。

三つ編みという、武道場で師範代を勤める者としては些か不釣合いな髪型ではあるが、その事を指摘した者は全て武道から足を洗った。

それは兎も角、三つ編みなので手串で整えなくともそうそう乱れたりはしないのだが、それは言わぬが華である。

 

「た、ただいま!」

「あ、おかえり凪ねぇ」

 

ほにゃ。と顔の緩む声で出迎えてくれたのは、全身水浸しになった弟。下は短パン、上は裸という姉妹の精神衛生上宜しくない艶姿だった。

何故そんな寒そうな恰好で。と思わずにいられない凪だったが、台所から“ガチャン!”という音が響き、それに溜息を溢す弟の姿を見て「あぁ」と納得した。

 

「稟姉様は?」

「お風呂。溺れるといけないから見に行ってやってくんない?」

「分かった。恋は?」

「お片付けしてくれるってさ。張り切って台所だった場所に入っていった。

 ちなみに霞ねーさんは何か食べられる物買ってくるって桃香姉さん連れて買い物中」

 

成る程。しかしあの恋にお片付けなどというハイレベルな頼み事が出来るのだろうか。そう凪は思わずに入られない。

モノグサ・メンドクサガリ・ダラシナイの三冠王、放っておけば風呂に入る所か下着すら変えないレベルの怠惰星人である。

一刀がまだ家にいた頃はそれでも人並みの生活を送っていたが、一人暮らしを始めた頃はそれはもう酷かった。

 

「五分か・・・そろそろ不味いかな?」

「うん。直ぐに救助してくるから、一刀は居間にいなさい。勝手に出歩いちゃだめだぞ?

 もしコンビニ行きたいなら、ちゃんとお姉ちゃんの手を繋いで行く事。」

 

汗を落としたかったのは事実だし、弟に頼られるのは姉の華。一緒に入ろうと誘われればこの上ないが、まだ夜はこれからだ。

さて、今回はどのような体勢で溺れているのか。

 

「・・・・・・」

 

おい、ぐったりしてるぞ。と脳内の誰かが語りかけてきたが、首を振ってその幻聴を振り払う。

次女のポンコツ加減は何時もの事だが、何故お風呂で器用に八ツ○村で溺れられるのか不思議で仕方が無い凪だった。

「ほら姉様、しっかりしてください。直ぐ其処ですから・・・」

「いつもいつも苦労お掛けします・・・」

 

『座っていれば完璧超人』と弟は彼女の事をそう評価したが、それは究極的に稟を著した言葉だった。

座っていれば、何処かに腰を落ち着けてさえいれば目を閉じたままで料理だろうが慣性ドリフトだろうがお茶の子さいさいで鼻歌交じりにこなすが、一度二本の足で立ち上がるとドジっ娘稟ちゃんに成り下がる。

家の中を移動する際ですら、誰かが手を繋いでやるか壁にしっかりと両手をつけて這う様に移動しなければ高確率で十回は転ぶ。

お風呂で溺れるなど日常茶飯事だし、学校帰りに転んで落とした弟へのプレゼントを姉妹皆で夕日を灯りに町中探し回ったのはほろ苦い思い出である。

現に今も、風呂場から居間までのホンの数mを妹に手を引かれ、顔を真っ赤にして歩いているような眼鏡美人。なんだこの萌える生物。

 

「何故今日に限って立ったまま料理を・・・」

「違うんです、私はキチンと椅子に座っていたんです・・・ただ、一刀が冷蔵庫からお茶を取ろうとして・・・」

「気を利かせたつもりが・・・という事ですか・・・」

 

お恥ずかしい。と俯いてしまう稟に、まぁ気持ちはわかりますが・・・と言葉を濁すしかない凪。

弟に甘く、世話を焼きたがるのはこの姉妹共通の本能であるが、上に行くにつれてその本能は強くなっている。

霞は他の姉妹がいる前では長女の威厳を崩すまいと頑張ってはいるが、一刀と二人になるともう色々ダメな女だった。

一度桃香が面白がって二人きりの模様を盗撮したが、それを見た後、妹達は皆姉の顔を見て話せなかった。

語尾に「にゃん」だの「にゅ~」だの付けて甘えるのは痛いとしか言い様がなく、比較的温厚な稟をして「脳が腐る」と廃棄処分を命じたのだった。

「いや、今実家いるから無理だわ。うん、うん・・・だから無理だっつの」

「♪」

 

数mの距離に結構な時間を費やした二人は、ソファーの上で寝転がり誰かしらと話している弟と、それにマーキングしている姉(妹)を何とも言えない思いで見ていた。

昔はそれこそ毎日の恒例行事だったが、久方ぶりに客観的な立場で見ると何ともエロい光景だった。

この家の居間にあるソファーは全部で三つ。詰めれば四人まで座れる大きなソファーがデンと置かれ、その前に大人の脛ぐらいの高さのガラス張りのテーブル。

そのテーブルを挟むようにして一人掛けのソファーが一つづつの合計三台。

ちなみに、大きいソファーは当時、一刀のベット代わりにもなっていた。

 

「帰ったら連絡するから。っっ!!」

「んむ、じゅる」

 

十分に水を拭っていなかったのか、一刀の髪から雫が零れ落ちて胸に落ちる。

そこに恋は口を這わせると、迷わず吸い上げて舌を這い上がらせる。テラテラと光る舐め痕が光を反射してエロい。

それを見てゴクリ。と二つの喉がなった。無論その行為にではなく、濡れた弟の胸板に反応したのだ。ダメ人間、此処に極まる。

ダボダボのTシャツと下着しかつけていない恋は、服が着崩れを起こしている事などお構いなしに己の肉を余す所無く一刀に擦り付ける。

しかし、そんなアピールに一刀のとった反応は「こら、今電話中なの」と言葉で制止を掛けるだけの物で、恋で無ければストップを掛けないだろう。

それは逆に恋ならそれだけで止める。という事であり、不服そうではあるが、恋は渋々口を離した。

だが不満な事に変わりは無いのか寝転がった一刀に馬乗りになり、大きくシャツの形を変える要因である二つの膨らみをグニャリと歪ませながら擦り付ける。

 

「あー、悪い。ねーちゃん不満そうだから切る。うん、電話すりゃいいのな?あいよ」

 

しかしそんな抗議は今更であり、一刀はケータイの電源ボタンを押して通話を終えると恋の頬っぺたをくにぃと掴む。

 

「こら、電話中は大人しくしてないとダメでしょ?」

「一刀が悪い・・・恋、お片付け頑張った」

 

その言葉に凪と稟が爆心地に目をやれば、二人のプライドをズタボロにしそうな光景が広がっていた。

惨劇が起こっていた時はヘドロでも被っていたのかと聴きたくなるような滑った何かに覆われていたシンクは、目映い銀の輝きを取り戻していた。

汁や皮や、様々なゴミが飛び散っていたフローリングの床は“どこの業者か教えろ”と近所のマダム達が挙って問い詰める事請け合いな美しさ。このまま部屋の紹介に使われても問題ないほどの輝きである。

食器類は整頓され使われる時を今か今かと待っているし、それらを磨く為に使われたであろう雑巾やスポンジ類も綺麗に水切りされて元の位置に戻されている。

 

((流石、一刀が絡めば完璧超人))

 

恋を差してそう称したのは桃香ではあるが、稟に負けず劣らずのネーミングである。

「あ、稟お姉ちゃん。溺れなかった?」

「危ない所だったけどね」

「恥ずかしい・・・恋も、すいませんでしたね」

「いい」

 

恋は凪と稟の存在にムッとしたものの、おお、凄ぇ。と一刀が感嘆を洩らした事に気を良くして今度は首筋に吸い付く。

その様子に凪はイラッと来たが、一刀が離していないならと無理矢理に自分を納得させて席に着く。

 

「霞ねーさん達遅いね?」むちゅう

「お腹空いたか?冷蔵庫に確か水羊羹があった筈だ」じゅるじゅる

「アレなら、この前桃香が食べてましたよ」れろれろれろれろ

「ちょっ、稟お姉ちゃん危ないから」むっか!

 

自分も席に着こうと慎重に足を進めた稟に手を差し伸べようと立ち上がった一刀だったが、それが理由で退けられた恋は一気に怒りメーターを跳ね上げた。

 

「あ、ありがとね(照」

「俺に出来る事なんてこれぐらいだし」

 

身内という眼鏡が邪魔をするが、第三者から見れば稟は十二分に大人のお姉さんな外見をしている。

(座って)仕事をしていればクールビューティだし、(座って)食事をしている時は皆隣の席を狙っている。

それに一旦ハマれば痘痕も笑窪。尻拭いをいつもしている霞からしてみれば『お前なんかウチに怨みでもあんのか?』と聴きたくなる彼女のドジっぷりを目にしても、ギャップ萌えという名の魔法に成り下がる。

 

「どしたの?恋ねーちゃん」

「・・・こっち」

 

稟の手を引いた後、何となく稟の隣に座った一刀を恋の不貞腐れた目が射抜いた。食卓はドアから見て奥にあるので、恋を素通りする形になるわけだ。

食事になればこの狭いテーブルでなく、食卓に付く事になるだろうし、それなら稟は最初からそちらの席につけた方が良いと一刀は判断した。

元々此処は誰の席。と決められている訳でもないので、空いた場所に腰を落ち着けるのがルールなので、一刀は記憶に習って稟の隣に腰を落ち着けたのだが、恋にしてみればおいてきぼりを喰らったのと同じだった。

 

「恋、暴れるのは止せ。一刀が困るだろう」

「うー・・・」

 

直ぐに目の端に涙を溜めて、自分の隣をバンバンと叩く恋を?顔で見つめる一刀。

くっ付いていないと癇癪を起こすのは桃香だし、恋はダダを捏ねる時間すら惜しいと言わんばかりに一刀に飛びつくのが普通である。

よもや力いっぱいにソファーをバンバンと叩くその行為が「隣に来い」と無言で催促しているとは夢にも思わない一刀はますます混乱する。

 

「ただいまー」「ただいまー」

 

文字にすると同じだが、イントネーションが微妙に違う二つの声が響く。

 

「おじゃまします!」

 

そして、そこに響く三つ目の声。凪は本日二度目の声色である。

「あれ、お客さん?」ぶちっ!!!

 

恋はイラついた。それはもう盛大にブチ切れた。

一刀が自分以外に構うだけでも腹が立つのに、無視させるなど持っての他だった。

 

「お、凪も帰ってきてるやん」「ぶちのめされた蒲公英ちゃん拾ってきたんだから当たり前だよ」

「お、お邪魔します!一刀さん!」

 

居間に顔を出した三人に、恋が今まで座っていた四人掛けのソファーを片手で思いっきりぶん投げた。

 

「ちょ?!」「バカ!!」「なんやねん!」「あぶないなぁ・・・」「やれやれ・・・」

 

どんっ!!と漫画のような轟音がしたが、幸いな事に怪我をしたのは桃香の脚に蹴り落とされたソファーだけである。

それを迎撃した桃香は初見殺しを喰らったゲーマーの様にキョトンとした顔で、別段気にした様子はない。

桃香の横で迫り来るソファーに襲われそうになった霞は「また買い替えかいな・・・」と額を押さえている。

凪は凪で「一刀に何かあったらどうする!」と恋に文句を言っているし、稟は座っているからか「いや、修理すれば使えますよ?」と冷静な事この上ない。

あっけに取られているのは恋のヴァイオレンスな行動から暫く遠ざかっていた一刀と、道場以外で姉妹の争いを見た事が無い蒲公英ぐらいのモノだった。

 

(凄い・・・これが、凪さん達三人より強い恋さんの気迫・・・!)

 

蒲公英の思考が停止していたのはホンの一瞬で、ソファーが地面に沈む音と共に意識を取り戻した。

凪の拳で気絶した蒲公英は、門下生が打ち込み500発を終える前に目を覚ました。

また負けたのかと少しばかり落ち込んでいる所に声を掛けたのは、伝説を創った三人の内の一人である桃香。

正式な師範代ではない桃香と言葉を交わした事はなかったが、知識としてどれだけ凄い人物と会っているのかを理解した蒲公英はまたも試合を望んだのだが、霞が「今引き止めたら殺されるで?」とそれを止めたのだ。

凪以外の姉妹とは全く面識のない(一刀除く)蒲公英だったが、上記の通り凪達姉妹のヤバい噂は様々な人から聞いている。

件の道場で師範代の名を持つ三人が“姉妹の中では弱い”部類に入るなど笑い話にしか聞こえなかったけれど、今ならそれが十二分に理解出来る。

「は、はじ「ぅぅ~~・・・・・・!!」

 

兎も角、コレは色々な意味でチャンスだ!と前向きに捉えた蒲公英は声を大きく出し、ハキハキと自己紹介をしようとしたのだが。

 

「なんやねん・・・なんでウチの番犬拗ねてんねん・・・」

「いや、良くわかんないんだけど」

「アホ、恋がお前以外の事で泣くかい!」

 

実家の道場のみならず、本家でも“拳神”とまで称された凪を一方的に倒した女が、超えるべき壁の先に佇む武の頂点が、子供の様に泣いていた。

 

「あ、蒲公英ちゃん、久しぶり」

「お、お久しぶりです!」

「カズちゃん・・・も少し空気読んだ方がいいよ?」

 

桃香の言葉に一刀が桃香の指差す方を見れば、恋が獣の様な唸り声を上げながら、拳を握り締めていた。

 

「コッチに飛び火しちゃったらもう一回お買い物行かないといけないから、頑張って機嫌とったげるんだよ?」

(いや桃香さん・・・機嫌取るって・・・今にも襲い掛かってきそうな雰囲気なんですけど・・・)

 

蒲公英は生きた心地がしなかった。

蛇に睨まれた蛙の気持ちを書け。という内容の作文作成を命じられたら満点を取る自身が今ならあった。

 

「あ、あの・・・凪さん・・?どうして皆さんこんなに落ちついていらっしゃるんでしょうか・・・?」

「・・・不本意だが、何時もの事だ」

 

ブスッとした顔で目を閉じ、桃香に手伝おうと声を掛けて立ち上がる凪の背中を見て、蒲公英は届かねぇ・・・と心で洩らした。

 

「蒲公英ゆーたか。凪の後輩みたいやし、昼飯ぐらい食べていきーや?」

「は、はい!御相伴に預からせて戴きます! です、けど・・・」

 

眼前には、こちらの喉笛を噛み切りそうな獣の姿。

 

「あぁ、何時ものこっちゃ」

 

好き嫌いは許さへんでーと言いながら、霞も獣の横をスッと通る。此処の姉妹は恐怖という感情を生み出す場所が欠損しているとしか思えない。

チラリと最後の一人であり、本物の伝説の人である稟に目を向ければ、霞がテーブルに置いたビニール袋をガサゴソとやりながら「寿司なら駅前の所の方が美味しいんですが・・・」とブツブツ文句を言っている。

 

「ん~・・・」

 

唯一の常識人であり、武道とはかけ離れた生活を送る一刀は獣と化した姉の姿を見ながら首を傾げ―――あ、そっか。とスッキリした顔になった。

「か、一刀さん?!ソレはかなり危険な、こう・・・い・・・」

 

一刀は長年の疑問が解決したかのような、晴々とした顔で恋に近づき、よ!と声を上げながらお姫様抱っこした。

 

「そういや帰ってから抱っこしてなかったね?」

「♪」

 

うりゃーと声を上げながら両腕を上下させると、恋は感極まったように一刀の首筋に両腕を這わせた。

眼は先程の殺気立ったギラギラしたモノとは違い、少女漫画に出てくる恋する乙女のようにキラキラと輝いていた。

 

蒲公英は不意に、面白可笑しく聴かされた話を思い出した。

 

(一刀さんには近づくな、鬼が起きて食われるぞ・・・か)

 

凪と恋の鬼は見た。恋の鬼を見たのは今回全くの偶然だったが。

しかし蒲公英が凪の鬼を起こしたのは、弟に告白する許可をくれという願いの果てのモノだったから堪らない。

これが残り三人分。しかも、姉妹の中で弱い部類に入るとされる凪には手も足も出ず、恋に至っては指を動かす事すら忘れていた始末。

 

「どうした蒲公英。早く席に着け」

「は、はい!ご馳走になります!オス!」

 

気分を入れ替えよう。と蒲公英は頬を叩いて気合を入れた。

 

(まずは名前を覚えて貰って、手合わせしてもらえれば上等すぎる!!)

 

そう思って姉妹+一刀の輪に入ったのだったが―――食べ終え、一刀が久しぶりに春蘭に会ってくると家を出、姉妹だけになった辺りで先ず桃香に肩を掴まれ「で?カズちゃんに告白ってどういうこと?」とニッコリ尋ねられた辺りで一度死を覚悟した。

 

 

その日、蒲公英は生まれて初めて、結婚に対する相手への願望を持った。

即ち―――二世帯住宅は断固反対。

あとがき。+言い訳のコーナー

 

今回短いですね、急ぎすぎました。あと蒲公英空気。

わかっちゃいたんですが、蒲公英押し出すと姉'sが空気になると判断したので泣く泣く断念。

そして案の定恋の一人勝ち。これも予想してたのに、覆す事が出来ませんでした。

今回色々と不甲斐無い結果に終わってしまいました。精進せねば。

 

 

新キャラ達ですが、霞と恋も改めての紹介。

 

まず蒲公英ですが、【素直ヒート】をコンセプトにしたつもりです。全然出てませんが。

本編では小悪魔キャラだったので、こっちの世界ではいそうでいなかった熱血武道少女に。

他の登場人物は殆どインドア系ですんで、中々いいかな、と。

 

 

そして一部の方に好評頂いた姉'sも(ほぼ)初登場。出張れてない人は今後頑張ります。

 

まず長姉の霞ねーさん。コンセプトとしては“面倒見の良いお姉ちゃん”なのですが、後から出てくるのが皆キャラ濃いので、“意外と甘えん坊”と“貧乏籤”を追加しました。

一刀と二人の時は“恋人に依存するダメ女”というのがミソ。弟に頼られると嬉しいお年頃。

皆甘いですが、何だかんだ一番弟離れ出来ない人。

 

次姉の稟お姉ちゃんは“ドジっ娘”と“座れば完璧超人”という設定。

前者は兎も角、後者の設定は閃いた時はキタコレ!!だったんですが・・・

稟の可愛い所を期待されてた方、非常に申し訳ないです。

「お姉ちゃんって呼びなさい!」と駄々を捏ねる稟お姉ちゃんを何時か書きたいです。

 

三姉の恋ねーちゃんは、以前出した時はキャラ崩壊してなかった気がします。

なので「エロいアピール」と「嫉妬深い」「獣的」をキーワードに作成。

以前感想のお礼コメにも書きましたが、気を抜くと直ぐ無双仕出します。困る。

 

四姉の凪ねぇは・・・言葉で著すのは非常に難しいです。

とりあえず「恋とは正反対」というのを念頭に置いているんですが、原作とあまり変わらない事実。凪可愛いよ凪。

恋は一刀まっしぐらですが、凪は手招きされないと抱きつけないタイプ。

 

で、五姉の桃香姉さんですが、腹黒だと月と被るので非常に難産でした。中々姉'sに踏み切れなかったのはこの子の所為です。

とりあえず武道派にしてみました。意外にしっくりきたのがなんだかなぁですが。

本編でもちょこっと触れましたが、家にいるのに一刀の隣に座れないと癇癪起こす子です。その後恋に黙らせられますが。

 

権力的には年齢順ですが、腕力的には恋がぶっちぎりです。それぞれの得意なフィールドに引きずり込めばまた別ですが。

 

キャラ説明だけで大分尺を取ってしまったので、お礼返信は次ページで。

 

いつもご愛顧下さってる読者様、今回やっつけで申し訳ありません。

更新滞ってるので、非常に焦りました。何とか書かねば、と書いた作品がこの体たらく。まだまだ精進が必要です。

愛紗編や思春編がサクサク書けた分、笑いに走れなかったら脆いもんだと痛感させられました。萌えって難しいですね。

あと欲張りすぎたのもダメな点です。今回ホントに自信喪失しました。あと蒲公英ゴメン。

 

言い訳続きましたが、読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。

ミドリガメ様  頑張れなかった・・・ダメだった・・・

        愛紗は何をしても許される、奇特な子だと思います。

 

tyoromoko様  救済出来てますか?なら良かったと安堵しますね~

        伏字に何の文字を入れれば正解なのかサッパリですが、イケメン陣には不幸になってもらいます。

 

狩人様     ニヤニヤしていただけたなら、きっと愛紗も本望でしょう。

        知っている馬超ネタは三国○大戦か○天航路ぐらいしか無いのですが、気付かぬ内になんぞ仕込んでたのでしょうか。

 

自由人様    貂蝉を投入した辺りで、只管ギャグで突き進むと決めました。

        匂いの秘密については、きっと姉の誰かが絡んでます。

 

MiTi様     詠はガチ○ロの同人とか描いてますよ、きっと。

        何をしても許される、ホント美人とイケメンは得です。

 

りばーす様   御大の声が脳内リフレインしたなら、試みは成功です。やったね俺!

        いつもご愛顧ありがとうございます。ホントに。

 

ゲストさん   寮母が似合う変態ってある意味凄いですよね、主犯は私ですが。

        桂花は普通の子にするだけでキャラ崩壊するという事実に書いてて気付きました。

 

Night様    うぇるかむあんだーぐらうんど∀

        読み直して思いましたが、突っ込んでるだけですね、詠。精進せねば。

 

よーぜふ様   崩壊してるのにそのままとはコレイカニ。

        愛紗褒められると何だか複雑です、彼女にはきっと不幸が似合う!

 

リュウガ様   期待にはきっと応えられない・・・不甲斐無いです。

        愛紗は恋姫の中で一番笑顔が可愛いキャラだと思います。

 

truth様    Ω<「崩壊した愛紗には石仮面と同様の効果があったんだ!」

        Ω ΩΩ<「な、なんだってー!!」

        ・・・無茶しやがって・・・(AA

 

イリヤ・エスナ様 コメ欄で会話すんなwwwコーヒー返せwww

         客観的にみるとURYYY!!と同じレベルの痛い事を2でやってるんですけどねw

 

弌式様     Wikiによると幽州の偏月刀らしいです。

        2で「忠犬」と書きましたが、愛紗には犬耳が似合うと思うんだ!

 

一刀様     出しました。むちゃどっちつかずですが。

        桃香、蒲公英ともにスタイルは決まったので、これからに期待してください。

 

shun様     残る熟女枠は紫苑だけですが、彼女は設定決まってるので名前も出ないと思います。

        此処に来てオリキャラ出すくらいなら・・・まぁ全員オリキャラみたいなモンですが。

 

比良坂様    どういたしまして。気に入っていただけたなら幸いです、ホント。

        愛紗ならきっとこの姉達のイビリにも耐えられると思います。

 

おやっと?様  今回笑い所は特に無かったですね・・・期待はずれですいません。

        「あるかも!」と思って頂けたらとても嬉しいです。それを妄想してますんで。

 

南華老仙様   愛紗人気が鰻登りですね、人気あるからコールして頂けたんでしょうけど。

        愛紗は確かに可愛いが、四六時中付き合う詠はとても可哀想だと思うんだ!

 

ロンギヌス様  ぶっちゃけると、翠はこの世界での最強キャラを予定してますんで、出るのは後の方になります。

        キーワード的には「初恋の人」ネタバレしちゃった。あと白蓮、実はもう出てます。

 

 

お礼返信が多い事に嬉しさと充足感を覚えます。

コメント、ありがとうございました。


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