空を仰ぎ見て、
アイツも頑張っているのかな、と
激は思った。
「? お師匠さま、どうかされたんですか?」
頭上を仰いで黙ってしまった激に、カイが不思議そうな表情で聞く。
激は視線を空からカイに戻して、微笑んだ。
「何でもねぇよ、空が青いなぁと思ってさ」
現郎がツェルブワールドを去って、5年の月日がたっていた。
その間、彼からは音沙汰がなかった。
激から連絡をしようにも、何処へどうやって連絡をすれば良いのか分からず、ただ、空を仰いで何処かにいる筈の現郎に想いを寄せるのみだった。
500年の間に激の心に降り積もった、現郎への憎しみは、
少しだけ、まだ彼の心の底に存在していた。
「だけど・・・許してる、」
消せない思いすらも内包して、
激は現郎を許した。
現郎は激を許した。
二人とも、互いが前のままではない事を知って、それでも尚、互いに向かって手を差し伸べた。
真っ青な空の下、激は彼方へ想いを馳せた。
いつかきっと彼はここへ帰ってくるのだろう。
何の根拠もなかったけれど、激にそう思わせるのは、去り際に見た、現郎の笑顔だった。
躊躇いがちに、儚げに、
そして、
ひどく優しく美しく、
現郎は微笑んだ。
その笑顔に、激は、
いつになるか分からない再会の約束を確かに交わしたのだ、と思った。
すぐでなくても良い。
ジジイになってしまっても良い。
叶うなら、出来るならまだ生きてて、ボケてもない内に再会したい。
けれど、
「果たす、までは」
己のやらなくてはいけない事を果たすまでは。
己のやりたい事を成し遂げるまでは。
「帰ってきたら張り倒してやる、」
いつになるか分からない再会の時、
これ以上はないというほど力を込めて抱きしめて、
現郎を迎えてやろうと激は思った。
遠い、空の下。
現郎は空を仰ぎ見て、
そして、
微笑んだ。
激現。