No.111935

Inner Light 1st Volume

魔法少女リリカルなのはViVid,StrikerS の二次創作小説になります。
この作品は、2009年12月31日開催のコミックマーケット77 3日目なー18b「まじかるパステル」にて頒布予定です。

・あらすじ

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2009-12-13 01:18:15 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1881   閲覧ユーザー数:1837

 

    Inner Light

 

 

 

 キャロ・ル・ルシエの目の前には何もなかった。

 本当に何もないのではない。

 荒涼とした砂漠だけがただただ眼下に広がっていた。

「そ、そんな・・・」

 キャロはポツリと呟いた。声が辺りに吸い込まれる。

 それが、本当に何もないんだとキャロは思った。

 でも、そんなはずない。キャロは目の前の現実を受け入れる事が出来なかった。

 だって、ついさっきまで確かに部屋の中にいたのだ。しかも、そこはミッドチルダという高層ビルが建ち並ぶ大都会のど真ん中。

 今、目の前に広がっているような、砂一面の景色なんてあるはずもない。

 改めてもう一度、あたりを見回してみる。

 すると、一陣の風が舞った。

 熱く乾いた風がキャロに容赦なく吹き付ける。

 暑い。

 あまりの暑さに額から一粒の汗がこぼれ落ち、足下のさらさらとした砂の上に溶けては消えた。

「う、うーん」

 聞き覚えのある声がキャロの後ろからしたので振り返ると、そこには高町ヴィヴィオが砂の上にうずくまっていた。

 キャロは慌ててしゃがみ込むと、ヴィヴィオの耳元で叫んだ。

「ヴィヴィオ!ヴィヴィオ!大丈夫?」

「キャロさん・・・」

 問いかけに目を開いたヴィヴィオをみてキャロは少し安心する。

「痛いところはない?」

「はい」

 キャロはホッと胸をなで下ろした。そしてそれもつかの間、あたりを見回したヴィヴィオも驚きの声をあげたのだった。

「キャロさん。こ、ここは?」

「それが・・・わからないの・・・」

「わからない?」

「うん。私も気がついたら、ここに居て・・・フリードに起こされたの・・・」

 キャロは頷いた。ヴィヴィオは目を白黒させているが、キャロもまた、いま自分たちがいるここがどこかわからない。

「さっきまで、お部屋にいたのに・・・どうして・・・」

 ヴィヴィオもまた戸惑いの色が隠せない様子である。

「あれ、フリード?」

「キュイ」

 キャロの良き相棒である白竜フリードリッヒはあたりの様子を探るためキャロ達とは少し離れたところにいた。急に自分の名前を呼ばれたのか、こちらの方へぱたぱたと白い翼を羽ばたかせて戻ってくる。

「フリード、何かあった?」

「キュイキュイ」

 どうやら、この様子ではあたりには、何もないようだった。

「ありがとうフリード」

 キャロが礼を言うと、フリードは嬉しそうに鳴いた。ヴィヴィオを見れば、額に珠のような汗が噴き出している。

「それにしてもあついね・・・」

「うん」

 ヴィヴィオは、白のシャツに爽やかな萌葱色のベスト、下はプリーツの入った茶色いスカートという、セントヒルデ魔法学院の制服という格好だ。シャツは半袖だが、多分この見渡すかぎり砂というこの場所では、肌を晒すのが逆に暑いだろうなぁとキャロは思った。

 そんなキャロもまたピンクのワンピースという格好である。初夏のミッドでは比較的過ごしやすい格好だが、ここでは日光を遮る物がなにもない。早く日陰を探して入りたいところだ。

 そう思っていると、ヴィヴィオが何かに気がついた。

「あっ、あれ、なんだろう」

 キャロはヴィヴィオが指をさした方向を見ると、遠くの方で砂が舞い上がり、何かこちらに近づいてくる。

「ヴィヴィオ、危ないかもしれないから上に行こう」

「うん」

 ヴィヴィオが答えると二人と一匹は一緒になって空中へとふわふわと浮かび上がった。そして、上から砂埃の方をみれば、かなりの早さでこちらに向かってきている。

「あれ、なんでしょうね?」

 ヴィヴィオが少し不安そうに言った。

「うーん・・・あっ!!!」

 砂埃が、かなり近くまで来るとその正体が何なのかキャロ達にも一目で分った。

「イルカ!」

 キャロが声に出す前にヴィヴィオは嬉しそうに叫んだ。

「ホントだ。イルカだぁ」

 見れば青と白の鮮やかなイルカ達の群れが、砂の上に出たかと思えば、またすぐさま砂の中へと消え、ジャンプしては砂の上を舞い、そしてまた砂の中へと消えていく。

 そんな風にしながら、こちらへと凄いスピードで移動していた。

「キャロさん。このイルカ、砂の中を泳ぐんですね」

「どうして、砂イルカが・・・?」

「砂イルカっていうんだぁ。イルカっていったら、なのはママと水族館に行って見たけど、海の生きものじゃないの?」

「うん。このイルカはね、魔力を持っていて砂の中を泳ぐんだよ」

「それにしても、かわいい~キャロさん、砂イルカさわったことあるんですか?」

 ヴィヴィオはイルカを見ながらはしゃいだ様子で言った。

 


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