No.1100551

【獣機特警K-9IIG】汚染(1)【交流】

古淵工機さん

2022-08-20 19:26:57 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:422   閲覧ユーザー数:396

ある日の深夜。

ラミナ都心から離れた郊外の幹線道路を、1台のダンプトラックが走っていた。

 

「ふぅ……ここまで来れば大丈夫だべ」

運転席に乗っていたのは筋肉隆々のイボイノシシ型と痩せこけたチンパンジー型のファンガーの男性。

「だけど兄貴、ここって確か……」

「なぁに気にすんな、どうせ人っ子一人来ねえ山ン中だァ。ほれさっさと終わらせっぞァ」

 

そう言ったイノシシ男が手元のレバーを操作し、ダンプトラックは積み荷を道路脇の谷へと落としていく。

 

「……空になったようですぜ」

積み荷が全部なくなったことを確認したチンパンジー男が告げる。

「うシ。ほんじゃぁとっととズラかんべよ。さァ乗れ!!」

 

彼らは一体、何をしたのか……!?

数日後。ラミナ自然保護区。

トラ型ファンガーのザリャーはおぞましい光景を目の当たりにした。

「……!?こ、これは……!!」

 

そこはフラミンゴが集まる水場だった。

その水場で魚を獲ったり、水を飲んだりして暮らしているはずのフラミンゴが、

どういうわけか水場を取り囲むようにして死んでいるのだった……!

 

ザリャーは直ちに無線連絡を入れベースキャンプへと急報した!

しばらくしてベースキャンプから数台の車がやってきた。

隊長のミランシャ・キーンをはじめネルソン・ケンワース、マイ・シューティングスター、ナディ、シンディ、

ヴィオラ、マナミ……出せる人員がかき集められ、現場検証に当たっていた。

 

「これはひどいわね……」

ミランシャがそう言うのもうなづける。フラミンゴの死に方はあまりにも不自然そのものであるからだ。

「一体、誰がこんなことを……」

「ここら一帯のフラミンゴがほとんどやられてやがる!」

「密猟者の仕業か?許せない!ナディ、裁き受けさせてやる!」

マイ、シンディ、ナディが吼える。だがネルソンはある奇妙な点に気付いていた。

 

「……おかしいぞ。密猟が目的の殺傷なら銃創や矢の痕が残っててもおかしくないし、現場に血液も見当たらない」

「ネルソンさん、それってどういう―――」

ヴィオラがそう言いかけたその時、マナミがもう一つ奇妙な点を見つけた。

 

「……水場の中の魚が浮かんでいるわね」

「死んでるのか?」

「おそらく……」

 

その報告を聞いたミランシャはすぐに連絡を入れた。電話の相手は……。

さらにしばらくして一台のワンボックスカーが入ってきた。

中から出てきたのは生物学者のレルカである。

……さらに車には、イリーナ・アシモフも同乗していた。

 

「何かわかりましたか、レルカさん、イリーナさん」

ミランシャが訊ねる。するとレルカは、首を横に振った後で答えた。

「……ひどいね。実にひどい。魚がやられてるってことはこの水場が汚染されてるってことだ」

「お、汚染!?」

驚愕するANCFの保護官たち。さらに水質の分析を行っていたイリーナが答える。

「レルカさんの言ったとおりだよ。ここの水場に有毒な重金属成分が混入している」

「なぜだ!誰かが持ってきて水場にばらまいたってのか!?」

「……しかし外部から誰かが侵入した形跡はないし……」

 

するとイリーナが何かを見つけた。

「……ちょっと見てごらんよ。泉の上流にある沢だ……あそこの植物の枯れ方、どうも不自然じゃないか?」

「不自然?」

「おそらくだが……毒物はこの沢の流れに乗ってここに流れ込んできているんだろう……」

 

「それじゃあ、魚が死んでいるのも……」

「フラミンゴが大量に死んでいるのも!?」

「……どうやらイリーナの分析で間違いはなさそうだね……」

「そんな!ミランシャタイチョー、なにか打つ手ないのか?」

ANCF隊員たちに一気に不安の色が広がっていく。

 

ふと、レルカが訊ねた。

「ねえミランシャ。この泉の水源ってどこだかわかる?」

「……水源、ねぇ。そういえばヘジホッグ峠とか……」

「ヘジホッグ峠?」

「確か幹線道路が通っているのだけど、街路灯もないから深夜は見通しが悪い道なの。その道の脇に水源があるって……」

 

そこまで言いかけたところでミランシャははっとした。

「……幹線道路……!?まさか……」

 

突如起きた謎の大量死。果たしてこの事件の原因は何なのか!?待て次回!


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択