No.108101

真・恋姫†無双~招かれるは少年と妖精~ 第二話 

蒼鷲さん

かなり遅れましたが、第二話の前編です。更新は亀並に遅いですがよろしくお願いします。


※注意 この二次創作は恋姫とティアーズ・トゥ・ティアラのクロス作品です。両作品には独自設定及び独自解釈等が含まれています。
そういうのが苦手な方は読まないことをお勧めいたします。

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2009-11-21 00:56:21 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2721   閲覧ユーザー数:2517

 

あの後、突然スィールとエポナが倒れた。原因は不明だが、オガムの見立てでは二人とも魔力が著しく

 

 減っているとの事、しばらく休息をとれば元に戻るとの事だった。とりあえす、エポナとスィールは

 

 リムリスとエルミン、リアンノンに任せ、部屋に運ぶとそのまま原因を調査し始めた。

 

 

 

「どうだアロウン、オガム、何か分かったか?」

 

 

「……だめだ。何が起こったのか、それ以前にあの時感じた力の残留すら感じられない」

 

 

「エリシア殿とカズト殿の残留魔力すらも完全に消えていますな。これでは原因を特定する事は

 

 不可能でしょう、せめて何か手がかりが残っていれば良いのですが……」

 

 

 

 何一つ手掛かりや痕跡が残って居ない為、ここで何が起こったのか知るのは直接目撃した

 

 スィールとエポナ位であろう。

 

 

 

「とりあえず、この場に手がかりが無い以上、エポナとスィールが目を覚ますのを待つしかないようだな」

 

 

「そうだな、二人が心配だが……今出来ることが無い以上、戻るか」

 

 

「それがよろしいですな」

 

 

 

 そして、武器庫を出ようとアロウンが扉を開けて出ようと時だった。

 

 

 

「……ん?」

 

 

 

 突然、アロウンは何かに気がついたかの様に立ち止まり、周囲を見渡す。

 

 

 

「どうしたんだ? アロウン」

 

 

「…………いや、何でもない。気のせいか」

 

 

 

 そう言うと、今度こそアロウンは武器庫を後にする。アルサルとオガムも後に続いた。 

 

 

 

 そして全員が立ち去った後、しばらくすると武器庫に何の前触れも無く人影が現れた。

 

 その人影、白い服に蒼いローブを纏った女性、菅輅は一通り辺りを見渡す。そして、最後に一刀とエリシアが

 

 光に包まれ消えた所に視線を向けた。

 

 

 

「無事に外史に飛ばされたみたいね。銅鏡も残ってないし……とりあえず、こちらの世界の住人に介入される

 

 可能性は殆ど無いとはいえ……やはり用心するべきは竜族の賢者オガムと地上に堕ちた精霊アロウンかしら。

 

 誤魔化せた様だけど、油断は出来ないわね」

 

 

  

 ―――いずれにせよ、これ以上の長居は危険。

 

 

 周囲に人が居ない事を確認すると、菅輅はまた幻の様に姿を消した。

 

 

 しかし、菅輅は知らない。北郷一刀以外にこの世界の一人の妖精族が一緒に外史へと飛ばされたと言う事を。

 

 

 そのイレギュラーが、後に彼女にも予測が着かない事態を巻き起こしてしまうことを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真・恋姫†無双~招かれるは異世界の少年と妖精~

 

             

        第二話 ~外史に降り立つ少年と妖精 前編~

 

 

 

 

 

 

「ここは一体……」

 

 

 

 気が付けば、北郷一刀はあたり一面、見渡す限りどこまでも続く草原の上に突っ立っていた。

 

 その光景から判断するに、先ほどまで居た武器庫はおろか、この場所が城塞都市アヴァロンで無い

 

 事は明らかである。

 

 

 

「確か俺は、武器庫の整理をエポナ、スィール、エリシアと一緒にしてて―――!」

 

 

 

 そこまで呟いて、唐突に全てを思い出した。そう、整理をしているとき一刀は怪しい銅鏡を発見

 

 その銅鏡から光が発せられ、その光から逃れられず、気が付けばこの場所に居た。

 

 

 

「エポナ! スィール! エリシア!」

 

 

 

 出来る限り大声で3人を呼んでみるが、当然の如く反応は無い。

 

 しかし、一刀は当然諦めきれず、再度大声で呼ぼうとして―――

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 ―――何か違和感を感じた。そう、それはほんの小さな違和感であったが、かつて

 

 その違和感と同じような感じをある遺跡で一刀は体験していた。

 

 

 

「ああ、そうか……これは夢。もしくはそれに近い幻術の類なのか」

 

 

  

 その時の体験を元に一刀は瞬時に自身の現状を把握した。よく見れば、今彼が着ている服は

 

 先ほどまで着ていた蒼い服ではなく、あの世界、アヴァロン城に飛ばされた時に着ていた聖フランチェスカ学園の

 

 制服である。そう、本来ならばこの制服は、最終決戦でもはや着る事も修繕することすら不可能なほどに

 

 ボロボロとなっているはずである。それなのに今一刀が着ている制服は、アヴァロン城に飛ばされた当初の状態なのだ。

 

 

 

「となれば、これが夢ならば、待っていればいずれ出られるだろうけど……、問題はこれが幻術の類だった場合だよな」

 

 

 

 これからどうするか、そう考え込んでいた時だった。

 

 突然、目の前に風が渦巻き、やがて収束を始める。そして、収束された風はやがて人影を形成し風が止むと同時に

 

 一刀の目の前に外套を纏う一人の男が立っていた。ただし、認識阻害系の……それも相当強い術をを使っているのか

 

 顔の判別だけが出来なかった。そして同時に、男を見て一刀は確信する。

 

 

 ―――この男が、この草原の世界を作り出して自分をこの場所に引きずり込んだ張本人だと。

 

 

 

「貴方ですね? 俺をこの世界に引きずり込んだ張本人は」

 

 

 

 念の為、男に確認を取る一刀。その右手は腰の剣に手を掛けており、言外に偽りは許さないと物語っている。

 

 そんな敵意剥き出しの一刀を見据え、男は―――

 

 

 

「そうだ」

 

 

 

 ―――っとあっさりと認めた。案外あっけなく認めた男に一刀は少し動揺するも、そんな態度は

 

 一切見せずに男と対峙する。

 

 

 

「それと、そんなに警戒しなくとも、この場において私は君の敵ではない」

 

 

「なら、せめて貴方が行使している認識阻害の術式を解除してもらえないかな?」

 

 

 

 当然であろう、顔を隠した相手に警戒を解けと言われても出来るものではない。

 

 

 

「すまないがそれは出来ない。私も訳ありでね……今、顔を見られるわけにはいかない。

 

 何、君の精神をここに招いたのはどうこうする為じゃなくて、聞きたい事があったからさ」

 

 

「……顔を明かせない招待不明の男の質問に、俺が素直にそれに答えると?」

 

 

「まあ答える、答えないかは君の自由だが……答えてくれればこの空間から君を解放する事を約束しよう」

 

 

「……それは本当か?」

 

 

「もちろんさ。大体、私が君を始末つもりだったら、わざわざ君の前に現れたりしないよ」

 

 

  

 男の態度から、一応嘘を付いている様には思えないと判断すると

 

 

 

「分かった、内容に依るけど貴方の質問に答えるよ」

 

 

 

 っと一刀は結論した。ただし、それはあくまで最低限の信用をしただけであって、万が一男が

 

 不振な動きをした場合に対処する為に警戒は怠ってはいなかった。そんな一刀の様子に男は

 

 気付いているであろうが、自分が言った事に二言は無いとばかりに気にしていなかった。

 

 

 

「私が聞きたいことは一つ。北郷一刀、君は何故最後まで戦うことが出来たのだ?」

 

 

「そんなにおかしいのか? 俺が最後まで皆と戦い抜いた事が」

 

 

「すまない、ならば言い方を変えよう。元々、君は平和な世界に生まれ、事故で飛ばされた一般人のはずだ。

 

 そんな君が、あの世界と全く関係の無い君が何故命を賭けて最後まで戦ったんだい?

 

 正直、それ程の理由は無かったはずだと私は思っているのだが……」

 

 

 

 その問い掛けを聞いて一刀は確信した。コイツも全てを知っているんだと。だから答える。

 

 あの世界に飛ばされてから得た事を―――

 

 

 

「俺は―――――――――そして、二度と後悔だけはしないと誓ったからな」

 

 

「なるほど、そういう事なのか。だから―――」

 

 

 

 ようやく納得したかのように男が呟くと同時に、再び彼を中心に風が集い始めた。

 

 

 

「質問に答えてくれた事、感謝するよ北郷一刀君」

 

 

「ちょっと待て! 答えたら此処から出してくれるんじゃ無かったのか?」

 

 

「心配しなくても、私が消えればこの世界から脱出できるよ。だから安心していい」

 

 

 

 そんな会話が交わされるたびに次第に集まった風はやがて収束を始める。

 

 

 

「質問に答えてくれたお礼っていうのは何だけど……、君に一つだけ助言をさせてもらうよ」

 

 

「助言?」

 

 

「これから先、何があろうと君はその信念と信じたものを、思いを忘れるな」

 

 

 

 そう言い残すと男の姿は完全に風に包まれ、瞬間収束した風が霧散する。

 

 

 

「消えた……一体なんだったんだ?」

 

 

 

 そう呟いた直後だった。突如、何の前触れも無く漆黒の闇が辺り一面を覆い尽くし―――

 

 

 

「あ……れ…」

 

 

 

 ―――、一刀の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――暗闇の中、心地よいまどろみが俺を包み込んで。

 

 

 

「……ト…さ…、……て…………」

 

 

 

 ―――起きなければいけないと分かってはいるが、起きれない。

 

 

 

「………カ…ト…、…き…………」

 

 

 

 ―――誰かが傍で……呼んでいるのか?

 

 

 

「……カズ……、く………」

 

 

 

 ―――カズくん……? 懐かしいその呼び方はもしかして……

 

 

 

 

 

 

 

「う……はる…な……?」

 

 

「え……? はる、なんですか?」

 

 

 ゆっくりと目を開けた一刀の視界に最初に映ったのは、心配そうに顔を覗き込んでいる少女、共に

 

 戦った妖精族のエリシアであった。

 

 

「あ……、エリシア……?」

 

 

 頭が全然回転しない状態の中、ゆっくりと一刀は体を起こす。

 

 

「そうです、エリシアですよ。大丈夫ですかカズトさん? 随分と魘されてたみたいですが」

 

 

 そして、心配そうに顔を覗き込んでいるエリシアを視界に納め、唐突に一刀の頭は完全に覚醒した。

 

 

「ああ、大丈夫だ。エリシアこそ大丈夫か?」

 

 

「ええ、大丈夫ですよ。私は何ともありません」

 

 

「よかった……」

 

 

 ホッっとする一刀だが、それも束の間、直ぐに真剣な表情を浮かべる。そして―――

 

 

「エポナとスィールはどうなったか分かる?」

 

 

 一番気になっていた事をエリシアに尋ねた。

 

 

「エポナさんとスィールは巻き込まれていないと思います。おそらく武器庫に残っている事でしょう。

 

 あの光はカズトさんのみを包み込んでいたみたいですから」

 

 

「そうか、良かった。……銅鏡は?」

 

 

「分かりません。私が気が付いた時には既に銅鏡は無くなっていました」

 

 

「そっか、まあお互いが無事って事だけ何よりだな」

 

 

 ゆっくりと立ち上がり、背伸びをする一刀。

 

 

「恐らく今頃アロウン様やアルサル様、オガム様達が動いてくださっているでしょうが……」

 

 

「そうだな、このまま待ってる訳にもいかないし、俺達は俺達でやるべき事をしておこう」

 

 

「賛成です。ところで、此処は一体何処でしょう……?」

 

 

「分からないけど、どう見てもアヴァロン城周辺ではないよなぁ」

 

 

 二人でゆっくりと周囲を見渡すが、二人の視界に広がるのはあたり一面の荒野に遠くに山が

 

 ある風景だけであり、自分達が住む城塞都市アヴァロンはおろか周囲の森すら見当たらなかった。

 

 

「さて、どうしようか……」

 

 

「まずは、ここが何処なのかを調べる必要があると思いますけど……」

 

 

「そうだよなぁ、とりあえず近くに村とか町とかあるか探すか」

 

 

「それが最善ですね」

 

 

 そう結論付けた所で、エリシアが気がついた。

 

 

「! カズトさんその服は」

 

 

「服……? これは、聖フランチェスカの制服!?」

 

 

 そう、一刀の身につけている服が何時もの服ではなく、聖フランチェスカの制服であった。

 

 

「どういう事でしょう、その服は確かあの決戦で……」

 

 

「ああ、確かにあの決戦でもう修復は不可能な位ボロボロになったはずだ。リムリスにも同じ素材

 

 が無ければ修復は無理ですって言われたし」

 

 

 しかし、今一刀が纏っている制服は、どう見てもそんなボロボロの制服ではない。

 

 それ所か破れている所が一つも無い、新品同様の制服なのだ。

 

 

「はあ、……一体どうなってるんだ?」 

 

 

「私は服とか特に何も変わっている所は無いみたいですし……何故カズトさんだけなのでしょう?」

 

 

 

対してエリシアは飛ばされる前と同じで特に変わったところは無い。

 

 

 

「…………いくら考えても情報が無い以上判断できないし、この件に関しても一先ず保留にして

 

 先に人を探そうかエリシア」

 

 

「そうですね―――! カズトさん、前方に人影が見えます」

 

 

「本当か!? 数は?」

 

 

「はい、数は……3人ですね、こちらに近づいてきているみたいです」

 

 

「そっか、まあこれで此処が何処なのか分かりそうだな」

 

 

 

 そんな会話を交わしている内に、その3人は一刀とエリシアの所にやって来た。

 

 

 

 

~To Be Continued~

 

 

 

 

~あとがき~

 

 

 蒼鷲です。という訳で第二話の前編です。中途半端ですが、長くなりそうだったので

分けてみました。

 

 前回コメント下さった方、ありがとうございます。それと手違いで消してしまい

申し訳ありませんでした。

 

 後、コメントでありましたが、リディアはある理由から一刀と一緒に出すことは

 出来ないのです。

 

 今回はこの辺りで……次辺りにでも設定を出そうかな? なんて考えています。

 

 では、次回もお会いできる事を祈って……蒼鷲でした。

 

 
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