No.1059658

スマブラ Stern des Lichts 第43話 ~ その目は何を見る

Nobuさん

天使少年ピット参戦回。
この小説ならではの事もやっています。

2021-04-19 09:25:28 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:287   閲覧ユーザー数:287

 光の神殿にある円盤から、次のエリアへ転移した一行。

 まず、一行を襲撃という形で迎えたのは、下級天使アフィニティの群れだった。

 シモンとベルが協力して彼らを倒した後、西に行ってヘラクレスとモリブリンを解放する。

 シャドウが西の円盤を調べると中央が光り、閉ざされた扉が開いた。

「案外あっさりと攻略できるものだな」

「この辺にはまだまだスピリッツはいるから、私は先に解放するわね」

 ベルは残ったスピリッツの解放をするため、一時的に離脱した。

 

「じゃ、俺達はベルが頑張ってスピリッツを解放している間に……」

「ファイターを助けに行かなくちゃね!」

 マリオとカービィは、捕まっている残りのファイターを助けるため、光の神殿を歩いていった。

 

「あっ、いたぞ!」

 倒れた柱や壊れた壁を避けながら進むと、マリオは台座に縛られたファイターを発見した。

 茶色い髪、白い翼、白い服の少年――ピットだ。

 台座の下からは彼のボディが量産されており、カービィはそれを見て怯える。

「ね、ねえ……どうなっちゃうの? ピット君」

「このまま放っておいたらこいつの身体で悪さをするスピリッツが湧き出るだろ。だから、俺達でピットを助けるんだ……よ!」

 そう言って、マリオはピットを縛っている光の鎖目掛けてハンマーを振り下ろす。

 すると、光の鎖は小気味よい音を立てて砕け散り、同時に自由になったピットが双剣に変えたパルテナの神弓を構えて襲ってくる。

「オマエタチ……キーラサマノテキカ……?」

「……」

 ルカリオはピットから湧き出る波導を察知する。

「真っ赤な波導がこいつを包んでいる」

「えっ、真っ赤って?」

「こいつは説得には応じないという事だ」

 ルカリオはすぐさま戦闘態勢を取る。

 つまり、ピットの母体を支配から救い出すには、彼と戦わなければならないのだ。

「……やるしかないようだね」

「ああ」

「立ち止まるわけにはいかない。いくぞ」

 リンクとマルスが共に剣を構え、シャドウは静かに銃をピットに向ける。

「私も、ベルさんのために頑張りますよぉ~!」

「おぉ~!」

 ヨッシーとカービィも、共にピットを迎え撃つ体勢に入る。

 そして、ピットが突っ込んできたところで、彼との戦いが始まった。

 

「えいっ!」

 カービィは素早くピットをキックで攻撃する。

 シャドウはピットの頭部を拳銃で狙い撃ちし、リンクは怯んだピットをマスターソードで斬りつけた。

「いくよ!」

「……」

「うわっ!?」

 マルスはピットにファルシオンで斬りかかろうとしたが、ピットが召喚したイカロス兵に阻まれる。

「いきますよぉ~!」

 ヨッシーは尻尾をぶんぶん振り回し、ピットとイカロス兵を薙ぎ払った。

「はっけい!」

「……」

 ルカリオはピットにはっけいを繰り出すが、衛星ガーディアンズで攻撃を防ぐ。

 ヨッシー、シャドウ、マルスは、襲ってきたイカロス兵を卵や武器で追い払った。

「わあっ! 速いですねぇ~!」

「はっ!」

「バレットパンチ」

 ヨッシーはイカロス兵らしからぬ素早さに翻弄されている。

 一方、シャドウとルカリオは動き回るイカロス兵を迅速かつ正確に攻撃していた。

 シャドウは元々素早く、ルカリオが使ったバレットパンチは素早い相手には効果的なのだ。

「ハイジョ!」

「うわぁ~!」

 ピットは豪腕ダッシュアッパーを構え、ヨッシーに突っ込んで渾身の一撃を放ち、彼を大きく吹っ飛ばした。

「危ない!」

 カービィはヨッシーを吸い込んで受け止め、軽く吐き出して何とか助ける。

「助かりましたぁ~」

「ヨシくんはじっとしてて。えいっ!」

 カービィは空高く飛んでシャドウを攻撃しようとしたイカロス兵を殴る。

 イカロス兵が墜落したところにマルスのファルシオンが命中し、イカロス兵は戦闘不能になった。

 

「コイツラハ、ステゴマニスギナイ」

「ピット……」

 操られたピットは、イカロス兵に対して残酷な事を吐いている。

 こんな事は絶対に言うはずがない、と六人は思っていたが、今の彼はキーラに操られている状態なのだ。

「せぇーいっ!」

「あぁぁぁぁぁぁぁ……」

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

 その頃、ベルは光の神殿にいるスピリッツを一人で解放していた。

 ロボットのウインドマン、呪術師のサーリャ、宝箱に化けたモンスターのミミッ子、伝説のポケモンのコバルオン、テラキオン、ビリジオン……。

 いずれも強敵揃いだったが、死神のベルの敵ではなかった。

 

「……ふう」

 スピリッツを解放し終えて、ベルは汗を拭う。

 傷はついていなかったが、鎌を何度も振ったため徐々に疲労が蓄積していた。

「結構疲れちゃうわ。みんなはファイターを助けてるかしら……一旦、戻りましょうか」

 ベルは疲れながらも一行のところに戻っていった。

 

「おりゃっ!」

 リンクはイカロス兵を勇者の弓で撃ち墜落させる。

 空を飛ぶ敵には弓が効果的だとマルスに教わったためだ。

 しかし、イカロス兵は次々と現れ、シャドウ達を数の暴力で蹂躙していく。

「くそっ……数が多すぎる……!」

「ピットに近付けんな……」

 倒しても倒しても、イカロス兵は現れ続ける。

 ピットに近付く事すらままならない。

 それを遠くから見ていたピットは、勝ち誇った笑みを浮かべている。

 このまま物量作戦で負けてしまうのか……と諦めかけていたその時。

 

「うおりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「!?」

 突然、大鎌が全てのイカロス兵を切り裂き、同時にピットの服を破いて吹っ飛ばす。

 この事態にピットは驚くが、シャドウは大鎌の正体を知っていた。

「ベル、来てくれたのか!」

「ええ、もうスピリッツは解放したわ。だから、今度は私が相手よ! えーっと」

「ピット」

「そうそう、ピット!」

「……エングンカ……!」

 ピットは豪腕ダッシュアッパーを装備し、ベルに突っ込んでいく。

 彼女は大鎌でピットの攻撃をいなし、パルテナの神弓目掛けて大鎌を振り下ろす。

 神器は壊れなかったが、ピットの手から離れる。

「シマッタ! ジンギガ……!」

「神器が無いピットはただの飛べない天族よ。さあ、とどめよ! ダウンリーパー!!」

「グアアアアアアアアアアア!!」

 そして、ベルが渾身の力を込めて振り下ろすと、ピットは真っ二つに切り裂かれた。

 切り裂かれた彼の身体から光が抜け出ると、ピットは眠りについたかのように倒れた。

「……あれ、ここは?」

 ピットは、ゆっくりと身体を起こす。

 彼の瞳は今まで戦ったファイターと同様、元の青色に戻っていた。

「僕は今まで何をしていたんでしょう……」

「元に戻ったんだな、ピット」

「ここは光の神殿よ。あんたはキーラに身体を利用されたのよ」

「……あぁぁぁぁっ! 思い出しました! 僕の魂が指輪に閉じ込められて、僕の身体が誰かに使われた事を!」

 ピットは、かつて天空界であった事件を思い出す。

 パルテナに憑依した混沌の遣いに三年間も魂を指輪に封じられ、自らの身体を利用された事を……。

「これはすぐさま行くしかありません! 今も身体を利用されてる人がいるはずです! うぐっ、思うように動けない……」

 すぐさま皆を助けに行こうとしたピットだが、戦った時の傷のせいで身体が動かない。

 ドクターは「無理しないで」と言った後、ピットに塗り薬を塗って傷を癒した。

「ピット君は今、戦ったばかりなんだ。もう少し休んでくれないかな」

「あ、はい」

「元気なのはいいんだけど、ちょっとせっかちかな」

 

 ピットの傷は、ドクターの医療術によって無事完治した。

「もう、元気いっぱいです! 本当にありがとうございました! えっと、ドクターさんでしたっけ?」

「うん」

 本名は別にあるのだが、皆にはドクターと呼ばせているため、ピットも彼をドクターと呼んだ。

 そして落ち着いた後、マリオはピットにこれまでの事情を話した。

 

「なるほど……大体分かりました。つまり、キーラに支配された世界を救いたいって事なんですね?」

「ああ……だが光の結界が邪魔していて思うように動けないんだ。どうすればいいんだ?」

「それなら僕に任せてください! 皆さん、あれを見てください」

「あれ?」

 ピットは光の神殿にある青い宝石を指差した。

「もしかしたらあれが、光の結界を作っているんじゃないかな、って思うんですよ」

「本当かしら?」

「……まあ、僕の勘にすぎませんが……とりあえず、やれるだけやってみます。えい!」

 ピットはパルテナの神弓を構え、青い宝石目掛けて矢を射る。

 すると、光の神殿にあった青い宝石が砕け散り、外にあった光の結界が消滅した。

「やりました! ビンゴです!」

「おぉ! よくやったな、ピット!」

 ピットの読みは見事に当たり、これで行けるエリアが一気に増えた。

 一行が喜んでいると、どこからか不気味な女の声が聞こえてくる。

『光の神殿にいる、全ての母体を解放したか!』

「その声は……キーラ!」

 声の正体は、元凶であるキーラだった。

 キーラはスマッシュブラザーズが母体を解放した事にかなり怒っていた。

『おのれ……スマッシュブラザーズ如きが、我の邪魔をするとは、小賢しい。我が望む新世界が、そんなに憎いか』

「そうだよ! 平和じゃない世界は嫌いだもん!」

「お前の好きにさせるほど、スマッシュブラザーズは甘くないんだぜ」

「俺達にはやるべき事があるんだ」

「世界を平和にするって事をな!」

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウのスマブラ四天王が声を上げてキーラに反発する。

 キーラはますます怒り狂い、それに応じて光の神殿が震え出す。

「あっ、光の神殿が……!」

『そうまでして我を憎むか。我を嫌うか。ならば……貴様らは罰を受けてもらう!』

「罰……?」

 カービィがきょとんとしていると、光の神殿で突然、地震が発生した。

『光の神殿諸共、消え失せるがよい!!』

 どうやら、キーラは光の神殿を破壊してスマブラメンバーを生き埋めにするつもりのようだ。

 そうはさせないとスマブラメンバーは急いで光の神殿から脱出する。

「みんな、急いでここから出るぞ!」

「ああ!」

「うわっ!」

 カービィとピットが転んでしまうが、マリオとリンクはすぐに彼らの手を掴む。

 足が遅いドクターなども、瑠璃が速度を上げる術をかけたためスピードが上がった。

 

 そして……。

 

「あ~あ、光の神殿が……」

 光の神殿は、完全に崩壊してしまった。

 瓦礫と化した神殿を見たアイシャは落胆する。

 そんな彼女の肩に、リンクは優しく手を置いた。

「大丈夫だ、アイシャ。光の神殿は、キーラとの戦いが終わったら必ずみんなで復興させる。

 過ぎた事を悔やんでも仕方ない。今は俺達のやるべき事をやろうぜ」

「……ありがとうございますわ、リンクさん……」

「さ、氷山を降りるぞ」

 リンク達は、こうして氷山を降りていった。

 ~ベルのスピリッツ名鑑~

 

 アフィニティ

 出身世界:こことは異なる世界

 性別:不明

 光の世界から現れた天使。階級は精霊。

 純白の翼を羽ばたかせ、頭上のヘイロウで迷える者の行く道を照らすと言われる。

 

 ヘラクレス

 出身世界:神話の世界

 性別:男性

 自らを英雄「ヘラクレス」と名乗る謎の男。

 スパルタで無銭飲食をして投獄されていた。

 「わはははは!」が口癖のムードメーカー。

 

 モリブリン

 出身世界:ハイラル

 性別:♂?

 「モリブリン」は種族名。豚のような姿をしたモンスター。

 剣や槍で武装している事が多く、見た目に違わずタフである。

 

 ウインドマン

 出身世界:こことは異なる世界

 性別:男性型

 プロペラとジェットで風速200mの風を起こす事ができる。

 料理が上手だが、自転車に乗れない。

 エアーマンとはライバル関係にある。

 

 コバルオン

 出身世界:ゲフリアース

 性別:不明

 イッシュの伝説のポケモンで、てっしんポケモン。

 はがね・かくとうタイプで特性はせいぎのこころ。

 鋼の体と心を持ち、睨みつけるだけで凶暴なポケモンも従わせてしまう。

 

 テラキオン

 出身世界:ゲフリアース

 性別:不明

 イッシュの伝説のポケモンで、がんくつポケモン。

 いわ・かくとうタイプで、特性はせいぎのこころ。

 巨大な城壁を一撃で突破するほどの突進力を誇る。

 

 ビリジオン

 出身世界:ゲフリアース

 性別:不明

 イッシュの伝説のポケモンで、そうげんポケモン。

 くさ・かくとうタイプで、特性はせいぎのこころ。

 頭の角は鋭い刃になっており、つむじ風のような動きで敵を翻弄して素早く斬りつける。

 

 サーリャ

 出身世界:戦記の世界

 性別:女性

 ペレジア王国の呪術師の少女。嫉妬深く暗い性格。

 ルフレを「運命の相手」と呼び、付け回している。

 軍の中で一番、スタイルが良い。

 

 ミミッ子

 出身世界:天空界

 性別:不明

 宝箱に足が生えた姿をしたモンスター。

 普段は宝箱に化けているが、近づくと本性を現し、強烈な足技を繰り出してくる。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択