No.1059338

スマブラ Stern des Lichts 第39話 ~ タツマイリに住む少年

Nobuさん

リュカ参戦回です。
最初にはちょっとしたギャグを入れてみました。

2021-04-15 14:29:36 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:303   閲覧ユーザー数:303

 ストームを助けた一行は、キーラの目が届かない安全な場所でゆっくりと身体を休ませていた。

「なるほど……君が使うのはそういうタイプの武器なんだね」

「そういうタイプとは……銃を知らないのか?」

「ああ、僕の元いた世界には無かったよ」

「シャドウの銃は重たいけどとってもかっこいいよ! 私が初めて見た時はちょっと驚いたよ」

 ストーム、シャドウ、マールは、射撃武器(マールは「ブキ」)を使う者同士、という事である意味親近感を抱いた。

「矢にトルネイドの竜巻を纏わせ、矢の速度と威力を上げて……」

「この拳銃と機関銃は僕の手に合ってな、戦いが終わるまでは手放せなくなった」

「私が愛用するブキのわかばシューターは、サポートが得意で、誰もが持ってるんだよ」

 武器(ブキ)関連で三人の話は一気に盛り上がる。

 周りの姿や声がほとんど目に入らないほど、彼らは武器(ブキ)の話題で熱くなっていた。

「よし、試し撃ちするか」

「やるぞー!」

「いくよ」

 そして、ストームが弓、シャドウが拳銃、マールがわかばシューターを構え、試し撃ちをしようとしたその時――

 

「やめろーーーーーーーーっ!!」

 ダークリンクの叫び声が聞こえてきて、ストーム達は一斉に彼の方を向いた。

 もちろん、それぞれの武器(ブキ)を構えながら。

「いや、その武器、しまってくれ」

 ダークリンクがツッコミを入れると、三人はすぐに武器(ブキ)をしまうのだった。

 

「こんな笑えない時なのに、笑わせてくれてありがとよ」

 ははは、とドンキーコングが笑っている。

 今はキーラのほとんどに戦力を奪われており、とても笑えるような状況ではない。

 が、ストーム、シャドウ、マールのやり取りはドンキーに笑いを与えてくれたようだ。

「「真面目にやったつもりだが」」

「なんで笑ったのかな?」

 ストーム、シャドウ、マールは呆れていた。

 しかし、笑いによってスマッシュブラザーズの緊張は一気にほぐれた。

「ありがとよ。おかげで、リラックスできたぜ。さ、みんなで仲間を探すぞ」

「……ああ!」

 

 一行は、山岳地帯にいる残ったファイターを解放しに向かった。

 ストームの次に見つけたファイターは、タツマイリに住む金髪の少年、リュカ。

 彼には、ドンキー、バンジョー、カズーイ、シャドウ、アイシャで立ち向かった。

「リュカ、ボク達を信じてね」

「はっ!」

 シャドウが拳銃から放った弾丸が、吸い込まれるようにリュカの腹部を撃ち抜く。

「おらぁ!」

「そぉれ!」

「……」

 リュカはバンジョーとカズーイの攻撃をかわし、ドンキーをPKフラッシュで惑わす。

「うおっ! 眩しっ!」

「コレガキーラサマノヒカリダ……マブシイダロウ……」

「ああ、眩しいぜ。だが、それがどうした? オレのパワーは負けないぜ! おりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ドンキーはジャイアントパンチをリュカに食らわせる。

 しかし、リュカは痛くも痒くもない表情をした。

「なっ!? オレのパンチが効かない!?」

「オマエノチカラハ……ボクニハキカナイ」

「ふざけやがって……うぐっ!?」

 ドンキーが再び殴ろうとすると、彼の身体から力が抜ける感覚がする。

「なんで、力が出ないんだ……!?」

「コノPKフラッシュハ……アイテカラチカラヲウバウノサ」

「何、だと……!?」

 ドンキーはふらつきながらもゆっくり起き上がる。

 しかし、確実に立つ力は減ってきていた。

「ドンキーに何をするんだよ!」

 バンジョーはパンチで攻撃するが、リュカはシールドで攻撃を防ぎ、PKサンダーで反撃する。

 その攻撃をアイシャが代わりに受け、彼女は皿を投げつけてリュカを攻撃した。

「あまり攻撃は得意ではありませんが、リュカさんを助けるためならこれくらい……」

 シャドウは再び、拳銃でリュカを撃つ。

 攻撃を食らったリュカは、PKサンダーでドンキー達を痺れさせた。

「ぐっ……!」

「動けない……」

「コレデ……トドメダ。PKスター……」

 リュカが強力なPSIを発動させようとした時、唯一動けるカズーイがリュカの方に飛んでいき、嘴で彼を攻撃した。

 頭をつつかれたリュカは集中力が途切れ、PSIを発動できずに終わる。

「うぐっ!?」

「バンジョーもドンキーも動けないけど、あたいまでは止められなかったみたいね!」

「カズーイ、よくやった!」

 相棒の活躍を褒めるバンジョーに、カズーイはへへへと照れる。

 彼女はすぐに真剣な表情に戻り、再びリュカに突っ込んでいく。

 リュカはPSIで反撃しようとするが、カズーイに頭をつつかれたため上手く発動できなかった。

「これで、とどめよ!」

 そして、カズーイがリュカを掴むと、彼を地面に叩きつけ、戦闘不能にする。

 こうして、リュカとの戦いは、終わるのだった。

「……ボクは一体、何をしてたの……?」

 正気に戻ったリュカは、他の助けたファイター同様キーラに操られていた記憶は無くなっていた。

 しかし、傷はしっかり残っており、リュカが操られてドンキー達と戦ったという事実は残った。

「大丈夫でしたか、リュカさん? 今、わたしが治しますわ」

 アイシャは治癒の力を使い、戦いで傷ついたリュカを治療する。

「……身体の痛みが消えてる……キミが治したの?」

「ええ。もう大丈夫ですわよ」

 起き上がったリュカにニッコリと微笑むアイシャ。

「ところで、あなたはどうしてこちらにいらっしゃいましたの?」

「あ、実はネス君と一緒に光から逃げたんだ。でも、光だから凄く速くて……ネス君も、ボクも……」

 リュカは落ち込みながらアイシャ達に事情を話す。

 アイシャは「なるほど」と頷いた。

「それで、ネスさんは一体どこにいったんですの?」

「それは覚えてないから分からないよ。だけど」

「確実に無事ではなさそうですわね」

 ネスもキーラに操られた被害者だ。

 今もなお、母体をキーラに利用されている……そう思ったリュカは身体が震え出した。

「でも、大丈夫だよ。ボク達が必ず、みんなを助けてあげるから」

「くよくよしないで! あんたの元気がなかったら、あたいらも元気じゃなくなるわよ!」

 バンジョーとカズーイが落ち込むリュカを元気づける。

 確かにこんな調子では、スマッシュブラザーズを助けるための気力が足りなくなる。

 立ち止まってはいられない、とリュカは立ち上がった。

「ありがとう、熊さん、鳥さん。キミ達のおかげでボク、元気になったよ」

「あ、名前を言い忘れちゃったね。ボクはバンジョーだよ」

「あたいはカズーイよ、よろしくね」

「よろしくお願いします、バンジョーさん、カズーイさん!」

 そう言って、リュカはバンジョーの腕を右手で、カズーイの羽を左手で握った。

 ちなみにバンジョーとカズーイは、後で「呼び捨てでいいんだけど」とリュカに言った。

 こうして、スマッシュブラザーズは、光の鎖からリュカを解き放つのだった。


 
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